眼球の操作
ここでは眼球を操作して、どのように見えるのかを考えてみます。取り扱うのは、だいたい、眼球から情報が脳へいく直前まで、です。
人は脳でものを見ています。ここでは、眼球から脳へ送られた情報が、そのまま見えるものとして話を進めます。言い換えると、眼球はどのように情報を捕らえているか、ということです。あわせて、心身の状態についても、考えたいと思います。
まぶたを開けると、何かが見えます。何かに注目するわけでもなく、何かを見ています。朝、目覚めたとき、天井をぼんやりと見ている感じです。しかし、はっきりと天井は見えています。このとき、身体も眼球もリラックスした状態です。見える範囲は、広い感じがします。
眼球を操作して、1点を見つめる場合です。見える範囲は極端に狭く、眼球に力が入っています。チカチカしたり、頭痛や肩こりを伴うこともあります。
何かめずらしいものを見たとき、目を見開いています。見える範囲は広く、眼球に力が入っています。眼球の感覚が鋭くなったり、だるくなったりします。
眼球の使い方で、見える範囲や、身体に与える影響は違います。
図2-2を簡単に説明します。見え方、見方は先ほど記述したとおりです。
視野については、まぶたを開けて自然に見える状態を「中」としています。1点に焦点を合わせた場合、全体の視野も小さくなります。目を見開いてみたとき、中心視野は広がりますが、全体の視野は、まぶたを開けて自然に見える状態と変わりません。
眼球の緊張は、見え方を操作するために入れる力のことです。1点に焦点を合わせた見方も、目を見開いて見たときも、大きな力が必要です。しかし、まぶたを開けて自然に見える状態でも、意図的に目に力を入れて見ることができます。
眼球から来る疲労は大きいものがあります。眼球に力を入れたり、強い光を見ると、疲労度は増します。どんな見方をしても、眼球に力を入れると、疲労度が増します。
また、自動車で高速で走った場合や、恐怖、怒り、憎しみなどの感情のあるとき、見え方に変化があります。動きがゆっくり見えたり、視界が狭まったり、あるものが巨大化したり、視線が固定したりします。
環境、状況、感情、視線、視野に、眼球が影響を受けています。意図して眼球を操作する以外に、反射神経的に、条件反射的に、無意識に、眼球が自動操作するようです。
しかし、これは、眼球が単体で動作することもあれば、脳が察知して意図せずに眼球に操作の命令をすることもあるはずです。この区別は難しいものがあります。
人は脳でものを見ています。しかし、すべてではないにせよ、意図の有る無しにかかわらず、「眼球が操作されて、見え方が変わる」ことは、現実にあります。眼球の役割は大きいのです。
更新記録など
2016年10月4日(火) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。