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読んでやる! 読んだもの
№88 中国の思想[Ⅹ] 『孫子・呉子』

 戦争に勝つためには、最強の組織が欲しくなります。この組織をつくるには、信頼関係と人の和の構築を説いています。組織の幹部が、自らの欲をコントロールすることも必要なことの1つです。

中国の思想[Ⅹ] 『孫子・呉子』

副題など
 帯には「必勝の戦略。」「敵に勝ち、己れに勝つ法則。」「戦いもまた人間の営みならば、人間をよく知る者こそが勝利する。激動の時代と人間の探求から生まれた兵法哲学『武経七書』の精髄に、あらたに『孫臏兵法』を加えた決定版。」とありました。
著者など
 村山 孚(むらやま まこと)氏訳
 松枝茂夫氏・竹内好氏監修。
出版社など
株式会社徳間書店 さん
版刷など
 1996年4月第3版第1刷。
 株式会社徳間書店さんの中国古典シリーズ。『中国の思想』全12巻の10巻目。
ボリューム
 318ページ。

感じたこと

 内容に圧倒されました。人間の本質を力強く働かせるという、当たり前のことをシンプルに統制するだけです。

 以前勤めていた組織で、同僚から聞いた話です。
 同僚の隣(となり)の課での出来事です。この出来事があった時期は、それほど忙しくなく、時刻も夕刻でゆっくりとしていたそうです。
 部下の1人が、本日の天気の変化と、めずらしいものを見たことをリーダーの方に向かって言いました。
 すると、リーダーは、はじめ同調するかのように返事をし、突如、手のひらを返すように、激しい口調で次のように言ったそうです。「君はいいなぁ。そんな悠長なことが言えて。ぼくなんか、そんな余裕はないよ」と部下をたしなめるように言ったそうです。リーダーの見ているパソコン画面を見ると、仕事には関係のない、趣味と思しきサイトだったそうです。

 これに似た話は尽きることがありません。自分の威厳を誇示するために、示威行動をするリーダーはたくさんいます。これは、何も社会人だけでなく、学校の教師と生徒にも当てはまります。些細なことに付け込んで、暴言や体罰を加えるリーダーもいます。この中には、加害に興味と快感をもつ者もいるようです。
 さて、リーダーのこのような行為は、部下の面従腹背(めんじゅうふくはい)を生みます。リーダーと部下の不信感は募る一方です。よく仕事のできる部下なら、そんなリーダーのいる組織に失望するかもしれません。声をかけられれば、競合する他社であっても転職するかもしれません。今よく言われている、風通しのよい組織、とは反対を作っているのです。

 兵法の古典は、人間の本質の中で、最低限のものに磨きをかけることを主張しているようです。信頼関係と、行動力の出る人の和の構築です。
 これらは組織の問題ではあっても、個人によるところが大きいようです。個人の信頼関係は、組織にも当てはまります。リーダーの職には、相応の能力と人柄が必要で、誰にも適性があるわけではありません。ところが、活動的な組織を目指すには、すべての構成員に信頼関係を構築できる能力が求められます。知識と思考の能力のみで人材を採用すると、将来、大きな損害を生じるかもしれません。
 組織の活性度の1つに、信頼関係の強弱があります。この強弱は、構成員1人1人の信頼関係を築く能力が底流にあるようです。言い換えると、上司と部下に関係なく、すべての構成員が信頼関係を築く能力が高い組織は、磐石(ばんじゃく)ということです。
 現実には難しいと思いますが、これに向かって努力する組織は活性度が高くなるはずです。

この書物を選んだ理由

 中国の思想の続きです。株式会社徳間書店さんのシリーズで中国の思想を読んでいます。このたびは10巻目の『孫子・呉子』です。
 十数年前に買っていた本です。中国の思想シリーズで、最初に手にしたものです。いつか、本が読めるようになったときのために、積ん読していました。孫子の兵法に興味を持ったのは、1996(平成8)年10月の地方新聞に2回記事が掲載されたからです。当時の紙面には、未発表の「明暗」と「九奪」篇が公開されたことの掲載がありました。

私の読み方

 読み方は、見開きページを視界全体に捉え、はっきりと見えるところを1文字ずつ読んでいく、弊サイトの方法です。
 読んだ順番は、カバー、帯、本書です。本書の最初の部分「・・・あたって」は、今まで読んだ中国の思想と同じですが、飛ばさずに読みました。

