『人を動かす[新装版]』
原題は『HOW TO WIN FRIENDS AND INFLUENCE PEOPLE』
- 副題など
- 帯には「社会人として身につけるべき人間関係の原則を具体的に明示して、あらゆる自己啓発本の原点となった不朽の名著。」とありました。
- 著者など
- 著者 : デール・カーネギー(Dale Carnegie)氏著
- 訳者 : 山口 博(やまぐち ひろし)氏訳
- 出版社など
- 株式会社 創元社 さん
- 版刷など
- 1999年10月第1版第1刷。読んだものは、2017年4月第1版第95刷。
- ※訳者あとがきは、1982年10月とありました。
- ボリューム
- 345ページ
感じたこと
亡くなった父と釣りに行ったことを思い出しました。
小学生の頃、父に釣りによく連れて行ってもらいました。たいていは日曜日で釣り人が多く、釣る場所を見つけるのがたいへんでした。
始発の電車に乗っても、既に多くの釣り人がいました。少しは空いている場所はありましたが、父は空いた場所にすぐには行こうとはしませんでした。
空いている場所の近くの釣り人に、獲物は何を狙っているのか、何が釣れたかなどを尋ねていました。さらに、釣れた魚を見せてもらって、釣り方、餌は何かを聞いていました。いつも、同じ餌で同じ釣り方で、今日も同じにもかかわらずです。
子供の私は、場所が空いているんだから、さっさとそこで釣ればいいじゃないかと思いました。
話をした人に、父は、隣で釣らせてもらっていいですかと、一声かけました。すると、その人は、どうぞと笑顔で応えてくれるのです。
そして、釣りはじめますが、これ以降、その人とは、ほとんど会話はありません。
ところが、話をした釣り人が帰るとき、餌が余ったので使ってくださいと、父に持ってきたのです。それは自分たちが使わない高価な餌なのです。保存すれば、来週にも使えそうな生きのいいものです。時には、缶ジュースや食べ物、釣った魚までもらったことがありました。
父は先にいる釣り人に必ず声をかけて、釣り座に着いていました。その理由を父に聞いたことはありませんでした。今から思うと、子供が迷惑をかけるかもしれないとの配慮からそのようにしたのかもしれません。その一方で、昔の人のマナーとも思えるのです。何かをするとき、周りの人に一声かけていたように思います。
路線バスや電車で、無言で座席のわずかな隙間に尻を押し込み座る人を見たことがあります。しかし、「ここ、空いてますか? よろしいですか」と言えば、座っている人はスペースを空けてくれることがほとんどです。心の中では「こんなところに座るなよ」と不満をもっているかもしれませんが。
めったにありませんが、時には「座る人がいます」と言う方もいました。この場合、少し気恥ずかしい感じはしますが、後で気まずい思いをするよりはマシです。
数十年前のことですが、電車内で「話し方教室」の広告を見たことがありました。普通に話せるんだから、何を教えてもらうことがあるのかなと思っていました。しかし、気になったので、主催者の書いた本を書店でパラパラとめくってみました。すると、父がやっていたのと同じことが書かれていました。余談ですが、本はところどころしか見ていません。
それは、他人同士が気持ちよく過ごす方法だったのです。その方法をマスターするのは、付け焼き刃では難しいようです。思い立ったときからトライしていますが、いまだにうまくいきません。声をかけるタイミングや、どのような言葉を使うか、人にもよりますし、状況もあります。
相手の気持ちを察することができるか、自分の気持ちをコントロールできるかは、大切だと感じます。修行でもしているのかと思うことがあります。他人と関わりなく生活はできませんから、必然的な修行なのかもしれません。こうやって、人は磨かれていくのかもしれませんね。
この書物を選んだ理由
読んだもの№136『道は開ける』と同じです。
長年この本が書店にありました。気になるので、いつかは読みたいと思っていました。
私の読み方
形式です。
文字は少し小さいように感じました。「付 幸福な家庭をつくる七原則」では、さらに文字は小さかったです。
行の長さ、行間、見開きページの余白は適当で、不自由は感じませんでした。
各項の最後に、原則を大文字で書いてありました。
同じ著者の書籍を読んだもの№136『道は開ける[新装版]』で取り上げました。本書『人を動かす』にも同じ話がありました。
この2冊は実践的に感じます。内容を覚えるだけでなく、身に染みこむまで、実行し続けてこそ、その効果が発揮されるようです。
各項の最後には「人を動かす原則」が簡潔に書かれています。これだけを見ると、手っ取り早く、自分の思いどおりに人を動かせそうです。それはあたかもマニュアルのように。
