Webサイト

読んでやる! その他
腰痛体験談 手術までの道のり

 長年苦しめられた腰痛で手術を受けました。できるだけ手術はしない方がいいと聞きます。しかし、症状によっては手術が必要です。最も知りたかったのは、手術を決断する時機でした。手術を決断するまでの私の体験談です。

手術までの道のり

目次

 はじめに
 1 腰痛の経過
 2 腰痛について
 3 手術は最終手段か -リスクについて-
 4 手術、検査入院の負担
 5 手術に踏み切るタイミング
 6 手術する環境
 7 手術をしてよかったか

はじめに

 この体験談は、あくまでも一個人の感想で、絶対的なものではありません。腰痛に対して、私が取った行動の1つで、感じたことを書きました。
 腰痛の症状は、人それぞれで感じ方もまちまちです。また、腰痛の治療法もいろいろなものがあります。腰の調子のよくなる治療法や対処法に出会えるのは幸運なことです。
 しかし、治療の選択肢として最終的に手術しか残らなかった場合、一番の問題は、手術をする時機です。いつ手術をするのか、です。手術をする時が早いと、動けるときを失ったことになります。反対に遅いと、後遺症や障害に苦しむかもしれません。
 手術の時機は、術後の腰の状態を左右するそうです。その時を考え準備しておくことが、好結果につながると思いました。
 あくまで体験に基づいた感想です。聞き間違いや、誤解も考えられます。それゆえ、医療に関することは、正確とは言えません。正しいことを知りたい方は、ご自身でご確認をお願いします。ここでのテーマは、どのようして手術を決断したか、です。

1 腰痛の経過

 わかりやすくするため、私の腰痛について、お話しします。
 はじめて腰痛になったのは、今から30年ほど前です。診断は、腰部椎間板ヘルニアでした。特注のコルセットを着用し、治療は安静です。
 当時の医師からアドバイスがありました。腰痛に悩む骨の形をしている。保存的療法で、できるだけ長持ちさせる。もって30年くらい。今より技術の進歩が期待できるので、その時、手術を考えてください。
 その後、腰痛は何回も経験しました。十数年前に座骨神経痛になり、医師から手術を勧められました。3年前に入院の必要な強烈な腰痛。昨年8月末に端を発した、手術へと至る腰痛です。症状の程度が段々大きくなり、その間隔が短くなっていきました。
 手術直前の症状は、右足内側付け根、右足首、右膝外側、腰背中内側の痛み、一部しびれです。歩くのに杖を使いました。寝ていると、足の引きつりや、痛みで起きることがありました。日常生活では靴下が履きづらかったです。疲れやすく、たびたび横になっていました。食事を減らしても体重は減りませんでした。様々な不定愁訴がありました。
 診断は、腰部脊柱管狭窄症、です。腰部椎間板ヘルニアが、脊柱管を圧迫していました。

2 腰痛について

 腰痛の原因に、椎間板ヘルニアがあります。
 十数年前までは、椎間板ヘルニアは手術しないと治らないと言われていました。ところが、数年前から、放っておいたら椎間板ヘルニアは自然治癒するとの考え方に変わってきました。どの整形外科に行っても、異口同音に同じことを聞きます。
 しかし、椎間板ヘルニアでも、自然治癒するものと、そうでないものがあるらしいのです。椎間板が伸びきって押し出されたものは自然治癒しないそうです。椎間板が破れたものは自然治癒の可能性があるようです。

 椎間板ヘルニアの手術で治る人は8割だそうです。後の2割は治らないということでしょうか。治癒しない2割の人は、椎間板ヘルニア以外が原因だということになります。
 書籍『癒す心、治る力』アンドルー・ワイル氏著には、緊張性筋炎症候群(TMS)で精神的な作用が腰痛を引き起こすことが書かれています。要はストレスが腰痛を引き起こすことです。数年前の新聞にも、ストレスが腰痛をより強く感じさせるとありました。
 ある医師から教えてもらったのは、仙腸関節の歪(ゆが)みから来る腰痛です。この痛みは、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症と類似しているそうです。間欠性跛行(かんけつせいはこう)のない場合、仙腸関節障害かもしれないとのことです。骨盤ベルトを着けると症状は和らぐそうです。私は、ドラッグストアで骨盤ベルトを買い、着けてみました。すると、偶然かもしれませんが、動きが楽になりました。少なくとも、保温効果はあります。
 仙腸関節障害のことは、詳しくは、日本仙腸関節研究会のホームページに書いてあります。

