『脳の意識 機械の意識』
- 副題など
- 副題は「脳神経科学の挑戦」
- 帯には「科学のフロンティアは、頭の中にある-」「脳神経科学の最前線」とありました。
- 著者など
- 著者 : 渡辺 正峰(わたなべ まさたか)氏著
- 出版社など
- 株式会社 中央公論新社 さん
- 版刷など
- 中公新書2460。2017年11月初版。読んだものは、2018年2月3版。
- ボリューム
- 317ページ。ただし、313~317ページは「主要参考文献」です。
感じたこと
脳と機械の意識は、何が違うのでしょうか。
なぜか、一流シェフの味をご家庭でも、といったフレーズを思い出します。
テレビによく出てくる料理人がプロデュースや監修したりして、美味しい料理の素(もと)が売られています。パッケージの作り方に書かれているとおりに、肉や野菜を切り、炒めたり焼いたり煮たりします。
できあがった料理を家族が箸でつついて、口に運びます。コレが一流シェフの味かぁ~、と思いながらも、心のどこかで「本当に?」と思う私がいます。美味しいのは、美味しいのですが・・・。
一度でもシェフのお店に行って、一流の料理を味わっていれば、話は違うのでしょうが。「あの感じ」がなければ、料理の素で作った料理をどうのこうのと言えません。
虚構である料理の素を、想像した虚構で味わっているような。極端な言い方をすれば、テレビ番組で、タレントの食レポを見て、味を想像するのに近いかもしれません。
さて、「あの感じ」を私たちが共有できたなら、どんなにいいでしょうか。
機械に蓄積された情報を脳に読み込むだけで、一流アスリートのワザを身につけられるとしたら。産業界でも同じです。高度な職人技を一瞬にして、使えるようになるとしたら。
「よし、次の草野球は、大リーグの○○○○選手でいくか」と、数日前から脳に情報を送り込むかもしれません。
草野球当日、気分や感覚は完全に○○○○選手です。しかし、目立った活躍はできないかもしれません。
「あの感じ」を脳が覚えることはできても、○○○○選手と同じ心身ではないからです。活躍するには、「あの感じ」と自分の心身を合わす必要があるはずです。
一流にはほど遠いかもしれませんが、「あの感じ」を脳が読み込めるとしたら、物事の習得は早くなるかもしれません。
読書の達人から本を読む「あの感じ」を私が取り入れることができていたなら・・・。どのように本を読めばいいのか? 小学3年生の時に思った疑問はなかったでしょう。そして、このサイトも存在しなかったでしょう。
この書物を選んだ理由
人工知能など、人間に代わって機械がする時代が来ているように感じます。果たして、人間の役割を機械が果たせるのか? そんな疑問がずっと頭の中にあります。
新聞に紹介されていた書籍です。早速、買うことにしました。
話題性のある本らしく、すぐにはゲットできませんでした。2ヵ月ほど待って、手にすることができました。
私の読み方
ビッグデータという言葉があります。多くの情報を取り扱って、研究やビジネスなどに活用しているそうです。
データから売れ筋商品の傾向をつかめば、その商品を重点的に販売するらしいのです。最近気づくのは、どの店に行っても同じモノしか置いていないことです。
たとえば、ポン酢です。私は水炊きに使いますが、取り扱っているお店はだんだん減ってきています。ほとんどは、味をつけたポン酢です。置いてあったとしても、高級なポン酢です。昔から使っているポン酢を使いたいと思っているのに・・・。
目にした商品から選ぶので、売れ筋ばかりを店に置くと、多様性を失うことになります。そして、これは、本にも言えます。本屋さんに行くと、本の入れ替わりが激しいのです。目につくのは売れ筋の本ばかりです。
図書館に足を運ぶことがあります。しかし、読みたいと思う本を見つけても、買うことはできません。
その商品が、どのように役立つのか、という考えがありません。
そこには、「特定の商品を求める」という意識もありますが、「他にも商品はないのか」や「自分で作るしかないか」というのもあります。
そして、意識は、自分の五感と第六感と連動しているようです。そして、「生きる」という宿命を負った本能が、方向づけをしているようです。
本書のテーマを発展させると、人間を人工的に作ることができるか、とも思えます。
数十年前にクローンの羊の話に似ています。それを、コンピューターに使われるチップなどで作るのか、iPS細胞なのか、または、混合でするのか、になります。
