『大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる』
本書の表紙には「10hours Business Administration」とありました。
- 副題など
- 帯には「『経営者』の視点が身につく!」とありました。
- カバーには「東大の経営学が『ざっと』身につきます!」とありました。
- 著者など
- 著者 : 高橋 伸夫(たかはし のぶお)氏著
- 出版社など
- 株式会社KADOKAWA さん
- 版刷など
- 2016年9月第1刷。読んだものは、2016年10月第2刷。
- ボリューム
- 221ページ
感じたこと
身近に感じる話題があったので、楽しく読めました。
社会人になってからずいぶん経ちますが、時代の流れの中で生きてきたんだなぁ、とつくづく思いました。
最近、思い出して気になっていたのが、会社の寿命が30年、ということです。このことが話題になってから、だいたい30年になります。しかし、周囲を見渡しても、30年前の会社は、ほとんどが残っています。やはり、この説は無理があったんだろうなぁ、と思っていました。
30年経ったのですから、新聞などにこの説と現実を比較した記事が載ってもよさそうなものですが、見かけません。一体、この説は何だったのだろうとスッキリしませんでした。理論と現実の検証結果を知りたかったのです。
本書にこの記事があることを発見して、ホットしました。データの扱い方で、でてくる結果が違うのですね。30年後の現実を見なくても、理論でそれがわかる研究者や学者の方々は様々な手法を考えているんですね。この理論が理解できなかった私は、現実を知るのにやはり30年必要なようです。この間、経営悪化や不正による倒産がありました。合併しての巨大企業の誕生や、持ち株会社ができたのが印象に残っています。
大きい資本を持つ会社が、たくさん潰れた感じはありません。しかし、中小企業や個人事業者などは、新聞記事になったくらいですから、バブル経済後の倒産は多かったと思います。不良債権や、貸し渋りなどの問題もありました。大企業の場合は、国が主導して危機を救う場合があります。しかし、中小企業や個人事業者は、不況の波をモロにかぶっていたようです。
最近の中小企業や個人事業者の中には、後継者不足で廃業するところもあるようです。起業して1人の代表者が働けるのは、30、40年くらいではないでしょうか。これは、人の労働寿命と同じです。現実には経営の問題があり、それより短い場合の方が多いように感じます。
このように見てくると、資本に関係なく企業の寿命を考えた場合、会社の30年寿命説もあながち悪い数字ではないような気がします。
家庭用VTRのことも記憶に強く残っています。
家に、テレビとVTRを買おうという話になりました。家庭用VTRが発売されて数年が経ち、手の届く価格になっていました。
当時は、VHSとベータ方式が同じくらい店頭に並んでいました。電気店や、すでに買った知り合いに、どちらを買った方がいいのか聞きました。
簡単にいうと、ベータは画像、VHSは音声がよいが、それほどの差はない。どちらを買うかは、その人の好みということでした。映画などのビデオテープも2つの方式のものが売られていました。この時は、どちらのVTRもずっと残るだろうと思っていました。
しかし、その何年後かに、どちらかの家庭用VTRが撤退するというショッキングな記事を見ました。家とは違う方式に統一された場合、今までのテープはどうなるのだろうかとヒヤヒヤしていました。最終的には、家庭用としては、VHSが残りホットしました。
さて、VHS方式が生き残った理由について、まことしやかなことを耳にしたことがあります。
それは、アダルトビデオが背景にあるというものでした。アダルトビデオの種類が、VHSの方が豊富だというのです。その原因として、ベータ方式を採用する側が、アダルトビデオを排除しようとしていたというのです。別の話では、撮影するカメラの値段も影響したとのことです。ベータの撮影カメラより、VHSの方が安かったようです。カメラが安ければ、多くの人が撮影をしてテープを作ることできます。成人向け映像を商売にするには絶好のチャンスだったようです。当然、コストを考えれば、安い方を使うでしょう。結果、アダルトビデオはVHSとなります。また、家庭用VTRの市場は手付かずです。ベータ方式のテープを売らなくても、VHS市場で十分儲けが出るとの計算だったのかもしれません。こうなると、やった者勝ち、早い者勝ちです。
これもまた、30年ほど前に聞いた話です。この話は信憑性(しんぴょうせい)に欠けるので、興味を持たれた方は、ご自身で真実をお確かめください。
インターネットに多くの映像や画像の投稿があるのは、映像の撮れるスマートフォンを誰もが持てるようになったからでしょう。
このように見てくると、企業や製品を見極める力は、生活に影響しそうです。うまくいけば、買い換えやデータ移動に、余分なお金を使わなくてすむからです。消費者にとっても、経営学は役立つ学問のように感じました。
この書物を選んだ理由