 MRIなどの画像から椎間板ヘルニアがわかると、医師も患者もそれのみが症状の原因と思い込みがちです。ストレス、他の原因も併せて考える余裕が必要です。手術する前には、必ず保存的治療での効果を確認した方がいいと思います。
 原因が定かでない腰痛の場合、他の病気を疑うのが賢明です。胃腸、すい臓など消化器系の病気だったという話しをよく聞くからです。念のため、検査うけたほうがいいと思います。

3 手術は最終手段か -リスクについて-

 結論から言うと、手術は最終手段だと、私は思います。

 なぜ、最終手段なのかというと、リスクがあるからです。
 痺(しび)れです。手術の際に、神経を触るため、どうしても痺(しび)れが出るそうです。ただ、時間の経過とともに、痺(しび)れが無くなる人もいるそうです。
 手術直後は、再度ヘルニアになりやすいそうです。転んだり、尻もちをついたときに、多いそうです。再手術になると、2度、神経を触るので、後遺症はより強くなるそうです。
 神経の通り道を広げるために骨を削った場合。骨を削ったことによる痛みなどが出ることがあるそうです。また、削った分、骨が薄くなるので、骨折のリスクが高くなるそうです。特に、手術後しばらくの間は、注意が必要とのことです。
 感染症、麻酔、アレルギーなどのリスクは、医療関係のホームページに詳しく記載があります。

 手術をどう考えればいいのでしょうか。
 手術前は、腰にメスを絶対に入れてはいけない、と私は固く信じていました。手術をすると元のようには動かなくなる、ということです。何が何でも、保存的治療をすべきだと考えていました。手術についての強い偏見がありました。私だけでなく、周囲の人たちも同じ考えでした。
 たとえば、野球のピッチャーがヒジを手術するイメージでしょうか。手術をした選手は、活躍できずに引退する感じがします。しかし、プロとしては通用しなくても、投げられるようになるということです。
 腰の場合、手術後は、手術前にしていた、無理な姿勢や、重たいものを持ったり、俊敏で広範囲な動きをしてはいけないと医師からアドバイスがありました。その代わり、苦痛のある症状は和らぎます。苦痛からの解放という点では、生活の質は向上します。
 絶対に手術がダメなのではなく、治療の手段の1つとの認識が必要です。自分の希望する条件と症状の段階に応じて、治療法を選ぶことが大切だと思いました。

 家庭・社会生活へのリスク
 検査入院と手術をすると、約3週間の入院が必要です。手術してすぐに身体は動きません。術後3ヵ月までは、慣らし運転だそうです。医師によると、経過観察を経て、手術の1年後に治療が終了する、とのことでした。また、リハビリの先生からは、無理な動きと、30分以上同じ姿勢をしないようにとの指導がありました。術後から、本格的に動くと、すぐに同じ症状が出て、再手術の確率が上がるそうです。徐々に慣らし、無理をしないのが、手術の効果を長持ちさせる秘訣とのことです。
 これを書いている現在、手術から1ヵ月ほど経ちましたが、椅子にかけたり、立ったり、ずっと動いたりはできません。自分が思うようには動けません。
 家庭生活では、入浴や洗面などで家族に助けてもらっています。動きが不自由なため、ものを落としたりして、汚してしまいます。自分で、拾ったり、掃除したりできません。家族の心身に、かなりの負担をかけています。
 私はどこにも所属していませんが、もし、サラリーマンをしていたらどうでしょうか。想像するに、組織の人々にかなりの迷惑と不満を引き起こすに違いありません。長期の不在や、手術後の体調では、出社したとしても、しばらくの間は仕事にならないでしょう。白い目で見られたり、嫌がらせを受けたり、最悪の場合、退職を迫られるかもしれません。
 迷惑をかけるのが本意でないとしても、現実は心身の余分な動作を周りの人にさせています。家庭や職場に不和や崩壊を生じさせ、最悪の場合、離婚や失業の可能性があります。制限された身体の動作では、再就職は難しいかもしれません。
 我が身だけでなく、自分を取り巻く環境にもリスクがあることを考えておく必要があります。

