『教育力』
岩波新書(新赤版)1058
- 著者など
- 著者 : 齋藤 孝(さいとう たかし)氏著
- 出版社など
- 株式会社 岩波書店 さん
- 版刷など
- 2007年1月第1刷。読んだものは、2007年3月第4刷。
- ボリューム
- 214ページ
感じたこと
腰痛の手術で入院中にあったことをお話しします。
入院病棟には、患者やその家族が利用できる大部屋がありました。そこで、退院する数日前、消灯の1時間前に熱いお茶を飲んでいました。
あまり見たことの無いご高齢の患者(X)さんが後で入ってきました。「テレビを見ようと思って。錦織圭選手の試合がもうすぐ始まる」と控えめな様子でした。そして、入院患者おきまりのご自身の病状を簡単に言って、私のことを質問しました。
話しているうちに、Xさんは趣味がカメラだと教えてくれました。在職中からカメラのある団体に所属し、定年退職後は本格的にカメラに没頭するようになったそうです。そのきっかけは、息子からのプレゼントだったそうです。定年退職の記念として、デジタルカメラやパソコン、画像処理ソフトなどをもらったそうです。
退職した勤務先で、定年の2、3年前にパソコン研修があったそうです。その知識を元に、インターネットなどを見ながら、パソコンやソフトの使い方を覚えていったそうです。時間はあるので、暇を潰すのによかったとのことです。
カメラはデジタルに変わっても、操作はフィルム式のカメラと同じように使っているとこのことでした。データをパソコンに送信するなど、カメラのデジタルに関係する操作だけ取扱説明書で確認したそうです。
カメラにも分野があるそうで、Xさんは風景の撮影を主にしているとのことでした。何日も泊まりで、劇的な一瞬を狙うのだそうです。また、対象物の特長を最大限に引き出すため、ライトなどの器材を準備したりするそうです。この場合、撮影よりも、準備する時間のほうが長くかかるとのこと。
応募要項に合った写真がある場合、展覧会に出品するそうです。いくつかの写真は受賞したそうですから、その腕前は確かです。
会心の写真は、いつ見ても気持ちがよく、充実感に包まれるそうです。
Xさんからアドバイスをいただきました。趣味を持っていると充実した時を過ごせる、と。
病院内で話をすると、病気の話しばかりで単調で、ウンザリしてきます。Xさんには趣味のカメラがあります。誰でもが触ったことのあるカメラは、よい話題でした。Xさんは経験談を話し、聞き手はカメラについて質問ができます。
Xさんを理知的に感じました。そして、現役でまだまだやっていける素質のある人だと思いました。私の感触から言えば、当時の退職間際で、現在70歳くらいの方はパソコン研修に消極的でした。書類は手書きで、後からパソコンで清書をしていました。このことから、Xさんが、新しいモノ・コトに対して受容力があると感じました。趣味が高じて、それらを受け入れられたのではないと思いました。もともと環境の変化に順応する力が高かったと感じました。
生活の糧を得る以外に、趣味や、ライフワークを持つことは、人生に色・艶(つや)・潤いを与えてくれるようです。Xさんの、目の輝き、話しぶりに、真実味がありました。
この書物を選んだ理由
この本は私が買った本ではありません。準備できなかったので、家族に頼んで適当に見繕ってもらいました。
私は、教育者ではありません。人に何かを伝えたのは、一度限りの研修の講師を務めたことくらいです。
ただ、1つ引っ掛かったのは、弊サイトの本の読み方をどのように伝えるのか、という問題です。この場合、伝達力ですが、教育力も無関係ではありません。
どのように伝達するのかに主眼をおいて、本書を読むことにしました。
私の読み方
5、25、37、44、119、130、132、197ページに読書のことが書いてありました。
しかしながら、目や呼吸法を使って、具体的に本を読む方法については書いてありませんでした。本を読むことの大切さを連呼はしていますが。
さて、なぜ、本を読むことが大切なのかです。やはり情報の取得がメインではないかと思います。情報源の中に本があります。そして、情報の中には文字で示されたものが多いのです。インターネットにかかるSNSも文字を使っています。文字の塊を読む能力が必要です。
