『活きる力』
- 副題など
- カバー折り込みには「恵まれた日常に決別し、自ら困難を求める行動が必要です。」とありました。
- 著者など
- 著者 : 稲盛 和夫(いなもり かずお)氏著
- 鹿児島大学 稲盛アカデミーさん編
- 出版社など
- 株式会社プレジデント社 さん
- 版刷など
- 2017年9月第1版。
- ボリューム
- 255ページ。203ページ以降は、「鹿児島大学 稲盛アカデミーより」となっています。
感じたこと
『ビジョナリ カンパニー -時代を超える生存の原則-』(ジム・コリンズ氏&ジェリー・ポラス氏共著、山岡洋一氏訳)、『HARD THINGS』(ベン・ホロウィッツ氏著、滑川海彦氏&高橋信夫氏共訳)、『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(アンドリュー・S・グローブ氏著、小林薫氏訳)や、その他経営にかかわる本や内容を思い出していました。
本書の内容とは離れますが。経営には教科書がないようです。必ずこれをしたら、大儲けできるとか、優秀な人材が集まるとか、すべての構成員が目覚ましい成果を上げるとか、方策に対して好成績を必ず伴う方法はないということでしょうか。手探りの状態を続け、自分なりの感覚やスタイルを見つけるしかないようです。
経済、経営などの学問に多くの法則がありますが、必ずしもそのように働くとは言えないようです。科学技術の進歩や、人の価値観や環境の変化もあります。ある法則は、過去のある時点での解析の結果、生まれたものであり、将来を予測するには、変化に対応し切れない気がします。
もし、教科書があり、法則が自然科学のような公式であるなら、誰もが会社を成功させられるはずです。
世界的な企業は、カルト的に見えると読んだことがあります。組織の理念に基づき、構成員が働くことです。
組織の理念は創始者や経営者が決めています。そして、組織や扱うものによって、理念は違います。同じようなことを掲げているものもあります。
また、理念が組織の設立当初から同じであっても、経営者や構成員は変わって行きます。構成員は当時の世代の価値観や環境で理念を働きに繁栄させています。そして、定年退職や転職で構成員が変わるので、組織は時代に適応できるとも言えます。言葉としての理念は変わりませんが、その実践や運用は、その時代の構成員によって最適化されるようです。
組織の理念は、人間性や時代、環境などを貫く普遍的なもののように感じます。
経営者が、セミナーや読書を参考にして現状を突破しようとする話をよく聞きます。教科書があり、法則が確かであれば、何もそんなことをする必要はありません。
セミナーの講師は、たいていは経営が順調な組織の経営者や大学の先生です。一般的に成功者といわれる人たちです。
主催者や参加者は、成長を続ける経営者から話を聞こうとします。それは、スポーツを上達したいために、トップアスリートに教えてもらうのに似ています。
逆に『失敗の本質』(戸部良一氏他共著)のように、負けた原因を探る研究もあります。
しかしながら、テレビ・新聞や書籍などには、成功や失敗についての分析や推測はありますが、原因を特定したものは少ないようです。
組織の成功とは何かについては、偶然の要素が高い気がします。もちろん、理念も含め、様々な要素が重なり合って、組織はよい方向へと進むようです。
偉人の真似(まね)をしても同じ人生にはなりません。興味や能力、風貌、環境など人それぞれ違います。
それと同じことが組織にも言える気がします。業務内容、環境、構成員、資本金、取引先などすべてが違います。
成功や失敗の定義も人により違う気がします。いずれにせよ、それらは偶然の結果と結論づけてしまいそうです。
しかしながら、セミナーの講師が語るように、自分は所属する組織について、話ができるのだろうか、という疑問があります。おそらく、説明できるなら、他組織との比較、市場の動向、構成員の労働意欲、人脈など自らの組織を客観的に評価していることでしょう。それは、できることと、できそうなことを知っているとも言えます。
単純な話ですが、できそうなことをできるように努力し、できることを組織も構成員もやり続けるしかないと言えそうです。
結果は、成功であって欲しいものです。その過程はあまりにも個別的だと思います。
経営の経験も実績もないのに、好き勝手なことを書いてしまいました。
ただ、企業も、伝記で取り上げられる人と同じ存在に感じました。
この書物を選んだ理由
外国の著作者の書籍に、たびたび、稲盛和夫氏著のものが紹介されていました。世界中で読まれている内容とは何か、が気になりました。
このたびは、4冊目です。
私の読み方
内容の目的は、若者たちが、将来的に、経営者として歩むことでしょうか。それとも、自分の持ち場で懸命に働くことを説いているのでしょうか。
経営者と労働者の立場は違えども、生き方、働き方、考え方は同じだということでしょうか。
本書は筆者が大学で講義した内容を中心に、学生への質疑応答や研究者の考えがありました。これは、他の人がどのように感じているのか、どのようなことに役立てようとしているのかを知ることができました。
これらは、著者の主張をいろんな方面から理解する手助けになると感じました。
学生や研究者だけでなく、現場で働く人の参加があるとさらに理解が深まったと思います。
著者の『生き方』『考え方』『働き方』と本書の4冊を読みました。
4冊には同じ考え方が書かれてありました。その考え方はシンプルで、ブレがありませんでした。
シンプルなだけに、伝えやすく、理解しやすく、実践しやすいのでしょう。ブレないことで、信頼感があります。
形式です。
文字の大きさ、行の長さ、行間、余白は適当で読みやすかったです。
括弧書きで言葉の意味を書いたところがあり、迷うことなく読めました。
