見える範囲
ものを見るとき、どのように見えているのでしょうか。
あるものを見るとき、それに視線を向けます。すると、視線を向けた真ん中は、はっきりと見えていますが、その周囲はぼんやりとしています。
はっきりと見える部分を中心視野(ちゅうしんしや)、ぼんやりと見える範囲を周辺視野(しゅうへんしや)というそうです。
図1-1では、ひらがな「る」に視線を向けています。その周囲のひらがなをはっきりと見ることができます。
ぼんやりと見える範囲では、文字をはっきりと見ることはできません。だいたいの形から、文字を推測できることがあります。そして、その文字の位置、動き、色などを知ることができます。周辺視野は、かなりの情報を脳へ送っています。
図1-2で、ひらがな「る」の1点に焦点を合わせ、凝視した場合、はっきりと見える範囲は狭まり、ぼんやりと見える範囲も狭くなります。視野が狭くなります。
どのように見るかで、中心視野と周辺視野の視野全体が、狭くなったり広くなったりします。
もう一つは、はっきりと見えること、についてです。
図のひらがなの「る」に視線を向けたとき、「る」の周囲の文字まではっきりと見えました。ある程度の範囲ならば、ピントを合わせて、はっきりと見られることがわかります。
焦点を1点に絞り込むような見方をしなくても、はっきりと複数文字を見られるということです。
視線、焦点、ピントの働き方の区別です。
視線は、あるものに向かって眼球を向けることです。焦点は、見える範囲を絞り込むこと。ピントは、はっきりと見えるようにすることです。
焦点とピントは、辞書では同じ意味です。しかし、「範囲を絞り込む」と「はっきりと見える」の違いがわかるようにするため、この言葉を区別することにしました。
ものを見るときは、当然、この3つが同時に連動します。この3つの区別は、意識してものを見るときに、必要です。
ものを見ることは、「意識と眼球が連動している」ということです。そして、見方を変えることで、見え方が変わるということです。
更新記録など
2016年10月4日(火) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。