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読んでやる! 読んだもの
№129 『死ぬほど読書』

 著者は人間の本質とは何かを問い続けています。人間の証について思考を深めています。その方法の1つとして、読書を勧めています。

『死ぬほど読書』

副題など
 帯には、「本を読む人にしか、わからないことがある。」「『何をどう読むか』がかなり重要。」とありました。
著者など
著者 : 丹羽 宇一郎(にわ ういちろう)氏著
出版社など
株式会社 幻冬舎 さん
版刷など
 幻冬舎新書461。2017年7月第1刷。読んだものは、2017年8月第4刷。
ボリューム
 183ページ

感じたこと

 「傷つくかどうかは自分しだい」というのを聞いたことがあります。

 本書には「動物の血」「理性の血」という言葉が出てきます。
 「動物の血」とは、自分の本能に忠実なことをいうようです。また、「理性の血」とは、客観性、相互理解をいうようです。

 人は、根も葉もないウワサを流したり、非難したり、バカにしたりします。おそらく、聞いたことのない人は少ないと思います。ねたみや、やっかみが、そのようにさせるのでしょう。これが「動物の血」とのことのようです。
 傷つけることで、相手より自分の方が、価値があると思うのでしょうか。または、相手が傷つくことに快感を覚えるのでしょうか。
 言われた方は、気になります。誠実な人なら、根拠があれば、直そうと努力するでしょう。直しようがなければ、どうしようもありません。

 このような話を聞くと、攻撃する側だけが「動物の血」で野蛮と思いがちです。しかし、言われて気になる側も「動物の血」がそのように感じさせている、と思いました。
 どちらも本能が働いています。攻撃側は優位性を、言われる側は自分の存在価値を守ろうとしているようです。組織の中で強いことは、生き残ることにつながります。また、存在の必要性も同じことです。
 攻撃側も、言われて傷つく方も、「動物の血」がそうさせるのでしょう。

 賞賛された場合は、人の言葉をそのまま受け入れてしまいがちです。これも「動物の血」なのでしょう。
 良くも悪くも「動物の血」が騒ぐのです。それが真実なのか、真意なのかわからないのに、です。
 相手を誹謗(ひぼう)中傷(ちゅうしょう)したからといって、自分の能力や品格が向上するわけではありません。むしろ、それらは侮辱や名誉毀損の犯罪行為に近いと思います。
「動物の血」からは、人の言うことも、自分の感じることも、アテにはならないと思えてきます。

 何が本当なのかと、思ってしまいます。欲目を捨て、自分を第三者的に見て、判断せざるを得ません。これが「理性の血」なのでしょうか。言い分に理由がなければ、気にすることはありません。
 判断が正しいかどうかですが、見て感じて考えることは、本人に取っては、少なくとも本当のことです。そこに「動物の血」が入るから問題なのです。
「理性の血」から見ると、攻撃側の見て感じて考えることは、かなり疑わしいと言えます。端(はな)から「動物の血」で物事を見ているからです。

 「理性の血」により、他人の発言、自分の言動が正当かどうか見極められるなら、傷つかずにすむかもしれません。しかし、「動物の血」と「理性の血」を区別するのは、現実にはかなり難しいと思います。
 それでも、「動物の血」に操られないように、「理性の血」を磨き続けようとするのが人なのでしょう。何もしなければ、「動物の血」の言いなりです。

この書物を選んだ理由

 新聞の書籍広告にあったので、読むことにしました。タイトルの「読書」に目が行きました。

私の読み方

 「感じたこと」の「動物の血」と「理性の血」とかぶりますが。
 「動物の血」を満たすために、「理性の血」を使っていると感じることがあります。「バレなければ何をやっても構わない」とか、マニュアルにあることを守ってさえいればよい、などといったものです。
 何のために、「理性の血」を向上させ、マニュアル、マナーはあるのか、です。集団や個々の人とは何か、という本質を考えない傾向があるように感じます。表面的なものだけに注目して、「なぜ」そうするのかを考えない感じです。結果オーライで、生産性だけに注目しているようです。
 人についても、人間性を評価する組織がどれだけあるのでしょうか。何となくですが、人々が「動物の血」をもった機械になっていくよう気がします。

 本書の冒頭に、読書についての疑問を、大学生が投稿した新聞記事がありました。私もこれを読みました。
 やはり、趣味でも何でもいいのですが、あるテーマついて書かれた文字の塊(本など)を読まないのは、いかがなものか、と。読み方を考える弊サイトの立場から言うと、マズイと思います。
 最大の理由は、読むために必要な心身が衰えていくからです。日頃から読んでいないのに、思い立っても十分に読めません。年を取ると、さらに難しくなります。一旦、中断すると、能力は極端に落ち、感覚は元に戻らなくなるようです。若い間に能力を伸ばしておき、読み続けるのがいいようです。
 眼と意識を使う能力は、読書だけとは限りません。