情報の取得という観点からは、本以外に、DVD、インターネットなど動画に関するものがあります。これらは、言葉では表せないものを伝えることができます。そして、一目瞭然です。
テレビで映像を見ているから、文字だけの文章もわかりやすいこともあると思います。前知識があるからです。「百聞は一見に如かず」は昔から言われてきたことで、現在においても十分に通用します。
しかしながら、本の歴史は古く、ほとんどのことが本になっています。求めても、DVDなどの映像になっている資料がないことは多くあります。
情報の取得いう点では、本というよりは、文字を、文章を読む能力も必要だと思います。そして、読書には、それらの能力を維持、向上させる側面があります。
本書は、知的活動に怠慢であってはならない、を主張しているようです。そのモデルとして、読書を強調したのでしょう。
今年の3月にドライブをしていた時のことです。歩道橋に横断幕が掛けてありました。そこには、本を1冊カバンに入れて持ち歩こう、というようなスローガンがありました。これは、地方自治体が作成したものでした。
最近になって、文部科学省のホームページを見ました。すると、平成13年に「子どもの読書活動の推進に関する法律案」が公布・施行されたとありました。この法律を基に、地方自治体が活動をはじめたようです。
形式です。
新書形式です。図や表はなかったように思います。にもかかわらず、読みが止まることはありませんでした。わかりやすく書かれていたのだと思います。
紹介された書籍などは40冊を超えていました。筆者が本をたくさん読んでいるのがわかりました。
読書所要時間など
- 所要時間
- 37日14時間41分
- 読み始め
- 2017(平成29)年6月10日(土)19時23分~
- 読み終わり
- 2017(平成29)年7月18日(火)~午前10時04分
- 読んだ範囲
- 本文。ただし、カバー、奥付は軽く目を通しました。奥付の次ページ以降は見ていません。
取り上げられた書物など
- 『福翁自伝』 福沢 諭吉氏著
- 『武士の娘』 杉本 鉞子氏著
- 『風姿花伝』 世阿弥
- 『ファウスト』 ゲーテ氏著
これ以外にも、多くの書籍などの紹介がありました。
調べたこと
- 1 教育(きょういく)
- 2 ・・・力(・・・りょく)
- 3 臨む(のぞむ)
- 4 祝祭(しゅくさい)
- 5 憧れ(あこがれ)
- 憬れ(あこがれ)。
- 6 ベクトル(Vektor:ドイツ語)
- 7 会得(えとく)
- 8 威厳(いげん)
- 9 只管打坐(しかんたざ)
- 10 発散(はっさん)
- 11 経験(けいけん)
- 12 経験知(けいけんち)
- 参考:形式知(けいしきち)。インターネットで調べました。
- 13 切磋琢磨(せっさたくま)
- 14 十年一日(じゅうねんいちじつ)
- 15 本末転倒(ほんまつてんとう)
- 16 絶大(ぜつだい)
- 17 尊王攘夷運動(そんのうじょういうんどう)
- 尊皇攘夷運動(そんのうじょういうんどう)。
- 18 幽閉(ゆうへい)
- 19 坩堝(るつぼ)
- 20 素読(そどく)
- 21 中間(ちゅうげん)
- 22 マインドコントロール(mind control)
- 23 感化(かんか)
- 24 身銭を切る(みぜにをきる)
- 25 築城(ちくじょう)
- 26 強靱(きょうじん)
- 27 感銘(かんめい)
- 肝銘(かんめい)。
- 28 ぎすぎす
- 29 曖昧(あいまい)
- 30 気構え(きがまえ)
- 31 一言(いちげん)
- 32 粗衣粗食(そいそしょく)
- 33 苦中有楽(くちゅううらく)
- 調べましたが、わかりませんでした。
- 34 苦則楽(くそくらく)
- 調べましたが、わかりませんでした。
- 35 血気(けっき)
- 36 発問(はつもん)
- 37 凡庸(ぼんよう)
- 38 暗誦(あんしょう)
- 諳誦(あんしょう)。
- 39 インスパイア(inspire)
- 本書では「霊感を吹き込まれた」。
- 40 冥利に尽きる(みょうりにつきる)
- 41 神神しい(こうごうしい)
- 42 不退転(ふたいてん)
