気をつけたいこと
支援技術の項を設けた理由は、読書がより満足度の高いものとなって欲しいと願うからです。目と意識の使い方だけでは十分とは言えません。読書が、生活の一部であると意識することが大切です。生活での、体調管理、生活サイクル、環境などです。健康で活力に満ちた心身があってこそ、実践ができ、理想の読書に近づけると思っています。それは、読書だけでなく、仕事、趣味、家事などにも言えることです。
目次
1 自分に合った方法を考える
最も大切なのは、自分に合った方法を探し自分で編み出すことです。
スポーツの世界では、フォームが重要だと言われます。大方の人は、理想と言われるフォームに近づけようと努力します。一流のアスリートをお手本に見よう見まねで実践したりします。ここで注目すべきは、一流アスリートが理想のフォームをどのように取り入れているかです。人はそれぞれ心身の特徴が違います。一流アスリートでも、自分の特徴を知らなければ、理想のフォームを活用できません。自分でわかっていることもありますが、ビデオ分析やコーチなどから言われて気づくこともあります。自分の特徴に合うようにフォームを取り入れる必要があります。
理想のフォームを取り入れても、試合で結果を残せないことがあります。他の選手も同様に努力をしているからです。練習をしなくても結果を出せる才能のある人もいます。しかし、普通の人でも、研究し実践し努力すれば、個人の記録や結果は伸びていきます。「競争に打ち勝つこと」と「能力の向上」を同じに評価してはいけません。新聞や取扱説明書などを疲れずに読むことができれば、生活は充実します。読書については、自らの能力の向上を図ることが必要です。
洋服で言えば、「吊り下げ(既製品)」から「イージーオーダー」、そして「オーダーメイド」。どれが自分によく合うでしょうか。自分が「これだ」と感じるものを実践することです。
2 練習即実践
「練習は練習、実践は実践」との考え方は、時間の消費を拡大します。実践しながら練習し、練習しながら実践します。練習のための書物選びはしません。仕事中に読む文書、新聞、メール、作業、運転など日常にあることに、目と意識の使い方を実践します。特別に用意すると、練習のための練習になり、会議や試験などの実戦に効果のでないことがあります。大切なのは現場で使えるようにすることです。
目と意識の使い方を実践したからといって、すぐに効果の表れることはありません。まず、目と意識の使い方に気づくまでに時間がかかります。使い方が身につくまでにも時間がかかります。新しい癖をつけようとしているからです。言い方を変えると、新しい習慣を身につけようとしています。新しいスポーツを覚えようとしている感覚です。
3 実践の方法
習い事に必要なのは、知識を理解し、正確に動作することです。
知識を自分なりに理解したら、正確に動作します。特に、基礎基本と言われることは、骨身にしみるくらい正確に覚えます。基礎基本がしっかりしているかどうかで、後の応用力が違ってきます。狂いのない正確な基本動作こそ、自分の体調を計るバロメーターです。能力を向上させたり、スランプを脱出する際の指針となります。
文章を読みはじめる時、ゆっくりと目と意識の使い方の動作をします。目と意識がそのようになっているかをチェックしながら読んでいきます。動作ができていれば、それからは、その感覚で文章を読んでいきます。そして、時々、目と意識の使い方をチェックします。
目と意識の使い方の動作ができない時、長くても10分程度までで練習を終了します。それからは、自分の普通の感覚で読んでいきます。時々、目と意識の使い方ができないか、試してみます。違う作業になったとき、はじめは同じように、目と意識の使い方の動作をします。
このゆっくりとした正確な動作の練習は、朝起きた時の頭のすっきりした状態で行うのが効果的です。ですから、1日1回朝起きた時に10分程度練習し、それからは、その動作で文章を読んでいるかチェックする程度で十分だと考えます。疲れた状態での正確な動作は疑問ですし、いい状態を覚えられるのかも疑問です。疲れのない気分の落ち着いたときにするがいいと思います。
習い事をする人の中には、とりあえず全体をまんべんなくマスターしようとする人がいます。そんな場合でも正確な基礎基本の繰り返しは大切です。基礎基本で自分の癖をつけてしまうと、後で修正するのは、塗炭の苦しみと血のにじむような努力を要します。全体を見ながら、自分にできることを一つ一つ確実にやっていく方が、結局は近道です。習得した後も、はじめの正確な基礎基本の動作の確認は必要です。
習得には、時間がかかります。私の場合、自分の考えた方法に疑念を生ずることがあり、練習に身が入りませんでした。3、4ヶ月後くらいに、この方法に自信を持ちました。6ヶ月後くらいに、やっと、「こんな感じなら読める」と思うようになりました。はじめからできる方法だとわかっていれば、もっと早く習得できたと思います。おそらく、3ヶ月程度の独学で習得できたと思います。
習い事は人によって、習得する時間が違います。気長にやることです。わからない、できないといって、あきらめないことです。ご飯の炊き方ではありませんが、『始めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣くとも蓋取るな』です。最初は右往左往です。これだと感じたらその時に力を入れて練習することです。自分の方法に確信を持ったら、誰に言われてもそれを変えないことです。
4 体調の優れないとき
いつも体調がベストだとは限りません。風邪をひいたり、ケガをしたりします。気分がイライラして集中できなこともあります。こんなときは思い切って、実践をやめます。そして、寝たり遊んだり運動などをして、気分転換を図ります。ある程度その症状が改善できたら、基本の動作をゆっくりと正確に行うことから始めます。文字を書くときは、一点一画をゆっくりと丁寧に正確に書きます。ワープロのキータッチでいえば、1文字を打つたびに手を基本のポジションに戻し、ゆっくりと正確にキーを打ちます。スポーツでは、基本の動作をゆっくりと正確に繰り返します。慣れてくれば、いつもどおりに動かします。ポイントは、ゆっくりと正確に、です。