 人は、ベストの状態を思い出す傾向があるそうです。しかし、手術を考える段階では、思い出した能力に比べて、現実はかなり劣っています。保存的療法を続けても、手術をしても、自分のベストの状態を再現するのは難しいのです。
 ここで必要なのは、現実を受け入れ、これからのあり方を考え、その意志を固めることだろうと思いました。生活への思考や価値の転換を図り、何らかの具体的なスタイルを実践していくしかありません。
 ベストな状態を想定すると、無い物ねだりになり、苦しみます。現実に合わせた、生き方を私は考えることにしました。私の場合、苦しんでいる症状を無くすことが第一でした。そして、後遺症を覚悟し、手術を受ける決心をしました。

4 検査入院、手術の負担

 所要日数について
 検査入院では保存的治療を試しますが、症状により検査の数が違います。私の場合は5つの検査で、土日を含めて1週間でした。
 手術にかかることです。腰部椎間板ヘルニアによる腰部脊柱管狭窄症の手術の場合、標準的な入院期間は、2週間だそうです。ヘルニアが2箇所のため、内視鏡での手術ではありませんでした。さらに、私の場合は、術後、再度、椎間板ヘルニアになりました。そのため、再手術を受けたので約4週間の入院となりました。

 検査入院、身体への負担
 検査入院では、硬膜外ブロック、脊髄腔造影検査(ミエログラフィ-)、神経根ブロック、牽引、ギプスによる歩行、がありました。
 硬膜外ブロック、脊髄腔造影検査(ミエログラフィー)、神経根ブロックは、すべて注射針を使います。チクチクと何回も刺されます。注射針が太いようで、差し込んでいく抵抗をかなり強く感じます。刺される回数が増えるにつれ、だんだん嫌になっていきます。
 この3つの検査は、造影剤や痛み止めなどの薬を使います。薬剤が注入されるときは、ヒンヤリと感じます。

 脊髄腔造影検査(ミエログラフィ-)の所要時間は、1時間ほどでした。造影剤を神経が通っている管に注入します。それからCT撮影がありました。
 造影剤を入れると、腰まで履いた長靴に水をいっぱい入れられたように、両足を重く感じました。両足の膨張感はかなりのもので、歩きづらく感じました。気分が何となく悪く、フラフラする感じがしました。しかし、同じ検査を受けた他の人を見ても、何事もなかったようにしていました。これらの症状が治まるのに、2、3時間ほどかかりました。

 神経根ブロックの所要時間は、20分ほどでした。人によっては、何回も針を刺すので、これ以上の時間がかかることもあるそうです。
 針を神経に突き刺して、痛みや痺れに該当する神経の位置を確認する検査です。神経に針が刺さる時、身体の該当する場所に電気が走ります。おおげさに言う人もいますが、それほどショックは大きくありません。同じ検査を受けた他の人を見ても、平然としていました。この検査の目的は、身体の症状のある箇所と、該当する神経の位置を確認することです。私の場合、一瞬のショックで頭が真っ白になりました。「症状の場所」と「電気の走った場所」が同じか違うのかを医師に伝えるのを忘れそうでした。痛み止めを最後にしましたが、両足の痺(しび)れは強くなり、症状の変化がわかりませんでした。

 短い期間で、これだけの検査は、私にはかなりこたえました。やみくもに、ひと通りの検査をしていると私は感じました。MRI画像や、患者への問診から、検査の数を限定できたはずです。検査で体調が悪くなったのでは、何をしているのかわかりません。

