経験
「経験」は、弊サイトで本の読み方を実践してきた経験から得たものです。人により「経験」から得た技術や教訓などは違ってきます。それは、読書の多様性によります。
ご覧の方の参考としてください。実践をお考えの方は、ご自身に合うように工夫してください。経験は、自分の読み方を作っていきます。
目次
1 本を読む目的の確認
2-1 調べるタイミング
2-2 調べる対象
2-3 調べてもわからない場合
3 文字や言葉の捉え方
4 読むスピード
5 読んだことを忘れる
6 本を読む順番
7 本の新しい古い
8 あかりについて
9 小物
10 健康管理
11 1冊の本をすべて読まなければならないか
1 本を読む目的の確認
本を読む目的を持つ理由は、何か迷ったときの指針になるからです。
弊サイトの本を読む目的は、内容を知り理解し自分の考えを持つことです。このことは、人の話を聞いたり、会話するのと同じです。
文章や本を読んでいて、うまくいかないことがあったら、この目的を思い出して対策を考えます。
2-1 調べるタイミング
わからない言葉などが出てきたとき、調べるタイミングです。
読んでいる本が何を言いたいのかを知りたいので、まずは全体を読む必要があります。わからない言葉が出てきても読み続けます。文脈から全体の趣旨を読み取るようにします。
調べる単位の考え方は「1つの文脈」です。1つの文脈とは、それなりの主張がある1つの区切りのことです。1冊、1章、1項目、1段落、1文などです。
できるだけ長い区切りを読み終わってから調べるのが効果的です。言葉がわからないと文意がつかめない場合は、1文を読み終わったときに調べます。
わからない言葉を先に調べてから読むのは、お勧めできません。
言葉には、いろんな意味や変遷があります。また、状況により受け取る感じが変わってきます。文脈の中で言葉を捉えることで、文意を理解しやすくなります。
また、会話では話の流れから趣旨を理解します。これと同じで、文脈から意味を知るのが自然です。
ですから、わからない言葉が出るたびごとに調べるのではなく、区切りのよいところ、文脈が終わるところまで読んでから、わからない言葉を調べます。
会話をするとき、とりあえず一区切りまで聞いて、概略をつかみます。それから、わからないことを話し手に確認する方が、実のあるものになる気がします。
2-2 調べる対象
まったくわからないことは調べます。意味だけでなく、画像、音など、できるだけ広い範囲を調べます。できれば、手に触れたりもします。
では、何となく知っている言葉はどうでしょうか。これを含めて調べると、結構な数になります。読書の大半は調べている状態になってしまいます。
知っている言葉はどうでしょうか。わかった気になっていたり、勘違いしていることがあります。また、感覚としてはわかりますが、言葉でどのように説明すればよいのかわからないことがあります。確認のつもりで、調べた方がいい場合があります。
わからないことは全部調べた方がいいのですが、現実的ではありません。私の場合、ページ数に関係なく1冊の本で、煩わしさの分岐点は、40~50件です。この件数を超えると、調べるのが嫌になってきます。読むリズムが乱れるからです。調べるかどうかの判断の1つとして、「文脈からの理解」と「言葉の意味が理解に影響する程度」との兼ね合いがあります。
まったくわからない言葉は調べる必要があります。しかし、調べてばかりになるようなら、本の選定を見直した方がいいかもしれません。言葉の意味をも解説している入門書や初心者用、○○年生用、翻訳など、自分にあったものを検討します。
やさしいと感じた本は、調べものが少ないので、知っていることでも確認の意味で調べる余裕があります。
調べることが苦にならない人は、どんどん調べればよいと思います。気をつけたいのは、調べることが主にならないことです。あくまでも、「読む目的」を意識します。内容を知り理解し自分の考えを持つことです。
同じ分野の本を読むと、同じ言葉が出てきます。3、4冊読み、少しずつ調べていくうちに、調べることは減っていきます。1冊あたりの調べることが少なくても、数多く読むと、かなりのことを調べています。
2-3 調べてもわからない場合
調べてもその時に必ずわかるとは限りません。この場合は、文脈から察することになります。