読書所要時間など

所要時間
5日8時間28分
読み始め
2016(平成28)年6月16日(木)13時20分~
読み終わり
2016(平成28)年6月21日(火)~21時48分
読んだ範囲
 訳文を読みました。原文、読みくだし文は、ほとんど読んでいません。訳者紹介などの奥付は、軽く目を通しました。広告は見ていません。

取り上げられた書物など

  • 『古文孫子』
  • 『魏武注孫子』 曹操氏整理
  • 『十批判書』 郭沫若氏著
  • 『中国哲学史』 狩野直喜氏著

 その他、いくつかの書籍の記載がありました。

ひととき

 クサイチゴの巨大なものが木になっている。しかも、黒、赤、黄色とカラフルな実です。初めて見ました。
 調べてみると、セイヨウヤブイチゴ、別名をブラックベリーというそうです。

セイヨウヤブイチゴ
 平成28年5月22日(日)撮影。

調べたこと

1 戦略(せんりゃく)
 ストラテジー(strategy)。参考:戦術(せんじゅつ)。
2 激動(げきどう)
3 精髄(せいずい)
4 決定版(けっていばん)
5 野戦(やせん)
6 年余(ねんよ)
7 明智(めいち)
 明知(めいち)。
8 騎射(きしゃ)
9 厚遇(こうぐう)
10 せしめる
11 奇しき(くしき)
12 万全(ばんぜん)
13 横槍(よこやり)
14 知遇(ちぐう)
15 心胆を寒からしめる(しんたんをさむからしめる)
16 壟断(ろうだん)
17 乱脈(らんみゃく)
18 刻薄(こくはく)
 酷薄(こくはく)。
19 残暴(ざんぼう)
20 覇業(はぎょう)
21 功業(こうぎょう)
22 仮託(かたく)
23 人品(じんぴん)
24 外連味(けれんみ)
25 平生(へいぜい)
26 独創(どくそう)
27 漢籍(かんせき)
28 巡幸(じゅんこう)
29 伝世(でんせい)
30 後人(こうじん)
31 文物(ぶんぶつ)
32 糊塗(こと)
33 欺瞞(ぎまん)
34 彼我(ひが)
35 詭道(きどう)
36 奔命(ほんめい)
 絶えず動くこと。
37 あやふや
38 拙速(せっそく)
39 糧秣(りょうまつ)
40 巧遅(こうち)
 対義語は「拙速(せっそく)」。
41 巧遅は拙速に如かず(こうちはせっそくにしかず)
42 騰貴(とうき)
43 費消(ひしょう)
44 安危(あんき)
45 術策(じゅっさく)
46 彼を知り己れを知れば百戦殆うからず(かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず)
47 変幻自在(へんげんじざい)
48 帰趨(きすう)
49 間者(かんじゃ)
50 自由自在(じゆうじざい)
51 霊妙(れいみょう)
52 相克(そうこく)
 相剋(そうこく)。
53 端的(たんてき)
54 形骸化(けいがいか)
55 流動的(りゅうどうてき)
56 隠密(おんみつ)
57 ・・・裡(り)
 ・・・裏(り)。
58 旌旗(せいき)
59 抜け駆け(ぬけがけ)
60 夜戦(やせん)
61 昼戦
 文脈から、昼に戦うことと思われます。辞書に載っていませんでした。調べましたが、わかりませんでした。
62 攪乱(かくらん)
63 奇策(きさく)
64 帰心(きしん)
65 うかうか
66 精通(せいつう)
67 恃む(たのむ)
 頼む(たのむ)。
68 逸り立つ(はやりたつ)
69 伏兵(ふくへい)
70 天険(てんけん)
71 険害(けんがい)
72 企図(きと)
73 和睦(わぼく)
74 無闇(むやみ)
75 奇変
 調べましたが、わかりませんでした。
76 疎か(おろそか)
77 侮る(あなどる)
78 たじろぐ
79 沃野(よくや)
80 絶体絶命(ぜったいぜつめい)
81 見紛う(みまがう)
82 暇(いとま)
 遑(いとま)。
83 駆け引き(かけひき)
84 骨折り損の草臥れ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)
85 先んじる(さきんじる)
86 洞察(どうさつ)
