中国の思想[Ⅹ] 『孫子・呉子』
- 副題など
- 帯には「必勝の戦略。」「敵に勝ち、己れに勝つ法則。」「戦いもまた人間の営みならば、人間をよく知る者こそが勝利する。激動の時代と人間の探求から生まれた兵法哲学『武経七書』の精髄に、あらたに『孫臏兵法』を加えた決定版。」とありました。
- 著者など
- 村山 孚(むらやま まこと)氏訳
- 松枝茂夫氏・竹内好氏監修。
- 出版社など
- 株式会社徳間書店 さん
- 版刷など
- 1996年4月第3版第1刷。
- 株式会社徳間書店さんの中国古典シリーズ。『中国の思想』全12巻の10巻目。
- ボリューム
- 318ページ。
感じたこと
内容に圧倒されました。人間の本質を力強く働かせるという、当たり前のことをシンプルに統制するだけです。
以前勤めていた組織で、同僚から聞いた話です。
同僚の隣(となり)の課での出来事です。この出来事があった時期は、それほど忙しくなく、時刻も夕刻でゆっくりとしていたそうです。
部下の1人が、本日の天気の変化と、めずらしいものを見たことをリーダーの方に向かって言いました。
すると、リーダーは、はじめ同調するかのように返事をし、突如、手のひらを返すように、激しい口調で次のように言ったそうです。「君はいいなぁ。そんな悠長なことが言えて。ぼくなんか、そんな余裕はないよ」と部下をたしなめるように言ったそうです。リーダーの見ているパソコン画面を見ると、仕事には関係のない、趣味と思しきサイトだったそうです。
これに似た話は尽きることがありません。自分の威厳を誇示するために、示威行動をするリーダーはたくさんいます。これは、何も社会人だけでなく、学校の教師と生徒にも当てはまります。些細なことに付け込んで、暴言や体罰を加えるリーダーもいます。この中には、加害に興味と快感をもつ者もいるようです。
さて、リーダーのこのような行為は、部下の面従腹背(めんじゅうふくはい)を生みます。リーダーと部下の不信感は募る一方です。よく仕事のできる部下なら、そんなリーダーのいる組織に失望するかもしれません。声をかけられれば、競合する他社であっても転職するかもしれません。今よく言われている、風通しのよい組織、とは反対を作っているのです。
兵法の古典は、人間の本質の中で、最低限のものに磨きをかけることを主張しているようです。信頼関係と、行動力の出る人の和の構築です。
これらは組織の問題ではあっても、個人によるところが大きいようです。個人の信頼関係は、組織にも当てはまります。リーダーの職には、相応の能力と人柄が必要で、誰にも適性があるわけではありません。ところが、活動的な組織を目指すには、すべての構成員に信頼関係を構築できる能力が求められます。知識と思考の能力のみで人材を採用すると、将来、大きな損害を生じるかもしれません。
組織の活性度の1つに、信頼関係の強弱があります。この強弱は、構成員1人1人の信頼関係を築く能力が底流にあるようです。言い換えると、上司と部下に関係なく、すべての構成員が信頼関係を築く能力が高い組織は、磐石(ばんじゃく)ということです。
現実には難しいと思いますが、これに向かって努力する組織は活性度が高くなるはずです。
この書物を選んだ理由
中国の思想の続きです。株式会社徳間書店さんのシリーズで中国の思想を読んでいます。このたびは10巻目の『孫子・呉子』です。
十数年前に買っていた本です。中国の思想シリーズで、最初に手にしたものです。いつか、本が読めるようになったときのために、積ん読していました。孫子の兵法に興味を持ったのは、1996(平成8)年10月の地方新聞に2回記事が掲載されたからです。当時の紙面には、未発表の「明暗」と「九奪」篇が公開されたことの掲載がありました。
私の読み方
読み方は、見開きページを視界全体に捉え、はっきりと見えるところを1文字ずつ読んでいく、弊サイトの方法です。
読んだ順番は、カバー、帯、本書です。本書の最初の部分「・・・あたって」は、今まで読んだ中国の思想と同じですが、飛ばさずに読みました。
読書所要時間など
- 所要時間
- 5日8時間28分
- 読み始め
- 2016(平成28)年6月16日(木)13時20分~
- 読み終わり
- 2016(平成28)年6月21日(火)~21時48分
- 読んだ範囲
