『ハムレット』
- 副題など
- カバーには、「・・・近代的な心理悲劇に生まれ変わった。世界中で愛読され繰り返し上演されてきた、詩人の代表作。・・・」とありました。
- 著者など
- 著作者 : シェイクスピア(Shakespeare)氏著
- 翻訳者 : 野島 秀勝(のじま ひでかつ)氏訳
- 出版社など
- 株式会社 岩波書店 さん
- 版刷など
- 2002年1月第1刷。読んだものは、2010年7月第11刷。
- ボリューム
- 414ページ。ただし、326~357ページは「補注」、359~414ページは「解説」です。
感じたこと
恥ずかしながら、ハムレットの内容を初めて知りました。
何かのたびに「ハムレット」が引用されます。コマーシャル、漫才のネタでもあった気がします。
物語の中身については、先人たちがありとあらゆる考えや感じ方を表明されているので、私の立ち入る隙(すき)はありません。しかし、スペースをどうしても私は埋めたい! ほとんどボヤキ、独り言、戯言(たわごと)、寝言です。よろしければ、お付き合いください。
『ハムレット』は、物語として書物もあるのかしれませんが、劇場で上演されるお芝居との印象を持ちました。
読んでいると、読んだもの№157『風姿花伝・三道』を思い出します。どちらも古典で、本の注釈や解説の形式まで同じです。洋書と和書の違いがありますが、翻訳ということでは同じなのでしょうね。
さて、風姿花伝には物狂(ものぐるひ)がありました。主人公ハムレットの言動は何なのかです。本当に狂っているのか、策略なのか、はかりかねるところがあります。
物狂いの原因は、父の亡霊が憑(つ)いたのか、母を敵(かたき)にとられた思いゆえの物狂いなのか。風姿花伝では、物狂いは六段落に分けられるとのことでした。そして、そのどれもが、劇『ハムレット』の上演では必要だったと思われます。
それゆえに、『ハムレット』は、人や経験によって感じ方が変わり、様々な意見や考えが出てくるのでしょう。何より、主人公ハムレットの奇行、ストーリーの奇異なことが、見る者の心を釘付けにするのでしょう。
そういえば、風姿花伝には、物狂いは最大の人気芸、とありました。また、この分野の稽古は、繰り返しと工夫を必要とする、ともありました。
風姿花伝から察するに、シェイクスピア氏は、物狂いの芝居が観客の心をつかむことを知っていたようです。また、出演者や演出などにより芝居が変化し、その都度、観客の感じ方が変わることも。もしかすると、世代と時代を超えて、長期にわたるヒット作になることも見越していたかもしれません。
風姿花伝の著者・世阿弥氏は、シェイクスピア氏より2世紀ほど前の人です。世阿弥氏の申楽や能はさぞや面白かったことでしょう。また、それを著作物として、そのエッセンスを残したことに偉大さを感じます。
それにしても、物狂いの芝居は、西欧も日本も受けがいいようです。ほとんどの人が、興味を持つのでしょう。
世阿弥氏とシェイクスピア氏が、同時代に生きていたら、お互いをどのように評価したでしょうか。二人は、新たな境地の芝居を創造したことでしょう。
あくまでも、私の空想ですが。
この書物を選んだ理由
夏休み最大の課題といえば、読書感想文です。読むのが苦手なら、書くのもヘタ。何をしていたんでしょうね。などと思い出しながら、当時の気分で、面白そうな物語を読んでみようと思いました。まとめ買いしてあるシェイクスピア氏著作から本書を選びました。
私の読み方
やはり、脚注があり、補注があり、解説がたくさんあることでしょうか。どのように読めばいいのか、戸惑いました。
キレのよいところや、一区切りついたところで、脚注を見ました。すると、本文の同じ所を頻繁に読んでいました。これは、文字の示す内容や、価値観、宗教観、歴史的状況などを知ることにより、感じる情景が変わったからだと思います。自分の感覚とは違うわけですから、2度読みしてしまうのかな、と思います。
補注は翻訳上のことを主に書いてありました。多くは内容を理解できませんでした。脚注よりも長いので、本文に戻った際に、読みの流れが中断することがありました。
扱う原本や、研究者や翻訳者の考え方により、翻訳は変わります。その違いを書いてあったので、補注の役割が大切なことを知りました。