 スランプのことが書いてありました。人は動物ですから、心身は一定ではなく、変化していきます。精神論よりも技術的な方法が欲しいところです。
 気をつけたいのは、心身の不調です。本人は気づかないこともあるので、健康診断を受けた方がいいかもしれません。
 調子が良すぎる場合も、注意が必要なようです。うつ病は気づいても、そう病は気づきにくいそうです。
 病気でなければ、安心です。しかし、自分の思うように心身が動かないのは歯がゆいものがあります。

 人が「年を取ると本が読めなくなった」というのを聞いたことがあります。
 その原因が、眼、理解力、意識なのかよくわかりません。過去に本を読み、人生経験があるので、理解力はあると思われます。それとも、新しい分野にチャレンジしているのかもしれません。
 やはり、年齢のせいにするのは、心身の衰えだと本人は感じているようです。

 さて、本書には、理論を念頭に技術の習得が書かれてありました。しかしながら、読書する時の心身の使い方について、技術の理論の記述はありませんでした。もし、心身の使い方についての技術的な理論があれば、読書も向上するかもしれません。

 先ほどのスランプの話に戻りますが、できることは2つあるに思います。1つは、基礎基本を正確にゆっくりと確認し、動作できるようにすること。もう一つは、不調な場面を忘れて、趣味などの違う分野に気持ちを切り替えること、です。
 基礎基本は正確であれば、それに越したことはありません。不調は自分のせいだけとは限りません。環境や運など、偶然に左右されることがあります。不調な場面を繰り返したくないわけですから、忘れる方がいいのです。反対の絶好調な場面も同じです。

 知りたいのは、基礎基本とは何かです。学校では本の読み方を習いません。文字を教えてもらって、音読や黙読をしますが、個人が自然に体得するのを待つのみです。
 読書の心身の使い方の基礎基本とは何でしょうか。あるなら、読書の向上、スランプ対策に役立つはずです。理論的な技術の習得ができるわけですから。

 形式は、新書の形です。文字の大きさ、行間など、読みやすかったです。著者のノートの写真は参考になりました。
 読んだ順番は、ページ順に読みました。
 わかりやすい文章で、流行(はやり)の言葉もありました。著者の考えを述べていますが、読者を拘束するような感じではありませんでした。今までにない感覚がありました。
 本書から、多くのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。

読書所要時間など

総所要時間(読み始めから編集終了まで)
11日13時間25分
読み始め
2017(平成29)年10月2日(月)午前10時15分~
読み終わり
2017(平成29)年10月4日(水)~14時39分
一通り読んだ時間
2日4時間24分
編集終了
2017(平成29)年10月13日(金)~23時40分
読んだ範囲
 本書、カバー、帯。ただし、「おわりに」の次ページ以降は軽く目を通し、巻末の書籍広告は見ていません。

取り上げられた書物など

  • 『人間-この未知なるもの』 アレクシス・カレル氏著
  • 『道徳感情論』 アダム・スミス氏著
  • 『木のいのち木のこころ』 西岡 常一氏著
  • 『沈黙の螺旋理論』 E・ノエル=ノイマン氏著

 ※ その他、多くの書籍の紹介がありました。

 ※ 本書に掲載はありませんが、
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプットマネジメント)』(アンドリュー・S・グローブ氏著、小林薫氏訳)
が参考になります。

出来事

 10月6日(金) 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN=International Campaign to Abolish Nuclear Weapons)にノーベル平和賞。

ひととき

 今年は、エノコログサ(猫じゃらし)とこの草の勢いがありました。いつもの場所のチガヤは、影が薄くなっていました。
 インターネットで調べたのですが、名前がわかりませんでした。メリケンカルカヤ、だと思うのですが。