87 肉薄(にくはく)
 肉迫(にくはく)。
88 天理(てんり)
89 人倫(じんりん)
90 挺身(ていしん)
91 猛者(もさ)
92 雪辱(せつじょく)
93 慚愧(ざんき)
 慙愧(ざんき)。
94 見てくれ(みてくれ)
95 離間(りかん)
96 極致(きょくち)
97 優柔不断(ゆうじゅうふだん)
98 遅疑(ちぎ)
99 白兵戦(はくへいせん)
100 判然(はんぜん)
101 下知(げじ、げち)
102 殲滅(せんめつ)
103 駐屯(ちゅうとん)
104 狭隘(きょうあい)
105 間諜(かんちょう)
 参考:間者(かんじゃ)。
106 親書(しんしょ)
107 謀(はかりごと)
108 殺到(さっとう)
109 掠奪(りゃくだつ)
 略奪(りゃくだつ)。
110 饗応(きょうおう)
111 震撼(しんかん)
112 劈頭(へきとう)
113 迷信(めいしん)
114 粉砕(ふんさい)
115 陰陽(いんよう)
116 一心同体(いっしんどうたい)
117 畢竟(ひっきょう)
118 地味(ちみ)
 参考:地味(じみ)。
119 雅量(がりょう)
120 散開(さんかい)
121 膠着(こうちゃく)
122 席巻(せっけん)
 席捲(せっけん)。
123 勇躍(ゆうやく)
124 てんで
125 ざら
126 手勢(てぜい)
127 汲汲(きゅうきゅう)
128 大言壮語(たいげんそうご)
129 自業自得(じごうじとく)
130 体たらく(ていたらく)
 為体(ていたらく)。
131 作興(さっこう)
132 空言(くうげん、そらごと)
133 阻喪(そそう)
 沮喪(そそう)。
134 やたら
135 清直
 調べましたが、わかりませんでした。
136 廉恥(れんち)
137 節義(せつぎ)
138 所期(しょき)
139 ストイシズム(stoicism)
140 軍容(ぐんよう)
 参考:軍用(ぐんよう)。
141 俄作り(にわかづくり)
142 由来(ゆらい)
143 要害(ようがい)
144 機先を制する(きせんをせいする)
145 怪我勝ち(けががち)
146 旬日(じゅんじつ)
 10日間。
147 撤収(てっしゅう)
148 拮抗(きっこう)
149 蒙昧(もうまい)
150 姫垣(ひめがき)
151 果断(かだん)
152 無辜(むこ)
153 妖異(ようい)
154 明察(めいさつ)
155 固陋(ころう)
156 独立独歩(どくりつどっぽ)
157 気風(きふう)
158 震駭(しんがい)
159 通暁(つうぎょう)
160 麾下(きか)
161 瑞祥(ずいしょう)
 瑞象(ずいしょう)。
162 吉兆(きっちょう)
163 仕儀(しぎ)
164 変通(へんつう)
165 ずけずけ
166 偽り(いつわり)
 詐り(いつわり)。
167 ぐる
168 下手(したて、したで。しもて)
 参考:下手(かしゅ、げしゅ。へた)。
169 憤激(ふんげき)
170 骨惜しみ(ほねおしみ)
171 金科玉条(きんかぎょくじょう)
172 時宜(じぎ)
173 硬軟(こうなん)
174 自在(じざい)
175 躊躇う(ためらう)
176 警句(けいく)
177 生半(なまなか)
178 たじろぐ
179 右顧左眄(うこさべん)
180 エキス
181 版図(はんと)
182 片時(かたとき)
183 思う壺(おもうつぼ)
184 左遷(させん)
185 失脚(しっきゃく)
186 復権(ふっけん)
187 鼓舞(こぶ)
188 訝る(いぶかる)
189 要衝(ようしょう)
190 鼓吹(こすい)
191 屈従(くつじゅう)
192 面持ち(おももち)
193 気取る(けどる)
194 合戦(かっせん)
195 志気(しき)
 参考:士気(しき)。
196 首尾(しゅび)
197 確執(かくしつ、かくしゅう)
198 遮二無二(しゃにむに)

以下余白

更新記録など

2016年6月22日(水) : アップロード
2017年10月6日(金) : 「お知らせ」を削除しました。