病院の決め方
目次
1 自分のことを知る
2 病院の決定
3 病院はどうだったか
4 その他
1 自分のことを知る
日頃の腰痛の治療は近所の開業医としても、手術となるとどの病院か迷います。開業医が勧める病院で本当にいいのだろうか、自分で確かめたいと思ったりします。インターネットでは病院のランキングを見ますが、何かが違う気がします。
核心は、自分の病状に対応できる病院を探す、ということです。
そのためには、まず、自分の腰痛の経過、症状、病名、状態などを知っておく必要があります。自分の状態がわからなければ、何を専門とし、どの手術が得意なお医者さんを探せばよいのかわかりません。
そして、腰痛以外で気になる症状がないかも考えておく必要があります。例えば、予備軍も含めて、糖尿病や、循環器などの病気です。これにも対応できる病院となります。私が入院した病院では、高齢者が多いのか、糖尿病の患者さんがたくさんいるようでした。
以上のことを、ていねいな言葉づかいで、紙1枚にまとめておきます。病院で診察を受けるときに、それを基に症状を伝えます。お医者さんに求められることがあるので、何枚か準備しておきます。診察では、緊張したり、聞かれなかったりと、自分の言いたいことが伝わらないことがあります。紙に書いておくと、安心です。
2 病院の決定
座骨神経痛のときから、漠然と病院を探していました。労災病院、脊椎脊髄を得意とする総合病院、大学の付属病院などを考えていました。
腰痛と言えば労災病院、難病なら大学の付属病院と私は思っていました。ですから、はじめは、労災病院で手術をしようと思っていました。
病院のホームページを見ると、いろいろなことがわかります。
手術数は、労災病院と脊椎脊髄を得意とする総合病院はそれほど変わりません。しかし、労災病院は脊椎脊髄以外の手術が、内訳にありました。脊椎脊髄を得意とする総合病院が、背骨の手術が多いことがわかりました。しかしながら、どちらの病院も背骨の手術は多く、おそらく、一定数を超えると、手術数による熟練度は変わらないのではと思いました。
ホームページには、お医者さんの専門・得意分野、資格などの記載がある場合があります。これは手術を担当するお医者さんを選択する重要な情報です。
参考になったのは、脊椎脊髄を得意とする総合病院で、手術の治療を受けた知り合いの話です。
他の病院で手術した患者さんが、その病院に転院してきたそうです。再手術の結果、かなりよくなったとのことです。このような話を数人の患者から聞いたとのこと。
お医者さんとの相性もあります。診察を受けると、お医者さんと、うまくかみ合わないことがあります。別の病院に行っても、どうも合いません。他に行くところがないので、お医者さんのことは抜きにして、病院を決めることにしました。
自分が合うと思えるお医者さんは理想的です。しかし、そうあることでは、ないのかもしれません。
病院への交通を考えるのも大切です。
体が悪い時に重たい荷物を抱えて、電車やバスで行くのはつらいものがあります。また、退院時は、体がまだ回復期にあり、電車やバスの乗り降りは無理です。自分で車を運転できません。タクシー以外は考えられません。
また、入院患者のための駐車場を準備している病院は少ないようです。仮に、駐車場があったとしても、退院時、重たい荷物を車に載せるのも一苦労です。
入退院時ともに、家族か親しい人に、手伝ってもらうのがベストです。
病院への経路が複雑だと、運転手は苦痛に感じると思います。できれば、病院は自宅から近くて、太い道路沿いがいいと思います。少々遠くても、かかる時間が同じなら、複雑な一般道を使うより、有料道路を使う病院もアリだと思います。
入院すると、必要なものを届けてもらうことになります。家族が、簡単に往復できることも大切だと思います。
改築したての病院もありました。この病院も脊柱の病気では実績のあるところでした。おそらく検査機器など最新式のものであるはずです。手術は機器で決まると聞いたことがありました。これには魅力を感じました。
しかし、手術前後の他セクションとの連携、院内感染などの対策がわかりませんでした。
手術実績、経験者の話、交通を考えて、脊椎脊髄を得意とする総合病院に決めました。