しかし、本書には、自分が本当にそう思うなら○○する、ということが書かれています。本心でないことは、しないということでしょうか。相手の立場を理解することもありました。
偽(いつわ)らない自分、相手を理解できるか、が必要なのです。これを実践するのは、並大抵のことではありません。自らを律し、人情の機微もわからなければなりません。一朝一夕にできるものではありません。しかも、これらに完成はないように感じます。地道な努力をただ続けて行くしかないようです。
小手先やうわべではなく、本物の言動を本書は目指しているのです。それは、人間を極めようとしているようにも感じました。
本書も『道は開ける』もそうですが、自分なりの工夫と努力を勧めているようです。本人にとっての本物とは、与えられるものではなく、自分でつくっていくもののようです。本書はきっかけに過ぎないと著者が語っているように感じました。
メッキが剝(は)げるという言葉がありますが、メッキでは寂しい気がします。地金を磨き、時には地金そのものを鍛えなおすこともあるかもしれません。本物の地金は、削られれば削られるほど、光彩を放ちそうな気がします。
『道は開ける』『人を動かす』の2冊を読むとより効果的だと感じました。何が効果的かというと、ゆたかな人生にする、ことです。この点から言うと、『人のゆたかな道』などのタイトルで2冊を1冊にしてもよいのではと思いました。
いずれにせよ、読んだだけでは、豊かさを享受できるわけではありませんが・・・。
本書『人を動かす』は人とのかかわり合い方を、『道は開ける』は自身の心の持ち方を扱っていました。2冊を合わせて読むと、味わい深いものがありました。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 15日23時間41分
- 読み始め
- 2018(平成30)年1月4日(木)22時31分~
- 読み終わり
- 2018(平成30)年1月17日(水)~16時28分
- 一通り読んだ時間
- 12日17時間57分
- 編集終了
- 2018(平成30)年1月20日(土)~22時12分
- 読んだ範囲
- カバー、帯、本書。ただし、奥付、広告は軽く目を通しました。
取り上げられた書物など
- ベンジャミン・フランクリンの自叙伝
- 『教育心理学』 アーサー・ゲイツ氏著
- 『人間の盲目性について』 ウィリアム・ジェイムズ氏著
調べたこと
- 1 『HOW TO WIN FRIENDS AND INFLUENCE PEOPLE』
- 本書48ページには「友をつくり、人を動かす秘訣」という文言がありました。「win」には「獲得する」という意味がありました。
- 2 センセーション(sensation)
- 3 波紋(はもん)
- 4 散見(さんけん)
- 5 認める(したためる)
- 6 朱に染まる(あけにそまる)
- 参考:朱(しゅ)に交われば赤くなる。
- 7 頽れる(くずおれる)
- 8 無類(むるい)
- 9 肝を冷やす(きもをひやす)
- 10 千載一遇(せんざいいちぐう)
- 11 断末魔(だんまつま)
- 断末摩(だんまつま)。
- 12 激越(げきえつ)
- 13 覿面(てきめん)
- 14 拉ぐ(ひしぐ)
- 15 言語道断(ごんごどうだん)
- 16 痛罵(つうば)
- 17 今し方(いましがた)
- 18 怖ず怖ず(おずおず)
- 19 心根(こころね、しんこん)
- 20 あどけない
- 21 監視(かんし)
- 22 飽く迄も(あくまでも)
- 23 性情(せいじょう)
- 24 不朽(ふきゅう)
- 25 安着(あんちゃく)
- 26 艶姿(えんし)
- 27 浅薄(せんぱく)
- 28 没我(ぼつが)
- 29 凡俗(ぼんぞく)
- 30 終生(しゅうせい)
- 終世(しゅうせい)。
- 31 慈しむ(いつくしむ)
- 32 取り留め(とりとめ)
- 33 口角泡(こうかくあわ)を飛(と)ばす
- 34 世迷い言(よまいごと)
- 35 幸甚(こうじん)
- 36 敵愾心(てきがいしん)
- 37 通暁(つうぎょう)
- 38 こっぴどい
- 本書では「こっぴどく」。
- 39 粗相(そそう)
- 40 辟易(へきえき)
- 41 魂胆(こんたん)
- 42 下心(したごころ、げしん)
- 43 光明(こうみょう)
- 44 知己(ちき)
- 45 感服(かんぷく)
- 46 誑かす(たぶらかす)
- 47 花開く(はなひらく)
- 参考:花が咲く(はながさく)。インターネットなどで調べました。
- 48 目下(めした)
- 参考:目下(もっか)。
- 49 下働き(したばたらき)
- 50 語り種(かたりぐさ)
- 本書では「語り草」。