また、同じ分野の書籍の索引、ネットサーフィンで手がかりとなりそうな言葉を探します。大きい辞書や百科事典のある図書館に行ったりします。
確実な方法として、出版社などに質問することがあります。
調べものは時間との兼ね合いもあります。主旨に関係ないなら、素読のような要領も必要です。体験を重ねるにつれ、意味がわかることもあります。
調べなくても読めるなら、それはそれでいいと思います。無理に調べることはありません。
3 文字や言葉の捉え方
情報のやり取りの基本は会話です。何かに表された文字は、人にとっては不自然です。
会話の場合、言葉は一つのものです。しかし、文字を見ると、1つずつを見て、頭の中で文字の塊を組み直し、言葉にしていることがあります。文字は1つ1つ独立していますが、会話と同じように、文字の塊を言葉として捉えるようにします。
会話では、発せられた言葉を聞くと同時に、意味として理解しています。同じように、紙などに表された言葉を見たとき、意味として理解するようにします。
聞くときは無意識で音声信号を捉えています。文章を見るときも、言葉を無意識に捉え、同時に意味として理解するようにします。
4 読むスピード
1冊の本の場合、読み始めたところから、読み終わるところまでに、その内容を忘れないうちに読み終えたいところです。読んだ内容を忘れてしまうと、続きから読んでも理解できないことがあります。
内容を理解するには、その人のテンポとリズムがあります。日常的にしていることや、好きなことなら、スピードは速くなります。
スピードを求めるあまり、理解をおろそかにするのは本末転倒です。
じっくり読んでも100%理解できることはそうそうありません。それでも、理解しようとする姿勢は必要です。努力したうえで、わからないことは素読の要領で読み進めます。
わからないところを何度も読むのではなく、文脈のキレのよいところまでとりあえず読みます。後戻りせずに、一定のスピードで読む習慣をつけます。
この習慣は、経験を積むにつれ、徐々に読むスピードが速くなっていくのに必要です。
読み終わるまでに、内容を忘れてしまう時は、複数回読むか、本の選定を見直すなどします。
「同じ価値観」「いつも使っている言葉や事柄」「何かの案件に1つの決まった答え」の内容の文章の場合、かなり速く読めると想像できます。この場合は、文字は記号化され、理解と思考は無意識でしています。おそらく、超速読が可能と思われます。
5 読んだことを忘れる
最後の方まで本を読むと、途中の内容をよく思い出せないことがあります。しかし、そのページを再度見ると、その内容を思い出します。この状態は、忘れたのではなく、本の内容を自分の感覚で理解していると言えそうです。それゆえに、暗唱するかのように、文章を一字一句覚えることはありません。
本を読み終えて、しばらくすると、何が書いてあったのか忘れてしまいます。人が忘れるのは自然なことです。しかし、いつまでも覚えていることもあります。また、関係のないことを急に思い出すこともあります。その人の個性が、記憶するものを取捨選択しているかのようです。
人に個性があることを思えば、限られた内容しか覚えていないとしても、それは自然なことです。発想という観点からは、覚えていることで十分だと思います。発想の展開は、また、新たな知識を得なければならないことが多いからです。
忘れることに神経質になると読めなくなります。
覚えることは1つの習慣です。1回で覚えようとする姿勢が大切です。何回も繰り返して覚える習慣をつけると、繰り返さないと覚えられなくなります。
覚えようと構えなくても、1回見ただけで、かなりのことを覚えています。文脈に即して、自分の感覚で理解し読めば、かなりのことを覚えています。
忘れてはならないものは、定期的に内容を確認するしかありません。
たとえば、試験対策は、教科書や問題集を何度も読んだりします。
6 本を読む順番
通読する場合です。
① タイトルとカバー、帯
② 著者紹介、奥付
③ まえがき、目次
④ あとがき
⑤ 本文
その都度見るのは「注」などです。必要に応じて使うのは索引など。たいてい最後に見るのは参考文献です。
何について書いてあるのかを知るのは、タイトルとカバー、帯を見るのが便利です。読んでいる最中に、これを読むと、ハッとさせられることがあります。
著者紹介から、何をしている人が書いたのか見ます。奥付で、書かれた時代を見ます。
