『戦争の文化 上・下』
原題 : 「CULTURE OF WAR」
- 副題など
- 副題 : 「パールハーバー・ヒロシマ・9.11・イラク」
- 原副題 : 「Pearl Harbor, Hiroshima,9-11,Iraq」
- 上巻の帯には、「なぜ戦争の文化は常にわれわれにつきまとうのか」 「パールハーバーからイラク戦争まで、日米が繰り返してきた戦争の愚行をたどりながら、その本質を描き出す」とありました。
- 下巻の帯には、「世界を覆う戦争の文化を乗り越えるために」 「繰り返されてきた愚かな戦争の歴史の瓦礫の中から、『平和の文化』創出の希望を掘り起こす」とありました。
- 著者など
- 著者 : ジョン・W.ダワー(John W. Dower)氏著
- 翻訳 : 三浦陽一(みうらよういち)氏監訳
- 田代泰子(たしろやすこ)氏訳
- 藤本 博(ふじもと ひろし)氏訳
- 三浦俊章(みうらとしあき)氏訳
- 出版社など
- 株式会社 岩波書店 さん
- 版刷など
- 2021年12月3日第1刷。
- ボリューム
- 上巻357ページ。ただし、291~357ページは「注」です。巻末に奥付があります。
- 下巻358ページ。ただし、293~349ページは「注」です。351~358ページは「監訳者あとがき」。巻末の7ページに「索引」と奥付があります。
感じたこと
非常にち密に書かれており驚きました。
本書に掲載の参考資料は100件を優に超えています。確実な証拠に基づいた内容なので、有無をいわさないような印象を受けました。
ですから、読んでいて、そうだったのか、の連続でした。自分の想像や考えが浮かぶことが少なかった気がします。
著者は、戦争の文化を分析し、平和への糸口を探ろうとしているようです。戦争の発生から終結までのメカニズムが分かれば、戦争を回避できるという考え方なのかなと私は感じました。
話は変わりますが、「生きる」とはどういうことでしょうか? 「なぜ、生きるのでしょうか」
この「生きる」を考えるうえで対比して考えやすいのは「死」または「殺」ではないかと思います。
しかしながら、「死」や「殺」を考えても、対比して考えても、「生きる」ことの意味や意義はわかりません。
まともに「生きる」ことを考えても、すぐに答えを私には見つけられません。ネガティブケイパビリティを必要とする問いのように感じます。
日々暮らしてきたことで、生きてきたことが、「生きる」であり、「なぜ、生きるか」の証となりますが、決して答えにはならない気がします。
時々、「生きるとはこういうことかな」と思うことがあります。しかし、しばらくすると「あの時の考えや感じ方は違うな」となっています。この繰り返しが延々と続くように思います。
自分の生きてきたことだけでなく、人の生き方を知ることで「生きる」の真意に近づけるような気もします。
ところで、局地的な豪雨や洪水、干ばつなど、地球温暖化の影響というのは、世界の一致する考えになってきているように感じます。
温暖化が続けば作物が育たなくなり、食糧が不足します。また、急な環境の変化にヒトが耐えられるのかも心配になります。
世界の国々は、地球温暖化のガスの発生を抑える会議をして、その減少に努力をしようとしています。さらに、最近のニュースで、暑さに強い作物の開発するところがあるのを知りました。
人類を消滅させるほどの核兵器とその量を生み出した人類。しかも、お互いがいがみ合いながら核開発競争は続きました。また、いつの間にか世界に核兵器が拡散しました。誰かから命令されたわけでもないのに、そうなったのです。
人類が絶滅するのは核兵器だけとは限りません。地球の温暖化もその一つかもしれません。
地球温暖化を阻止する技術開発が核開発のようになされたら、この問題も早急に解決できるかもしれません。しかし、競争という形では、その技術は公開されにくいと感じます。
「生きる」ということ。人類が力を合わせ、技術開発や協力の意志と行動を持つならば、簡単に解決できそうな気がします。
新型コロナですら、乗り越えた人類なのですから・・・
この書物を選んだ理由
タイトルを見たとき、戦争にも文化があったのか、と思いました。一体それはどんなものなのか。興味を持ったので読んでみることにしました。
私の読み方
ひょんなことから正社員になったことから、生活の状況が変わりました。勤務先の仕事の量は多く、質の高さを求められます。
