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読んでやる! basis 基礎 見るⅢ
動くものの位置の確定

 「見るⅢ」では、見ることにより、位置や場所の特定、空間の認識について考えます。このページでは「動くものの位置の確定」を取り上げました。

動くものの位置の確定

 前のページでは、自分から見たものの位置、自分の位置を考えました。このページでは、動くものの位置をどのように見ているのか考えます。

図3-1

 図3-1を説明します。
 同じ位置にあるボールを1つは真上に、1つは見ている人に向けて、打ち上げます。ボールの動きは2つとも見ている人の視線上にあるように打ち上げます。
 単眼や平面視の場合、2つのボールが1つに、重なって見えるはずです。そして、2つのボールが同じ視線上で無くなったとき、ボールが2つだったことを知ります。
 通常は、両眼立体視で見ています。はじめは、1つのボールに見えますが、だんだん2つのボールであることがわかってきます。1つのボールは真上に、もう1つのボールは見ている人に向かってくるのがわかります。
 さて、この2つのボールの動く方向が違うのをどうしてわかるのでしょうか。それは、2つの相対的な位置もありますが、見ている人からの2つのボールの距離だと思います。真上に上がるボールは距離が遠いまま、向かってくるボールは距離が短くなります。
 飛んでくるボールを取ったり、避けようとするとき、見ている人とボールとの距離が大切です。これができるのは、平面だけでなく、奥行きのある見方をする両眼立体視だからです。
 そして、動くボールがどの地点に落ちるのかは、ボールの方向と速さで予想することになります。
 ボールのスピードは、ボールの軌道上の1点と、経過した時間の次の1点で、求めることができます。しかし、これは、物理や数学の話で、生身の人間はそんな計算はしません。
 景色の全体を見つつ、ボールの行方を追っています。ボールの動きを2点ではなく、多点で捕らえ、刻々と変わる方向、スピードを見て、ボールの次に進む位置を予想しています。ですから、ボールが飛んでいる最中に、飛ぶ鳥が衝突した場合にも、柔軟に対応できます。

図3-2

 動くボールの場合も、動いているボールの位置と、自分との位置の関係が大切です。それに、ボールがどのように動くのかを予想することが加わります。
 動くボールの場合も、ボールの打ち上げられるところを中心に、景色を視界に捕らえておくことが、飛ぶボールの位置と、自分の位置を特定できることになります。
 逆の言い方をすると、視界をボールの1点に絞ると、ボールの飛ぶ方向、落ちる場所の予想、自分の位置を見失うことになります。

更新記録など

2016年11月1日(火) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。