中国の思想[Ⅸ] 『論語』
- 副題など
- 帯には「人間集団のドラマ。」「真の人間らしさとは何か。」「孔子とその弟子たちがつむぎ出した、新鮮にして深遠なる人間探求の書。東洋哲学の源流『論語』が、二千数百年の時を超えて、いま私たちの心を揺さぶる。画期的全訳!」とありました。
- 著者など
- 久米 旺生(くめ さかお)氏訳
- 松枝茂夫氏・竹内好氏監修。
- 出版社など
- 株式会社徳間書店 さん
- 版刷など
- 1996年3月第3版第1刷。読んだものは、2010年6月第3版第10刷。
- 株式会社徳間書店さんの中国古典シリーズ。『中国の思想』全12巻の9巻目。
- ボリューム
- 308ページ。ただし、287ページ以降は、「付/略年表・人名索引・語句索引」。
感じたこと
論語は学校の授業でも習いました。覚えていたものもありましたが、ほとんど知らなかったことに気づかされました。学校ではごく一部しか取り扱わなかったのです。
孔子と弟子とのやり取りを記録したのが論語ということですが、解釈が様々に分かれるところがありました。孔子が弟子それぞれの性格に応じて問答をしていたことや、出来事を知らなければ言葉の真意がわからないこと、があるようです。
翻訳されていて、解説がありながら、何カ所も理解不能のところがありました。師弟関係、歴史などを勉強しながら読まないとわからないようです。
人の行いを説いた内容ですから、例えば、「おのれの欲せざるところ、人に施すなかれ」などは、表面的には、なるほどとは思います。しかし、当時と現代では、若干、感覚が違うのかもしれないと、邪推してしまいです。
孔子は、言葉を重要視しています。それは、教育により、教養を持つことを考えていたからでしょう。言葉の正確さ、理解があって、真意が伝えられると考えていたようです。
弟子の性格により、言葉を選び回答を変える。情報交換をする弟子たちは、困惑したことでしょう。考えようによっては、同じ問いに対して、弟子たちに対する回答を集め、考えることで、より正確な考えを抽出できるとも言えます。
これまで読んだ中国の思想では、『易経』は別として、抽出した考えだけを書いているものがほとんどです。それは、万人が同じ言葉を知ることはできますが、人がそれぞれ違うことを考えると、正確に理解したとは思えません。独り善がりの解釈になりやすいと言えます。
弟子の性格に応じたやり方は、誰にも、違うことを言っているように聞こえるでしょう。しかし、自分の考えを伝えるのに、相手の性格を考慮した方が、より正確に真意を伝えられると孔子は考えたのかもしれません。
『老子』は、言葉の限界を言っていると私は感じました。いくら言葉を尽くしても、正確に伝えることはできない。しかし、言葉を使わないと伝えられない、と。自分が感じることを考えていたように思います。以心伝心ということです。
孔子は、極めた言葉を使って、考えを伝えようとしています。教育すれば、誰でも教養を身につけられるという考えです。努力すれば、誰でも向上するという考えです。
コミュニケーション手段としての言葉の考え方で、『老子』と『論語』は対極にあると感じました。この言葉の考え方を考えさせられた『論語』でした。
この書物を選んだ理由
中国の思想の続きです。株式会社徳間書店さんのシリーズで中国の思想を読んでいます。このたびは9巻目の『論語』です。
私の読み方
読書のことが書いてありました。孔子は読書を弟子に勧めていたのです。
原文の「学」を、訳文が「読書」とした部分があります。「学」が読書を意味するのかは、私にはよくわかりません。しかし、知識や発想などを得るのは何も読書だけとは限りません。専門家について、教えてもらうことも、いいことだと思うのですが。当時は、交通事情、師弟関係から難しかったのかもしれません。読書が手早く知識を得られるものだったのでしょう。