経営学は勉強したことがありません。経営学の入門書を物色していましたが、これぞと思う本が見当たりませんでした。
弊サイトの読んだもの№111本シリーズの経済学を取り上げました。その時に、同シリーズで経営学があるのを知りました。それを思い出し、本書を読むことにしました。
私の読み方
経営学が身近なことがらをテーマにすることがあるのに驚きました。経験したことがあるようで、親近感を持って読んでいました。
理論のところはわからないところがありました。経済学や統計学のようなところです。ま、私の力ではこんなものか、仕方なく思いました。
本書で紹介のあった書籍などは70を超えていました。これだけ多くのものを目にされているのに驚きました。コラムに取り上げた話題が、内容にそったものであるのは納得がいきました。
形式です。
各部の最初に経営用語を取り上げ、解説しています。本文が読みやすくなったように感じました。その都度、用語の解説をするのもいいのですが、はじめにまとめてあるのも使い勝手がいいと思いました。
見開き2ページで、左側を解説、右側を図や表の掲載で、わかりやすくする工夫がありました。わざわざページを繰る手間がないので楽です。
横書きです。文字は小さめですが、行の長さ、行間が適当で、苦になりませんでした。太字になっている文字があり、それは注意すべき言葉なのでしょうか。
同じ言葉が、ページを超えてありました。例えば、「コンティンジェンシー理論」「クリティカル・マス」です。この言葉はどこかにあったなと思った時に、索引があると便利です。
本書を読んでいると、何かスッキリしない気がします。歯切れが悪いというか。
本書の「おわりに」を読むと味わい深いものを感じます。先ほど書いた「歯切れが悪い」は、著者の言う「自虐的」になるのでしょうか。
多くの、本を読み、学説を検証し、事例の研究を経験されてきたはずです。しかしながら、著者は満足されていないようです。
経営学は、共通する法則が成り立ちにくいようです。成功事例は、後付けの説明になったり、企業文化の個性で成り立っていること、が多いのかもしれません。理論的には成功する提案も、好機を逸したり、懐疑的に受け入れられて、十分に活用されないのかもしれません。人間の感情などで、理論と現実の間に齟齬(そご)を生じるのでしょう。そして、絶対のない世界なのかもしれません。
このことは、著者の「心の余裕」と「正しいものを見極める」の言葉に滲(にじ)み出ているように感じました。
ご苦労様です。
読書所要時間など
- 所要時間
- 28日22時間26分
- 読み始め
- 2017(平成29)年5月26日(金)16時05分~
- 読み終わり
- 2017(平成29)年6月24日(土)~14時31分
- 読んだ範囲
- 帯、カバー、本書。ただし、著者プロフィール、奥付は、軽く目を通しました。
取り上げられた書物など
- 『ゲーム理論と経済行動』 フォン・ノイマン氏&モルゲンシュテルン氏共著
- 『できる社員は「やり過ごす」』 高橋 伸夫氏著
- 『生存と多様性』 高橋 伸夫氏編著
- 『仕事と人間性』 ハーズバーグ氏著
- 『会社成長の理論』 ペンローズ氏著
これ以外にも、多くの書籍などの紹介がありました。
出来事
6月21日(水)中学生の将棋棋士で4段の藤井聡太さんが、公式戦28連勝で最多タイ記録。
調べたこと
- 1 大学(だいがく)
- 2 経営学(けいえいがく)
- 3 本郷(ほんごう)
- 東京都文京区の地名。
- 4 駒場(こまば)
- 東京都目黒区の地名。
- 5 ジョイント(joint)
- 合同。
- 6 トピック(topic)
- 話題。
- 7 恫喝(どうかつ)
- 8 疲労困憊(ひろうこんぱい)
- 9 ルーチン(routine)
- 10 碩学(せきがく)
- 11 ステークホルダー(stakeholder)
- 12 トートロジー(tautology)
- 13 出自(しゅつじ)
- 14 時機(じき)
- 15 収斂(しゅうれん)
- 16 虚妄(きょもう、きょぼう)
- 17 終焉(しゅうえん)
- 18 メタファー(metaphor)
- 隠喩。
- 19 隠喩(いんゆ)
- 20 述懐(じゅっかい)
- 21 強迫観念(きょうはくかんねん)
- 22 驚愕(きょうがく)
- 23 打算的(ださんてき)
- 24 代物(しろもの、だいぶつ)
- 25 カムフラージュ(camouflage:フランス語)
- 26 衣食足りて礼節を知る(いしょくたりてれいせつをしる)
- このことわざを聞くと「恒産無き者は恒心無し(こうさんなきものはこうしんなし)」を思い出します。
- 27 野次る(やじる)
- 弥次る(やじる)。
- 28 武勇伝(ぶゆうでん)
- 29 紆余曲折(うよきょくせつ)
- 30 アジェンダ(agenda)
- 31 オーバーラップ(overlap)
- 32 頓挫(とんざ)
- 33 席巻(せっけん)
- 席捲(せっけん)。
- 34 ちまちま
- 35 じり貧(じりひん)
- 36 体たらく(ていたらく)
- 為体(ていたらく)。
- 37 背中合わせ(せなかあわせ)
- 38 スピンオフ(spin-off)
