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読んでやる! 読んだもの
№128 『アルコールとうつ・自殺』

 アルコール依存症は「否認の病」です。誰にも話せず、ひとりで苦しみ続けます。飲酒はアルコール近視を引き起こし、衝動的な行動に駆り立てます。アルコール自体の危険性を著者は訴えています。

『アルコールとうつ・自殺』

 岩波ブックレット897

副題など
 副題は「『死のトライアングル』を防ぐために」
 本書表紙には「働きざかりの悩める男たち、依存症一歩手前の皆さん、そして家族や恋人、友人、同僚、医療者の方々へ」とありました。
著者など
著者 : 松本 俊彦(まつもと としひこ)氏著
出版社など
株式会社 岩波書店 さん
版刷など
 2014年5月第1刷。
ボリューム
 78ページ。ただし、73ページ以降は「引用文献一覧」です。

感じたこと

 腰痛を和らげるために飲酒したことを思い出しました。

 杖が必要になるくらいに、腰痛がひどくなり始めた頃です。夕食時に日本酒を飲むと、痛みが和らぎ、よく寝られることがわかりました。
 このことをお医者さんに話すと、腰の血流をよくする薬を処方してくれました。しかし、薬を飲むと、心臓の鼓動が早く大きくなり、気分が悪くなりました。痛みも和らぎません。薬は飲まないことにしました。
 ほぼ毎日、日本酒を飲みはじめました。日本酒以外に、ビールや発泡酒も飲んでいました。日本酒に換算すると、1合で収まる時もあれば、4合程度飲むこともありました。飲まない日を除く、平均飲酒量は2~3合だったと思います。日が進むにつれ、飲む量は増えていったように思います。
 しかし、寝る時は体の芯が温まって寝やすいのですが、朝起きると体が冷えているように感じました。そして、腰がかなり痛いのです。アルコールが醒めてなのか、症状の悪化で痛いのか、わかりませんでした。

 手術の3日前からはお酒を口にしませんでした。アルコールを飲んでいると、麻酔が効きにくいと聞いていたからです。そして、当然、入院中はお酒を飲めません。
 約1ヵ月入院していました。退院する数日前になって気づいたことがありました。
 入院前は、些細なことでもうまくいかない気持ちになっていました。退院直前には、何かをやれそうな気分になっていました。
 これから腰がよくなるということでは希望を持ったとも考えられます。しかし、帰宅後、飲酒をすると入院前の感じ方に戻っていました。これは、手術ではなく、アルコールではないか、と疑うようになりました。

 今から思うと、腰痛を和らげるためにお酒を飲んだのは、自己治療だったのでしょう。そして、アルコール依存症になっていたようです。酒量には気をつけていましたが、体質がお酒にはあまりあっていなかったようです。
 そして、お酒による自己治療を始めるより、腰痛の手術を急いだ方がよかったと思っています。根本を治さないと、問題は解決しないからです。

 晩酌を毎日続けていて、3日飲まないと頭がスッキリしてきます。1週間飲まないと、体まで動くように感じます。1ヵ月ほど飲まないと、心まで、爽やかな気分になってきます。その状態を続けたいと思うようになります。
 しかし、いったん口にすると、晩酌が始まります。アルコールは、飲み方をコントロールしづらいことを実感します。

この書物を選んだ理由

 アルコールが気分に影響を与えるのかどうかを知りたいと思いました。インターネットで検索して、この本を知りました。

私の読み方

 衝撃的な内容でした。しかし、私が求めていた、アルコールが心身に与える影響がわかりました。
 また、衝動的な行為が、その人の価値観や性格にもよるそうです。そして、アルコールが行為を促進させるのです。

 形式です。上下2段になっていました。字は小さいのですが、1行が短く読みやすいと感じました。
 図や表があり、わかりやすかったと思います。ただ、ホームページやパンフレットの写真?が掲載されていますが、文字が小さくて読めませんでした。インターネットを使って、確認する必要があります。
 時々、難しい漢字や、わからない言葉がありましたが、インターネットなどで調べることができました。
 前半で語られた言葉が、後半に出てきます。前半の言葉のあったところ探すのに時間がかかりました。索引が欲しいと思いました。
 読んだ順番は、ページ順です。不都合はありませんでした。

 わずか78ページの小冊子ですが、内容が濃いように思いました。困難な問題を扱っていますが、わかりやすく書かれてありました。よくできた本でした。
 アルコールを飲む人は、読んでおいた方がいいように思いました。

読書所要時間など

所要時間
3日10時間51分
読み始め
2017(平成29)年9月14日(木)午前10時16分~
読み終わり
2017(平成29)年9月17日(日)~21時07分
読んだ範囲
 本書。「引用文献一覧」、奥付、巻末の書籍広告などは軽く目を通しました。