メリケンカルカヤ

調べたこと

1 件(くだん、くだり)
2 自立(じりつ)
 参考: 自律(じりつ)。
3 露(つゆ)・・・ずorない(否定形)
4 程(ほど)
 本書では「ほども・・・ない」。
5 身震い(みぶるい)
6 紛い物(まがいもの)
 擬い物(まがいもの)。
7 隆盛(りゅうせい)
8 フェイクニュース(fake news)
 インターネットで調べました。
9 貶める(おとしめる)
10 デマ
 デマゴギー(Demagogie:ドイツ語)。
11 ソーシャルメディア(social media)
 双方向の伝達手段。参考:マスメディア(mass media)。
12 出鱈目(でたらめ)
13 キュレーション(curation)
 情報を収集整理し展示すること。
14 サイト(site)
15 玉石混淆(ぎょくせきこんこう)
16 SEO(Search Engine Optimization)
 検索エンジン最適化。
17 杜撰(ずさん)
18 露呈(ろてい)
19 担保(たんぽ)
20 今上天皇(きんじょうてんのう、こんじょうてんのう)
21 世論調査(せろんちょうさ、せいろんちょうさ)
 輿論調査(よろんちょうさ)。
22 礼賛(らいさん)
23 一辺倒(いっぺんとう)
24 憧憬(しょうけい、どうけい)
25 クオリティ(quality)
26 赴く(おもむく)
27 折(おり)
28 自戒(じかい)
29 教訓(きょうくん)
30 痛感(つうかん)
31 慈雨(じう)
32 針の筵(はりのむしろ)
 針の筵に座る(はりのむしろにすわる)。
33 人徳(じんとく)
34 吹っ切れる(ふっきれる)
35 含み損(ふくみそん)
36 挽回(ばんかい)
37 ブラックボックス(black box)
38 確度(かくど)
39 ・・・めく
40 夥しい(おびただしい)
41 情報リテラシー(information literacy)
 情報を扱う能力。
42 博覧強記(はくらんきょうき)
43 細切れ(こまぎれ)
 小間切れ(こまぎれ)。
44 断片的(だんぺんてき)
45 悠久(ゆうきゅう)
46 乱読(らんどく)
 濫読(らんどく)。
47 悪書(あくしょ)
48 類書(るいしょ)
49 姿形(すがたかたち)
50 生長(せいちょう)
 参考:成長(せいちょう)。
51 直言(ちょくげん)
52 若気の至り(わかげのいたり)
53 書生(しょせい)
54 ・・・ぽい
55 感興(かんきょう)
56 執拗(しつよう)
57 憚る(はばかる)
58 教養(きょうよう)
59 天職(てんしょく)
60 益す(ます)
 増す(ます)。
61 渉猟(しょうりょう)
62 喝破(かっぱ)
63 優生学(ゆうせいがく)
64 バイアス(bias)
65 所狭し(ところせまし)
 参考:所狭し(ところせし)。
66 虚栄心(きょえいしん)
67 代物(しろもの)
68 上っ面(うわっつら)
 上面(うわつら)。
69 恰好(かっこう)
 格好(かっこう)。
70 隠遁(いんとん)
71 唸る(うなる)
72 堪能(たんのう)
73 あざとい
74 仰仰しい(ぎょうぎょうしい)
75 食指(しょくし)
 参考:食指が動く。
76 反芻(はんすう)
 本書ではよく使われていたように感じました。読書には、考えることが大切なようです。
77 醍醐味(だいごみ)
78 沁みる(しみる)
 染みる(しみる)。
79 冗長(じょうちょう)
80 潜り抜ける(くぐりぬける)
81 耳を澄ます(みみをすます)
82 高尚(こうしょう)
83 下訳(したやく)
84 左翼(さよく)
 対義語:右翼(うよく)。
85 骨休み(ほねやすみ)
86 血肉(けつにく)
87 興趣(きょうしゅ)
88 散見(さんけん)
89 老舗(しにせ)
90 愚にもつかない(ぐにもつかない)
91 下世話(げせわ)
92 効用(こうよう)
93 培う(つちかう)
94 桶屋(おけや)
95 風(かぜ)が吹(ふ)けば桶屋(おけや)が儲(もう)かる
96 太刀打ち(たちうち)
97 リベラリズム(liberalism)
 自由主義。
98 リバータリアニズム(libertarianism)
 リバタリアニズム。自由至上主義。
99 コミュニタリアニズム(communitarianism)
100 蔓延(まんえん)
101 推察(すいさつ)
102 新興国(しんこうこく)
 インターネットで調べました。
103 注力(ちゅうりょく)
104 下地(したじ)
 参考:下地(かち)と読めば別意。漢和辞典などで調べました。
105 風土記(ふどき)
 読み方に注意です。「ふうどき」とは読みません。
106 史料(しりょう)
 参考:資料(しりょう)。
107 筆致(ひっち)
108 繙く(ひもとく)
 参考:紐解く(ひもとく)。
109 絵空事(えそらごと)