- 訳文を読みました。原文、読みくだし文は、ほとんど読んでいません。訳者紹介などの奥付は、軽く目を通しました。広告は見ていません。
取り上げられた書物など
- 『古文孫子』
- 『魏武注孫子』 曹操氏整理
- 『十批判書』 郭沫若氏著
- 『中国哲学史』 狩野直喜氏著
その他、いくつかの書籍の記載がありました。
ひととき
クサイチゴの巨大なものが木になっている。しかも、黒、赤、黄色とカラフルな実です。初めて見ました。
調べてみると、セイヨウヤブイチゴ、別名をブラックベリーというそうです。
平成28年5月22日(日)撮影。
調べたこと
- 1 戦略(せんりゃく)
- ストラテジー(strategy)。参考:戦術(せんじゅつ)。
- 2 激動(げきどう)
- 3 精髄(せいずい)
- 4 決定版(けっていばん)
- 5 野戦(やせん)
- 6 年余(ねんよ)
- 7 明智(めいち)
- 明知(めいち)。
- 8 騎射(きしゃ)
- 9 厚遇(こうぐう)
- 10 せしめる
- 11 奇しき(くしき)
- 12 万全(ばんぜん)
- 13 横槍(よこやり)
- 14 知遇(ちぐう)
- 15 心胆を寒からしめる(しんたんをさむからしめる)
- 16 壟断(ろうだん)
- 17 乱脈(らんみゃく)
- 18 刻薄(こくはく)
- 酷薄(こくはく)。
- 19 残暴(ざんぼう)
- 20 覇業(はぎょう)
- 21 功業(こうぎょう)
- 22 仮託(かたく)
- 23 人品(じんぴん)
- 24 外連味(けれんみ)
- 25 平生(へいぜい)
- 26 独創(どくそう)
- 27 漢籍(かんせき)
- 28 巡幸(じゅんこう)
- 29 伝世(でんせい)
- 30 後人(こうじん)
- 31 文物(ぶんぶつ)
- 32 糊塗(こと)
- 33 欺瞞(ぎまん)
- 34 彼我(ひが)
- 35 詭道(きどう)
- 36 奔命(ほんめい)
- 絶えず動くこと。
- 37 あやふや
- 38 拙速(せっそく)
- 39 糧秣(りょうまつ)
- 40 巧遅(こうち)
- 対義語は「拙速(せっそく)」。
- 41 巧遅は拙速に如かず(こうちはせっそくにしかず)
- 42 騰貴(とうき)
- 43 費消(ひしょう)
- 44 安危(あんき)
- 45 術策(じゅっさく)
- 46 彼を知り己れを知れば百戦殆うからず(かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず)
- 47 変幻自在(へんげんじざい)
- 48 帰趨(きすう)
- 49 間者(かんじゃ)
- 50 自由自在(じゆうじざい)
- 51 霊妙(れいみょう)
- 52 相克(そうこく)
- 相剋(そうこく)。
- 53 端的(たんてき)
- 54 形骸化(けいがいか)
- 55 流動的(りゅうどうてき)
- 56 隠密(おんみつ)
- 57 ・・・裡(り)
- ・・・裏(り)。
- 58 旌旗(せいき)
- 59 抜け駆け(ぬけがけ)
- 60 夜戦(やせん)
- 61 昼戦
- 文脈から、昼に戦うことと思われます。辞書に載っていませんでした。調べましたが、わかりませんでした。
- 62 攪乱(かくらん)
- 63 奇策(きさく)
- 64 帰心(きしん)
- 65 うかうか
- 66 精通(せいつう)
- 67 恃む(たのむ)
- 頼む(たのむ)。
- 68 逸り立つ(はやりたつ)
- 69 伏兵(ふくへい)
- 70 天険(てんけん)
- 71 険害(けんがい)
- 72 企図(きと)
- 73 和睦(わぼく)
- 74 無闇(むやみ)
- 75 奇変
- 調べましたが、わかりませんでした。
- 76 疎か(おろそか)
- 77 侮る(あなどる)
- 78 たじろぐ
- 79 沃野(よくや)
- 80 絶体絶命(ぜったいぜつめい)
- 81 見紛う(みまがう)
- 82 暇(いとま)
- 遑(いとま)。
- 83 駆け引き(かけひき)
- 84 骨折り損の草臥れ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)
- 85 先んじる(さきんじる)
- 86 洞察(どうさつ)
- 87 肉薄(にくはく)
- 肉迫(にくはく)。
- 88 天理(てんり)
- 89 人倫(じんりん)
- 90 挺身(ていしん)