 手術、身体への負担
 まず、縫ったところが痛みます。じっとしていれば、それほど痛みを感じません。しかし、寝返りを打つとき、強い痛みがあります。そして、寝返りが自分では打てません。私は、看護師に手伝ってもらいました。
 寝返りをガマンしていると、腰などがだるくなってきます。遠慮せずに、ナースコールを使って、看護師に手伝ってもらうのが賢明です。
 かろうじて寝返りが自分で打てるようになったのは、手術から1、2日たった頃です。3日くらい経つと、だいぶ楽に打てるようになります。
 寝返りが打ちにくい原因の1つに、管があります。術後の出血をみるドレン管、抗生剤や痛み止めを入れる点滴のチューブ、おしっこを抜く尿管、です。これらの管がついていると、あまり気持ちのいいものではありません。寝返りを打つと、管が引っ張られる感じがします。めったに抜けることはないそうですが、動く時は慎重になります。手術から3日後にはすべての管が取れました。
 手術をすると38℃くらいの熱が出ます。発汗もありました。薬剤の影響か、発熱している自覚はありません。発汗は、寝返りをしづらくします。この時に、枕に保冷剤やアイスノンを使うと快適です。看護師さんに言って、病院のものを使わせてもらいました。
 私の周りは、高齢者ばかりでした。日頃からなのか、手術や環境の影響で寝られないのか、高齢者の方々は、睡眠薬を服用していました。
 私は睡眠薬を服用しませんでした。その代わり、病院の保冷剤やアイスノンを時々使いました。すると、寝やすくなります。夜に寝られず、昼間に短い睡眠を取ったこともありました。
 夜中のナースコールの呼び出し音や、他人の大きいイビキは、結構、眠りを邪魔します。回復には睡眠が一番のようです。やせガマンするより、睡眠薬を使うのもアリかな、と思いました。
 くしゃみ、咳、大声で笑うなど、大きく息を瞬間的に出すと、傷口が痛みます。くしゃみや咳をしないような工夫をしました。鼻を摘まんだり、水を飲んだりしました。お笑い番組を見ないようにしていました。
 手術して目覚めてから翌日まで、その時は何があったのかわかります。ところが、3、4日経つと、その時のことをよく思い出せませんでした。薬剤、痛み、緊張などが原因と考えられますが、あまり覚えておくことが無かったのかもしれません。
 手術で切って縫い合わせた部分、縫合したところです。私の場合、2週間で抜糸でした。その後も痛みは続きます。それに加えて、体の動きにより、つっぱり感がでてきます。縫合したところの皮膚が分厚く、硬くなるからだそうです。1ヶ月経った今では、痛みよりツッパリの方を強く感じます。

 お金のこと
 検査入院はそれほどでもありませんが、入院+手術はかなり高額になりました。概算額を見て、驚きました。
 あらかじめ、「高額療養費制度」を利用することをお勧めします。加入する保険証の組織から「限度額適用認定証」を発行してもらい、病院に提出します。すると、定められた限度額の支払いですみます。
 私は認定証の提出が間に合わなかったので、後日、組織から還付を受けることにしました。しかし、いっぺんに高額を支払ったのは、未だにこたえています。還付は時間がかかるのです。術後の回復だけでなく、退院後の生活に影響します。早めの手続きをお勧めします。
 将来的に手術が考えられる場合は、自分でお金を積み立てるとか、保険に加入してもいいと思いました。今は掛け金が低金額の保険があるようです。私はかなり昔に保険に加入しました。それは、入院5日目からの支払いです。今の保険は、初日からの支給対象が多いようです。
 病院に支払う医療費以外に、交通費、洗面用具や消耗品、新聞、テレビカードなど、細々としたものを買うと、結構な金額になります。備えれば、安心です。

5 手術に踏み切るタイミング

 手術するにはタイミングがあります。症状によっては緊急に手術をしなければならない場合があります。症状が進行していく中で、手術するタイミングについて考えます。

 緊急を要する場合
 座骨神経痛の診断を受けた時に、医師から受けたアドバイスは、「気づかないうちに尿や大便を漏らしたり、出にくくなったりする排泄障害があった場合、すぐに手術を受けてください」「痛みや痺(しび)れが長く続く場合も、早い時期の手術が望ましい」というものでした。
 この症状は神経が圧迫されることで起こるそうです。この圧迫を受けた状態が続くと、神経が元に戻らなくなるそうです。すなわち、長期間の放置は、たとえ手術が成功しても、痛みや痺(しび)れ、排泄障害が残ってしまうのだそうです。ですから、神経が決定的なダメージを受ける前に、ヘルニアなどの神経を圧迫する原因を取り除いたり、神経の通り道を広げたりする手術をするのだそうです。

