『置かれた場所で咲きなさい』
- 著者など
- 著者 : 渡辺 和子(わたなべ かずこ)氏著
- 出版社など
- 株式会社 幻冬舎 さん
- 版刷など
- 2012年4月第1刷。読んだものは、2017年1月第73刷。
- ボリューム
- 159ページ。ただし、158ページ以降は「人名・用語解説」です。
感じたこと
「情けは人の為(ため)ならず」という、ことわざを思い出しました。
辞典によると「人に情けをかけると、巡って自分にも返ってくる」という意味です。私はこの意味を「人の成長を妨げるので、情けをかけてはいけない」と思っていました。
クイズ番組で、正しい意味を知りました。一度でも辞書を引いていれば、このようなことはなかったと思います。おそらく、「手伝うとその人のためにならない」と学校などで言われてきたので、そのように思ったのでしょう。
さて、本書のタイトル「置かれた場所で咲きなさい」も、よく聞いた懐かしい響きがありました。
「こんなところにいるのはゴメンだ」との愚痴に、「置かれた場所で一生懸命にやれば認められる」と、いろんな人から異口同音に言われてきたからでしょう。
嫌なこともガマンし、懸命に仕事をした結果、それなりの成果がありました。しかし、なぜか周囲から認められることはなく、逆に白けた場になった気がしました。
自分の成果を自慢したわけでもなく、周囲から言われた寡黙を守ったにもかかわらず、辛辣(しんらつ)な扱いを受けた記憶があります。「なぜ、なんだろう?」でした。
本書の新聞広告をはじめて見たとき、「またか」と思いました。どうせ、同じことを言っているんだろうと、端(はな)から本書を読まないと決めました。まだ、本を読めなかった時のことです。
弊サイトで取り上げた『生きていくあなたへ』日野原重明氏著に、本書のタイトルの記載がありました。先生が取り上げられた本であれば、何かあると思いました。すぐに本書を買いました。
本書を開いて最初に、ガーンと頭を殴られる衝撃を受けました。私はなんという思い違いをしていたのだろうか、と。この言葉の意味を知らなかった・・・。
仕事の成果が上がるのは、悪いことではありません。しかし、それは資本主義的な価値観でしかありません。しかし、それとは別に、人との結びつきがあるのです。
本書の「・・・自分が笑顔で生き、周囲の人々も幸せにすること・・・」です。仕事とは別に、人としての結びつきを強めることだったのです。それは、家族、友達、同僚など、自分と関わりを持つ人たちに言えることです。
それは、掛け替えのない人を作ることであり、掛け替えのない人になることなのでしょう。
思い込みとは恐ろしいものですね。丁寧に調べる、実際に確かめてみるという謙虚さが必要なのを痛感しました。
本書を読んだのは、不思議な巡り合わせでした。
この書物を選んだ理由
日野原重明氏著『生きていくあなたへ』に本書の記載があったので、読むことにしました。
私の読み方
くどくどと理屈をこねるのではなく、簡潔明瞭に述べられていました。著者の経験から語られており、活力をもらうようでした。
上善(じょうぜん)は水(みず)のごとし、でしょうか。読んでいて、素直に言葉が入ってきます。理屈ではなく、感情でもなく、自然に心に入ってくる感じがします。
本書にあることは、人にとって自然なことなのかもしれません。
著者はクリスチャンだと思うのですが、本書に「仏さま」の文字がありました。おそらく究極のところでは、神様も仏様もその他の思想なども、行きつくところは同じなのかもしれません。
形式です。
文字は小さめですが、行間、行長、余白が適当で、見やすかったです。
各項の円の中に主題が、そのはじめに太文字でそこで語られることが大文字で書かれていました。最後に、かなり大きい字で、まとめが書いてありました。一目でわかる工夫がされており、読みやすかったと思います。
力強く、主体性を持って生きることを伝えてくれるのが本書だと思います。この分野では最高峰の書籍だと感じました。
私の下手な読み方より、実際に読んでみてください。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 9日4時間58分
- 読み始め
- 2017(平成29)年12月21日(木)16時32分~
- 読み終わり
- 2017(平成29)年12月27日(水)~午前1時24分
- 一通り読んだ時間
- 5日8時間52分
- 編集終了
- 2017(平成29)年12月30日(土)~21時30分
- 読んだ範囲
- カバー、帯、本書。
取り上げられた書物など
- 『大言海』 冨山房さん
- 『死と愛』 ヴィクター・フランクル氏著
- 『広辞苑』 岩波書店さん
調べたこと
- 1 置かれた場所で咲きなさい
- 「Bloom where God has planted you.」。本書に解説があります。
- 2 和らぐ(やわらぐ)
- 3 修練(しゅうれん)
- 修錬(しゅうれん)。
- 4 くれない族(くれないぞく)
- 5 訣別(けつべつ)
- 決別(けつべつ)。
- 6 境遇(きょうぐう)
- 7 述懐(じゅっかい)
- 8 寸暇(すんか)
- 9 順風満帆(じゅんぷうまんぱん)
- 10 嫌い(きらい)
- 11 一隅(いちぐう)
- 12 アッシジ(Assisi)
- イタリアの都市名。
- 13 回心(かいしん)
- 14 使徒(しと)
- 15 堪忍のなる堪忍は誰もする。ならぬ堪忍、するが堪忍。
- ことわざ辞典には「ならぬ堪忍するが堪忍」とありました。「なる堪忍は誰もする」は類義としてありました。本書のように、2つを並べると、堪忍の大切さがより伝わる気がしました。
- 16 摂理(せつり)
- 17 隙間風(すきまかぜ)
- 18 真っ昼間(まっぴるま)
- 19 待(ま)てば海路(かいろ)の日和(ひより)あり
- 20 長じて(ちょうじて)
- 長ずる(ちょうずる)。
- 21 臥薪嘗胆(がしんしょうたん)
- 22 隠忍自重(いんにんじちょう)
- 23 手許(てもと)
- 手元(てもと)。
- 24 老醜(ろうしゅう)
- 25 燻し銀(いぶしぎん)
- インターネットで画像を確認しました。
- 26 瀬(せ)
- 本書に解説があります。
- 27 御節(おせち)
- 28 修錬院
- 聖職者を養成するところでしょうか。インターネットを参考にしました。
- 29 静修(せいしゅう)
- 30 膠原病(こうげんびょう)
- 31 凝念(ぎょうねん)
- 32 サマリア(Samaria)
- 中東の地名。
- 33 祭司(さいし)
- 参考:司祭(しさい)。
- 34 起死回生(きしかいせい)
- 35 寸鉄人を殺す(すんてつひとをころす)
- 寸鉄人を刺す(すんてつひとをさす)。
- 36 死は盗人のように来る
- 私の持っていることわざ辞典には載っていませんでした。インターネットでも調べました。本書に解説があります。
- 37 清貧(せいひん)
- 38 マザー(mother)
- 本書「人名・用語解説」に解説があります。
- 39 初出(しょしゅつ)
- 40 巡(めぐ)り合(あ)わせ
- 「巡(めぐ)り会(あ)わせ」と意味が違います。サイトを作っているときに気になりました。
以下余白