『生きていくあなたへ』
- 副題など
- 「105歳 どうしても遺したかった言葉」。タイトルの一部とも思いましたが、弊サイトでは副題とさせていただきました。
- 帯には「死を目前に紡がれた、生涯現役 渾身最期のメッセージ」とありました。
- 著者など
- 著者 : 日野原 重明(ひのはら しげあき)氏著
- 出版社など
- 株式会社 幻冬舎 さん
- 版刷など
- 2017年9月第1刷。読んだものは、2017年10月第4刷。
- ボリューム
- 210ページ
感じたこと
「笑い」でしょうか。
読んだもの№129『死ぬほど読書』丹羽宇一郎氏著でも、笑いを取り上げていました。
人間の感情の中で、「笑い」と「憎しみ」は特別なものだと聞いたことがあります。「笑い」は、心を緊張や何らかの拘束から解放するようです。「憎しみ」は、心に強く緊張や何らかの拘束をしみこませるようです。
しかし、「笑い」と「憎しみ」は、正反対のものではなく、別々の性質のもののようです。「笑い」を得たからといって、その分に応じて「憎しみ」が消えるわけではありません。
そして、「笑い」にも、様々なものがあります。誰をも傷つけず、たわいない話題で笑うのが一番のようです。
10月初旬に落語を聞きました。落語は必ずオチがあると思っていました。冒頭にネタを仕込んでおいて、最後に言葉で締(し)める話です。これは、私の思い違いのようでした。
落語を噺(はなし)、小咄(こばなし)と言ったりします。また、落語家を噺家(はなしか)や咄家(はなしか)ともいいます。
お話を聞かせるのが、落語ではないかと思うようになりました。オチのある笑いもありますが、ただ人間のおかしみを語る笑いもあるのです。そして、神妙なものや、怖い話があっても不思議はありません。
では、噺家(はなしか)は何をしているのか、です。それは、心の中にある憂(う)さを忘れさせてくれる人だと思うようになりました。聞き手が、他のことを忘れて、話を聞き入るようにしてくれることです。
話ということでは、日常の話も大切だと感じました。読んだもの№35『雑談力が上がる話し方』齋藤孝氏著を思い出しました。何気ない話題は、後腐れなく、話に気持ちが入りやすいように思います。
本書の著者は、出会いが大切だと言っています。そして、本書に出会う1人1人との対話を望んでいます。読んでいて本書に吸い込まれるというか、一体感を覚えるというか、私には、そんな感じがありました。
読者は本と対話、考えながら読むので、他のことを忘れてしまうようです。読むことで、今を生きているのかもしれません。笑いとは違いますが、感情も安定する気がします。
人は言葉に生かされる。それを強く感じました。
この書物を選んだ理由
著者をテレビでお見かけしたことがありますが、どのような方なのか、私はよく知りませんでした。100歳を超える医師とは? 世界の見え方、人の感じ方はどのようなものなのだろうか、と思いました。書籍の広告を見たとき、無性(むしょう)に読みたいと思いました。
私の読み方
著者はクリスチャンとのことです。今までに聖書の言葉を聞いたことがありますが、ピンと来ませんでした。
憎しみを感じると、人は仕返しをしないと気が済まないようです。しかし、憎しみは、自らの生命力を弱める働きをするとも聞いたことがあります。憎しみのあまり、感情が自己消耗するというのです。感情の、アレルギーや自己免疫疾患といった感じなのでしょうか。
恕(ゆる)すのは難しいと、著者は言います。これを知ったとき、何かから解放された気分になりました。人はみんな同じなんだと。
著者は、聖書の言葉を長年にわたって、解釈し、支えとされてきたようです。それは、一瞬でできる理解とは違い、感情の落ち着きを必要としたはずです。多くの迷いがあったに違いありません。
人の一生は、多くの迷いの中で昇華(しょうか)されてゆくものなのかもしれません。
形式です。文字の大きさ、行の長さ、行間は適当で、かなり読みやすかったと思います。
取り扱う文によって、文字の大きさ、字体を変えていました。何を読むのかがわかるので、気持ちの切り替えがしやすかったように思います。
読んだ順番は、カバーと帯、本書の最初から目次まで、最期のメッセージ、おわりに、ご本人のあとがきにかえて、本文の順に読みました。
「最期のメッセージ」を最初に読むと、本書の内容がわかりやすいような気がします。
今まで読んできた本の著者で何人かの方に共通することがありました。それは、自分にとって本質的なことを追求していることです。競争に勝つことではなく、自己評価でもありません。
心に思う何か(自分の感じる本質)に向かって、ただ、ただ、心身を活動させることに喜びを感じています。
本書の著者も、このような方ではなかったかと、私は感じました。
読書所要時間など
- 総所要時間(読み始めから編集終了まで)
- 7日3時間12分
- 読み始め
- 2017(平成29)年10月15日(日)午前11時39分~
- 読み終わり
- 2017(平成29)年10月18日(水)~午前11時19分
- 一通り読んだ時間
- 2日23時間40分
- 編集終了
- 2017(平成29)年10月22日(日)~14時51分
- 読んだ範囲
- カバー、帯、本書。ただし、プロフィール、奥付は軽く目を通しました。
取り上げられた書物など
- 『聖書 新共同訳』 日本聖書協会さん