取り上げられた書物など

  • 『自殺論』 エミール・デュルケーム氏著
  • 自殺予防総合対策センターのホームページ「いきる」
  • 『依存症から回復した大統領夫人』 ベティ・フォード氏著
  • 断酒会 さん
  • Alcohol Anonymous さん
  • アラノン(Al-Anon) さん
  • 断酒会家族会 さん

 ※ 引用文献一覧に多くの書籍の紹介がありました。

 ※ 本書には掲載はありませんが、
『人はなぜ依存症になるのか-自己治療としてのアディクション-』(エドワード・J・カンツィアン氏&マーク・J・アルバニーズ氏著、松本俊彦氏訳)
が参考になります。

出来事

 9月17日(土) 台風18号が九州に上陸。各地に大雨被害。

調べたこと

1 ブックレット(booklet)
 小冊子。
2 旗手(きしゅ)
3 小道具(こどうぐ)
4 喪う(うしなう)
5 傷心(しょうしん)
6 カクテル(cocktail)
 「フローズン・ダイリキ」「モヒート」「ドライマティーニ」をインターネットで調べました。実際に飲んでいません。
7 剖検(ぼうけん)
8 一瞥(いちべつ)
9 大うつ病性障害(だいうつびょうせいしょうがい)
 『標準精神医学(第4版)』(医学書院)やインターネットで調べました。
10 双極性障害(そうきょくせいしょうがい)
 『標準精神医学(第4版)』(医学書院)やインターネットで調べました。
11 気分変調性障害(きぶんへんちょうせいしょうがい)
 『標準精神医学(第4版)』(医学書院)やインターネットで調べました。
12 スクリーニング(screening)
13 カイ二乗検定(かいにじょうけんてい、かいじじょうけんてい)
 インターネットで調べました。
14 生き様(いきざま)
15 人となり(ひととなり)
 為人(ひととなり)。
16 呆れる(あきれる)
 惘れる(あきれる)。
17 ど壺(どつぼ)
18 忌避(きひ)
19 脳天気(のうてんき)
 能天気(のうてんき)、能転気(のうてんき)。
20 エビデンス(evidence)
 本書では「実証的知見」。参考:Evidence Based Medicine(略称:EBM)、エビデンスに基づいた医療。
21 念慮(ねんりょ)
22 企図(きと)
23 エピソード(episode)
 症状、発症、発病、発作。医療用語のようです。インターネットで調べました。
24 不評(ふひょう)
25 コホート(cohort)
26 機会飲酒
 機会+飲酒。何かのおりにお酒を飲むことのようです。例えば、歓送迎会など。
27 耐性(たいせい)
 本書では「中枢神経系に生じる『慣れ』のこと」とありました。
28 忌憚(きたん)
29 縊首(いしゅ)
30 素面(しらふ)
 白面(しらふ)。
31 スターダム(stardom)
32 如実に(にょじつに)
33 痛飲(つういん)
34 しんどい
35 ゲートキーパー(gate keeper)
 門番。心の問題を扱う人のことでしょうか。
36 多変量解析(たへんりょうかいせき)
 インターネットで調べました。
37 うかうか
38 変節(へんせつ)
39 マージン(margin)
40 招かれざる客(まねかれざるきゃく)
 インターネットで調べました。
41 生産年齢(せいさんねんれい)
42 穿つ(うがつ)
43 底つき体験
 本書に解説があります。インターネットでも調べました。
44 惹起(じゃっき)
45 酒壜(さかびん、さけびん)
46 耽溺(たんでき)
47 苛む(さいなむ)
48 シンポジウム(symposium)
49 独壇場(どくせんじょう、どくだんじょう)
 辞書には「どくだんじょう」は、誤読からできたとありました。
50 心細い(こころぼそい)
51 十把一絡げ(じっぱひとからげ)
52 恣意(しい)
53 一杯(いっぱい)
 参考:「一杯は人酒を飲む、二杯は酒酒を飲む、三杯は酒人を飲む」。
54 引っ掛ける(ひっかける)
55 車掌(しゃしょう)
56 ビンジ・ドリンキング(binge drinking)
 本書に解説があります。
57 目論見(もくろみ)
58 コンチネンタル(continental)
 本書に解説があります。
59 へべれけ
60 呂律(ろれつ)
61 呂律が回らない(ろれつがまわらない)
62 カミングアウト(coming out)
63 やるせない
64 モチーフ(motif)
65 アディクション(addiction)
 嗜癖。依存症。

以下余白

更新記録など

2017年9月18日(日) : アップロード