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読んでやる! basis 基礎 見るⅡ
特殊性

 「見るⅡ」は、ものをどのように見ているのかを考えます。このページでは「特殊性」を取り上げました。

特殊性

 私たちは両眼を使って、普段から両眼立体視をしていると思っています。しかし、現実には、眼で追ってみたり、平面視や両眼立体視など様々な見方をしているようです。両眼を使っていながら、いつも立体視を使っていないようです。このことについて、少し考えてみます。

 距離のこと
 片方の眼でしか捕らえられないほどの短い距離の場合、単眼で見ることになります。平面視になります。その時に、両目で見ると、見ている像が、別の背景とかぶり、変に見えます。しかし、像が見えない眼を閉じたり、手で目隠しをすると、はっきりとした像が見えます。左右の眼の情報を元に、脳で像を作っていることがわかります。
 両眼で捕らえる距離であれば、立体視になるような気がします。例えば、読書やパソコン画面を見たりなど、日常生活に必要な距離です。ところが、例えば、目の前に、視界では捕らえられないほどの大きな平面があり、そこに文字が書かれていたとします。すると、平面までの距離が一定なので、平面視をしていることがあるかもしれません。
 景色を見たりする遠い距離を見る場合、立体視をしているようです。しかし、この場合も、遠くの景色の1点を見つめた場合、平面視のように見ることがあるようです。1点にすることにより、遠近を感じられないからです。ただ、脳がはじめに見た遠近感のある景色を覚えているため、1点を見つめたとしても、平面という感じはしないようです。

図5-1

 利き眼のこと
 どうして利き腕があり、利き眼があるのかを考えるのは、面白いことです。しかし、ここでは、どのように利き眼が働くのかを見ます。

 先ほどの距離との関係で、距離が近すぎると、片方の眼でしか物を見ることができません。見た方の眼が、利き眼になっています。利き眼とは違う眼で近くを見ても、利き眼で見たときと同じように見えます。

 利き眼が強すぎる場合、違う方の眼は開いているのですが、利き眼だけで見ているのに近い状態になることがあります。この時、単眼視で、平面視になっているようです。間近から遠方を見る場合、距離に関係なく、この状態になることがあります。
 特に、眼球を使って、1点に絞って見ると、この現象が起こるようです。全体の中の物の1点に絞ることは、平面視をすることであり、両眼で見る必要はないとも言えます。単眼だけで十分見られます。
 この場合、左右の眼の視力差が生じるかもしれません。脳の視野に映ったものを、意識で1点に絞った場合、両眼の視力差は生じにくいかもしれません。いずれにせよ、1点に絞って見た場合、平面視になりやすいようです。

図5-2

図5-3

 眼球の操作と意識のこと
 「見るとは眼球を使うこと」という意識を強く持つと、眼に力が入り、焦点を合わせるために視界を狭めることがあります。この場合、利き眼を主に使い、単眼視になりやすいようです。眼に意識を集中するため、疲れやすいとも言えます。眼を使ったわりに、よく見えないことがあります。
 脳の視野に映った物を見る場合も同じです。意識を集中して、1点を見ると、他の物が見えなくなることがあります。また、雑念や精神の乱れがあると、視野に映像があっても、よく見えないことがあります。
 このようなことから、「見るとは、眼球からの情報を、脳で見ている」と言えます。別の言い方をすると「意識で物を見ている」となります。意識で物を見ることで、眼球を操作し、それが何であるのかわかるのです。
 眼球の操作の仕方、意識の持ち方で、見え方は変わります。

更新記録など

2016年10月25日(火) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。