『甲子園への遺言』
- 副題など
- 副題は「伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯」。
- 著者など
- 著作者 : 門田 隆将(かどた りゅうしょう)氏著
- 出版社など
- 株式会社 講談社 さん
- 講談社文庫
- 版刷など
- 2008年12月第1刷。読んだものは、2017年10月第4刷。
- ※巻末に「本書は2005年6月に小社より刊行されました」とありました。
- ボリューム
- 413ページ。ただし、393ページ以降は「おわりに」などです。
感じたこと
人を活かす、とはどういうことか?
正しいと思えることは、ほとんどの人が言えます。しかし、言ったことが人の改善や向上に繋(つな)がるとは限りません。ものの言い方、態度、立場が気に入らないという聞き手の感情的なこともあります。が、十分にわかっていることを言われることほど、聞き手にとってツラいものはありません。そこまでわかっているなら、解決策を教えてくれといいたくなります。欠点を指摘されても気分が悪いだけなのです。
こういう話を思い出すと、本を読めなかった頃を思い出します。今でこそ、足掛かりとして、速読を参考にできます。当時は、理論のようなものはなく、読書好きの人に聞いても、聞かれた人もどう答えてよいやらといった感じでした。
そして、だいぶ読めるようになってきたなと思える今よく思うことは、読みは心身の影響を受けることです。特に、外部のストレスがなく、静穏な心持ちになるとよく読める気がします。
人間は集団活動をする生き物です。その中で人は何らかの役割を持っています。また、人には個性があり、各人が何かしら違ったものを持っています。
本書で取り上げた書籍に『道は開ける』D・カーネギー氏著、香山晶氏訳があります。パート4の13「仕返しは高くつく」の中に次のような文がありました。長文なので、私の言葉でお伝えすると、
業績を基準に人を賞賛しない。また、したことしなかったことを批難しない。なぜなら、人に個性があるのは、置かれた環境や条件、経験が違うからである。
といったことです。
また、『失敗の本質』戸部良一氏他共著に、大東亜戦争において、アメリカ軍は作戦ごとに指揮官を変えた、という意味のことが書いてあったように思います。
人がそれぞれ違うのであれば、ある作戦に適した司令官は、一人しかいないことになります。過去の輝かしい戦績を選考基準とした場合、その作戦に適任かどうかは疑問です。
迷う人・・・。組織の中でどんな役割をすればいいのかわからないのかもしれません。そして、その役割を果たすには、どのようなことを身につければよいのかわからないのかもしれません。さらに、それをどのようにして会得するのかもわからないかもしれません。
本人や他人にかかわらず、これを解決できる人は、他者との違い、人の個性を理解した人かもしれません。
迷う人? 私もそのひとりです。
この書物を選んだ理由
今年のゴールデンウィーク中に太宰府天満宮に行きました。その帰りの参道で、高校の看板が見えました。◯◯高校? 確かテレビドラマの舞台になっていたのでは・・・。帰宅後、インターネットで調べてみると、やはりそうだったのかでした。2008年に放送されたNHKの土曜ドラマ『フルスイング』の舞台だったのです。
人を導くことの難しさや、ドラマのシーンがフラッシュバックしました。あのドラマか。無性に原案を読みたくなりました。
私の読み方
テレビでドラマ化された書籍です。プロ野球打撃コーチ・高畠導宏(たかばたけ みちひろ)氏の生涯が書かれています。主人公の功績もさることながら、人柄のすばらしさを書いています。
私は、ドラマを見てから、11年後の今、原案を読みました。ドラマと書籍の違いを感じました。
ドラマでは、人に教えたり、導いたりすることの難しさを描いていました。
ドラマは本書を基に制作者の意図を反映したものです。主人公も、ストーリーも作られたものです。そして、コーチング技術とは何か、人を向上させるものは何か、について、焦点を絞っています。同じく、ドラマ視聴者の対象は、何とか現状を打破したい人や、指導的な立場にある人に対象を絞っているようでした。それだけに強烈な印象を受けたのだと思います。
ドラマとは対照的に、書籍はおとなしい印象を受けます。主人公の生涯がよくわかります。特に、主人公の人柄をよく感じられました。
原案が取材に基づき丁寧に作られていたので、ドラマは制作者の意図を反映しやすかったのかもしれません。
活躍を夢見て日々努力する選手がほとんどだと思います。にもかかわらず、自分の思うような成果を出せない選手も多いはずです。自分ではどうにもならない苦しさを抱えているのです。この時点では、自分でできる技術は十分身についているはずです。
主人公が選手に自分の技術を押しつけなかったのは、このことを自身がわかっていたからでしょう。強要すれば、今までの努力は何だったのかと選手はやる気をなくすかもしれません。
主人公の技術は高く、それをさらに発展させようとしているようでした。そのことは、わずかなアドバイスで選手に結果を出させることに見て取れます。やる気になった選手は、主人公の技術を信じられるようになります。
それから、選手の特徴にあわせて、練習メニューを考えています。そして、安定した結果を出せるまでに選手を育てていました。
主人公は、選手の気持ちがわかる、確かな技術がある、新たな技術をいつも摸索している、選手とともにいる、といった感じです。
少なくとも、メンタル、トレーナー、野球技術を一人で実践できるコーチだったのです。すべて野球で説明できるため、選手にはよく伝わったと思います。