5 心身の特徴が気になるとき
体の機能が、一般人と違う人がいます。私も腰椎が変形しており、スポーツの種類によっては支障があります。背筋を伸ばして椅子に座っていると、腰が伸びなくなったり痛くなったりします。だからといって、文字を読めないようでは困ります。自分のできる範囲でやっています。この場合こそ、自分に合った方法を探し出す必要があります。本などを参考にしながら、自分にできそうなことを試行錯誤します。試してみて、自分にできたことを評価します。決して他人と比較してはいけません。自分が向上したことに喜びを感じるようにします。私の場合、寝ながら読書すると腰にやさしく、楽に読めます。
自分のハンデキャップを補う工夫をして、能力の向上に努めます。
6 年齢のこと
老いも若きも技術を習得できます。習熟の早さや達成度は、若い方が平均的にはいいかもしれません。しかし、現実には、人によって習熟度は変わると思います。過去に疑似体験をした人は、習熟するのが早いことでしょう。
若い人は物覚えもよいし体力もあるので、一気に習得に全力を傾けられます。年を取ると、力を出したくても、体や気力がついてきません。ところが、年を取った人は、いろいろな経験をしているので、体の使い方を知っています。この経験が習得に生かされることがあります。私もその1人です。
体力の面からいうと、若い人に分があります。受験勉強のように短期間で覚えたり考えたりするのは、体力や気力が必要になります。短期決戦に向いています。しかし、若い人といえども、短期決戦を続けていると、消耗し、やがて、体を壊してしまいます。若くても、できるだけ体力を使わずに行動する技術を身につける方がいいのです。そうすれば、より充実した生活を送ることができます。
習得の技術については、老いも若きも、基礎基本を確実に身につけるように努力することです。若い人が一気に習得したとしても、基礎基本をおろそかにし、練習を怠った場合、その後の伸びは期待できません。むしろ、悪い癖をつけて、肩こりや眉間にしわが増え疲れやすくなる可能性があります。
練習をきちんとたゆまず続ければ、年齢に関係なくそれなりの効果を期待できます。
7 力を抜くこと
弊サイト『読んでやる』の読書技術を気づかずにしている人が必ずいます。というよりは、その目と意識の使い方が人本来のやり方です。それは、若い人に多いと思います。学校の勉強や友達との会話などで知識や思考が増えるにつれ、目と意識の使い方が何らかの原因で変化してゆくと考えられます。社会人になれば、利害関係が発生し、より複雑な感覚になります。そして、この感覚を人に説明できるほどに理解するのは難しいのです。そのため、努力しなければ達成できないとか、力を目一杯ださないと成り立たないなどと考えがちになります。そうなると、眉間しわをよせたり、肩が凝ったりして、疲れやすくなります。現実には、疲れにくい方が、多くの時間を努力に使えます。勉強してもわからないこともありますが、気にしない方が疲れません。
余分な力を抜く方が、集中力、平常心を長く維持できます。余分な力を抜く技術をマスターすることが必要です。
8 ライフイベントに遭遇したら
人が生きていると日常とは違う出来事に出遭います。ライフイベントと言われる、就職、結婚、出産、親族との死別などです。通常とは違うことを経験することと、違う文化や環境にさらされることで、今までとは違う感覚になります。本人は自分に変化がないように思っていても、現実は緊張や喪失、幸福などの異常な感覚になっています。この時に、新しいことを始めると、過剰なストレスを心身に与えることになります。あるとき、急に虚脱感を覚えたり、うつ状態になる可能性があります。ライフイベントやそれに近いことを経験したときは、慣れるまで今までどおりに過ごすことが大切です。そして、たびたび息抜きをするように努めます。親しい人とたわいのない話をしたり、自分のいつもの簡単にできる趣味、例えば、映画やコンサートなどに行きます。
人によって環境に順応する時間は違います。その異常な感覚から解放される時期を計る基準が、私にはわかりません。当初は忙しい時期があり、その後、急に暇になる時があります。心にぽっかり穴があいたような感じになります。この時、何かをしなければならないという焦燥感、何か満たされない空虚感を感じることがあります。このような感覚がなくなったときが、異常下から解放された時と言えるのかもしれません。やっと、平生になったと思われます。この時くらいから、新しいことを始めたり、自分の趣味を積極的に進める方がいいのです。
9 試験で練習する
試験では、高校、大学受験がありますが、同級生の話で、実生活であまり役に立たないことを勉強して何になるのか、というのを聞いたことがありました。社会人になるときに、有利に職業を選択できるように、履歴事項を得るために受験する感覚なのです。本来の勉強をしたいために進学するのではありません。
手前みそのようになりますが、弊サイト『読んでやる』の目と意識の使い方は、生涯役に立つと私は信じています。しかし、練習しなければ、身につきません。受験を練習に、目と意識の使い方を工夫してはいかがでしょうか。きっと、後々まで使えるはずです。
社会人になってからは、昇進や資格などの試験があります。また、業務を遂行するために書籍や資料を読む必要もでてきます。あまり疲れずに、この課題をこなせるなら、有意義に人生を歩めるはずです。
試験を受けようとする方は、弊サイトの方法を試しながら、勉強されてはいかがでしょうか。勉強に弾みがつき、退屈せずに過ごせると思います。
以下余白
更新記録など
2015年2月23日(月) : アップロード
2016年1月14日(木) : レスポンシブ様式に改装