 症状の進行による場合
 手術を決断する時機です。私の経験から言うと、症状が3ヵ月改善されないときです。
 健康雑誌などによると、保存的治療を3ヵ月ほど施しても、症状の改善がみられない場合に、手術を検討するそうです。
 掛かり付けの医師に判断を仰ぐことは大切です。ところが、患者の言葉から、医師が正確に症状の程度を見極めるのは難しいようです。感じ方は人により違うので、言葉で伝えるには限界があります。最も症状をよくわかっているのは本人です。しかしながら、症状は一定せず、良くなったり悪くなったりを繰り返します。そのため、手術を決断するときが難しいと思います。症状の進行具合は、自己観察、記録をつけるのが役に立ちます。
 私の場合、座骨神経痛、強烈な痛みで入院した時も、だいたい3ヵ月ほどで日常生活を送れるようになりました。その3ヵ月は、症状が確実に快方に向かっているという実感がありました。ですから、先ほどの3ヵ月は目安になります。
 ところが、手術を受けたこのたびのケースは、症状が出始めてから3ヵ月経っても、良くなりそうな気配はありませんでした。それから、保存的治療をしても、悪化の一途でした。はじめからその時までを振り返ると、かなり悪化していました。
 症状が出始めてから7ヵ月後に、手術を視野に入れた大病院での治療を決断しました。それから1ヵ月後に大病院で検査入院、さらに1ヵ月後に手術となりました。症状が出てから手術まで9ヵ月かかりました。1回きりでしたが、手術を受ける頃の最悪の症状は、痺(しび)れで、尿をしている感覚がわかりづらかったことです。もう少し放っておいたら、排泄障害を経験していたと思います。ぎりぎりのタイミングだったと思います。
 治療を続けて、3ヵ月経っても改善がなければ、大病院への紹介を自分から開業医に申し出るのが賢明です。紹介状を頼まないなら、大病院に行き、治療をうけた方がいいと思います。

図

 手術のタイミングがズレることがあります。病院の待ち時間です。待ち時間の間も、苦痛に耐え、症状は悪化していきます。治療計画には、待ち時間を入れた方がいいと思います。
 紹介状を持っていく場合。
 紹介状がないと診察を受けられない医師がいます。知名度の高い医師の場合、多くの患者の予約が入っており、かなり待たされます。そうでない紹介状の持参の場合も、予約を必要とするので、ある程度待たされます。
 紹介状の要らない医師に限りますが、待ち時間を少なくする方法があります。紹介状を持たずに、希望する医師の担当する初診外来の診察日時に受診することです。この場合、初診に係る特別の料金・数千円の負担と、診察までに長い時間待たされます。この場合、待っても、直近の診察日までです。注意すべきは、診察日に希望する医師が出張などで不在とか、祝祭日に当たっていないかです。前日までと当日の2回、病院に電話して確認したほうがいいと思います。

 手術のできる病院に行っても、すぐに検査入院や手術ができるわけではありません。患者が多いところでは、何をするにも、多くの時間、待たされます。
 検査入院の場合は、空きベッドがあれば、あまり待たないようです。
 しかし、手術の場合は違います。手術室は数が決まっているので、1日に手術できる件数には限りがあります。ベッドに空きはあっても、手術ができないのです。
 患者の体調などにより、予定されていた手術がキャンセルになることがあるそうです。入院中の症状の重い患者は、そのキャンセルされた枠で、繰り上がりの手術を受けられることもあるようです。
 患者の多い大病院の場合、初診から手術までに、多くの時間がかかります。その時間を考慮したうえで、治療計画を立てることをお勧めします。症状が改善しないと思ったら、すみやかに大病院に行った方がいいと思います。