何かをはじめるには、予備知識があれば、円滑に進められます。どんなものか見学したり、人に聞いたりするのも大切です。最も手堅いのは、入門書を読むことのように思います。このように考えると、現代でも読書を避けられないと言えそうです。
読み方は、見開きページを視界全体に捉え、はっきりと見えるところを1文字ずつ読んでいく、弊サイトの方法です。
読んだ順番は、カバー、帯、本書です。本書の最初の部分「・・・あたって」は、今まで読んだ中国の思想と同じですが、飛ばさずに読みました。
読書所要時間など
- 所要時間
- 7日16時間34分
- 読み始め
- 2016(平成28)年6月8日(水)午前6時48分~
- 読み終わり
- 2016(平成28)年6月15日(水)~23時22分
- 読んだ範囲
- 訳文を読みました。原文、読みくだし文は、ほとんど読んでいません。287ページ以降の「付/略年表・人名索引・語句索引」は必要なときに見ました。訳者紹介などの奥付は、軽く目を通しました。広告は見ていません。
取り上げられた書物など
- 『論語集解(しっかい)』 何晏(かあん)氏著
- 『論語集注(しっちゅう)』 朱熹(しゅき)氏著
- 『論語古義』 伊藤仁斎氏著
- 『字統』 白川静氏著
その他、いくつかの書籍の記載がありました。
出来事
6月15日(水) 東京都知事が、都議会議長に辞職願を提出。
ひととき
蝶(ちょう)を見かけると、撮影を試みますがうまくいきません。カメラレンズを向けると、すばしっこく動き回ります。
かなり距離を置いて、カメラをスポーツモードにして、シャッターボタンを押しました。
蝶の素早い動きと遠い距離にカメラが微妙に揺れます。蝶が花に止まった瞬間、早く撮らなければという気持ちが、さらにカメラを揺らします。
かなりブレていますが、何とか撮った一枚です。
平成28年5月22日(日)撮影。
調べたこと
- 1 孔子(こうし)
- 2 探究(たんきゅう)
- 参考:探求(たんきゅう)。
- 3 訳出(やくしゅつ)
- 4 流布(るふ)
- 5 乾涸らびる(ひからびる)
- 干涸らびる(ひからびる)。
- 6 後世(こうせい)
- 「ごせ」と読めば、仏教語。
- 7 贔屓の引き倒し(ひいきのひきたおし)
- 8 鬼子(おにご)
- 9 会盟(かいめい)
- 10 衝動(しょうどう)
- 11 謝礼(しゃれい)
- 12 乾し肉(ほしにく)
- 干し肉(ほしにく)。
- 13 定本(ていほん)
- 14 ピックアップ(pickup)
- 15 隠遁(いんとん)
- 16 隠者(いんじゃ)
- 17 向き(むき)
- 本書では「むきになる」。
- 18 厚味(こうみ)
- 19 追究(ついきゅう)
- 参考:追及(ついきゅう)、追求(ついきゅう)を区別する。
- 20 アナクロニズム(anachronism)
- 時代遅れ。
- 21 雄鶏(ゆうけい、おんどり)
- 22 佩剣(はいけん)
- 23 会釈(えしゃく)
- 24 赤貧(せきひん)
- 25 醇化(じゅんか)
- 26 温良(おんりょう)
- 27 才子(さいし)
- 28 肌(はだ)
- 膚(はだ)。
- 29 恭敬(きょうけい)
- 30 牲体
- 調べましたが、わかりませんでした。
- 31 孝養(こうよう)
- 32 敬愛(けいあい)
- 33 薄鈍(うすのろ)
- 34 俊才(しゅんさい)
- 駿才(しゅんさい)。
- 35 陋巷(ろうこう)
- 36 身贔屓(みびいき)
- 37 勇武(ゆうぶ)
- 38 内実(ないじつ)
- 39 後学(こうがく)
- 40 綱紀(こうき)
- 41 綱紀粛正(こうきしゅくせい)
- 42 権勢(けんせい)
- 43 中華思想(ちゅうかしそう)
- 華夷思想(かいしそう)。インターネットで調べました。
- 44 指掌(ししょう)
- 45 敬虔(けいけん)
- 46 現前(げんぜん)
- 47 巨細(こさい)
- 48 嘲笑う(あざわらう)
- 49 力役(りきえき、りょくえき)
- 50 おべっか
