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読んでやる! 読んだもの
№102 『脳が認める勉強法』

 学習について、脳がどのように働くのかを書いていました。人の脳の傾向に触れていますが、絶対的な方法は示されていません。脳は人により癖があり、それに合わせて、自分で学習方法を考えることが最善のようです。

『脳が認める勉強法』

 原題は『How We Learn』

副題など
 「『学習の科学』が明かす驚きの真実!」とありました。
 原副題「The Surprising Truth About When, Where, and Why It Happens」
著者など
 ベネディクト・キャリー(Benedict Carey)氏著
 花塚 恵(はなつか めぐみ)氏訳
出版社など
株式会社ダイヤモンド社 さん
版刷など
 2015年12月第1刷。読んだものは、2015年12月第2刷。
ボリューム
 357ページ。345ページから357ページは、「原注」「索引」です。

感じたこと

 学校での定期テストのことを思い出しました。
 試験の数日前には、学校のクラブ活動は休みでした。しかし、授業が終わって家に帰っても勉強する気になれません。また、机の上はいろんな物が雑多に山積みになっており、教科書を広げるスペースはありませんでした。
 試験勉強は片付けから始まりました。プリントや資料、小テスト、ゲーム、菓子袋などを整理していきます。やり出すと調子づいてきます。教科書と問題集を広げる場所があればいいのに、ついつい部屋中を片付けていました。そして、ゲームなどの遊びの物も、目に入らないように箱に入れました。1、2日は、それで終わってしまいます。
 かなりきれいになった机で勉強しようとすると、なぜか、落ち着かないのです。時間がそれほどないことはわかっているのですが、テレビを見ていました。いつもなら寝る時間になってから、勉強をはじめますが、すぐに眠くなり、寝床に入ります。結局、教科書を広げるのは、試験前日の夕食後からでした。教科書とノートを開いて、授業中の先生の話を思い出していました。それで、試験勉強は終わりです。当然、試験の成績がいいはずがありません。
 この試験前の片付け障害とも呼べそうな行動は、自分だけだと思っていました。ところが、雑談で、クラスメートが私と同じことをしていることがわかりました。試験勉強とは違うことをしていたのです。ラジオや新聞などで、何度か似たような話を聞いたことがあります。私とクラスメートの2人だけではなかったのです。
 なぜ、試験勉強に関係のないことをしてしまうのか不思議です。よほど、試験がストレスなのでしょうか。何かと拘束されるクラブ活動から解放されるからでしょうか。その理由はよくわかりません。片付ける時間を勉強に回せば、成績が少しは上がるはず、という親の嘆きを何回も聞きました。好きなことなら、散らかっていても、お構いなしです。
 できるクラスメートを見ていると、当たり前に勉強しているのです。勉強に対する感情の障壁が低いかありません。学校からの帰り道でも、誰かがテレビを見ている傍でも、電車の中でも、試験を何とか乗り越えたいと思ったら、場所を選ばず勉強していました。
 このできるクラスメートたちの特徴は、気持ちの切り替えが上手だということです。授業、クラブ活動、遊び、人間関係など、それぞれにモードを切り替えて、その時々を十分に活動しているように見えます。雑念がない、集中力が高い、と言い換えてもいいかもしれません。彼らは、試験が終わったら、すぐに別のことに目が向いて、気持ちもそのモードになっています。彼らは、成績の善し悪しによる影響はないようです。その時々を、十分に活動しています。

 試験勉強で、本を読めないのは、致命的です。しかし、せめて、それを気にしない気持ちの切り替えができたなら、人生はもっと楽だったかもしれません。そして、別の分野で十分な活動をし、充実した生活をしていたかもしれません。
 勉強のできなかった私が、気持ちの切り替えの方法を会得していたら・・・。もっと早い段階で、本を読めたり、勉強ができるようになっていたかもしれません。
 本書は、どうすれば、教科書を開いたり、勉強をはじめられるようになれるかには触れていません。このことから、勉強をするのが当たり前で、いかに効率よく勉強するのかを求める人を対象とした本だと思いました。

この書物を選んだ理由

 書店の話題の書籍コーナーにあった本です。弊サイトで『その〈脳科学〉にご用心』を読んでいたので、買うかどうか迷いました。迷う理由は、脳についてよくわかっていることが少ないのが理由です。そして、科学は仮説の上に成り立っており、将来的に説が変更になることがあるからです。しかしながら、「学習の科学」とは何ぞや、と疑問に思ったので、読むことにしました。

