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読んでやる! 読んだもの
№109 『酒にまじわれば』

 お酒は記憶に悪いと思っていました。ところが、酔っ払ったがゆえに、覚えられることもあるようです。世の中には、それができる人がいるようです。

『酒にまじわれば』

副題など
 帯には「これぞ呑兵衛!腰が抜ける面白さ」「酔い心地〈満点〉酒エッセイの最高峰」とありました。
著者など
 なぎら健壱(なぎらけんいち)氏著
出版社など
株式会社 文藝春秋 さん
版刷など
 文春文庫。2010年12月第1刷。読んだものは、2014年3月第8刷。
ボリューム
 269ページ。264ページ以降は解説です。

感じたこと

 やはり、朱に交われば・・・なのでしょうか。

 家から少し離れたところに神社があります。ここの神社は7月になると、ビール祭が開かれます。パートナーと子供と待ち合わせをして、数年前から行っています。
 境内には、屋台がズラリと並びます。生ビール、唐揚げ、焼き肉、おでん、射的、金魚すくい等々です。そして、屋台に囲まれるように、会議テーブル、パイプいすが並べられています。いすには限りがあり、ほとんどの人が立ち飲みです。
 来場者は、屋台でビール、つまみを買って、会議テーブルで飲み食いします。夕方の7時頃になると、会社帰りの人と家族連れでごった返します。空いたテーブルを探すのも一苦労です。地べたに鞄を置き、生ビールとおつまみを両手に持ち、境内の隅でという人も多く出ます。
 私は、手がふさがった状態では困るので、空いていそうな席を探します。テーブルのスペースが少し空いていることがあります。そこにいる人に、「ここ空いていますか?」と聞くと、場所を詰めてくれることがあります。御礼を言って、一緒に飲食します。子供がいると、気を使うのか、わざわざ買ってきて「これ食べて」と言ってくれる人もいました。こちらもお返しにと、どうぞというのですが、遠慮されました。
 立ち飲みなのか回転がはやく、テーブルの客はすぐに入れ替わります。飲み食いしていると「空いてますか?」と聞かれるので、「どうぞ」と答えます。なぜか、少しではあっても場所を詰めてしまいます。
 飲み食いする人は、必要なスペースしか取らないのが不思議です。カバンや荷物は、肩にかけたままか、テーブルの棚か地ベタに置いています。テーブルには、使い捨ての皿やカップばかりが目につきます。
 場所の取り方や、必要最小限の場所しか使わないことを考えると、社会人どうのこうのと言うより、酒飲みには、共通する作法があるようです。

 知人から聞いた話があります。今はあるかどうかわかりませんが、大阪の地下街に、カウンターだけの串カツ屋さんがあるそうです。普段、客は、カウンターに向かって身体を正面にして飲食します。だんだん混んでくると、立ち飲みでも窮屈になってきます。そこで店主がお客さんに向かって、声をかけます。「ダークダックスでお願いします」。すると、正面を向いていた客が一斉に、カウンターに対して斜(はす)になるそうです。一人でも多くの客が楽しめ、お店も儲かるという感じでしょうか。ここにもしきたりがあるようです。
 ダークダックスさんというのは、男性数人のボーカルグループだそうです。歌ったり並んだりした時に、正面に対してナナメに立つイメージが強いようです。インターネットの画像を確認しましたが、私には微妙に映りました。
 それにしても、右と左、どちらを前にナナメになるのでしょうか。いまだに気になります。客全員が同じ方向を向いていたらと思うと・・・。えも言われませんね。何せ、巷(ちまた)の立ち飲み屋さんですからね。

  まっ、やはり、酒にまじわれば、そりゃ赤くなりますよね。

この書物を選んだ理由

 いつも堅い本ばかり読んでいると、読みが遅くなってきます。その原因は、理解ができないことと、調べてもわからないことが多いからです。
 読むリズムを整えるために、おもしろい本を探していました。知人からの紹介でこの本を読むことにしました。