それに伴い、疲労度が増し、1日のうちの自分の時間を有効に使えなくなりました。生活の時間割を考えることにしました。
今までの問題点と思われたのは、その時の気分ですることを決めていたことです。あいまいにしてきた時間の使い方をきちんと決めることにしました。
起床してから通勤時間までの使える時間を学習時間にしました。通勤時間に読書を。仕事は職場で勤務時間内に行い、残業はしない。休日は気の赴くままに過ごす。休日に学習、読書するにしても、いつもの時間内におさめる。ということを決めました。
何かのために、他の時間を犠牲にしないためです。しなければならないことはもちろん、遊んだり、休んだりする時間に、気持ちを集中させるためです。
3カ月ほど経ちましたが、心が楽になりました。決められた時間で、自分のペースで、自分にできるだけ、をきまりにしました。完璧な行動ではありませんが、急いだり、ゆっくりしすぎたりをせず、あくまでも自分の調子で行動しています。
やるべきことやしたいことに時間が割り振りされてあり、一応やっているという気持ちになります。時間がないと焦ることも少なくなりました。
この時間の使い方の試行錯誤中に、この度の書籍の読書をしました。
通勤時間は長いのですが、読書のできる時間は待ち時間を含めて往復30分程度です。この時間ですから、読める量は限られています。この時間だけは、職場のことも、家のことも、一切考えずに読書に集中しています。職場のことを思い出したら、その都度、今は読書の時間と心の中で唱えて、読書を再開しています。
確実に読み進めているという感覚が、気持ちを安定させてくれます。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 130日6時間39分
- 上巻 読み始め
- 2024(令和6)年8月27日(火)午前11時30分~
- 上巻 読み終わり
- 2024(令和6)年10月14日(月)~午前8時26分
- 上巻 一通り読んだ時間
- 47日20時間56分
- 下巻 読み始め
- 2024(令和6)年10月17日(木)22時53分~
- 下巻 読み終わり
- 2024(令和6)年12月20日(金)~23時33分
- 下巻 一通り読んだ時間
- 64日0時間40分
- 編集終了
- 2025年(令和7年)1月4日(土)~18時09分
- 読んだ範囲
- 本書。注、奥付は軽く目を通しました。索引は必要な時に使いました。巻末広告は見ていません。
取り上げられた書物など
- 『文明のための偉大な戦争』 ロバート・フィスク氏著
- 『ジュリアス・シーザー』 シェイクスピア氏著
- 『空軍力の勝利 Victory Through Air Power』アニメ映画 ウォルト・ディズニー・スタジオ
その他多数の書籍、映画、報告書などの記載がありました。
出来事
2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会が受賞。
ひととき
メタセコイヤの並木道です。
令和6年12月2日(月)に撮影しました。
調べたこと
- 【上巻】
- 1 戦争(せんそう)
- 2 文化(ぶんか)
- 3 テロ(terrorism)
- 4 サイバースペース(cyber space)
- 5 レトリック(rhetoric)
- 6 カリフ支配
- 7 ・・・よろしく
- 8 天祐(てんゆう)
- 9 グラウンド・ゼロ(ground zero)
- 10 awe
- 11 the Oval Office cabal
- 大統領執務室の陰謀団。
- 12 cherry-picking
- 本書では「つまみ食い」。インターネットで調べると「いいとこ取り」との意味がありました。
- 13 策謀(さくぼう)
- 14 奇貨として(きかとして)
- 15 彼我(ひが)
- 16 ダブル・スタンダード(double standard)
- 二重規範。本書では「自分には甘く他者に厳しい判断基準」とありました。
- 17 長広舌(ちょうこうぜつ)
- 18 軌を一にする(きをいつにする)
- 19 宥和政策(ゆうわせいさく)
- 20 措く(おく)
- 21 グループ思考(しこう)
- 集団思考。参考:「集団浅慮」。