- 51 卑俗(ひぞく)
- 52 感傷的(かんしょうてき)
- 53 反坫(はんてん)
- どんなものか確認しようとしましたが、見つけられませんでした。
- 54 渾然(こんぜん)
- 55 木鐸(ぼくたく)
- 56 いなす
- 57 高潔(こうけつ)
- 58 窘める(たしなめる)
- 59 しち・・・
- 60 宰領(さいりょう)
- 61 根に持つ(ねにもつ)
- 62 心から(しんから)
- 63 言下(げんか、ごんか)
- 64 紛れ(まぎれ)
- ・・・まぎれ。
- 65 八つ当たり(やつあたり)
- 66 たとい
- 67 淫奔(いんぽん)
- 68 額ずく(ぬかずく)
- 69 璆然(きゅうぜん)
- 調べましたが、わかりませんでした。参考:璆𨪙(きゅうそう)は、玉の鳴る美しい音のこと。
- 70 祖述(そじゅつ)
- 71 屈託(くったく)
- 72 束脩(そくしゅう)
- 73 用舎行蔵(ようしゃこうぞう)
- インターネットで調べました。
- 74 むきつけ
- インターネットで調べました。
- 75 弟子(でし)
- 76 行(こう)
- 77 捻くれる(ひねくれる)
- 78 悪足掻き(わるあがき)
- 79 手練手管(てれんてくだ)
- 80 狡っ辛い(こすっからい)
- 81 反訓(はんくん)
- 本書に解説があります。インターネットを参考にしました。
- 82 昂然(こうぜん)
- 83 慎ましやか(つつましやか)
- 84 出御(しゅつぎょ)
- 85 呈上(ていじょう)
- 86 上衣(じょうい、うわぎ)
- 87 饐える(すえる)
- 88 悪臭(あくしゅう)
- 参考:汚臭(おしゅう)。
- 89 追儺(ついな)
- 90 鬼遣らい(おにやらい)
- 91 下賜(かし)
- 92 陪食(ばいしょく)
- 93 毒味(どくみ)
- 毒見(どくみ)。
- 94 野辺送り(のべおくり)
- 95 居住まい(いずまい)
- 96 憂き身を窶す(うきみをやつす)
- 浮身を窶す(うきみをやつす)。
- 97 腑に落ちない(ふにおちない)
- 98 暴徒(ぼうと)
- 99 内憂外患(ないゆうがいかん)
- 100 合服(あいふく)
- 間服(あいふく)。
- 101 抱負(ほうふ)
- 102 基壇(きだん)
- 103 放逐(ほうちく)
- 104 間怠っこい(まだるっこい)
- 105 教養(きょうよう)
- 106 十把一絡げ(じっぱひとからげ)
- 107 進取(しんしゅ)
- 108 気魄(きはく)
- 気迫(きはく)。
- 109 金言(きんげん)
- 110 こせこせ
- 111 甘んずる(あまんずる)
- 112 恨みつらみ(うらみつらみ)
- 113 斎戒沐浴(さいかいもくよく)
- 114 注進(ちゅうしん)
- 115 入れ知恵(いれぢえ)
- 入れ智慧(いれぢえ)
- 116 ならず者(ならずもの)
- 117 内奥(ないおう)
- 118 知見(ちけん)
- 智見(ちけん)。
- 119 威厳(いげん)
- 120 十全(じゅうぜん)
- 121 奇特(きとく、きどく)
- 122 庭訓(ていきん)
- 123 道聴塗説(どうちょうとせつ)
- 124 聞こえよがし(きこえよがし)
- 125 廉直(れんちょく)
- 126 御為ごかし(おためごかし)
- 127 滔滔(とうとう)
- 128 枝葉末節(しようまっせつ)
- 129 からっきし
- 130 迂闊(うかつ)
- 131 下問(かもん)
- 132 急場(きゅうば)
- 133 急場凌ぎ(きゅうばしのぎ)
- 134 悪し様(あしざま)
- 135 寿ぎ(ことほぎ)
- 言祝ぎ(ことほぎ)。
- 136 永久(とこしえ)
- 常しえ(とこしえ)。
- 137 放伐(ほうばつ)
- 138 不肖(ふしょう)
- 139 寡欲(かよく)
- 140 無茶(むちゃ)
以下余白