どの翻訳者の方も、作品を正確に理解しようと努めているんだなと感じます。それを私たちがわかるように、言葉を選び文章にし、翻訳本にしているのですね。価値観や、歴史的状況なども、私たちがわかるように変換することもあるのかなと思ったりします。そう思うと、翻訳本は、原作とは違う1つの作品のように感じてきます。
さて、本の読み方です。6ページの「登場人物一覧」と、巻末の「補注」にプラスチック製の付箋を貼りました。何回も繰ってみるので、へたりにくいプラスチック製にしました。「補注」の付箋は、読み終われば移動し、次の最初の部分に貼り直しました。
本文は、紙の付箋にしました。少し幅広のもので、すぐに手で挟めるものにしました。
実際に読んだ順番は、目次、登場人物一覧、本文とあわせて脚注と補注、解説の順です。
読後、よいと感じた順番は、解説を最初に読み、後は同じです。解説には、脚注と補注の取扱が書かれており、それに対する読み方の提案があります。最初に読むと効果的です。
読み方は、本文の脚注や補注の所を読んだ場合、区切りのよいところで、該当する脚注を見ました。脚注が多いので、ストーリーがぼやけることがありました。幾度も少し前に戻って、読み直しました。
形式です。文庫形式。脚注と補注の文字が小さすぎて、読みづらかったです。
本文は一行が短く、行間も広く感じるため、文字を読みやすかったです。
もしかすると文学というのは、本書のように細かく調べて、内容の確認をすることなのでしょうか。
著者の意図する作品がどのように作られたのか。その作品が、読者にどのように解釈され、反応があるのか。
本書は古典ですから、まず、現代と当時の時代考証をする必要があるのでしょう。脚注や補注のいくつかは、何らかの違いについて語られているように感じました。
本書を読んで、この物語が面白かったかというと、そうでもありませんでした。しかし、多くの脚注や補注により、読みの流れを止めてしまったのが原因だとも感じません。
やはり、劇にして見てこそ、その面白さがわかるのかな、と考えてしまいました。機会があれば、観劇したいと思います。
それにしても、本書の解説の最後は圧巻でした。物語より解説が印象に残るなんて・・・。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 25日7時間22分
- 読み始め
- 2019(令和元)年8月7日(水)15時41分~
- 読み終わり
- 2019(令和元)年8月18日(日)~18時43分
- 一通り読んだ時間
- 11日3時間2分
- 編集終了
- 2019(令和元)年9月1日(日)~23時03分
- 読んだ範囲
- カバー表紙、本書。ただし、奥付は軽く目を通し、巻末の「読書子に寄す」は読んでいません。
取り上げられた書物など
- 『神曲』ダンテ氏著
- 『随想録』モンテーニュ氏著
- 『存在と時間』ハイデガー氏著
※本書には60を超える書籍の名前がありました。
ひととき
秋のように涼しい夕方でした。気持ちよさそうなので、散歩に行きました。
公園のビオトープにガマの穂がありました。
猫じゃらし、エノコログサです。
令和元年9月1日(日)に撮影しました。
調べたこと
- 1 腹心(ふくしん)
- 2 ト書(とがき)
- 3 戯曲(ぎきょく)
- 4 聞き耳を立てる(ききみみをたてる)
- 5 剰え(あまつさえ)
- 6 慄えて(ふるえて)
- 7 民草(たみくさ)
- 8 夜を日に継ぐ(よをひにつぐ)
- 9 ・・・よろしく。
- いかにも・・・のように。
- 10 椿事(ちんじ)
- 11 科白(せりふ)
- 台詞(せりふ)。
- 12 百鬼夜行(ひゃっきやぎょう、ひゃっきやこう)
- 13 レトリック(rhetoric)
- 14 優渥(ゆうあく)
- 15 海容(かいよう)
- 16 俚諺(りげん)
- 17 元帥杖(げんすいじょう)
- インターネットで画像を確認しました。
- 18 託宣(たくせん)
- 19 午睡(ごすい)
- 20 満更(まんざら)
- 21 塩梅(あんばい)
- 按排(あんばい)、按配(あんばい)。
- 22 抛棄(ほうき)
- 放棄(ほうき)。
- 23 出来(しゅったい)
- 24 まんじり