- 51 すごすご
- 52 相好(そうごう)
- 相好を崩す。
- 53 憤懣(ふんまん)
- 忿懣(ふんまん)。
- 54 目の敵(めのかたき)
- 55 渋面(しぶつら、しぶづら、じゅうめん)
- 56 所以(ゆえん)
- 57 例(ためし)
- 本書では「ためしもない」。
- 58 蓋し(けだし)
- 59 処世(しょせい)
- 60 繁忙(はんぼう)
- 煩忙(はんぼう)。
- 61 私信(ししん)
- 62 後年(こうねん)
- 63 辞去(じきょ)
- 64 一心(いっしん)
- 65 玩味(がんみ)
- 参考:含味(がんみ)。
- 66 支配人(しはいにん)
- 67 上客(じょうきゃく)
- 68 悪口雑言(あっこうぞうごん)
- 69 鬱憤(うっぷん)
- 70 とっちめる
- 71 向学心(こうがくしん)
- 72 会戦(かいせん)
- 73 御偉方(おえらがた)
- 74 義勇(ぎゆう)
- 75 容易い(たやすい)
- 76 逗留(とうりゅう)
- 77 無上(むじょう)
- 78 噯(おくび)
- 本書では「おくびにも出し・・・」。
- 79 風光明媚(ふうこうめいび)
- 80 膝を乗り出す(ひざをのりだす)
- 参考:膝を進める(ひざをすすめる)。
- 81 謙遜(けんそん)
- 82 そそくさ
- 83 賛嘆(さんたん)
- 讃歎(さんたん)、讃嘆(さんたん)。
- 84 掛布
- 「かけぬの」と読むのでしょうか。インターネットなどで調べました。
- 85 賞牌(しょうはい)
- 86 喧し屋(やかましや)
- 87 羽目板(はめいた)
- 88 造作(ぞうさく)
- 参考:「造作(ぞうさ)」。
- 89 ホメオパシー(homeopathy)
- 90 寡婦(かふ)
- 91 武勲(ぶくん)
- 92 憎まれ役(にくまれやく)
- 93 面子(めんつ)
- 94 扱き下ろす(こきおろす)
- 95 向き(むき)
- 本書では「むきになれば」。
- 96 口を噤む(くちをつぐむ)
- 97 反駁(はんばく)
- 98 意味深長(いみしんちょう)
- 99 頑迷(がんめい)
- 100 窘める(たしなめる)
- 101 溜飲が下がる(りゅういんがさがる)
- 102 罵倒(ばとう)
- 103 突っ慳貪(つっけんどん)
- 104 ぶっきらぼう
- 105 固執(こしゅう、こしつ)
- 106 ぼる
- 107 建言(けんげん)
- 108 バケツ一杯の苦汁よりも一滴の蜂蜜のほうが多くハエがとれる
- 本書ではリンカーンの言葉となっていました。調べましたが、よくわかりませんでした。インターネットなどで調べました。
- 109 柔よく剛を制す(じゅうよくごうをせいす)
- 110 余儀無い(よぎない)
- 111 本望(ほんもう)
- 112 起死回生(きしかいせい)
- 113 妙薬(みょうやく)
- 114 敬虔(けいけん)
- 115 威丈高(いたけだか)
- 居丈高(いたけだか)。
- 116 偏屈(へんくつ)
- 117 潤色(じゅんしょく)
- 118 感傷(かんしょう)
- 119 流布(るふ)
- 120 殺鼠剤(さっそざい)
- 121 相応しい(ふさわしい)
- 122 米西戦争(べいせいせんそう)
- 123 憂色(ゆうしょく)
- 124 危急(ききゅう)
- 125 仄聞(そくぶん)
- 側聞(そくぶん)。
- 126 軽挙妄動(けいきょもうどう)
- 127 門戸開放(もんこかいほう)
- 128 下僚(かりょう)
- 129 造詣(ぞうけい)
- 130 煙草(たばこ、tobaco:ポルトガル語)
- 莨(たばこ)。
- 131 金切り声(かなきりごえ)
- 132 藪睨み(やぶにらみ)
- 133 貧相(ひんそう)
- 134 天成(てんせい)
- 参考:天生(てんせい)、天性(てんせい)。
- 135 苦労人(くろうにん)
- 136 正札(しょうふだ)
- 137 幾何(いくばく)
- 幾許(いくばく)。本書では「幾許も無く(いくばくもなく)」。
- 138 灼熱(しゃくねつ)
- 139 てんで
- 140 枕辺(まくらべ)
- 141 不朽(ふきゅう)
- 142 ざら
- 143 木賃宿(きちんやど)
- 144 墓穴を掘る(ぼけつをほる)
- 参考:墓穴(はかあな)。
- 145 生殺与奪(せいさつよだつ)
- 146 殺戮(さつりく)
- 147 強圧的(きょうあつてき)
- 148 暴論(ぼうろん)
- 149 煉獄(れんごく)
- 150 証左(しょうさ)
- 151 底本(ていほん、そこほん)
- 152 先覚者(せんかくしゃ)
- 153 表裏(ひょうり)
- 参考:裏表(うらおもて)。
以下余白