100 綯い交ぜ(ないまぜ)
101 綯う(なう)
102 現生人類(げんせいじんるい)
 ホモサピエンス(Homo sapiens:ラテン語)。
103 連綿(れんめん)
104 発祥(はっしょう)
105 憂さ晴らし(うさばらし)
106 強靱(きょうじん)
107 真摯(しんし)
108 アスリート(athlete)
109 無上(むじょう)
110 膨大(ぼうだい)
 参考:厖大(ぼうだい)。
111 捻出(ねんしゅつ)
 拈出(ねんしゅつ)。
112 趣(おもむき)
 参考:趣(しゅ)。
113 唯一無二(ゆいいつむに)
114 食傷(しょくしょう)
115 小生意気(こなまいき)
116 螺旋(らせん)
 参考:螺線(らせん)。
117 興(きょう)
118 興に乗る(きょうにのる)
119 能動的(のうどうてき)
120 贅沢(ぜいたく)
121 我が儘(わがまま)
122 真価(しんか)
123 フィードバック(feedback)
124 不即不離(ふそくふり)
 つかず離れず。
125 ハイヤー(hire)
126 渾然一体(こんぜんいったい)
127 波瀾万丈(はらんばんじょう)
128 しくじり
129 編纂(へんさん)
130 喉元(のどもと)過(す)ぎれば熱(あつ)さを忘(わす)れる
131 推(お)して知(し)るべし
132 ハインリッヒの法則(Heinrich’s law)
 本書に解説があります。
133 ヒヤリ・ハット
 ハインリッヒの法則から来ています。公的機関でも使われているようです。インターネットなどで調べました。
134 驕り(おごり)
135 順風満帆(じゅんぷうまんぱん)
136 自伝(じでん)
137 眉(まゆ)に唾(つば)をつける
 だまされないように気をつける。
138 早出料(はやでりょう)
139 滞船料(たいせんりょう)
140 積地(つみち)
 早出料、滞船料を調べていると出てきた言葉でした。
141 精算(せいさん)
 対義語は「概算(がいさん)」。参考:清算(せいさん)。
142 後の祭(あとのまつり)
 手おくれ。
143 暗澹(あんたん)
144 特損処理
 「とくそんしょり」と読むのでしょうか。特別損失の略。会計の用語のようです。参考:特別損益(とくべつそんえき)。臨時損益(りんじそんえき)。前期損益修正(ぜんきそんえきしゅうせい)。インターネットなどで調べました。
145 忸怩(じくじ)
 恥じいること。
146 半生(はんせい)
 参考:半生(はんしょう)と読めば別意。半死半生(はんしはんしょう)。
147 回顧録(かいころく)
148 敗残者(はいざんしゃ)
 敗残+者。
149 ソフトランディング(soft landing)
 軟着陸。
150 危惧(きぐ)
151 路頭(ろとう)に迷(まよ)う
152 紙一重(かみひとえ)
153 口伝(くでん)
 漢和辞典では「こうでん」とも。
154 殺ぐ(そぐ)
 削ぐ(そぐ)。
155 賑やか(にぎやか)
156 沖仲仕(おきなかし)
157 安穏(あんのん)
 参考:「あんおん」。
158 羨ましい(うらやましい)
159 ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige:フランス語)
 高貴さに伴う義務。
160 セレンディピティ(serendipity)
 セレンディピティー。本書に解説があります。
161 邪(よこしま)
162 セレーン(serene)
 本書に意味が書いてあります。
163 ばらける
164 スランプ(slump)
165 エゴイスト(egoist)
166 歓談(かんだん)
 款談(かんだん)。
167 軋轢(あつれき)
168 等閑(なおざり)
 参考:御座なり(おざなり)。
169 柔(やわ)
 和(やわ)。
170 しょっちゅう
171 ヒステリック(hysteric)
172 汗顔(かんがん)
173 雅量(がりょう)
174 死生観(しせいかん)
175 尊厳死(そんげんし)
176 安楽死(あんらくし)
177 一般財団法人 日本尊厳死協会(JAPAN SOCIETY FOR DYING DIGNITY)さん
 ホームページを確認しました。
178 屈託(くったく)
179 寸前(すんぜん)
180 KY
 本書に意味が書いてあります。参考:KY(危険予知)。
181 忖度(そんたく)
182 衆愚(しゅうぐ)
183 目敏い(めざとい)
 目聡い(めざとい)。
184 付和雷同(ふわらいどう)
 附和雷同(ふわらいどう)。
185 文物(ぶんぶつ)
186 忽然(こつぜん)
187 他愛無い(たあいない、たわいない)
188 瞠目(どうもく)
189 傘寿(さんじゅ)
 80歳。

以下余白

更新記録など

2017年10月14日(土) : アップロード