私の読み方

 試験で良い成績を取るだけの話かと思っていたら、創造性についての記述もありました。
 そして、睡眠と記憶の関係も取り上げていました。成績を求める余り、健康についてあまり語られていません。
 さて、弊サイトの睡眠などの考えを記したいと思います。
 なぜ、人は寝るのかです。それは、生きるためです。
 私たちは、勉強や仕事、買い物、洗濯、人付き合いなど、様々なことをしています。それに、脳や身体を使っています。
 脳は神経細胞、身体は細胞でできています。身体を作る細胞は、新しい細胞ができて古い細胞はなくなります。細胞の世代交代により、身体を保っています。神経細胞は、世代交代することはなく、休めることにより、その働きを保っています。
 生物の実験で単細胞生物に強い光を当てると、いびつな形で増殖するそうです。夜に強い光を浴びると正常な細胞の増殖は見込めないようです。アメリカで、夜勤する看護師に、ガンの発生率が多いのと関係がありそうです。
 慢性疲労症候群という症状があります。テレビのドキュメンタリー番組で見た画像では、脳が炎症を起こしていました。この診断を受けた知人によると、いつも何か考えているそうです。睡眠薬を飲んでも、寝た気がしなかったそうです。周りの人は、よく寝ていたと言うのですが。そして、その症状の時に読んだ本も内容も思い出せないそうです。本を開くと、線を引いてあったり、マーカーを塗っているのに、です。そして、症状があまり気にならなくなるまでに、7、8年かかったそうです。いまだに、症状のでる前の状態には戻っていないそうです。
 寝ている間は意識が低下していますが、気絶をしているわけではありません。起こせば、起きます。意識の低下は、神経細胞の活動を抑えることにより細胞の回復を図っています。情報伝達による発火に耐え得るまでに、細胞の回復が必要です。寝ている間も、想像や創造、感情、記憶など脳を使っていると、細胞が発火に耐えきれず、炎症を起こすようです。炎症が続けば、神経細胞は死にます。すると、周囲からは、その人が廃人に見えるはずです。
 知人から聞いた話ですが、3時間程度の睡眠で毎日を過ごせる人がいるそうです。あるとき、職場でその人が倒れたそうです。医師から3時間で目が覚めても、横になって身体を休めるように言われたそうです。
 細胞や神経細胞が、世代交代したり、回復するには、環境と時間の条件が必要です。細胞も神経細胞も、それをするには一定の時間を必要とします。寝ている時は、細胞への刺激をすくなくし、神経細胞に電気を流さない工夫が必要です。これは、人の意志や感覚に関係がありません。あくまで、細胞の問題です。
 ではなぜ、人や時により睡眠時間に長短があるのでしょうか。神経質な人は、昼間、神経細胞をかなり傷つけています。苦手な仕事や初めてすることも、神経細胞をかなり使うことになります。神経細胞の傷の程度により、それを修復する時間が決まるようです。かつ、睡眠中に、夢や煩わしいことを思い出すと、神経細胞を使ってしまい、細胞の回復に時間がかかります。睡眠時間は、傷ついた神経細胞が修復する時間なのです。
 さて、この神経細胞を十分に回復するにはどうしたらいいのでしょうか。私は、気持ちの切り替えだと思っています。勉強、娯楽、食事、歓談、睡眠などの移行に、前のことを引きずらないことです。勉強が終わったら、わからないことがあっても、それを忘れて、娯楽を十二分に楽しむことです。過去のことや、気になることを排除して、今を生きることです。目の前にあることに、十分な行動をすることです。
 気持ちの切り替えができるかどうかは、人の性格によります。しかし、もし、気持ちの切り替えができるなら、私たちの人生はもっと豊になるでしょう。気持ちの切り替えの練習や習慣できる方法があれば、真っ先にそれを習得すべきです。
 ※以上述べたことは、私の個人的な見解です。ご了解ください。

 本書の「問題解決の四つのプロセス」について、『「超」整理法』野口悠紀夫氏著の189ページ「4 ひらめき捕獲システム」「自分をメモする」が関連しています。「三上(さんじょう)で、馬上(ばじょう)、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)」など、アイデアについて書かれています。

 形式です。
 文字の大きさ、行の長さ、行間、左右上下と見開きページの中央の余白は、適当で読みやすかったです。
 「付録 学習効果を高める11のQ&A」「索引」もあり、至れり尽くせりになっていました。
 注は、「原注」と「注」の2つがありました。「原注」は巻末に、「注」はページ下の余白にありました。ページ下の「注」は、ページをめくらなくてもよいので、便利でした。