容姿は別として、私たちと同じように、振る舞い、思考し、集団で行動し、協力しあえるのか、です。
完成した造形物(アンドロイド)は、生命体を維持するように自ら動きはじめるでしょう。何かをするときに、意識と感覚を確かめながら、動きはじめることでしょう。
そして、「人として生きる」という本能を得たときに、人間になる気がします。その時に、人権も得られるかもしれません。
しかしながら、一騎当千の造形物(アンドロイド)を作るのに、人と同じように作る必要はないはずです。
造形物(アンドロイド)は、自身の持つ意識と感覚で存在してもよいはずです。
結果として、造形物(アンドロイド)は、人間を苦しめるかもしれません。
形式です。
新書形式です。
図が豊富でよかったと思います。
耳馴れない言葉が多いので、用語解説や索引があれば便利です。また、専門用語には読み方(ルビ)をつけて欲しいと思いました。
科学の本では、専門用語を除けば、一般的な記述はわかりやすい言葉を使うというイメージがありました。このたびの本は、難しい漢字がたくさんありました。
これは、意識を語るのに、哲学が避けては通れないことを意味しているのでしょうか。何か、精神科医が書いた書籍のようでした。
本書では、映画がよく紹介されていました。自然科学者というのは、言葉で物事を考えるのではなく、空間的に映像として物事を想像するのかもしれません。
先に、映像を認識するため、それを説明するのに、適当な言葉や表現が難しいのかもしれません。
読んだ順番は、まえがき、目次、あとがき、本文、あとがき、です。
新書は一般人を想定して書かれていると思います。内容はできるだけ中立公正といった教科書のような感じです。
しかし、本書は、事実を述べたうえで、著者の主張をハッキリと書いていました。上手に表現してあり、面白かったです。
ただ、私は専門家ではないので、他にどんな事実があるのか、それがどう影響を及ぼすのかは分かりませんでした。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 31日1時間42分
- 読み始め
- 2018(平成30)年4月24日(火)午前10時11分~
- 読み終わり
- 2018(平成30)年5月17日(木)~15時57分
- 一通り読んだ時間
- 23日5時間46分
- 編集終了
- 2018(平成30)年5月25日(金)~午前11時53分
- 読んだ範囲
- カバー、帯、本書。主要参考文献、奥付は軽く目を通し、広告は見ていません。
取り上げられた書物など
- 映画『マトリックス』
- 長編アニメ映画『AKIRA』
- 『意識の探求-神経科学からのアプローチ』 コッホ氏著
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック氏著
- 映画?『アバター』
※ 主要参考文献にも書籍の紹介がありました。
出来事
5月18日(金) 高校生棋士の藤井聡太さんが7段に。15歳9ヵ月で史上最年少記録。
ひととき
いつもとは違う場所を散歩しました。工場の多いところを歩いたのですが、道端に小さい花が咲いていました。
帰宅してから調べたのですが、名前がわかりませんでした。イソトマ?なのでしょうか。ん~って、感じです。
平成30年5月24日(木)撮影。
調べたこと
- 1 脳(のう)
- 2 意識(いしき)
- 3 儚い(はかない)
- 4 抗う(あらがう)
- 5 渾然一体(こんぜんいったい)
- 6 クオリア(qualia)
- 本書では「感覚意識体験」。
- 7 砂上の楼閣(さじょうのろうかく)
- 8 黎明期(れいめいき)
- 9 本望(ほんもう)
- 10 一端(いったん)
- 11 繋属(けいぞく)
- 係属(けいぞく)。
- 12 錐体細胞(すいたいさいぼう)
- 本書に解説があります。
- 13 桿体細胞(かんたいさいぼう)
- 杆体細胞(かんたいさいぼう)。
- 14 ディテール(detail)
- 15 夢見(ゆめみ)
- 16 物騒(ぶっそう)
- 17 一家言(いっかげん)
- 18 長考(ちょうこう)
- 19 妙手(みょうしゅ)
- 20 刹那(せつな)
- 21 紐解く(ひもとく)
- 参考:繙く(ひもとく)。
- 22 雪崩(なだれ)
- 23 et al.
