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読んでやる! 読んだもの
№145 『脳の意識 機械の意識』

 見たものが、どのように意識されていくのか、脳のどの部分で意識が生まれるのか、を本書は扱っています。脳神経科学の進展状況と著者の考えが書かれています。

『脳の意識 機械の意識』

副題など
 副題は「脳神経科学の挑戦」
 帯には「科学のフロンティアは、頭の中にある-」「脳神経科学の最前線」とありました。
著者など
著者 : 渡辺 正峰(わたなべ まさたか)氏著
出版社など
株式会社 中央公論新社 さん
版刷など
 中公新書2460。2017年11月初版。読んだものは、2018年2月3版。
ボリューム
 317ページ。ただし、313~317ページは「主要参考文献」です。

感じたこと

 脳と機械の意識は、何が違うのでしょうか。

 なぜか、一流シェフの味をご家庭でも、といったフレーズを思い出します。
 テレビによく出てくる料理人がプロデュースや監修したりして、美味しい料理の素(もと)が売られています。パッケージの作り方に書かれているとおりに、肉や野菜を切り、炒めたり焼いたり煮たりします。
 できあがった料理を家族が箸でつついて、口に運びます。コレが一流シェフの味かぁ~、と思いながらも、心のどこかで「本当に?」と思う私がいます。美味しいのは、美味しいのですが・・・。
 一度でもシェフのお店に行って、一流の料理を味わっていれば、話は違うのでしょうが。「あの感じ」がなければ、料理の素で作った料理をどうのこうのと言えません。
 虚構である料理の素を、想像した虚構で味わっているような。極端な言い方をすれば、テレビ番組で、タレントの食レポを見て、味を想像するのに近いかもしれません。

 さて、「あの感じ」を私たちが共有できたなら、どんなにいいでしょうか。
 機械に蓄積された情報を脳に読み込むだけで、一流アスリートのワザを身につけられるとしたら。産業界でも同じです。高度な職人技を一瞬にして、使えるようになるとしたら。
 「よし、次の草野球は、大リーグの○○○○選手でいくか」と、数日前から脳に情報を送り込むかもしれません。
 草野球当日、気分や感覚は完全に○○○○選手です。しかし、目立った活躍はできないかもしれません。
 「あの感じ」を脳が覚えることはできても、○○○○選手と同じ心身ではないからです。活躍するには、「あの感じ」と自分の心身を合わす必要があるはずです。
 一流にはほど遠いかもしれませんが、「あの感じ」を脳が読み込めるとしたら、物事の習得は早くなるかもしれません。

 読書の達人から本を読む「あの感じ」を私が取り入れることができていたなら・・・。どのように本を読めばいいのか? 小学3年生の時に思った疑問はなかったでしょう。そして、このサイトも存在しなかったでしょう。

この書物を選んだ理由

 人工知能など、人間に代わって機械がする時代が来ているように感じます。果たして、人間の役割を機械が果たせるのか? そんな疑問がずっと頭の中にあります。
 新聞に紹介されていた書籍です。早速、買うことにしました。
 話題性のある本らしく、すぐにはゲットできませんでした。2ヵ月ほど待って、手にすることができました。

私の読み方

 ビッグデータという言葉があります。多くの情報を取り扱って、研究やビジネスなどに活用しているそうです。
 データから売れ筋商品の傾向をつかめば、その商品を重点的に販売するらしいのです。最近気づくのは、どの店に行っても同じモノしか置いていないことです。
 たとえば、ポン酢です。私は水炊きに使いますが、取り扱っているお店はだんだん減ってきています。ほとんどは、味をつけたポン酢です。置いてあったとしても、高級なポン酢です。昔から使っているポン酢を使いたいと思っているのに・・・。
 目にした商品から選ぶので、売れ筋ばかりを店に置くと、多様性を失うことになります。そして、これは、本にも言えます。本屋さんに行くと、本の入れ替わりが激しいのです。目につくのは売れ筋の本ばかりです。
 図書館に足を運ぶことがあります。しかし、読みたいと思う本を見つけても、買うことはできません。
 その商品が、どのように役立つのか、という考えがありません。
 そこには、「特定の商品を求める」という意識もありますが、「他にも商品はないのか」や「自分で作るしかないか」というのもあります。
 そして、意識は、自分の五感と第六感と連動しているようです。そして、「生きる」という宿命を負った本能が、方向づけをしているようです。