- 「『グループ思考 groupthink』という用語は、社会学者のウィリアム・ホワイトが1952年に発表した論文(ホワイトはこれを「画一的態度の合理化」と定義している)で使ったもので、心理学者ジャニスが1972年の有名な本Irving Janis,Victims of Groupthink(Houghton Mifflin)において、アメリカの外交政策の事例研究に適用した。」と注(155)にありました。
- 22 粛然(しゅくぜん)
- 23 手交(しゅこう)
- 24 あけすけ(明け透け)
- 25 瞠目(どうもく)
- 26 アウタルキー(Autarkie:ドイツ語)
- 27 クルアーン
- イスラム教の聖典。
- 28 シニカル(cynical)
- 29 隠然(いんぜん)
- 30 蹂躙(じゅうりん)
- 31 ネオコン
- ネオコンサバティズム(neoconservatism)
- 32 租界(そかい)
- 33 蔟生(そうせい、ぞくせい)
- 族生。
- 34 不朽(ふきゅう)
- 35 恩寵(おんちょう)
- 36 十把一絡げ(じっぱひとからげ)
- 37 怨嗟(えんさ)
- 38 グループ思考
- 集団思考。集団浅慮。Groupthink。
- 39 錦旗(きんき)
- 画像で確認しました。
- 40 角逐(かくちく)
- 41 玉座近接作用(ぎょくざきんせつさよう)
- 本書には「玉座に近い人間は特別な権威を授けられる。だが同時に、そうした人間は真実を玉座に語れなくなる」とありました。
- 41 否認 denial
- 本書には「不快な現実を認知したとき、『それはありえない』と心内で否定して、自我を防衛する心理機制」とありました。
- 42 極致(きょくち)
- 43 提喩(ていゆ)
- シネクドキ(synecdoche:英語)。
- 44 トリニティ(trinity)
- 本書には「三位一体(さんみいったい)」(上巻)とありました。
- 下巻には「三位一体。神は父なる神、子なる神および聖霊という三つの位格からなるというキリスト教の教理」とありました。
- 45 象牙の塔(ぞうげのとう)
- 46 軽技(かるわざ)
- 軽業(かるわざ)。
- 47 ウルカヌス(vulcanus)
- 48 けばけばしい
- 49 連禱(れんとう)
- 本誌には「司祭の言葉に続いて、会衆が繰り返しひとつの言葉―ここでは「原爆」―を唱和する祈禱方式」とありました。
- 50 男っぷり(おとこっぷり)
- 以上、【上巻】
- 【下巻】
- 1 言葉の綾(ことばのあや)
- 2 目眩(めまい)
- 3 権力政治
- 本書には、「パワー・ポリティクス」「実力を背景にした、支配をめぐる闘争。」とありました。
- 4 すげない
- 5 銃後(じゅうご)
- 6 テクノクラート(technocrat)
- 技術官僚。
- 7 グロテスク(grotesque)
- 8 夥しい(おびただしい)
- 9 花弁(はなびら、かべん)
- 10 胸糞わるい(むなくそ悪い)
- 胸糞が悪い。
- 11 獣(けだもの、けもの)
- 「けもの」は動物について、「けだもの」は情のない人のことをいうようです。本書・下巻147ページに「けだもの」のルビがありました。
- 12 イデオローグ(idēologue:フランス)
- 13 天佑神助(てんゆうしんじょ)
- 14 カミカゼ
- 本書に「(正式にはシンプウ)という・・・」とありました。
- 15 犬死(いぬじに)
- 16 形而上(けいじじょう)
- 17 エートス(ēthos:ギリシャ)
- 18 ヘゲモニー(Hegemony:ドイツ)
- 19 息をのむ(いきをのむ)
- 20 ダブル・スタンダード
- 本書には「ご都合主義」とありました。
- 21 弔鐘(ちょうしょう)
- 22 予示(よじ)
- 23 ネガティブ・サボタージュ
- 本書には「・・・あらゆる手段で捜査を妨害し、時間稼ぎをした」とありました。
- 24 一家言(いっかげん)
- 25 古手(ふるて)
- 26 さぞ
- 27 民間セクター
- 公を第一セクター、民間を第二セクター、公と民間の共同が第三セクター、でしょうか?
- 28 懺悔(ざんげ)
- 29 糊塗(こと)
- 30 うわべ(上辺)
- 31 会衆(かいしゅう)
- 32 多幸症(たこうしょう)
- 33 しっぺ返し(しっぺがえし)
- 34 高を括る(たかをくくる)
- 35 アジェンダ(agenda)
- 36 アポリア(aporia)
- 以上、【下巻】
以下余白