- 43 腕(うで)
- 44 潮流(ちょうりゅう)
- 45 ギブ-アンド-テイク(give-and-take)
- 46 枯渇(こかつ)
- 涸渇(こかつ)。
- 47 些末(さまつ)
- 瑣末(さまつ)。
- 48 敷居が高い(しきいがたかい)
- 49 真面目(まじめ)
- 50 言説(げんせつ)
- 51 虚心坦懐(きょしんたんかい)
- 52 意固地(いこじ)
- 依怙地(いこじ)。
- 53 偏狭(へんきょう)
- 54 楔形文字(くさびがたもじ)
- 55 値踏み(ねぶみ)
- 56 モチベーション(motivation)
- 57 教養(きょうよう)
- 58 未曾有(みぞう)
- 59 蔓延(まんえん)
- 60 向学心(こうがくしん)
- 61 五里霧中(ごりむちゅう)
- 62 ひとまねこざる
- 外国の絵本のことでしょうか。『Curious George』。その後、題名を変えて『おさるのジョージ』に引き継がれたようです。
- 63 復唱(ふくしょう)
- 64 口伝(くでん)
- 65 音読(おんどく)
- 66 初見(しょけん)
- 67 支える(つっかえる、つかえる)
- 68 門外不出(もんがいふしゅつ)
- 69 秘伝(ひでん)
- 70 抜擢(ばってき)
- 69 デフォルメ(déformer:フランス語)
- 70 炸裂(さくれつ)
- 71 朦朧(もうろう)
- 72 蝕む(むしばむ)
- 虫食む(むしばむ)。
- 73 卸問屋(おろしどんや)
- 74 大本(おおもと)
- 75 唯唯諾諾(いいだくだく)
- 76 古文書(こもんじょ)
- 77 四六時中(しろくじちゅう)
- 78 一所懸命(いっしょけんめい)
- 一生懸命(いっしょうけんめい)。
- 79 鬩ぎ合い(せめぎあい)
- 80 サブテキスト
- 調べましたが、わかりませんでした。「subtext」でしょうか。私の持っている英和辞書などに掲載がありませんでした。意味について、考えてみました。
- 1つは、「副読本」「ある本の理解を高めたり補充をする資料」の意味。
- 本書では置き換えると「虎の巻」でしょうか。文脈からは「そのものの背景や状況を理解したこと」でしょうか。「言外の意味をくみ取る」「行間を読む」「別の側面を解釈する」といった意味でしょうか。
- インターネットを参考にしました。
- 81 儚む(はかなむ)
- 82 云云(うんぬん)
- 83 発問(はつもん)
- 84 凄み(すごみ)
- 85 王道(おうどう)
- 86 エンターテインメント(entertainment)
- エンターテイメント(entertainment)。
- 87 習熟(しゅうじゅく)
- 88 切り口(きりくち)
- 89 史観(しかん)
- 90 錬金術(れんきんじゅつ)
- 91 割腹(かっぷく)
- 92 イリュージョン(illusion)
- 93 アバウト(about)
- 94 所詮(しょせん)
- 95 ちっぽけ
- 96 ・・・沙汰(・・・さた)
- 97 旧態依然(きゅうたいいぜん)
- 98 一斉(いっせい)
- 99 不味い(まずい)
- 参考:拙い(まずい)。
- 100 敷石(しきいし)
- 101 枕(まくら)
- 102 噺(はなし)
- 咄(はなし)。
- 103 小咄(こばなし)
- 小話(こばなし)。
- 104 素っ惚ける(すっとぼける)
- 105 擽り(くすぐり)
- 106 粋(いき)
- 107 熟達(じゅくたつ)
- 108 プレゼンテーション(presentation)
- 109 アイコンタクト(eye contact)
- 110 スタンダード(standard)
- 111 眼目(がんもく)
- 112 メタ意識(metaいしき)
- 本書に解説があります。自らの意識を働かせると同時に、自分でその意識を観察や評価すること。参考:メタ認知(metaにんち)、心理学語。
- 113 メタ(meta)
- 本書では「超えた」。「高次の」という意味もあるようです。
- 114 クリア(clear)
- 115 豪語(ごうご)
- 116 萌芽(ほうが)
