『日本の政策はなぜ機能しないのか?』
- 副題など
- 副題 : 「エビデンスに基づく政策 EBPMの導入と課題」
- 帯には「データやファクトに基づいて政策を作り、評価する―」 「当たり前のようでなかなか実現できない理由とは」とありました。
- 著者など
- 著者 : 杉谷 和哉(すぎたに かずや)氏著
- 出版社など
- 株式会社 光文社 さん
- 光文社新書
- 版刷など
- 2024年7月30日初版1刷発行。
- ボリューム
- 225ページ。202ページから214ページまで巻末注。215ページから225ページまで参考文献。
感じたこと
エビデンスというと医療というイメージでしたが、政策にもその波があったのですね。
読み終えたときに感じたのは、『ビジョナリー・カンパニー』ジム・コリンズ氏&ジェリー・ポラス氏共著の本でした。
数々の成功をおさめ、長年にわたって企業を永続させる。その理由とは・・・。しかし、それは過去を分析したものであり、それをそのまま適用しても同じように成功するとはかぎりません。
あらゆるデータを集め、緻密な分析をし、将来の傾向をシミュレーションし、策を弄して企画しても、事業として成功するのかは別物のような気がします。
しかしながら、その企画がどの程度までの完成度があるのかは、基準を作っておきたいと考えるのが人なのかなと思います。
企画を実行に移しある程度の成果を得た時、どこまでを成功というかについても興味のあるとことです。実際にどの程度に実行したのか、利益が出たら成功というのか、どれだけの反響があったのかによってそれを決めるのかなど、さまざまに考えられます。
株主から事業について計画段階、実施結果を求められた際に、説得力のあるのがエビデンスなのでしょう。少なくとも規定の基準はクリアしている、我々は義務を果たしている、計画に問題はなく、成果はそれなりである、とエビデンスに責任を押し付けるような気がします。
どんな企画なら成功するのか誰にも想像できません。成否を別にして思うのは、面白いと思えるもの、自分も参加したいと思えるもの、斬新奇抜なもの、など、私たちを楽しませてくれるものがいいですよね。
そういったものが思い浮かばないから、みんな悩むんですよね。案外、日ごろから思いつきでやっていることとか、遊び心での方が、人が集まるかもしれませんよね。
以上はあくまでも私個人の勝手な感覚で書いています。無責任で、お許しください。
この書物を選んだ理由
「政策が機能しない」「EBPM」って何?に目を引かれて読むことにしました。
私の読み方
入門者にもわかりやすく解説がしてあり、読みやすいと感じました。
しかしながら、EBPMについて、派生や分類等の紹介があり、最後まで読んだときに頭の中が混乱しました。どのように区別しているのかがわからなくなりました。
まだまだ発展途上中の分野なのかもしれません。これからも注目をしたいと思います。何年か後に、同じような本が出たら読んでみたいと思いました。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 34日17時間25分
- 読み始め
- 2024年(令和6年)12月21日(土)22時09分~
- 読み終わり
- 2025年(令和7年)1月16日(木)~午前8時21分
- 一通り読んだ時間
- 25日10時間12分
- 編集終了
- 2025年(令和7年)1月25日(土)~15時34分
- 読んだ範囲
- 本書、カバー、帯。参考文献と奥付は軽く目を通し、巻末の書籍広告は読んでいません。
取り上げられた書物など
- 『「行政評価」の時代:経営と顧客の視点から』 上山 信一氏著
- 『EBPMガイドブック』 内閣官房行政改革推進本部事務局さん作成
- 『エビデンスの政治学』 ジャスティン・パークハースト氏著
- 『22世紀の民主主義』 成田悠輔氏著
その他多数の書籍の記載がありました。
出来事
2025年1月24日(金)日本銀行が追加利上げ0.5%程度の引き上げを決定。
ひととき
日当たりのよい斜面に咲いていた花です。
令和7年1月19日(日)に撮影しました。
調べたこと
- 1 EBPM(Evidence-Based Policy Making)
- 本書には「『エビデンスに基づく政策形成』 『エビデンスに基づく政策決定』などと訳されます。」とありました。
- 2 衣鉢(いはつ)
- 3 RCT(Randomized Controlled Trial)
- 本書には「ランダム化比較試験」とありました。
- 4 かいつまむ(搔い摘む)
- 5 企図(きと)
- 6 アクティビティ(activity)
- 7 アウトカム(outcome)
- 8 融通無碍(ゆうづうむげ)
- 9 敷衍(ふえん)
- 10 VFM(Value for Money)
- 11 がめつい
- 12 ケチ
- 13 惹起(じゃっき)
- 14 アカウンタビリティ(accountability)
- 本書では「説明責任」。
- 15 レスポンシビリティ(responsibility)
- 本書では「応答責任」。
- 16 打ちひしぐ
- 17 お手盛り(おてもり)
- 18 インセンティブ(incentive)
- 19 ボロカス(襤褸滓)
- 20 屋上屋を架す(おくじょうおくをかす)
- 21 侃々諤々(かんかんがくがく)
- 22 素描(そびょう)
- 23 KPI(Key Performance Indicator)
- 本書では「重要業績評価指標」。
- 24 心もとない(心許無い)
- 25 喝破(かっぱ)
- 26 膾炙(かいしゃ)
- 27 曖昧模糊(あいまいもこ)
- 28 ちぐはぐ
- 29 鬼門(きもん)
- 30 ディシプリン(discipline)
- 学問分野。
- 31 考究(こうきゅう)
- 32 統御(とうぎょ)
- 33 渉猟(しょうりょう)
- 34 ハイアラーキー(hierarchy)
- ヒエラルヒー(Hierarchie:ドイツ語)。
- 35 EIPM(Evidence-Informed Policy Making)
- 36 合理的無知
- 本書では「ある知識の習得に必要なコストが、利益を上回っている場合、人はそもそも何も知ろうとしないというメカニズム」。
- 37 方法論的個人主義
- 個々人は自分の利益を最大化するために行動すると仮定する見方」。
- 38 ハレーション(halation)
- 調べましたがよくわかりませんでした。他に与える悪影響のことでしょうか。
- 39 ウィキッド・プロブレム
- 本書では「厄介な問題」。
- 40 ステークホルダー(stakeholder)
- 41 冗長(じょうちょう)
- 42 目の敵にする(めのかたきにする)
- 43 正鵠を射る(せいこくをいる)
- 正鵠を得る(せいこくをえる)。参考:的を射る(まとをいる)。
- 44 アドミニストレーション(administration)
- 本書では「アート」的なものとし、「マネジメント」を「科学」という位置づけで対照しています。
- インターネットで調べたところ、経営やビジネス用語のようです。組織の統治や統一的な管理や運営を意味しているようです。
- 45 マネジメント(management)
- 本書では「科学」的なものとし、「アドミニストレーション」を「アート」という位置づけで対照しています。
- インターネットで調べたところ、経営やビジネス用語のようです。決められたルールに基づいて、組織の管理や運営を意味しているようです。
- 個人的な感じ方ですが、アドミニストレーションは経営者が、マネジメントは従業員が、といったイメージを持ちました。
- しかしながら、本書の意味するところは、174ページの図表5-1を見て、感覚的にとらえるのがよいと思いました。明確には区別しにくいと感じたところもありました。
- 46 一筋縄(ひとすじなわ)
- 47 野放図(のほうず)
- 48 テクノクラシー(technocracy)
- 49 おいそれと
- 50 方途(ほうと)
- 51 紛い物(まがいもの)
以下余白