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読んでやる! 読んだもの
№87 中国の思想[Ⅸ] 『論語』

 孔子には多くの弟子がいました。遠慮のない弟子の質問に、孔子はありのまま応えたことでしょう。そこには、師と弟子の強い信頼関係があるようです。孔子が弟子の性格にあわせたやり取りが、絆を深めたようです。

中国の思想[Ⅸ] 『論語』

副題など
 帯には「人間集団のドラマ。」「真の人間らしさとは何か。」「孔子とその弟子たちがつむぎ出した、新鮮にして深遠なる人間探求の書。東洋哲学の源流『論語』が、二千数百年の時を超えて、いま私たちの心を揺さぶる。画期的全訳!」とありました。
著者など
 久米 旺生(くめ さかお)氏訳
 松枝茂夫氏・竹内好氏監修。
出版社など
株式会社徳間書店 さん
版刷など
 1996年3月第3版第1刷。読んだものは、2010年6月第3版第10刷。
 株式会社徳間書店さんの中国古典シリーズ。『中国の思想』全12巻の9巻目。
ボリューム
 308ページ。ただし、287ページ以降は、「付/略年表・人名索引・語句索引」。

感じたこと

 論語は学校の授業でも習いました。覚えていたものもありましたが、ほとんど知らなかったことに気づかされました。学校ではごく一部しか取り扱わなかったのです。
 孔子と弟子とのやり取りを記録したのが論語ということですが、解釈が様々に分かれるところがありました。孔子が弟子それぞれの性格に応じて問答をしていたことや、出来事を知らなければ言葉の真意がわからないこと、があるようです。
 翻訳されていて、解説がありながら、何カ所も理解不能のところがありました。師弟関係、歴史などを勉強しながら読まないとわからないようです。
 人の行いを説いた内容ですから、例えば、「おのれの欲せざるところ、人に施すなかれ」などは、表面的には、なるほどとは思います。しかし、当時と現代では、若干、感覚が違うのかもしれないと、邪推してしまいです。
 孔子は、言葉を重要視しています。それは、教育により、教養を持つことを考えていたからでしょう。言葉の正確さ、理解があって、真意が伝えられると考えていたようです。
 弟子の性格により、言葉を選び回答を変える。情報交換をする弟子たちは、困惑したことでしょう。考えようによっては、同じ問いに対して、弟子たちに対する回答を集め、考えることで、より正確な考えを抽出できるとも言えます。

 これまで読んだ中国の思想では、『易経』は別として、抽出した考えだけを書いているものがほとんどです。それは、万人が同じ言葉を知ることはできますが、人がそれぞれ違うことを考えると、正確に理解したとは思えません。独り善がりの解釈になりやすいと言えます。
 弟子の性格に応じたやり方は、誰にも、違うことを言っているように聞こえるでしょう。しかし、自分の考えを伝えるのに、相手の性格を考慮した方が、より正確に真意を伝えられると孔子は考えたのかもしれません。

 『老子』は、言葉の限界を言っていると私は感じました。いくら言葉を尽くしても、正確に伝えることはできない。しかし、言葉を使わないと伝えられない、と。自分が感じることを考えていたように思います。以心伝心ということです。
 孔子は、極めた言葉を使って、考えを伝えようとしています。教育すれば、誰でも教養を身につけられるという考えです。努力すれば、誰でも向上するという考えです。
 コミュニケーション手段としての言葉の考え方で、『老子』と『論語』は対極にあると感じました。この言葉の考え方を考えさせられた『論語』でした。

この書物を選んだ理由

 中国の思想の続きです。株式会社徳間書店さんのシリーズで中国の思想を読んでいます。このたびは9巻目の『論語』です。

私の読み方

 読書のことが書いてありました。孔子は読書を弟子に勧めていたのです。
 原文の「学」を、訳文が「読書」とした部分があります。「学」が読書を意味するのかは、私にはよくわかりません。しかし、知識や発想などを得るのは何も読書だけとは限りません。専門家について、教えてもらうことも、いいことだと思うのですが。当時は、交通事情、師弟関係から難しかったのかもしれません。読書が手早く知識を得られるものだったのでしょう。
 何かをはじめるには、予備知識があれば、円滑に進められます。どんなものか見学したり、人に聞いたりするのも大切です。最も手堅いのは、入門書を読むことのように思います。このように考えると、現代でも読書を避けられないと言えそうです。