- 25 漫ろ(そぞろ)
- 26 傍白(ぼうはく)
- 27 繰り言(くりごと)
- 28 あけすけ
- 29 定言命法(ていげんめいほう)
- 定言的命令(ていげんてきめいれい)。本書では「定言命令」。
- 30 平仄が合わない(ひょうそくがあわない)
- 「平」と「仄」は対立するもののようですが、意味を理解できませんでした。インターネットでも調べました。
- 31 三一致(さんいっち)
- 本書では「三一致の法則」。本書に解説があります。
- 32 手足れ(てだれ)
- 手練(てだれ)。
- 33 凶凶しい(まがまがしい)
- 禍禍しい(まがまがしい)。
- 34 親族(うから)
- 本書では「一族(うから)」。
- 35 かっぽれ
- 36 奇矯(ききょう)
- 37 ぐず
- 愚図(ぐず)。
- 38 プラトニズム(Platonsim)
- プラトン主義。
- 39 鉄面皮(てつめんぴ)
- 40 猖獗(しょうけつ)
- 41 賺す(すかす)
- 42 出帆(しゅっぱん)
- 43 寧日(ねいじつ)
- 44 麗麗しい(れいれいしい)
- 45 鼓舞(こぶ)
- 46 平土間(ひらどま)
- 47 地口(じぐち)
- 48 箴言(しんげん)
- 49 棕櫚(しゅろ)
- インターネットで画像を確認しました。
- 50 喧しい(かまびすしい)
- 囂しい(かまびすしい)。
- 51 下手人(げしゅにん)
- 52 通奏低音(つうそうていおん)
- インターネットで動画を確認しました。
- 53 雄雄しい(おおしい)
- 54 途次(とじ)
- 55 他生の縁(たしょうのえん)
- 多生の縁(たしょうのえん)。
- 56 所以(ゆえん)
- 57 寿ぐ(ことほぐ)
- 言祝ぐ(ことほぐ)。
- 58 焚書(ふんしょ)
- 59 煉獄(れんごく)
- 60 匍匐(ほふく)
- 61 蓋し(けだし)
- まさしく。
- 62 素面(しらふ、すめん)
- 白面(しらふ)。
- 63 碩学(せきがく)
- 64 扼殺(やくさつ)
- 65 好古(こうこ)
- 66 栓張(しんばり)
- 心張り(しんばり)。心張り棒(しんばりぼう)。
- 67 大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)
- 泰山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)。
- 68 啜る(すする)
- 69 画竜点睛(がりょうてんせい)
- 70 意味深長(いみしんちょう)
- 71 辟易(へきえき)
- 72 貪婪(どんらん)
- 73 錯雑(さくざつ)
- 74 生硬(せいこう)
- 75 希う(こいねがう)
- 冀う(こいねがう)、庶幾う(こいねがう)。
- 76 爛れる(ただれる)
- 77 無類(むるい)
- 78 微睡む(まどろむ)
- 79 奔出(ほんしゅつ)
- 80 寂寥(せきりょう)
- 81 忌避(きひ)
- 82 佯狂(ようきょう)
- 陽狂(ようきょう)。
- 83 プロット(plot)
- 84 劇中劇(げきちゅうげき)
- 85 告解(こっかい)
- 86 終油(しゅうゆ)
- 87 秘蹟(ひせき)
- 秘跡(ひせき)。
- 88 サクラメント(Sacramento)
- 89 荒唐無稽(こうとうむけい)
- 90 極致(きょくち)
- 91 溌剌(はつらつ)
- 溌溂(はつらつ)。
- 92 韜晦(とうかい)
- 93 無礙(むげ)
- 無碍(むげ)。
- 94 偏執(へんしゅう、へんしつ)
- 95 メスメリズム(mesmerism)
- 本書では「魅惑」。
- 96 狂躁(きょうそう)
- 狂騒(きょうそう)。
- 97 捌け口(はけぐち)
- 98 戯ける(たわける)
- 99 愛染(あいぜん)
- 100 無明(むみょう)
- 101 痴れ者(しれもの)
- 102 淫する(いんする)
- 103 アリアドネの糸(Ariadneのいと)
- 104 フラクタル(fractal)
- 105 せせら笑う(せせらわらう)
- 106 知悉(ちしつ)
- 107 己がじし(おのがじし)
- 108 晦渋(かいじゅう)
以下余白