 本書のテーマを発展させると、人間を人工的に作ることができるか、とも思えます。
 数十年前にクローンの羊の話に似ています。それを、コンピューターに使われるチップなどで作るのか、iPS細胞なのか、または、混合でするのか、になります。
 容姿は別として、私たちと同じように、振る舞い、思考し、集団で行動し、協力しあえるのか、です。
 完成した造形物(アンドロイド)は、生命体を維持するように自ら動きはじめるでしょう。何かをするときに、意識と感覚を確かめながら、動きはじめることでしょう。
 そして、「人として生きる」という本能を得たときに、人間になる気がします。その時に、人権も得られるかもしれません。

 しかしながら、一騎当千の造形物(アンドロイド)を作るのに、人と同じように作る必要はないはずです。
 造形物(アンドロイド)は、自身の持つ意識と感覚で存在してもよいはずです。
 結果として、造形物(アンドロイド)は、人間を苦しめるかもしれません。

 形式です。
 新書形式です。
 図が豊富でよかったと思います。
 耳馴れない言葉が多いので、用語解説や索引があれば便利です。また、専門用語には読み方(ルビ)をつけて欲しいと思いました。
 科学の本では、専門用語を除けば、一般的な記述はわかりやすい言葉を使うというイメージがありました。このたびの本は、難しい漢字がたくさんありました。
 これは、意識を語るのに、哲学が避けては通れないことを意味しているのでしょうか。何か、精神科医が書いた書籍のようでした。
 本書では、映画がよく紹介されていました。自然科学者というのは、言葉で物事を考えるのではなく、空間的に映像として物事を想像するのかもしれません。
 先に、映像を認識するため、それを説明するのに、適当な言葉や表現が難しいのかもしれません。
 読んだ順番は、まえがき、目次、あとがき、本文、あとがき、です。

 新書は一般人を想定して書かれていると思います。内容はできるだけ中立公正といった教科書のような感じです。
 しかし、本書は、事実を述べたうえで、著者の主張をハッキリと書いていました。上手に表現してあり、面白かったです。
 ただ、私は専門家ではないので、他にどんな事実があるのか、それがどう影響を及ぼすのかは分かりませんでした。

読書所要時間など

総所要時間(読み始めから編集終了まで)
31日1時間42分
読み始め
2018(平成30)年4月24日(火)午前10時11分~
読み終わり
2018(平成30)年5月17日(木)~15時57分
一通り読んだ時間
23日5時間46分
編集終了
2018(平成30)年5月25日(金)~午前11時53分
読んだ範囲
 カバー、帯、本書。主要参考文献、奥付は軽く目を通し、広告は見ていません。

取り上げられた書物など

  • 映画『マトリックス』
  • 長編アニメ映画『AKIRA』
  • 『意識の探求-神経科学からのアプローチ』 コッホ氏著
  • 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック氏著
  • 映画?『アバター』

 ※ 主要参考文献にも書籍の紹介がありました。

出来事

 5月18日(金) 高校生棋士の藤井聡太さんが7段に。15歳9ヵ月で史上最年少記録。

ひととき

 いつもとは違う場所を散歩しました。工場の多いところを歩いたのですが、道端に小さい花が咲いていました。
 帰宅してから調べたのですが、名前がわかりませんでした。イソトマ?なのでしょうか。ん~って、感じです。