最終的に自分で考え結果を出せる選手に育てることに、主人公はやりがいを感じたと思います。同時に、活躍できなかった選手への思いもあったのかもしれません。どんなことがあっても生き抜いていく人間になって欲しいという思い、が。
形式です。文庫版です。単行本を探しまたが、在庫がありませんでした。
冗長になりましたが、それだけに強い刺激がありました。
最後になりますが、ドラマ『フルスイング』をご覧になることをお勧めします。本書の良さを感じると思います。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 10日3時間10分
- 読み始め
- 2019(令和元)年6月19日(水)午前9時05分~
- 読み終わり
- 2019(令和元)年6月22日(土)~23時19分
- 一通り読んだ時間
- 3日14時間14分
- 編集終了
- 2019(令和元)年6月29日(土)~午後12時15分
- 読んだ範囲
- カバー、本書。奥付は軽く目を通しました。
取り上げられた書物など
- 『「尾張メモ」の全貌 情報は盗んで活かせ』 尾張氏著
- 『シンキングベースボール』 ブレイザー氏&藤江清志氏共著
- 『ドジャースの戦法』 アル・カンパニス氏著
上記以外に、多数の書籍の掲載がありました。
出来事
7月12日(金) ハンセン病家族訴訟の熊本地裁判決、政府が控訴断念を表明。
調べたこと
- 1 諜報(ちょうほう)
- 2 洞察(どうさつ)
- 3 一念発起(いちねんほっき)
- 4 軍師(ぐんし)
- 5 縦横無尽(じゅうおうむじん)
- 6 スランプ(slump)
- 7 見違える(みちがえる)
- 8 黒子(くろご、くろこ)
- 黒衣(くろご、くろこ)。
- 9 相貌(そうぼう)
- 10 垣間見る(かいまみる)
- 11 哀歓(あいかん)
- 12 のたうち回る(のたうちまわる)
- 13 暗中模索(あんちゅうもさく)
- 14 対峙(たいじ)
- 15 猛者(もさ)
- 16 野太い(のぶとい)
- 17 独特(どくとく)
- 18 遮二無二(しゃにむに)
- 19 切羽詰まる(せっぱつまる)
- 20 御破算(ごはさん)
- 21 恬淡(てんたん)
- 恬澹(てんたん)。
- 22 教壇(きょうだん)
- 23 異色(いしょく)
- 24 新米(しんまい)
- 25 呟く(つぶやく)
- 26 撥ね返す(はねかえす)
- 27 傍(はた)
- 端(はた)。
- 28 会得(えとく)
- 29 愛弟子(まなでし)
- 真名弟子(まなでし)。
- 30 左遷(させん)
- 31 追究(ついきゅう)
- 32 囁き(ささやき)
- 私語き(ささやき)。
- 33 招聘(しょうへい)
- 34 辣腕(らつわん)
- 35 興味津津(きょうみしんしん)
- 36 律義(りちぎ)
- 律儀(りちぎ)。
- 37 新風(しんぷう)
- 38 直感(ちょっかん)
- 39 几帳面(きちょうめん)
- 40 多寡(たか)
- 41 脈がある(みゃくがある)
- 42 縋る(すがる)
- 43 波瀾(はらん)
- 波乱(はらん)。
- 44 畏怖(いふ)
- 45 人心(じんしん)
- 46 掌握(しょうあく)
- 47 渾身(こんしん)
- 48 精進(しょうじん)
- 49 身じろぎ(みじろぎ)
- 50 地歩(ちほ)
- 51 生粋(きっすい)
- 52 津津浦浦(つつうらうら)
- 53 矍鑠(かくしゃく)
- 54 尾く(つく)
- 調べましたが、わかりませんでした。
- 55 取り付く(とりつく)
- 本書では「取り憑く(とりつく)」。
- 56 逞しい(たくましい)
- 57 女傑(じょけつ)
- 58 虎視眈眈(こしたんたん)
- 59 豪胆(ごうたん)
- 剛胆(ごうたん)。
- 60 修羅場(しゅらば)
- 61 首をすくめる(くびをすくめる)
- 62 悠然(ゆうぜん)
- 63 啞然(あぜん)
- 64 檜舞台(ひのきぶたい)
- 桧舞台(ひのきぶたい)。
- 65 打棒(だぼう)
- 66 辟易(へきえき)
- 67 付け人(つけびと)
- 68 気を吐く(きをはく)
- 69 腹に据えかねる(はらにすえかねる)
- 70 咄嗟(とっさ)
- 71 青天の霹靂(せいてんのへきれき)
- 72 盟主(めいしゅ)
- 73 錚錚(そうそう)
- 74 相応しい(ふさわしい)
- 75 磊落(らいらく)
- 76 怜悧(れいり)
- 伶俐(れいり)。
- 77 奇しくも(くしくも)
- 78 采配を振る(さいはいをふる)
- 79 帰趨(きすう)
- 80 憮然(ぶぜん)
- 81 金鉄(きんてつ)
- 82 勇躍(ゆうやく)
- 83 シュア(sure)
- 84 人後に落ちない(じんごにおちない)
- 85 弱冠(じゃっかん)
- 86 重用(じゅうよう、ちょうよう)
- 87 プレーオフ(play-off)
- 88 消耗戦(しょうもうせん)
- 89 有耶無耶(うやむや)
- 90 御庭番(おにわばん)
- 91 権謀術数(けんぼうじゅっすう)
- 92 軍門に降る(ぐんもんにくだる)
- 93 玄人(くろうと)
- 94 更迭(こうてつ)
- 95 注進(ちゅうしん)
- 96 逆鱗(げきりん)
- 97 プレーイングマネージャー(playing manager)
- 98 薄気味悪い(うすきみわるい)
- 99 どす黒い(どすぐろい)
- 100 おどろおどろしい
- 101 山を張る(やまをはる)
- 山を掛ける(やまをかける)。
- 102 畳み掛ける(たたみかける)
- 103 一目瞭然(いちもくりょうぜん)
以下余白