- およびその他の。
- 24 極小(きょくしょう、ごくしょう)
- 25 隙間(すきま)
- 26 狭間(はざま)
- 27 同定(どうてい)
- 28 間隙(かんげき)
- 29 閾値(いきち)
- 30 相成る(あいなる)
- 31 無駄骨(むだぼね)
- 32 高が知れる(たかがしれる)
- 33 所詮(しょせん)
- 34 畏怖(いふ)
- 35 素朴(そぼく)
- 素樸(そぼく)。
- 36 揚揚(ようよう)
- 37 DNA(deoxyribonucleic acid)
- デオキシリボ核酸。
- 38 大袈裟(おおげさ)
- 39 審美眼(しんびがん)
- 40 アカデミア(academia:ラテン語)
- 41 冥利(みょうり)に尽(つ)きる
- 42 インパクトファクタ(impact factor)
- インパクトファクター。本書に解説があります。インターネットで調べました。
- 43 血眼(ちまなこ)
- 44 捕(と)らぬ狸(たぬき)の皮算用(かわざんよう)
- 45 捏造(ねつぞう)
- 46 晒す(さらす)
- 47 まやかし
- 48 嘘っぱち(うそっぱち)
- 49 咎める(とがめる)
- 50 前人未到(ぜんじんみとう)
- 前人未踏(ぜんじんみとう)。
- 51 水の泡(みずのあわ)
- 52 食い扶持(くいぶち)
- 53 黎明期(れいめいき)
- 54 在り処(ありか)
- 在り所(ありか)。
- 55 天秤に掛ける(てんびんにかける)
- 56 曲者(くせもの)
- 57 杞憂(きゆう)
- 58 然れども(しかれども)
- 59 酷似(こくじ)
- 60 倣う(ならう)
- 61 微塵も(みじんも)
- 62 芳しい(かんばしい)
- 63 手を替え品を替え(てをかえしなをかえ)
- 64 拙訳(せつやく)
- インターネットで調べました。
- 65 既の所(すんでのところ)
- 66 エポックメイキング(epoch-making)
- エポックメーキング。画期的。
- 67 つれない
- 68 頭蓋(とうがい、ずがい)
- 69 適う(かなう)
- 70 ずぼら
- 71 穿つ(うがつ)
- 72 範疇(はんちゅう)
- 73 分水嶺(ぶんすいれい)
- 74 ニューロン(neuron)
- 神経細胞。
- 75 野(や)
- 76 小人
- 「しょうじん」と読むのでしょうか。どういう意味で使っているのか、わかりませんでした。インターネットなどで調べました。
- 参考:ちなみに、読み方は「こびと」「しょうじん」「しょうにん」がありました。
- 77 無限後退(むげんこうたい)
- 78 断然(だんぜん)
- 79 誤謬(ごびゅう)
- 80 十把一絡げ(じっぱひとからげ)
- 81 会心(かいしん)
- 82 盲点(もうてん)
- 83 辻褄(つじつま)
- 84 近傍(きんぼう)
- 85 寄与(きよ)
- 86 前哨戦(ぜんしょうせん)
- 87 醜悪(しゅうあく)
- 88 白羽の矢が立つ(しらはのやがたつ)
- 89 禍禍しい(まがまがしい)
- インターネットなどで調べました。
- 90 射入口
- どう読むのでしょうか。インターネットで調べました。漢字と意味はあるのですが、読み方が書いていませんでした。
- 91 射出口
- 射出(しゃしゅつ)ですが、「口」は「こう」と読むのでしょうか。漢字と意味はあるのですが、読み方が書いていませんでした。
- 92 遡行(そこう)
- 93 球筋(たますじ)
- 94 与り知る(あずかりしる)
- 95 滔滔(とうとう)
- 96 二人羽織(ににんばおり)
- 97 発現(はつげん)
- 98 リーク(leak)
- 99 素っ破抜く(すっぱぬく)
- 100 紆余曲折(うよきょくせつ)
- 101 スパウト(spout)
- インターネットで調べました。
- 102 怪奇(かいき)