- 117 フィット(fit)
- 118 ケアレスミス(careless mistake)
- 119 ルーズ(loose)
- 120 ブレークスルー(breakthrough)
- 121 糸杉(いとすぎ)
- 122 怨念(おんねん)
- 123 パッション(passion)
- 124 センス(sense)
- 125 臨機応変(りんきおうへん)
- 126 資質(ししつ)
- 127 見透かす(みすかす)
- 128 ごまかす
- 129 メソッド(method)
- 130 アレンジ(arrange)
- 131 極める(きわめる)
- 132 フレッシュ(fresh)
- 133 向き(むき)
- 134 うんざり
- 135 溢れる(あふれる)
- 136 ・・・返る(・・・かえる)
- 137 エキスパート(expert)
- 138 褌(ふんどし)
- 犢鼻褌(ふんどし)。
- 139 神輿(みこし)
- 140 奇特(きとく)
- 141 ターニングポイント(turning point)
- 142 せこい
- 143 一石二鳥(いっせきにちょう)
- 144 カタルシス(katharsis:ギリシア語)
- 145 定点観測(ていてんかんそく)
- 146 審美眼(しんびがん)
- 147 スーパー(super)
- 148 教師(きょうし)
- 参考:師匠(ししょう)。
- 149 素地(そじ)
- 150 大黒柱(だいこくばしら)
- 151 素養(そよう)
- 152 四書五経(ししょごきょう)
- 四書とは「大学」「中庸」「論語」「孟子」。五経とは「易」「書」「詩」「礼」「春秋」。
- 153 目利き(めきき)
- 154 細密画(さいみつが)
- 155 ゾイトロープ(Zoetrope)
- 回転のぞき絵。ゾエトロープ、ゾートロープ。インターネットで調べました。
- 156 口答え(くちごたえ)
- 157 糸口(いとぐち)
- 158 コミットメント(commitment)
- 関与。
- 159 プライベート(private)
- 対義語は「パブリック(public)」。
- 160 慌てる(あわてる)
- 周章てる(あわてる)。
- 161 揺蕩う(たゆたう)
- 162 一期一会(いちごいちえ)
- 163 火を付ける(ひをつける)
- 164 露骨(ろこつ)
- 165 馴れ合い(なれあい)
- 166 復讐(ふくしゅう)
- 167 ふて腐れる(ふてくされる)
- 168 喧嘩(けんか)
- 169 スタンス(stance)
- 170 ソリューション・フォーカス
- インターネットで調べました。
- 171 生き甲斐(いきがい)
- 172 モンスター(monster)
- 173 弟子(でし)
- 参考:生徒(せいと)。
- 174 コーディネート(coordinate)
- 175 二義的(にぎてき)
- 176 趨勢(すうせい)
- 177 掴まえる(つかまえる)
- 捕まえる(つかまえる)、捉まえる(つかまえる)。
- 178 呪術(じゅじゅつ)
- 179 ぞんざい
- 180 時時刻刻(じじこっこく)
- 181 サボる
- 182 カルチャーショック(culture shock)
- 183 編纂(へんさん)
- 184 プリント(print)
- 185 焚き付ける(たきつける)
- 186 擽る(くすぐる)
- 187 揃う(そろう)
- 188 真っ当(まっとう)
- 189 摺り合わせ(すりあわせ)
- 190 きりっと
- 191 取り立てる(とりたてる)
- 192 練り上げる(ねりあげる)
- 193 文楽(ぶんらく)
- 194 一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)
- 195 溜(ため)
- 196 ざわつく
- 197 浮き浮き(うきうき)
- 198 調息調心(ちょうそくちょうしん)
- 善の用語でしょうか。「調身・調息・調心」。インターネットで調べました。
- 199 棲息(せいそく)
- 200 だらし無い(だらしない)
- 201 目を配る(めをくばる)
以下余白