ものの位置
目の前にあるポールペンや書類の位置をどのように捕らえているのでしょうか。本で言えば、文字の一つ一つもその場合にあたります。
その位置がわからなければ、ポールペンを取ったり、書類に文字を書けません。本の文字も、1文字の位置がわかるから、次から次へと順番に読めます。
位置がわかって、私たちは効率のよい行動がとれます。
では、どのように位置をわかろうとしているのでしょうか。
もの同士の位置関係を相対的に理解しているのでしょうか。ボールペンの左に書類があるというように。「読」の下は「書」だとかです。
確かに、位置は相対的な関係にありますが、これでは、目的を果たす動きが遅くなります。なぜなら、相対的な位置を確認してから、動作に入るからです。この相対的な位置の確認は、記憶を呼び起こすときに、よくある行動です。それは、あまりよく見えないか、眼を閉じた状態か、見えないものを探すとき、と同じです。この場合、見る主体の位置が考慮されないことがあります。
眼を開けた状態では、ものは見えています。記憶に頼る位置関係を取ることは少ないようです。なぜなら、見ている人にとって、見えているものとの位置関係が重要だからです。目に見えるものを見ながら行動しますが、行動をするのは見ている人です。見ている人と、見ているものとの位置関係を知ることで、行動がスムーズになります。
例えば、ボールペンを取ろうとした場合、手に取れる位置まで移動します。手を伸ばし指先で、ボールペンをつまみます。そして、書けるように手に握ります。ボンヤリと書類の位置がわかります。予め見ていたので、その位置に書類があると記憶しています。視線を向け、迷わず、書類を身体に引き寄せ、文字を書き始めます。
予め全体像を見て、ものの位置関係を記憶しているのです。そして、見えるところでは、位置関係をつかみ、1番目の目的を達します。次に、ぼんやりと見えているところに視線を向け、はっきりと見えるようにします。そして、2番目の目的を達するのです。
これを裏付けるのが、暗闇です。
はじめから暗闇にいると、動けません。それは、全体像もわからないし、今ある状況も見えないからです。
全体像を見てから、暗闇になった場合、記憶を頼りに行動できます。しかし、正確さを欠きます。
まとめ
・ 視覚により、見ている人と、対象物の位置関係を正確につかもうとしている。
・ 見えないところは、全体像を見たときの記憶で、位置関係に目星をつけている。
更新記録など
2016年11月1日(火) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。