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読んでやる! basis 基礎 読書法の考え方
読み方の軸

 読書の多様性の問題を回避するため、心身の具体的な動きに注目することにしました。それは「何が書いてあるのかをわかるようにするため」の読み方を追究することです。

読み方の軸

 これまで見てきたように、読書は多様性に富んでいます。何を中心、根幹に本の読み方を考えればよいのか、難しいところです。正解を得られないかもしれませんが、ここでは、その方向性を決めます。

 読書の多様性をどのように捕らえ、扱うのかは、大切な問題です。多様性の一つ一つを取り上げると、収拾がつかなくなるからです。これだと思う何点かを取り上げた場合、それ以外は無くてもよいのか、という疑念が出てきます。
 読書の多様性のほとんどは、個性です。書籍、読み方、読者において、多種多様です。人と時間の経過により、読者の文章の理解と感想は違ってきます。見た文字や文章をどのように感じるのかは、精神活動であり、その人でないとわかりません。個性のある精神活動は、抽象的でもあり、手をつけられません。
 精神活動のみと思いがちですが、読書は身体も使っています。目、呼吸、姿勢などです。身体にも個性がありますが、精神活動ほど、範囲は広くはありません。また、例えば、1分間に10~20回呼吸するとか、姿勢の取り方など、具体的に示すことができます。目の使い方は本人にしかわかりませんが、絵などにより、見え方を伝えることはできます。

 このように見てくると、読書には、精神と身体の2つの活動があります。
 精神活動は、複雑で抽象的なため、扱いにくさがあります。そして、精神活動は、読書の多様性を生み出しています。読書の多様性を回避できれば、読み方について考えやすくなります。読書の身体活動を検討してもよさそうです。

 身体活動として、眼球があります。人の活動で、最も使う器官の1つです。
 眼球は、脳が延長してできたものだそうです。また、桿体(かんたい)や錐体(すいたい)細胞があります。そして、眼球でも、個人差はありそうです。人により、細胞の多少、分布の違い、感度に個人差があると思われます。
 また、近視、乱視、老眼、斜視など、ものの見え方に影響を与えるのも、個人差があります。メガネなどで矯正できるものもありますが、そうでないものもあります。
 健康な人の場合、はっきりと見る、とか、1点に焦点を合わせるなど、眼球を動かすことでは、それほど変わりません。文字や絵などの見え方も、大きく変わるとは思えません。
 また、眼球を酷使すると、疲れやすくなります。恐怖を感じたり、緊張すると、視界が狭まると言われています。
 身体活動は、精神活動に比べて、取り扱うことや個人差が少ないと言えます。身体活動は、誰もが体感しやすいとも言えます。さらに、眼球の使い方を考えることは、行動の質につながります。

 眼球の使い方だけでは、文字を読むことはできません。文字なのか絵なのか、文字の意味を判断するのは、精神活動です。しかし、見え方を意識することで、文字が何であるか、意味は何かを正確に迅速に処理できるはずです。意識が変わると、眼球の使い方もそれに伴います。
 私たちは目の使い方を意識しません。まぶたを開ければ、見えるからです。その見方(みかた)が、どのようなものなのかもわかりません。おそらくいくつかの見方(みかた)をしているのでしょうが、それらを意識的に区別していません。そして、これらの見方は、自身の見方(みかた)となり、習慣になっています。
 いくつかの見え方を意識的に体験することは可能性を広げます。しかし、体験しようとしても、習慣が邪魔することがあります。

 次に、本の読み方をどのように伝えるのかという問題があります。
 読み方は、年齢、性差などの違う多数人に試してもらって、実証を得るのが理想です。 しかし、このやり方は、多くの費用と時間を必要とし、現実的ではありません。また、すでに触れたように、平均的なデータに基づいても、誰もが効率よく習得できるとは限りません。
 そこで、本の読み方について、私の経験をお伝えすることにしました。その理由と利点は次のようなものです。
 まず、私が普通の人間であるからです。人と比べて、特殊な能力や障害があるわけではありません。私のできることは、ご覧の皆様の大多数の方が「できるだろう」ということです。
 次に、ご覧の皆様が、私の経験を読んでも、絶対だとは思わないだろうことです。「こういう人もいるんだな」ぐらいにしか思わないだろうことです。この場合、ご覧の皆様は、ご自身に合ったように工夫して、私のお伝えすることを体験しようとされるはずです。この方が、平均を取ったやり方より、ご自身の感覚と経験から、十分な感触を得られるはずです。また、あらたな技術を生み出す可能性があります。

 これまで見てきたことから、次のように考えます。
 読書の多様性、特に精神的なもの、どのように理解し、感想を持ち、創造するかは、読者の個性にお任せすることにしました。必要のある場合のみ、取り扱います。
 そして、眼球、呼吸、姿勢など身体活動と、意識を中心に読み方を考えます。
 これにより、読書の多様性の問題を回避できます。そして、読書の身体活動に集中して可能性を探ることができます。効果的な見方(みかた)、見え方を考え、これより後の知的活動は読者の自由にしていただくということです。
 この効果的な見方、見え方を考えるのは、「何が書いてあるのかをわかるため」です。

まとめ

  • 読み方の方向性は、見方、見え方を中心に考える。
  • 「何が書いてあるのかをわかるようにするため」の考え方を、弊サイトの読書技術の中心に据(す)える。

更新記録など

2016年10月4日(火) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。