 カバー、帯、「はじめに」、「目次」、「おわりに」、本文ページの順に読みました。「おわりに」は、2度読んでいます。奥付は軽く目を通し、巻末の書籍広告は見ていません。
 原注は、その都度、目を通しました。わからない英単語は、大半は調べてまでは見ていません。
 索引は、読んでいませんが、必要なときに使いました。このたびは、結構な頻度で使いました。かなり役に立ちました。

 ホームページのアップデートは、1週間を目標にしています。そのため、いつも速く読まないと、と思ってしまいます。このたびは、ゆったりとした気持ちを心に決め読みました。文字をじっくりと見ました。味わって読んだぁ~、という感じです。焦って読むより、読み間違いや勘違いが少なく、理解も早いように感じました。

読書所要時間など

所要時間
18日6時間35分
読み始め
2016(平成28)年10月21日(金)午前8時52分~
読み終わり
2016(平成28)年11月8日(火)~15時27分
読んだ範囲
 カバー、帯、本書。ただし、索引は必要なときに、奥付は軽く目を通しました。巻末の書籍広告は見ていません。

取り上げられた書物など

  • 『精神物理学の基礎』 グスタフ・フェヒナー氏著
  • 『記憶について-実験心理学への貢献』 エビングハウス氏著
  • 『心理学について-教師と学生に語る』 ウィリアム・ジェームズ氏著
  • 『知覚の発達心理学』 エレノア・ギブソン氏著

 これ以外にも、書籍などの記載がありました。

出来事

 11月4日(金) 地球温暖化の国際ルール、パリ協定が発効。

ひととき

 きれいな橙(だいだい)色の実です。たくさん実をつけていました。よく見る木なのですが、名前を知りませんでした。インターネットで調べると、タチバナモドキ(橘擬〔たちばなもど〕き)でした。