- 39 ガリバー型寡占(Gulliverがたかせん)
- ガリヴァー。本書では「ガリバー支配」。
- 40 悲運(ひうん)
- 否運(ひうん)。
- 41 セグメント(segment)
- 42 駆逐(くちく)
- 43 表裏一体(ひょうりいったい)
- 44 出し抜く(だしぬく)
- 45 隅石(すみいし)
- 46 コンポーネント(component)
- 47 インターフェース(interface)
- 48 汎用(はんよう)
- 49 得策(とくさく)
- 50 初初しい(ういういしい)
- 51 デモグラフィ(demography)
- 人口統計。
- 52 正札(しょうふだ)
- 53 余儀(よぎ)
- 54 ニッチ市場(nicheしじょう)
- 隙間市場(すきましじょう)。
- 55 帰納的(きのうてき)
- 56 警鐘(けいしょう)
- 57 自前(じまえ)
- 58 バッファ(buffer)
- 緩衝。参考:buffer stock(緩衝在庫)。
- 59 顕在(けんざい)
- 60 手待ち(てまち)
- インターネットで調べました。
- 61 矯正(きょうせい)
- 62 プロット(plot)
- 図をかく。グラフにする。
- 63 ヒストグラム(histogram)
- 64 ベンチマーク(bench mark)
- 本書では「目標」。基準。
- 65 情けは人の為ならず(なさけはひとのためならず)
- 66 凌ぐ(しのぐ)
- 67 真逆(まぎゃく)
- 正反対。インターネットで調べました。
- 68 熾烈(しれつ)
- 69 便益(べんえき)
- 70 暗黙知(あんもくち)
- 言葉で説明できない知識。
- 71 イベントフルネス
- 本書では「波乱度」。調べましたが、わかりませんでした。インターネットの競馬サイトで「波乱度」はよく使われているようです。
- 72 逐次(ちくじ)
- 73 シーケンス(sequence)
- シークエンス。
- 74 パイロット・ラン(pilot run)
- 試作品を量産すること。
- 75 コンロブスの卵(Columbusのたまご)
- 76 殺到(さっとう)
- 77 バグ(bug)
- 78 モータリゼーション(motorization)
- 79 漸進(ぜんしん)
- 80 自叙伝(じじょでん)
- 81 トラジェクトリ(trajectory)
- 本書では「軌道」。本書の198ページ。
- 82 安直(あんちょく)
- 83 アンサンブル(ensemble:フランス語)
- 84 アプローチ(approach)
- 85 破断(はだん)
- 86 パラダイム(paradigm)
- 87 ラディカル(radical)
- ラジカル。
- 88 ブレークスルー(breakthrough)
- 躍進。
- 89 対峙(たいじ)
- 90 海の物とも山の物ともつかない(うみのものともやまのものともつかない)
- 91 上意下達(じょういかたつ)
- 92 ステータス(status)
- 93 乖離(かいり)
- 94 アイデンティティ(identity)
- アイデンティティー。
- 95 更迭(こうてつ)
- 96 無茶苦茶(むちゃくちゃ)
- 97 capability
- 本書では「能力」。複数形では「将来性」という意味もあるようです。
- 98 ダイナミック(dynamic)
- 本書では「動的」。
- 本書とは切り離して、この言葉について考えてみます。
- 英和辞典では3つほどの意味が、日本語では「動的」の一語に翻訳できます。便利な翻訳ですが、読み手は「動的」に出会うと戸惑います。文脈から3つの意味を区別できるかがポイントになりそうです。
- 1つは、現実の物の動きで、動きや働きです。その意味での「動的」で、「動きのあること」です。
- 2つめは、精神的なことも含めた、人に関する動きです。よく働くことの「活動的、原動力」とか「精力的、エネルギッシュ、躍動」と言った感じでしょうか。
- 3つめは、動きの大きさや量ではなく、そのものの動きや働きです。「機能」や「作用」などです。ファンクション(function)やオペレーション(operation)の感じです。医学用語のようですが、1、2の場合でも、この意味に置き換えると、わかった気になることがあります。
- 99 正統(せいとう)
- 100 セマンティック(semantic)
- 本書では「意味上の」。
- 101 阻害(そがい)
- 102 オタク文化
- インターネットで調べました。わかったような、わからんような感じでした。
- 103 マニア(mania)
- 104 目障り(めざわり)
- 105 中核(ちゅうかく)
- 106 修道院(しゅうどういん)
- 107 聖意(せいい)
- 108 聖潔
- 「せいけつ」と読むのでしょうか。それとも「きよめ」でしょうか。インターネットで調べましたが、よくわかりませんでした。
- 109 護符(ごふ)
- 御符(ごふ)。
- 110 自虐的(じぎゃくてき)
- 111 食傷(しょくしょう)
- 112 ・・・気味(・・・ぎみ)
以下余白