今までに著者の書籍3冊を読みましたが、本書だけ少し違います。
「第5章 20代で知っておくべき経営の12カ条」です。具体的なことを書いていました。
考え方だけを読むと、雲をつかむような感じです。哲学を具現することで、考え方がよりわかりやすい気がします。
私は著者の哲学を少し理想的に解釈していたようでした。12カ条を読んだときに、著者の考えが、現実的であり、実用的であり、実戦的であることを知りました。
本書に出てくる仏教の考えに理想郷のようなイメージを持つと、違う意味で本を読み続けることになります。
4冊読みましたが、これで著者の考えがわかったとは思っていません。ただ、自分なりに、そういう考え方があるんだな、と思いました。
著者の書籍は主張にブレがないので、4冊のどれを読んでも内容に違いはないと思います。わかりやすかったのは、本書『活きる力』だと思いました。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 10日7時間6分
- 読み始め
- 2017(平成29)年12月28日(木)午前11時46分~
- 読み終わり
- 2018(平成30)年1月2日(火)~午前4時49分
- 一通り読んだ時間
- 4日17時間3分
- 編集終了
- 2018(平成30)年1月7日(日)~18時52分
- 読んだ範囲
- カバー、帯、本書。奥付は軽く目を通しました。
取り上げられた書物など
- 『「原因」と「結果」の法則』 ジェームズ・アレン氏著
- 『運命と立命』 安岡正篤氏著
- 『アメーバ経営論』 三矢裕氏著
出来事
1月5日(金) 将棋の羽生善治氏と囲碁の井山裕太氏に国民栄誉賞決定。
1月4日(木) プロ野球で活躍した星野仙一氏が死去。
調べたこと
- 1 灰燼(かいじん)
- 本書では「灰燼に帰し」。注意:「はいじん」とは読みません。
- 2 バラック(barrack)
- 3 訣別(けつべつ)
- 決別(けつべつ)。
- 4 パネルディスカッション(panel discussion)
- 5 望外(ぼうがい)
- 6 えげつない
- 7 悠久(ゆうきゅう)
- 8 取りも直さず(とりもなおさず)
- 9 発端(ほったん、はったん)
- 10 一気呵成(いっきかせい)
- 11 高邁(こうまい)
- 12 崇高(すうこう)
- 13 やんちゃ
- 14 目論見(もくろみ)
- 15 人間圏(にんげんけん)
- 造語のようです。インターネットで調べました。
- 16 享受(きょうじゅ)
- 17 警鐘(けいしょう)
- 18 危惧(きぐ)
- 19 焼け棒杭(やけぼっくい)
- 焼け木杭(やけぼっくい)。
- 20 瓦礫(がれき)
- 21 復員(ふくいん)
- 22 野放図(のほうず)
- 野方途(のほうず)。
- 23 鼻(はな)にかける
- 24 博愛(はくあい)
- 25 ローマクラブ(The Club of Rome)
- 26 謙のみ福を受く
- 本書に解説があります。インターネットで調べましたが、十分な情報を得られませんでした。
- 27 卑怯(ひきょう)
- 28 鬱積(うっせき)
- 29 忝い(かたじけない)
- 辱い(かたじけない)。
- 30 積善(せきぜん)の家(いえ)には必(かなら)ず余慶(よけい)あり
- 31 感銘(かんめい)
- 肝銘(かんめい)。
- 32 情(なさ)けは人(ひと)の為(ため)ならず
- 33 毅然(きぜん)
- 34 可愛(かわい)い子(こ)には旅(たび)をさせよ
- 35 幼気(いたいけ)
- 36 大善は非常に似たり
- 本書に解説があります。インターネットで調べましたが、十分な情報を得られませんでした。
- 37 大上段(だいじょうだん)
- 38 つべこべ
- 39 急遽(きゅうきょ)
- 40 同定(どうてい)
- 41 インテグレート(integrate)
- 統合する。
- 42 怪(け)しからぬ
- 本書では「けしからん」。
- 43 プリミティブ(primitive)
- 本書では「素朴」。
- 44 一朝一夕(いっちょういっせき)
- 45 拗ねる(すねる)
- 46 嗜む(たしなむ)
- 47 阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)
- 48 ブレイクダウン(breakdown)
- ブレークダウン。
- 49 信憑性(しんぴょうせい)
- 50 透徹(とうてつ)
- 51 焼成(しょうせい)
- 52 先達(せんだつ、せんだち)
- 53 麓(ふもと)
- 54 要諦(ようてい、ようたい)
- 55 向こう意気(むこういき)
- 56 エゴイスティック(egoistic)
- 57 くすねる
- 58 論及(ろんきゅう)
- 59 猫糞(ねこばば)
- 60 ジニ係数(じにけいすう、Gini coefficient)
- ジーニ係数。
- 61 精算(せいさん)
- 参考:清算(せいさん)。
- 62 財務会計(ざいむかいけい)
- 63 管理会計(かんりかいけい)
- 64 レジリエンス教育(resilienceきょういく)
- インターネットでも調べましたがよくわかりませんでした。心理学では、情動に対して弾力性のある受け止め方をいうようです。
- 65 プロフィット(profit)
- 66 進取(しんしゅ)
- 67 コア・バリュー(core value)
- 本書では「基本価値」。インターネットで調べました。
- 68 涵養(かんよう)
- 69 通底(つうてい)
- 70 ミッション(mission)
- 71 コロキウム(colloquium)
- 討論会。インターネットでも調べました。
以下余白