 イソトマ?
 平成30年5月24日(木)撮影。

調べたこと

1 脳(のう)
2 意識(いしき)
3 儚い(はかない)
4 抗う(あらがう)
5 渾然一体(こんぜんいったい)
6 クオリア(qualia)
 本書では「感覚意識体験」。
7 砂上の楼閣(さじょうのろうかく)
8 黎明期(れいめいき)
9 本望(ほんもう)
10 一端(いったん)
11 繋属(けいぞく)
 係属(けいぞく)。
12 錐体細胞(すいたいさいぼう)
 本書に解説があります。
13 桿体細胞(かんたいさいぼう)
 杆体細胞(かんたいさいぼう)。
14 ディテール(detail)
15 夢見(ゆめみ)
16 物騒(ぶっそう)
17 一家言(いっかげん)
18 長考(ちょうこう)
19 妙手(みょうしゅ)
20 刹那(せつな)
21 紐解く(ひもとく)
 参考:繙く(ひもとく)。
22 雪崩(なだれ)
23 et al.
 およびその他の。
24 極小(きょくしょう、ごくしょう)
25 隙間(すきま)
26 狭間(はざま)
27 同定(どうてい)
28 間隙(かんげき)
29 閾値(いきち)
30 相成る(あいなる)
31 無駄骨(むだぼね)
32 高が知れる(たかがしれる)
33 所詮(しょせん)
34 畏怖(いふ)
35 素朴(そぼく)
 素樸(そぼく)。
36 揚揚(ようよう)
37 DNA(deoxyribonucleic acid)
 デオキシリボ核酸。
38 大袈裟(おおげさ)
39 審美眼(しんびがん)
40 アカデミア(academia:ラテン語)
41 冥利(みょうり)に尽(つ)きる
42 インパクトファクタ(impact factor)
 インパクトファクター。本書に解説があります。インターネットで調べました。
43 血眼(ちまなこ)
44 捕(と)らぬ狸(たぬき)の皮算用(かわざんよう)
45 捏造(ねつぞう)
46 晒す(さらす)
47 まやかし
48 嘘っぱち(うそっぱち)
49 咎める(とがめる)
50 前人未到(ぜんじんみとう)
 前人未踏(ぜんじんみとう)。
51 水の泡(みずのあわ)
52 食い扶持(くいぶち)
53 黎明期(れいめいき)
54 在り処(ありか)
 在り所(ありか)。
55 天秤に掛ける(てんびんにかける)
56 曲者(くせもの)
57 杞憂(きゆう)
58 然れども(しかれども)
59 酷似(こくじ)
60 倣う(ならう)
61 微塵も(みじんも)
62 芳しい(かんばしい)
63 手を替え品を替え(てをかえしなをかえ)
64 拙訳(せつやく)
 インターネットで調べました。
65 既の所(すんでのところ)
66 エポックメイキング(epoch-making)
 エポックメーキング。画期的。
67 つれない
68 頭蓋(とうがい、ずがい)
69 適う(かなう)
70 ずぼら
71 穿つ(うがつ)
72 範疇(はんちゅう)
73 分水嶺(ぶんすいれい)
74 ニューロン(neuron)
 神経細胞。
75 野(や)
76 小人
 「しょうじん」と読むのでしょうか。どういう意味で使っているのか、わかりませんでした。インターネットなどで調べました。
 参考:ちなみに、読み方は「こびと」「しょうじん」「しょうにん」がありました。
77 無限後退(むげんこうたい)
78 断然(だんぜん)
79 誤謬(ごびゅう)
80 十把一絡げ(じっぱひとからげ)
81 会心(かいしん)
82 盲点(もうてん)
83 辻褄(つじつま)
84 近傍(きんぼう)
85 寄与(きよ)
86 前哨戦(ぜんしょうせん)
87 醜悪(しゅうあく)
88 白羽の矢が立つ(しらはのやがたつ)
89 禍禍しい(まがまがしい)
 インターネットなどで調べました。
90 射入口
 どう読むのでしょうか。インターネットで調べました。漢字と意味はあるのですが、読み方が書いていませんでした。
91 射出口
 射出(しゃしゅつ)ですが、「口」は「こう」と読むのでしょうか。漢字と意味はあるのですが、読み方が書いていませんでした。