タチバナモドキ
 平成28年11月8日(火)撮影。

調べたこと

1 我利勉(がりべん)
2 謳う(うたう)
3 カルト(cult)
4 騙す(だます)
5 惰眠(だみん)
6 奔放(ほんぽう)
7 曖昧(あいまい)
8 隠喩(いんゆ)
9 メタファー(metaphor)
10 イリュージョン(illusion)
11 事実は小説よりも奇なり(じじつはしょうせつよりもきなり)
 本書では「事実は奇なり」とありました。
12 ズームアウト(zoom out)
13 卒倒(そっとう)
14 法衣(ほうえ、ほうい)
15 スパム(spam)
16 喝采(かっさい)
17 とぼとぼ
18 呆然(ぼうぜん)
 参考:茫然(ぼうぜん)。惘然(ぼうぜん、もうぜん)。
19 ティーンエイジャー(teenager)
20 際立つ(きわだつ)
21 Gメール(Gmail)
 インターネットで調べました。
22 apathetic
 無感情の。
23 apothecary
 薬屋。
24 penumbra
 明暗の境。
25 penultimate
 語尾から2番目の音節。
26 UCLA(University of California,Los Angeles)
 カリフォルニア大学ロサンゼルス校。
27 野望(やぼう)
28 信憑性(しんぴょうせい)
29 垣間見る(かいまみる)
30 朗読(ろうどく)
 参考:音読(おんどく)。
31 虚辞(きょじ)
32 顎鬚(あごひげ)
33 脚注(きゃくちゅう)
34 流砂(りゅうしゃ、りゅうさ)
35 レビュー(review)
36 幻影(げんえい)
37 ヒッピー(hippie)
38 離脱症状(りだつしょうじょう)
 禁断症状(きんだんしょうじょう)。
39 唐突(とうとつ)
40 プロムクイーン
 promは、舞踏会。インターネットで調べました。
41 羅列(られつ)
42 ネルシャツ
 フランネルシャツのこと。インターネットで調べました。
43 ワークブーツ(Work Boots)
44 予行(よこう)
45 苛立つ(いらだつ)
46 変貌(へんぼう)
47 団欒(だんらん)
48 流暢(りゅうちょう)
49 epitome
 概略。
50 ミッション(mission)
51 アルゴリズム(algorithm)
52 査読(さどく)
53 視話法(しわほう)
54 紐解く(ひもとく)
55 総説(そうせつ)
56 概念(がいねん)
57 閃き(ひらめき)
58 孵化(ふか)
59 ピルトダウン人(Piltdownじん)
60 か細い(かぼそい)
61 山勘(やまかん)
62 取っ付き(とっつき)
63 肩をすくめる(かたをすくめる)
64 掠る(かする)
 擦る(かする)。
65 フレームワーク(framework)
66 インキュベーション(incubation)
67 ラッチ(latch)
68 クランプ(clamp)
69 外界(がいかい)
70 眩む(くらむ)
71 補填(ほてん)
72 バイアス(bias)
73 カースト(caste)
74 判じ物(はんじもの)
75 縺れ(もつれ)
76 メタ分析
 本書193ページに解説がありました。
77 冴える(さえる)
78 スタンザ(stanza)
79 元凶(げんきょう)
 元兇(げんきょう)。
80 青写真(あおじゃしん)
81 次善(じぜん)
82 パーコレーション(percolation)
83 シミュレーション(simulation)
84 戦間期(せんかんき)
85 バウハウス(Bauhaus)
 ドイツの学校の名前。
86 ベルトリト・ブレヒト(Bertolt Brecht)
 人名。
87 革新的(かくしんてき)
88 惹く(ひく)
89 淹れる(いれる)
90 破綻(はたん)
91 ビサルドロップ
 リコリス菓子の飴のようです。調べましたが、わかりませんでした。
92 リコリス菓子(licoriceかし)
 植物の甘草の入った菓子。インターネットで画像を確認しました。
93 対照実験(たいしょうじっけん)
94 漁る(あさる)
95 サブカルチャー(subculture)
96 プレゼンテーション(presentation)
97 鬩ぎ合う(せめぎあう)
98 熟考(じゅっこう)
99 一蹴(いっしゅう)
100 反芻(はんすう)
101 紐づけ
 紐(ひも)+つけ。
102 インターリーブ
 本書247ページに解説があります。
103 ウェッジ(wedge)
 ゴルフで使うクラブのこと。
104 抗い(あらがい)
105 衆目(しゅうもく)
106 ぼろぼろ
107 粋(いき)
108 叙事詩(じょじし)
109 早計(そうけい)
110 狡い(ずるい)
111 リフ(riff)
 音楽で使う言葉。インターネットで調べました。
112 目利き(めきき)
113 骨董品(こっとうひん)
114 ルーク(rook)
 チェスの駒。
115 悪戯書き(いたずらがき)
 徒書き(いたずらがき)。
116 グラフィティアート(graffitiart)
117 却下(きゃっか)
 参考:棄却(ききゃく)。
118 擬い物(まがいもの)
 紛い物(まがいもの)。
119 PLM
 本書では「知覚学習モジュール」。第9章の原注には、「Perceptual Learning Modules」とありました。インターネットなどでも調べました。
120 一瞥(いちべつ)
121 乾癬(かんせん)
122 腹腔鏡(ふくこうきょう)
123 アレンジ(arrange)
124 ダダイスム(dadaïsme)
 フランス語。本書では「ダダイズム(dadaism)」。インターネットでも調べました。
125 ミニマリズム(minimalism)
 インターネットで調べました。
126 シュプレマティズム(suprematizm)
 ロシア語。
127 フォーヴィスム(fauvisme)
 フランス語。英語は、フォービズム(Fauvism)。
128 トリック(trick)
129 ファンタジー(fantasy)
130 囁く(ささやく)
131 御伽話(おとぎばなし)
132 黄昏時(たそがれどき)
133 もやもや
134 恣意的(しいてき)
135 目論む(もくろむ)
136 俯瞰(ふかん)
137 ペイズリー柄(paisleyがら)
 インターネットで、柄を確認しました。
138 漆黒(しっこく)
139 陣営(じんえい)
140 勤しむ(いそしむ)
141 サーベルタイガー(saber-toothed tiger)
 剣歯虎(けんしこ)。インターネットで、画像を確認しました。
142 掛け替え(かけがえ)
143 納得(なっとく)
144 クロストーク(crosstalk)
 生物学の用語のようです。参考:シグナル伝達。
145 全容(ぜんよう)
146 見当違い(けんとうちがい)
147 セオリー(theory)
148 ニッチ(niche)
 生物学の用語のようです。参考:エコロジカル・ニッチ。
149 名残(なごり)
150 傍(かたわら、そば、はた)
151 感傷(かんしょう)
152 一心不乱(いっしんふらん)
153 自画自賛(じがじさん)
 自画自讃(じがじさん)。
154 頑な(かたくな)
155 カンファレンス(conference)
156 原題『How We Learn』
 本書のタイトルは『脳が認める勉強法』。直訳すると「私たちが学ぶ方法」や「学習の方法」でしょうか。
157 原副題「The Surprising Truth About When,Where,and Why It Happens」
 本書の副題は「『学習の科学』が明かす驚きの真実!」。直訳すると「いつ、どこで、なぜそれが起こるのかについての驚くべき真実」でしょうか。

以下余白

更新記録など

2016年11月8日(火) : アップロード