私の読み方

 本書には巻末に解説があります。この解説は、この本の面白さを十分に伝えていました。

 本書は、酒飲みの専門のエッセイ(随筆)といった感じです。酒飲み用語はあるのだろうか?と気をつけて読んでいました。グラスの名前、酒の当て、酒の名前など、これは酒飲み用語?なのか、と思いました。知らないことが結構ありました。それにしても、そんなことまで覚えないと酒飲みになれないのかな。酒飲みになるには、ハードルが高いようです。
 今まで読んできた堅い本とは違い、柔らかい表現が多くありました。情景や表情が浮かぶ感じがしました。いつもとは違う言葉があり、調べることも多くありました。
 それぞれのジャンルにはよく使われる言葉があるようです。

 リズムを整えるためだったのですが、じっくりと味わって読みました。おもしろいから、一定のリズムで読めると思ったのは間違いでした。本にも個性があり、読み方も変わるようです。

 読んだ順番は、ページの順に読みました。巻末の解説は、本の締めとして、余韻を楽しめたと思います。
 随筆の場合、解説は最後に読むのがよさそうです。始めに読むと、先入観ができるというか、答え探しをしてしまう気がします。後で読んだ方が、追加で、更なる味わいが出る気がします。
 解説を読まないという人がいます。本文とは関係がないからです。ただ、情報によっては、本文をより引き立ててくれるかもしれません。はじめの部分だけでも感触を確かめてもいいかな、と思いました。

 形式は、文庫本です。文字が見やすかったです。

読書所要時間など

所要時間
6日13時間21分
読み始め
2017(平成29)年2月9日(木)午前9時38分~
読み終わり
2017(平成29)年2月15日(水)~22時59分
読んだ範囲
 カバー、帯、本書。ただし、奥付は軽く目を通し、巻末の書籍広告は見ていません。