- 『置かれた場所で咲きなさい』 渡辺和子氏著
- 『生き方 人間として一番大切なこと』 稲盛和夫氏著
- 『禅』 鈴木大拙氏著
※ その他、多くの書籍の紹介がありました。
※ 本書に掲載はありませんが、書籍『死ぬほど読書』(丹羽宇一郎氏著)は、本質を追求するという点で参考になります。
出来事
10月22日(日) 接近中の台風21号(ラン)により広い範囲で大雨。
調べたこと
- 1 遺す(のこす)
- 残す(のこす)。
- 2 心境(しんきょう)
- 3 竦む(すくむ)
- 4 ゲツセマネ(Gethsemane)
- 本書では「ゲッセマネ」。
- 5 慰める(なぐさめる)
- 6 凝視(ぎょうし)
- 7 掛け替え(かけがえ)
- 8 四苦八苦(しくはっく)
- 9 探求(たんきゅう)
- 10 使命(しめい)
- 11 秘訣(ひけつ)
- 12 権威主義(けんいしゅぎ)
- 13 自暴自棄(じぼうじき)
- 14 押し合い圧し合い(おしあいへしあい)
- 15 筆舌(ひつぜつ)
- 16 聖句(せいく)
- インターネットで調べました。
- 17 死生観(しせいかん)
- 18 徐徐(じょじょ)
- 19 古今東西(ここんとうざい)
- 20 交歓(こうかん)
- 21 愛おしい
- 本書では「いとおしい」とのフリガナがありました。参考:愛しい(いとしい)。
- 22 清貧(せいひん)
- 23 清廉潔白(せいれんけっぱく)
- 24 帰還(きかん)
- 25 間柄(あいだがら)
- 26 強張る(こわばる)
- 27 つんけん
- 28 喪失(そうしつ)
- 29 絆(きずな)
- 30 大勢(おおぜい)
- 31 晩餐(ばんさん)
- 32 情景(じょうけい)
- 33 インスピレーション(inspiration)
- 34 アート(art)
- 本書では「芸術」。他に、「技術」「技巧」「ワザ」などの意味もあるようです。複数形「arts」では「科目」などの意味もあるようです。
- 35 魅了(みりょう)
- 36 駆使(くし)
- 37 癒す(いやす)
- 38 床下(ゆかした)
- 39 惹く(ひく)
- 40 煙に巻かれる
- 本書ではお線香の煙のことなので、「けむりにまかれる」でいいのでしょうか。「けむにまく」ではない気がします。
- 41 数珠繋ぎ(じゅずつなぎ)
- 42 献身的(けんしんてき)
- 43 トリオ(trio:イタリア語)
- 44 カルテット(quartetto:イタリア語)
- 45 凌駕(りょうが)
- 陵駕(りょうが)。
- 46 目のあたり(まのあたり)
- 47 ホスピス(hospice)
- 48 恕す(ゆるす)
- 本書に解説があります。参考:許す(ゆるす)、赦す(ゆるす)。
- 49 タラップ(trap:オランダ語)
- 50 苛め(いじめ)
- 51 示唆(しさ)
- 52 居候(いそうろう)
- 53 食い扶持(くいぶち)
- 54 一所懸命(いっしょけんめい)
- 参考:一生懸命(いっしょうけんめい)。
- 55 人事(じんじ)を尽(つ)くして天命(てんめい)を待(ま)つ
- 56 年の功(としのこう)
- 参考:亀(かめ)の甲(こう)より年の功。
- 57 切り口(きりくち)
- 58 薔薇(ばら)
- 59 人智(じんち)
- 人知(じんち)。
- 60 綺麗(きれい)
- 奇麗(きれい)。
- 61 聳える(そびえる)
- 62 御手(みて)
- インターネットで調べました。参考:御手(おて)。
- 63 革新(かくしん)
- 64 骨身に沁みる(ほねみにしみる)
- 65 私腹を肥やす(しふくをこやす)
- 66 心無い(こころない)
- 67 逆境(ぎゃっきょう)
- 68 手が掛かる(てがかかる)
- 本書では「手のかかる」。
- 69 識別(しきべつ)
- 70 素直(すなお)
- 71 美容(びよう)
- 72 無限大(むげんだい)
- 73 感動(かんどう)
- 74 利他(りた)
- 75 パフォーマンス(performance)
- 76 徹底(てってい)
- 77 検証(けんしょう)
- 78 待望(たいぼう)
- 79 聖水(せいすい、holy water)
- 80 インタビュー(interview)
- 81 気丈(きじょう)
- 82 朗らか(ほがらか)
- 83 頬(ほお、ほほ)
- 84 危篤(きとく)
- 85 驚愕(きょうがく)
- 86 ハグ(hug)
- 87 袖(そで)
- 本書では「舞台袖」。
- 88 頑丈(がんじょう)
- 89 固唾を呑む(かたずをのむ)
- 90 飽く迄(あくまで)
- 91 瞑る(つぶる、つむる)
- 92 混濁(こんだく)
- 93 しぶとい
- 94 リバイバル(revival)
- 95 ダイナミック(dynamic)
- 96 今日(こんにち、きょう)
- 「こんにち」と「きょう」を区別。
- 97 具現(ぐげん)
- 98 お遍路(おへんろ)
- お+遍路。
- 99 御心(みこころ)
- 100 ジェスチャー(gesture)
- 101 辛い(つらい)
- 102 エンカウンター(encounter)
- 偶然に出会う。
- 103 キープオンゴーイング
- 著者の言葉。「前に進み続けよう」とのこと。本書の155ページに解説があります。
以下余白