- 91 猛者(もさ)
- 92 雪辱(せつじょく)
- 93 慚愧(ざんき)
- 慙愧(ざんき)。
- 94 見てくれ(みてくれ)
- 95 離間(りかん)
- 96 極致(きょくち)
- 97 優柔不断(ゆうじゅうふだん)
- 98 遅疑(ちぎ)
- 99 白兵戦(はくへいせん)
- 100 判然(はんぜん)
- 101 下知(げじ、げち)
- 102 殲滅(せんめつ)
- 103 駐屯(ちゅうとん)
- 104 狭隘(きょうあい)
- 105 間諜(かんちょう)
- 参考:間者(かんじゃ)。
- 106 親書(しんしょ)
- 107 謀(はかりごと)
- 108 殺到(さっとう)
- 109 掠奪(りゃくだつ)
- 略奪(りゃくだつ)。
- 110 饗応(きょうおう)
- 111 震撼(しんかん)
- 112 劈頭(へきとう)
- 113 迷信(めいしん)
- 114 粉砕(ふんさい)
- 115 陰陽(いんよう)
- 116 一心同体(いっしんどうたい)
- 117 畢竟(ひっきょう)
- 118 地味(ちみ)
- 参考:地味(じみ)。
- 119 雅量(がりょう)
- 120 散開(さんかい)
- 121 膠着(こうちゃく)
- 122 席巻(せっけん)
- 席捲(せっけん)。
- 123 勇躍(ゆうやく)
- 124 てんで
- 125 ざら
- 126 手勢(てぜい)
- 127 汲汲(きゅうきゅう)
- 128 大言壮語(たいげんそうご)
- 129 自業自得(じごうじとく)
- 130 体たらく(ていたらく)
- 為体(ていたらく)。
- 131 作興(さっこう)
- 132 空言(くうげん、そらごと)
- 133 阻喪(そそう)
- 沮喪(そそう)。
- 134 やたら
- 135 清直
- 調べましたが、わかりませんでした。
- 136 廉恥(れんち)
- 137 節義(せつぎ)
- 138 所期(しょき)
- 139 ストイシズム(stoicism)
- 140 軍容(ぐんよう)
- 参考:軍用(ぐんよう)。
- 141 俄作り(にわかづくり)
- 142 由来(ゆらい)
- 143 要害(ようがい)
- 144 機先を制する(きせんをせいする)
- 145 怪我勝ち(けががち)
- 146 旬日(じゅんじつ)
- 10日間。
- 147 撤収(てっしゅう)
- 148 拮抗(きっこう)
- 149 蒙昧(もうまい)
- 150 姫垣(ひめがき)
- 151 果断(かだん)
- 152 無辜(むこ)
- 153 妖異(ようい)
- 154 明察(めいさつ)
- 155 固陋(ころう)
- 156 独立独歩(どくりつどっぽ)
- 157 気風(きふう)
- 158 震駭(しんがい)
- 159 通暁(つうぎょう)
- 160 麾下(きか)
- 161 瑞祥(ずいしょう)
- 瑞象(ずいしょう)。
- 162 吉兆(きっちょう)
- 163 仕儀(しぎ)
- 164 変通(へんつう)
- 165 ずけずけ
- 166 偽り(いつわり)
- 詐り(いつわり)。
- 167 ぐる
- 168 下手(したて、したで。しもて)
- 参考:下手(かしゅ、げしゅ。へた)。
- 169 憤激(ふんげき)
- 170 骨惜しみ(ほねおしみ)
- 171 金科玉条(きんかぎょくじょう)
- 172 時宜(じぎ)
- 173 硬軟(こうなん)
- 174 自在(じざい)
- 175 躊躇う(ためらう)
- 176 警句(けいく)
- 177 生半(なまなか)
- 178 たじろぐ
- 179 右顧左眄(うこさべん)
- 180 エキス
- 181 版図(はんと)
- 182 片時(かたとき)
- 183 思う壺(おもうつぼ)
- 184 左遷(させん)
- 185 失脚(しっきゃく)
- 186 復権(ふっけん)
- 187 鼓舞(こぶ)
- 188 訝る(いぶかる)
- 189 要衝(ようしょう)
- 190 鼓吹(こすい)
- 191 屈従(くつじゅう)
- 192 面持ち(おももち)
- 193 気取る(けどる)
- 194 合戦(かっせん)
- 195 志気(しき)
- 参考:士気(しき)。
- 196 首尾(しゅび)
- 197 確執(かくしつ、かくしゅう)
- 198 遮二無二(しゃにむに)
以下余白