Webサイト

読んでやる! basis 基礎 見るⅢ
位置の確定

 「見るⅢ」では、見ることにより、位置や場所の特定、空間の認識について考えます。このページでは「位置の確定」を取り上げました。

位置の確定

 私たちはどのように位置を確認しているのでしょうか。

 「山立て(やまだて)」という言葉を聞いたことがあります。漁師さんが使う方法だそうです。
 海の上には、目印となる電柱や看板はありません。場所を特定するための方法が「山立て(やまだて)」です。海から見える陸地には、人家や山など目印になるものが見えます。これを利用します。
 平面上では、2つの線が交わると1点が決まります。この1点が特定の場所になります。2点を結ぶことで線ができます。2点を2組作れば、直線を2本作ることができます。元々、人は特定の場所に立っているので、交わった点の上に立っています。そこで、特定の場所で交わるように、2本の線を作ります。後は陸地の4点を覚えておくだけです。

図2-1

 山立ては、平面上だけの話ではありません。海には干満があり、どの潮位の時かまでわかります。ビルと灯台、山と煙突を結ぶ2つの線が交わるところは平面上の1点です。ところが、ビルの角と灯台の先端、山の頂上と煙突の先端を結ぶ2つの線の交わったところは、上下まで特定しています。
 山立ては、意識し意図してある場所を特定する方法です。しかし、私たちは、無意識のうちに、自分の位置を知ろうとしているようです。何も2点だけで特定しなくても、多くの点で位置を特定できます。
 景色を見渡したとき、見た人を中心に自分の位置がだいたいわかるのです。それはなぜかというと、景色を見るとき、全体と奥行きを見るからです。その結果、その場所で見る景色は、1つしかありません。その景色を正確に覚えていれば、再度、同じ場所に来ることができます。しかし、記憶の変遷により、同じ景色を思い出すのは難しいかもしれません。意識してという意味では、その場所を特定するのに、山立ては優れています。

図2-2

 まとめ
 ・ 人は、見渡すことにより、平面、奥行きにより、自分の位置を特定している。

更新記録など

2016年11月1日(火) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。