取り上げられた書物など

  • 『東京酒場漂流記』 なぎら健壱氏著

 カバーの著者紹介に、多くの、曲、著書などの紹介がありました。

ひととき

 海岸沿いを歩いていると、潮が引いて干潟が見えていました。そこに、水鳥たちが集まり、エサをとっているようでした。

干潟の水鳥たち
 平成29年2月13日(月)撮影。

調べたこと

1 朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)
2 託ける(かこつける)
3 佇まい(たたずまい)
4 尽れる(すがれる)
 末枯れる(すがれる)。
5 積年(せきねん)
6 商って(やって)
 商売してきた、という意味でしょうか。
7 忽然(こつぜん、こつねん)
8 勿体無い(もったいない)
9 釈然(しゃくぜん)
10 暖簾(のれん)
11 早晩(そうばん)
12 屈託(くったく)
13 尺度(しゃくど)
14 眼が泳ぐ(めがおよぐ)
 目が泳ぐ。インターネットで調べました。
15 乙(おつ)
16 天抜き(てんぬき)
 本書に解説があります。インターネットでも調べました。
17 形(なり)
 態(なり)。
18 憮然(ぶぜん)
19 醍醐味(だいごみ)
20 微酔い(ほろよい)
21 奇異(きい)
22 美味い(うまい)
 旨い(うまい)、甘い(うまい)。参考:巧い(うまい)、上手い(うまい)。
23 嗜好品(しこうひん)
24 チェイサー(chaser)
25 按配(あんばい)
 按排(あんばい)。参考:塩梅(あんばい)。
26 発祥(はっしょう)
27 訊く(きく)
 聞く(きく)。参考:聴く(きく)。
28 肴(さかな)
 参考:酒菜(さかな)。
29 倣い(ならい)
30 壁土(かべつち)
31 上梓(じょうし)
32 匂い(におい)
33 臭い(くさい)
34 シュール
 シュールストレミングの略。本書に解説があります。インターネットで画像を確認しました。
35 絆される(ほだされる)
36 脱兎(だっと)
37 一見(いちげん)
38 変哲もない(へんてつもない)
39 市井(しせい)
40 頗る(すこぶる)
41 つれない
42 風情(ふぜい)
43 怪訝(けげん)
44 解す(げす)
45 いじらしい
46 哀愁(あいしゅう)
47 偲ぶ(しのぶ)
48 一喝(いっかつ)
49 剣幕(けんまく)
50 平身低頭(へいしんていとう)
51 牛耳る(ぎゅうじる)
52 素面(しらふ、すめん)
53 呆気にとられる(あっけにとられる)
54 満悦(まんえつ)
55 案の定(あんのじょう)
56 口を尖らせる(くちをとがらせる)
57 啞然(あぜん)
58 食指が動く(しょくしがうごく)
59 大仰(おおぎょう)
60 虚仮威し(こけおどし)
61 昇天(しょうてん)
62 滅法(めっぽう)
63 トールグラス(Tall Glass)
 インターネットで画像を確認しました。
64 ワープ(warp)
65 和気藹藹(わきあいあい)
66 険悪(けんあく)
67 凄然(せいぜん)
68 満更でもない(まんざらでもない)
69 一も二も無く(いちもにもなく)
70 件(くだん)
71 決る(しゃくる)
72 癇に障る(かんにさわる)
73 相伴(しょうばん)
74 惨憺(さんたん)
 惨澹(さんたん)。
75 奇しくも(くしくも)
76 酔狂(すいきょう)
 粋狂(すいきょう)。
77 酔眼朦朧(すいがんもうろう)
78 言い草(いいぐさ)
 言い種(いいぐさ)。
79 アリーナ(arena)
80 無下(むげ)
81 堪能(たんのう)
82 傍ら(かたわら)
83 凝視(ぎょうし)
84 譬え(たとえ)
 喩え(たとえ)。
85 深酒(ふかざけ)
86 蚊帳の外(かやのそと)
87 撞く(つく)
 参考:「突く(つく)」「衝く(つく)」。
88 鼻緒(はなお)
89 挿げる(すげる)
90 殊勝(しゅしょう)
91 疲労困憊(ひろうこんぱい)
92 磨る(する)
 摩る(する)、擦る(する)、擂る(する)。
93 粗忽(そこつ)
94 仕舞った(しまった)
95 しこたま
96 御法度(ごはっと)
 参考:「法度(はっと)」。
97 酒精(しゅせい)
98 律儀(りちぎ)
 律義(りちぎ)。
99 薄ら笑い(うすらわらい)
100 微笑む(ほほえむ)
101 堅気(かたぎ)
102 豪気(ごうき)
 剛気(ごうき)。
103 満喫(まんきつ)
104 喧喧囂囂(けんけんごうごう)
105 突拍子(とっぴょうし)
106 仕草(しぐさ)
 仕種(しぐさ)。
107 自戒(じかい)
108 下戸(げこ)
109 チョリソ(chorizo)
 スペイン語。
110 くぐもる
111 蔵出し(くらだし)
 庫出し(くらだし)。
112 沽券に関わる(こけんにかかわる)
113 臆する(おくする)
114 秀逸(しゅういつ)
115 囃し立てる(はやしたてる)
116 眩暈(めまい)
 目眩(めまい)。
117 呆気ない(あっけない)
118 横臥(おうが)
119 眉唾(まゆつば)
 本書では「眉唾物(まゆつばもの)」の意味のようです。
120 末枯れる(うらがれる)
121 挙句(あげく)
 参考:「挙句の果て(あげくのはて)」。
122 埒(らち)
123 愛敬(あいきょう)
124 天は二物を与えず(てんはにぶつをあたえず)
125 稀有(けう)
 希有(けう)。
126 長っ尻(ながっちり)
 長尻(ながじり)のこと。
127 酒乱(しゅらん)
128 企む(たくらむ)
129 不文律(ふぶんりつ)
130 贔屓(ひいき)
131 ディティール
 ディテール(detail)のことでしょうか。文脈から同じ意味に思えます。
132 変質者(へんしつしゃ)
133 呟く(つぶやく)

以下余白

更新記録など

2017年2月17日(金) : アップロード