必要なもの
本の読み方の中心、根幹を決めるのが難しいのは、読書の多様性にあります。これまで、書籍、読み方、読者から見てきました。しかし、何かを中心にしないと、読み方の方向性は、定まりません。
そこで、文字や本を読むとは、どういうことなのかをあらためて考えます。
本を読むにはどういったことが必要でしょうか。
1 言葉、文法などの国語
2 調べること
3 言葉の識別、文章の理解
4 各器官の身体の健康
5 精神、神経の安定性
以上が、読書に必要なことに含まれると思います。
さて、1と2は、学校で習います。3は、学校で習うこともありますが、人の話を聞いたり、自分で体験、発見したりして習得します。4と5は、学校では習いません。授業の導入に使うことがありますが、教師によります。
4と5は、健康管理に入ります。支障がないなら、何もする必要はありません。
スポーツは、心肺機能、筋力、メンタル、動体視力などを向上させ、記録更新と勝利の確率を上げています。これが読書にも言えるなら、どの能力を向上させるかを考える必要があります。読書について、心身の能力を上げることをあまり聞いたことがありません。
ですから、3、4、5について、考え実践することは、大きな価値を生む可能性があります。
次に、読む行為について、見てみます。
a 文字が何であるのかを見る
b 文字の塊を言葉として捕らえる
c 言葉の並びの関係を理解する
d 文の内容を理解する
e 文の塊である文章の内容を理解する
f 本の全体で著者の主張を理解する
g 感想などの読者の創造
一連の動作は、だいたい、こんな感じでしょうか。
私たちは、お腹にいるときから、音を聞いていると言われています。生まれてから、自然に、人の話を聞き分け、話すようになります。そして、少なくとも聞くことができなければ、本を読むことは難しいかもしれません。言葉の単位、文節などを理解しづらいと思うからです。人の話を聞くことが、読書のベースにありそうです。文字を見て、文章の内容を理解するのは、人間にとって不自然な行為とも言えます。訓練が必要になります。
一連の動作とは、目と意識の使い方です。しかし、特に意識は、学校で習う内容も関係します。
aは、目の使い方です。「ヌ」と「ヲ」、ひらがな「り」とカタカナ「リ」などを見分ける目です。正確に文字を見るには、どのようにしたらよいかです。しかし、文字を覚えていないと、文字の区別はできません。
これと同じことはb以下にも同様のことが言えます。目で正確に捕らえていること、と、文字の特定ができること、です。この2点を言い換えると、
・ 目の効率的な使い方
・ 精神の正確な動作
になります。
文字の認識などの精神的な活動は、知識として学校で習いますが、すべてとは言えません。目の効率的な使い方も同様です。
この目と精神の使い方は、読書では、あまり取り扱っていません。
目を開ければ文字が見えるし、どんな字なのかは、わかります。このように、目と精神の動きは当たり前で、それを分析、分類してこなかったようです。読書と見る行為について、器官と精神の動き方を知ることは、生活の質の向上につながるかもしれません。読書だけのことではありません。
まとめ
- 見ることを考えることは、質の高い読みを期待できる。
更新記録など
2016年10月4日(火) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。