 読み方は、見開きページを視界全体に捉え、はっきりと見えるところを1文字ずつ読んでいく、弊サイトの方法です。
 読んだ順番は、カバー、帯、本書です。本書の最初の部分「・・・あたって」は、今まで読んだ中国の思想と同じですが、飛ばさずに読みました。

読書所要時間など

所要時間
7日16時間34分
読み始め
2016(平成28)年6月8日(水)午前6時48分~
読み終わり
2016(平成28)年6月15日(水)~23時22分
読んだ範囲
 訳文を読みました。原文、読みくだし文は、ほとんど読んでいません。287ページ以降の「付/略年表・人名索引・語句索引」は必要なときに見ました。訳者紹介などの奥付は、軽く目を通しました。広告は見ていません。

取り上げられた書物など

  • 『論語集解(しっかい)』 何晏(かあん)氏著
  • 『論語集注(しっちゅう)』 朱熹(しゅき)氏著
  • 『論語古義』 伊藤仁斎氏著
  • 『字統』 白川静氏著

 その他、いくつかの書籍の記載がありました。

出来事

 6月15日(水) 東京都知事が、都議会議長に辞職願を提出。

ひととき

 蝶(ちょう)を見かけると、撮影を試みますがうまくいきません。カメラレンズを向けると、すばしっこく動き回ります。
 かなり距離を置いて、カメラをスポーツモードにして、シャッターボタンを押しました。
 蝶の素早い動きと遠い距離にカメラが微妙に揺れます。蝶が花に止まった瞬間、早く撮らなければという気持ちが、さらにカメラを揺らします。
 かなりブレていますが、何とか撮った一枚です。