 同じような症状で手術を受けたことのある知人がいるなら、その人に体験談を聞くのも現実的な情報収集です。私は探していませんが、患者の会のような所があるなら、そこに聞くものいいかもしれません。ガンや難病ではありますが・・・。
 医師の手前、患者は、治療や後遺症などについて、良いように言う傾向があるそうです。現実には、医師から聞いたより、患者の状態は悪いということです。ですから、同じ治療の経験者から聞くのが最もわかりやすいと思います。

6 手術する環境

 緊急の手術を除いて、手術するには、家族や職場などの環境が整うときを考えることも大切です。

 家族
 3年前に強烈な痛みを伴う腰痛があり、入院しました。その時に、大病院で手術を受けたかったのですが、断念しました。入院の前日に父が亡くなったこと、子どもが小さかったことが理由です。
 亡くなった父の整理をしなければなりませんでした。短い期限の手続もあり、手術をしていては間に合わないと思いました。病院では痛みを抑えることだけを考えました。お墓に納骨を済ませてから、手術をしようと思いました。
 子どもが小さいので、入院中に留守番をさせることになります。放課後に児童を預かってもらう制度がありますが、我が家は対象外でした。応援を頼めそうな人もいませんでした。1人での留守番は、小さい子どもに不安を与えます。そして、何か起こってからでは遅いという思いがありました。少なくとも、鍵の扱い、自分でテレビやゲーム、宿題などで時の過ごし方がわかってからでないと留守番は無理だと思いました。もう少し待つしかないと思いました。
 パートナーへの配慮は最も必要です。一番負担が大きいからです。

 職場など
 今の私は組織に所属していませんが、職場でも同じだろうと思います。会社や制度の変革期や、繁忙期、特別なミッションがある時に、職場を離れるわけにはいきません。保存的治療で痛みや痺れを紛らせながら、退職まで頑張る人もいるようです。しかし、神経にダメージを与えていることを考えておく必要があります。

 家庭や職場から協力が得られ、それに対応できる能力があるか、が問題です。日頃から協力的な人間関係を築いておきたいところです。
 家庭では、子どもが1人で留守番できるように考えてきました。どうすれば安全安心に過ごせるかを、子どもと一緒に考えました。子どもにできることは限られています。子どもに確認してから、できることだけで、その方法を考えました。戸締まりの仕方、火気厳禁、電話の使用、おやつを食べることなど、できるだけ一緒にやってきました。その結果、このたびの入院では、その成果を十二分に発揮してくれました。ありがたかったです。
 職場でもこのような準備は必要です。自分がいなくても、仕事が回るようにしておく必要があります。人間関係の強化、組織内調整、取引先への対策と挨拶、決裁を流す工夫、入院中でも重要な情報の取得方法などです。
 家庭でも職場でも、少なくとも3ヵ月前から、準備をはじめた方がいいと思います。準備を始める前に、職場の上司に、症状と入院の可能性を伝えます。予定が決まったら、入院と手術の期間を職場に伝え、細かいところを詰めます。
 うまくいくかどうかは、人間関係がものを言います。

7 手術をしてよかったか

 1回目の手術は良好で、痛み痺(しび)れもなく、足も軽快に動いていました。順調にいけば、後遺症もなく回復したはずです。
 ところが、数日後に尻もちをついてしまいました。その後、再度ヘルニアになり、再手術となりました。
 2回目の手術後は、右足の痺(しび)れや圧迫感が強く、足先を上下しますが、力が入りにくく、上下する範囲は左足に比べて少なくなりました。右足につっぱり感もありました。
 1ヵ月後の状況です。痺(しび)れは、少しだけ取れてきました。少しですが、右足に力が入るようになってきました。右つま先を上下する範囲、つっぱり感は、変わっていません。今も、杖を使っています。歩くと、右腰が下がります。右足を引きずったように歩く感じです。
 しかしながら、手術前の、痛みや不定愁訴はなくなりました。血圧も下がりました。就寝後、引きつったり、痛みで起きることも、なくなりました。手術以外に治療法がなかったので、仕方がなかったと思っています。後遺症は残念ですが、苦痛を取り除くという第一の目標は達成できました。満足はしていませんが、受け入れざるを得ない結果だと思っています。

更新記録など

2017年7月2日(日) : アップロード
2020年5月17日(日) : 一部訂正