92 遡行(そこう)
93 球筋(たますじ)
94 与り知る(あずかりしる)
95 滔滔(とうとう)
96 二人羽織(ににんばおり)
97 発現(はつげん)
98 リーク(leak)
99 素っ破抜く(すっぱぬく)
100 紆余曲折(うよきょくせつ)
101 スパウト(spout)
 インターネットで調べました。
102 怪奇(かいき)
103 片や(かたや)
104 ミッシングリンク(missing link)
105 行き交う(ゆきかう)
106 人智(じんち)
 人知(じんち)。
107 侃侃諤諤(かんかんがくがく)
108 ミニマル(minimal)
109 荒唐無稽(こうとうむけい)
110 末席を汚す(まっせきをけがす)
111 語弊(ごへい)
112 座敷童(ざしきわらし)
113 目から鱗が落ちる(めからうろこがおちる)
114 皆目(かいもく)
115 見当(けんとう)
116 ・・・宜しく(よろしく)
 ・・・のように。
117 手強い(てごわい)
 参考:手強い(てづよい)。
118 シンセシス(synthesis)
 本書では「創成」。
119 創成(そうせい)
120 クオリア(qualia)
 本書では「あの感じ」。
121 ちょんぼ
122 循環論法(じゅんかんろんぽう)
 論理学語。
123 般化(はんか)
 generalization。心理学用語。
124 逆手(ぎゃくて、さかて)
125 問答無用(もんどうむよう)
126 光速度(こうそくど)
127 飛び飛び(とびとび)
128 青い(あおい)
129 重箱(じゅうばこ)の隅(すみ)を楊枝(ようじ)でほじくる
 本書では「重箱の隅をつつく」。
130 殺伐(さつばつ)
131 篤と(とくと)
132 大風呂敷(おおぶろしき)を広(ひろ)げる
133 ピクセル(pixel)
134 実装(じっそう)
135 紐解く(ひもとく)
 「振り返ってみよう」くらいの意味でしょうか。参考:繙く(ひもとく)。
136 露わ(あらわ)
137 発破(はっぱ)を掛(か)ける
138 じゃじゃ馬(じゃじゃうま)
139 手懐ける(てなずける)
140 エレガント(elegant)
141 忖度(そんたく)
142 遮蔽(しゃへい)
143 しれっと
144 査読(さどく)
145 クレーム(claim)
146 急逝(きゅうせい)
147 前途洋洋(ぜんとようよう)
148 テクスチャー(texture)
 インターネットで画像を見ました。
149 バーチャル(virtual)
150 見紛う(みまがう)
151 収斂(しゅうれん)
152 模擬(もぎ)
 摸擬(もぎ)。
153 鳴(な)りをひそめる
 本書では「鳴りを潜める」。
154 席巻(せっけん)
 席捲(せっけん)。
155 要(かなめ、よう)
156 片視野
 「へんしや」と読むのでしょうか。
157 蛇足(だそく)
158 呆気ない(あっけない)
159 限局(げんきょく)
160 モダリティ(modality)
 モダリティー。
161 摂動(せつどう)
 本書に解説があります。
162 真贋(しんがん)
163 フェーズ(phase)
164 佇む(たたずむ)
165 侵襲(しんしゅう)
 インターネットで調べました。
166 謳う(うたう)
167 片鱗(へんりん)
168 魔改造(まかいぞう)
 インターネットで調べました。
169 来歴(らいれき)
170 性向(せいこう)
171 傲慢(ごうまん)
172 燦然(さんぜん)
173 謙遜(けんそん)
174 詳らか(つまびらか)
 審らか(つまびらか)。
175 知見(ちけん)
176 顕現(けんげん)
177 戯言(ぎけん)
 参考:戯れ言(ざれごと)。
178 兎にも角にも(とにもかくにも)
179 機械(きかい)
 参考:器械(きかい)。

以下余白

更新記録など

2018年5月25日(金) : アップロード