アオスジアゲハ
 平成28年5月22日(日)撮影。

調べたこと

1 孔子(こうし)
2 探究(たんきゅう)
 参考:探求(たんきゅう)。
3 訳出(やくしゅつ)
4 流布(るふ)
5 乾涸らびる(ひからびる)
 干涸らびる(ひからびる)。
6 後世(こうせい)
 「ごせ」と読めば、仏教語。
7 贔屓の引き倒し(ひいきのひきたおし)
8 鬼子(おにご)
9 会盟(かいめい)
10 衝動(しょうどう)
11 謝礼(しゃれい)
12 乾し肉(ほしにく)
 干し肉(ほしにく)。
13 定本(ていほん)
14 ピックアップ(pickup)
15 隠遁(いんとん)
16 隠者(いんじゃ)
17 向き(むき)
 本書では「むきになる」。
18 厚味(こうみ)
19 追究(ついきゅう)
 参考:追及(ついきゅう)、追求(ついきゅう)を区別する。
20 アナクロニズム(anachronism)
 時代遅れ。
21 雄鶏(ゆうけい、おんどり)
22 佩剣(はいけん)
23 会釈(えしゃく)
24 赤貧(せきひん)
25 醇化(じゅんか)
26 温良(おんりょう)
27 才子(さいし)
28 肌(はだ)
 膚(はだ)。
29 恭敬(きょうけい)
30 牲体
 調べましたが、わかりませんでした。
31 孝養(こうよう)
32 敬愛(けいあい)
33 薄鈍(うすのろ)
34 俊才(しゅんさい)
 駿才(しゅんさい)。
35 陋巷(ろうこう)
36 身贔屓(みびいき)
37 勇武(ゆうぶ)
38 内実(ないじつ)
39 後学(こうがく)
40 綱紀(こうき)
41 綱紀粛正(こうきしゅくせい)
42 権勢(けんせい)
43 中華思想(ちゅうかしそう)
 華夷思想(かいしそう)。インターネットで調べました。
44 指掌(ししょう)
45 敬虔(けいけん)
46 現前(げんぜん)
47 巨細(こさい)
48 嘲笑う(あざわらう)
49 力役(りきえき、りょくえき)
50 おべっか
51 卑俗(ひぞく)
52 感傷的(かんしょうてき)
53 反坫(はんてん)
 どんなものか確認しようとしましたが、見つけられませんでした。
54 渾然(こんぜん)
55 木鐸(ぼくたく)
56 いなす
57 高潔(こうけつ)
58 窘める(たしなめる)
59 しち・・・
60 宰領(さいりょう)
61 根に持つ(ねにもつ)
62 心から(しんから)
63 言下(げんか、ごんか)
64 紛れ(まぎれ)
 ・・・まぎれ。
65 八つ当たり(やつあたり)
66 たとい
67 淫奔(いんぽん)
68 額ずく(ぬかずく)
69 璆然(きゅうぜん)
 調べましたが、わかりませんでした。参考:璆𨪙(きゅうそう)は、玉の鳴る美しい音のこと。
70 祖述(そじゅつ)
71 屈託(くったく)
72 束脩(そくしゅう)
73 用舎行蔵(ようしゃこうぞう)
 インターネットで調べました。
74 むきつけ
 インターネットで調べました。
75 弟子(でし)
76 行(こう)
77 捻くれる(ひねくれる)
78 悪足掻き(わるあがき)
79 手練手管(てれんてくだ)
80 狡っ辛い(こすっからい)
81 反訓(はんくん)
 本書に解説があります。インターネットを参考にしました。
82 昂然(こうぜん)
83 慎ましやか(つつましやか)
84 出御(しゅつぎょ)
85 呈上(ていじょう)
86 上衣(じょうい、うわぎ)
87 饐える(すえる)
88 悪臭(あくしゅう)
 参考:汚臭(おしゅう)。
89 追儺(ついな)
90 鬼遣らい(おにやらい)
91 下賜(かし)
92 陪食(ばいしょく)
93 毒味(どくみ)
 毒見(どくみ)。
94 野辺送り(のべおくり)
95 居住まい(いずまい)
96 憂き身を窶す(うきみをやつす)
 浮身を窶す(うきみをやつす)。
97 腑に落ちない(ふにおちない)
98 暴徒(ぼうと)
99 内憂外患(ないゆうがいかん)
100 合服(あいふく)
 間服(あいふく)。
101 抱負(ほうふ)
102 基壇(きだん)
103 放逐(ほうちく)
104 間怠っこい(まだるっこい)
105 教養(きょうよう)
106 十把一絡げ(じっぱひとからげ)
107 進取(しんしゅ)
108 気魄(きはく)
 気迫(きはく)。
109 金言(きんげん)
110 こせこせ
111 甘んずる(あまんずる)
112 恨みつらみ(うらみつらみ)
113 斎戒沐浴(さいかいもくよく)
114 注進(ちゅうしん)
115 入れ知恵(いれぢえ)
 入れ智慧(いれぢえ)
116 ならず者(ならずもの)
117 内奥(ないおう)
118 知見(ちけん)
 智見(ちけん)。
119 威厳(いげん)
120 十全(じゅうぜん)
121 奇特(きとく、きどく)
122 庭訓(ていきん)
123 道聴塗説(どうちょうとせつ)
124 聞こえよがし(きこえよがし)
125 廉直(れんちょく)
126 御為ごかし(おためごかし)
127 滔滔(とうとう)
128 枝葉末節(しようまっせつ)
129 からっきし
130 迂闊(うかつ)
131 下問(かもん)
132 急場(きゅうば)
133 急場凌ぎ(きゅうばしのぎ)
134 悪し様(あしざま)
135 寿ぎ(ことほぎ)
 言祝ぎ(ことほぎ)。
136 永久(とこしえ)
 常しえ(とこしえ)。
137 放伐(ほうばつ)
138 不肖(ふしょう)
139 寡欲(かよく)
140 無茶(むちゃ)

以下余白

更新記録など

2016年6月16日(木) : アップロード
2017年10月6日(金) : 「お知らせ」を削除しました。