- 103 片や(かたや)
- 104 ミッシングリンク(missing link)
- 105 行き交う(ゆきかう)
- 106 人智(じんち)
- 人知(じんち)。
- 107 侃侃諤諤(かんかんがくがく)
- 108 ミニマル(minimal)
- 109 荒唐無稽(こうとうむけい)
- 110 末席を汚す(まっせきをけがす)
- 111 語弊(ごへい)
- 112 座敷童(ざしきわらし)
- 113 目から鱗が落ちる(めからうろこがおちる)
- 114 皆目(かいもく)
- 115 見当(けんとう)
- 116 ・・・宜しく(よろしく)
- ・・・のように。
- 117 手強い(てごわい)
- 参考:手強い(てづよい)。
- 118 シンセシス(synthesis)
- 本書では「創成」。
- 119 創成(そうせい)
- 120 クオリア(qualia)
- 本書では「あの感じ」。
- 121 ちょんぼ
- 122 循環論法(じゅんかんろんぽう)
- 論理学語。
- 123 般化(はんか)
- generalization。心理学用語。
- 124 逆手(ぎゃくて、さかて)
- 125 問答無用(もんどうむよう)
- 126 光速度(こうそくど)
- 127 飛び飛び(とびとび)
- 128 青い(あおい)
- 129 重箱(じゅうばこ)の隅(すみ)を楊枝(ようじ)でほじくる
- 本書では「重箱の隅をつつく」。
- 130 殺伐(さつばつ)
- 131 篤と(とくと)
- 132 大風呂敷(おおぶろしき)を広(ひろ)げる
- 133 ピクセル(pixel)
- 134 実装(じっそう)
- 135 紐解く(ひもとく)
- 「振り返ってみよう」くらいの意味でしょうか。参考:繙く(ひもとく)。
- 136 露わ(あらわ)
- 137 発破(はっぱ)を掛(か)ける
- 138 じゃじゃ馬(じゃじゃうま)
- 139 手懐ける(てなずける)
- 140 エレガント(elegant)
- 141 忖度(そんたく)
- 142 遮蔽(しゃへい)
- 143 しれっと
- 144 査読(さどく)
- 145 クレーム(claim)
- 146 急逝(きゅうせい)
- 147 前途洋洋(ぜんとようよう)
- 148 テクスチャー(texture)
- インターネットで画像を見ました。
- 149 バーチャル(virtual)
- 150 見紛う(みまがう)
- 151 収斂(しゅうれん)
- 152 模擬(もぎ)
- 摸擬(もぎ)。
- 153 鳴(な)りをひそめる
- 本書では「鳴りを潜める」。
- 154 席巻(せっけん)
- 席捲(せっけん)。
- 155 要(かなめ、よう)
- 156 片視野
- 「へんしや」と読むのでしょうか。
- 157 蛇足(だそく)
- 158 呆気ない(あっけない)
- 159 限局(げんきょく)
- 160 モダリティ(modality)
- モダリティー。
- 161 摂動(せつどう)
- 本書に解説があります。
- 162 真贋(しんがん)
- 163 フェーズ(phase)
- 164 佇む(たたずむ)
- 165 侵襲(しんしゅう)
- インターネットで調べました。
- 166 謳う(うたう)
- 167 片鱗(へんりん)
- 168 魔改造(まかいぞう)
- インターネットで調べました。
- 169 来歴(らいれき)
- 170 性向(せいこう)
- 171 傲慢(ごうまん)
- 172 燦然(さんぜん)
- 173 謙遜(けんそん)
- 174 詳らか(つまびらか)
- 審らか(つまびらか)。
- 175 知見(ちけん)
- 176 顕現(けんげん)
- 177 戯言(ぎけん)
- 参考:戯れ言(ざれごと)。
- 178 兎にも角にも(とにもかくにも)
- 179 機械(きかい)
- 参考:器械(きかい)。
以下余白