次に、まえがき、目次、あとがきを見て、取り上げる項目や、本を著した狙いや目的、注意点などをチェックします。読み方を記した本もあります。
それから、本文を読み始めます。
これは、本を選ぶ際の見る順番でもあります。
たいていはこの順番になりますが、あちこち読むことがあります。順番どおりに読むことが大切なのではなく、読む目的を果たすことが主です。
読む目的を果たすということからいうと、読む順番を考えるのは無意味かもしれません。柔軟性を欠いてしまいます。目的に応じて、臨機応変に読むのがいいと思います。
7 本の新しい古い
結論からいうと、新しい本を読んだ方が内容を把握しやすい感じがします。それは、言葉や事例などが、時代を反映していることがあるからです。何年も経ってしまうと、言葉の意味や受け取る感覚が変わることがあります。また、古い事例は思い出せないことがあります。
さらに、流行や研究の進展により、内容が変遷していることがあります。
積ん読の本を読む際は、注意が必要です。最近出版されて同じようなテーマの本があるなら、それを読んだ方がいいかもしれません。後で、知識を修正するのは、時間と労力をかなり必要とします。
この場合も、本のジャンルや読書の目的によります。
8 あかりについて
本を読むときの光の強さは、眼がリラックスできる明るさです。
デスクのライトは40~60ワット、または、480~850㏐〔ルーメン〕で十分です。標準読書の眼の使い方では、60ワットでも少し眩しく感じます。
日差しのきついときは、外出時にサングラスを使うなど、眼の健康に工夫します。
9 小物
① 蛍光ペン
黄、ピンク、青、緑、オレンジ、紫を目的に応じて使っています。
種類が多いので、間違うことがあります。消せるものが便利です。たとえば、PILOTさんのフリクションライトです。
② ふせん(付箋)
目的に応じて色を使い分けています。
書き込みをする場合は、材質は紙のものを使っています。見出しは、プラスチックや絵柄のものを使うことがあります。
粘着力、形状、大きさなど、目的に合わせて使っています。
しおりとして使っても便利です。外出時にそのよさがわかります。
読み続けていると、前に書いてあったことを探すことがあります。ところが、なかなか見つかりません。読書は一発勝負のようなところがあります。読んで気になるところは、マーカーや付箋などで印をつけておくのが無難です。遠慮すると後悔します。
③ その他
目玉クリップの大きいもの。本を開いた状態にする時に使います。№50の大きさのものをよく使いますが、小さめの目玉クリップも便利です。
虫メガネ。小さい文字を見るときに重宝します。百円ショップに売っています。
20㎝程度の物差し。一度に何カ所も、本を閉じたり開いたりする時に使います。すぐに開けられるのでストレスがありません。本を破ることがあるので、取り扱いには注意します。
10 健康管理
十分な知的活動をするには、健康は大切です。
特に、睡眠は大切です。熟睡できるように環境を整えます。
栄養を考えた食事をよく噛んで食べます。状況に応じて、サプリメントを使います。
お酒(アルコール)の量は、ほどほどにします。多めに飲んだ翌日、アルコールが抜けていても、知的活動に影響があります。毎日飲むのは避けた方がよさそうです。
私の場合、牛乳に気をつけています。日頃は牛乳を飲みますが、大事な仕事の時は、飲まないようにしています。頭がボーッとすることが多いからです。
適度な運動、ウォーキングやジョギング、簡単な体操は、健康を維持してくれます。
11 1冊の本をすべて読まなければならないか
目的に応じて、読めばいいと思っています。仕事や試験なら、全部読む必要があるかもしれませんし、必要なところだけ読めばすむ場合もあります。趣味なら、面白くなければ、途中で読まなくてもいいと思います。
必要なところだけ読む場合、まえがきやあとがき、冒頭部分で、本の趣旨を確認した方がいいかもしれません。部分だけを読むと、誤解することがあります。
たとえば、訳文、原文、読みくだし文がある本の場合、訳文を読みます。必要なときに、読みくだし文や原文を参照しています。これが、漢文を習う目的なら、訳文、原文、読みくだし文を見ますが、1冊全部は読まないかもしれません。
読み方に決まりはなく、本を使う人の自由です。
以下余白
更新記録など
2018年7月10日(火) : 作成
2018年7月18日(水) : アップロード