病院を選ぶ基準として。私の場合は、普通にある病気でした。特殊要因がなかったため、実績があり、当たり前のように治療してくれる病院を探しました。
脊椎脊髄を得意とする総合病院に決めました。
3 病院はどうだったか
輸血の説明、麻酔医の説明、執刀医の説明がありました。手術時間は説明より少し早く終わりました。手術が上手かどうかは、専門家でもありませんし、見えませんし、麻酔がかかっていたのでわかりません。手術を当たり前のようにしている、という感じでした。
少し気になったことがありました。説明の段階で同意書を提出するのですが、副本を後日もらったことがありました。
副本が手元になかったことで、説明を「受けた受けなかった」の些細な騒動がありました。環境が一気に変わるので、緊張していたようです。手元にノートがあったので、記録しておけばよかったのですが。一時に説明が混むので、後で記録するのが漏れていました。
脊椎脊髄の治療をする人が多いので、スタッフも患者の扱いに慣れています。
治療を成功させるのは、お医者さんだけではありません。看護師さん、技師さん、リハビリの先生、食事などのお世話をしてくださる方々、ボランティアさんの力も必要です。
同じような治療を受ける患者が多いのか、すべてのスタッフが慣れていると感じました。また、同じ病気の患者の経過を見ているのか、アドバイスが的確だと思いました。
多くのスタッフがいるので、連携が乱れることがありました。特に、主治医とリハビリの先生との連携です。主治医もリハビリの先生も、どのように言っていたか患者に聞くのです。私はどのように答えてよいのかわかりませんでした。主治医とリハビリの先生の情報交換がなされていれば、患者は苦労しなくてすみます。パソコンでコミュニケーションをとっているはずなのですが・・・。
初めての感覚なので、私は、どのように表現したらよいのかわかりませんでした。
手術の数が多いということは、入院患者の数も多いということです。昼間は感じませんが、夜にナースコールをするとかなり待つことがあります。夜はスタッフが少ないのです。1件にかかる時間も長かったように思います。シーツを替えたり、床の掃除をしていることがありました。
入院患者は地元の人が多かったように思います。また、高齢者がほとんどです。
イントネーションや価値観が違うように感じました。少し違和感を覚えながらも、有意義な入院生活でした。患者同士の人間関係は、入院生活の快適さを左右します。
入院受付窓口には、院内の案内と、荷物を運ぶのを手伝ってくれるボランティアさんがいました。入退院時にお世話になり、たいへん助かりました。感謝、感謝でした。
家族の訪問、親族などのお見舞いは、心丈夫になり、励まされました。やはり、交通の便利なところがいいと思いました。
退院後、手術した病院で約1ヵ月ごとに診察があります。退院1ヵ月後の診察は家族が車を運転してくれましたが、案内は不要でした。退院2ヶ月後の診察は自分で運転しました。道が真っ直ぐなので、ハンドル操作が楽でした。
入院中に、術後の苦痛だけでなく、環境などに困ったら、看護師さんに相談することをお勧めします。話を聞いてくれたり、何らかの対応をしてくれることがあります。
黙っていると、問題はないと判断されてしまいます。嫌なことや、困ったことがあれば、そのことを伝えた方が賢明です。
現実に、夜中に急に叫び出す人もいるので、他の病室にいても、途中で目が覚めてしまいます。同室であれば、なおのことと思いました。
ご覧の皆様は、よかったか悪かったかという評価をお聞きになりたいところでしょうが、他の病院と比較できません。1つの身では、同時に、複数の病院で治療を受けられないからです。
自分でよく考えて決めた病院だったので、結果を受け入れる覚悟はできていました。
4 その他
退院後、2ヶ月半後の話です。自宅を修繕に来た人が、私と同じ病気だったと話してくれました。脳神経外科と整形外科が合わさった病院で手術をしたとのこと。神経の取扱は重要だそうです。その人は、後遺症はまったく無く、体も何不自由なく動くと言っていました。脳神経外科のある病院で手術ができるのを、この時はじめて知りました。
書籍『がんになったら手にとるガイド』(国立がん研究センターがん対策情報センター編著)は参考になります。