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読んでやる! 読んだもの
№85 中国の思想[Ⅶ] 『易経』

 易経は、自分自身、現在の状況、過去について、分析を必要とします。そして、世の中で起こった蓄積したデータに基づき、将来を予測するようです。決して、当てずっぽうではありません。

中国の思想[Ⅶ] 『易経』

副題など
 帯には「未来への指針。」「運命を打開する英知。」「“占い”を神の託宣や宿命としてではなく、人生の法則を明らかにし、運命開拓をはかる道と捉えた古代中国人の英知、「易経」。深遠にして難解な原典が、画期的な現代語訳を得て、いま活き活きと甦る!」とありました。
著者など
 丸山 松幸(まるやま まつゆき)氏訳
 松枝茂夫氏・竹内好氏監修。
出版社など
株式会社徳間書店 さん
版刷など
 1996年10月第3版第1刷。読んだものは、2009年6月第3版第8刷。
 株式会社徳間書店さんの中国古典シリーズ。『中国の思想』全12巻の7巻目。
ボリューム
 314ページ

感じたこと

「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と言いますが。

 もう、数十年前のことですが、友達との夕食後、手相で運勢判断をしてもらったことがあります。
 占い師さんから、世間話などを交(まじ)えながら、いろんなことを聞かれました。その結果、私の運勢は、あまりよくありませんでした。
 占い師さんは、たいへん穏やかで丁寧に受け答えをしてくれた方でした。話しやすい感じだったので、占ってもらった運勢を変える方法がないか聞いてみました。返ってきた答えは、できない、でした。しかし、占い師さんの大先生なら、変えることはできないとしても、その状況を和らげることができるかもしれないと言うのです。人は、運命を変えることはできないのです。
 最後に、占い師さんが、何かを書いたメモを私に渡してくれました。そこには呪文のような言葉が並べられていました。それを覚えるまで見るように言われました。その内容は、人の道に関するものでした。退屈な日々でも、苦しい状況にあっても、自分を見失わず、人の道を歩むことが書かれていました。今から思えば、人の道さえ踏み外さなければ、よくない運勢でも一生を何とか過ごせる、ということなのでしょう。

 私が占い師さんに占ってもらったのは、これが、最初で最後です。これより以前に、私が空想していた占いとは違い、かなり話を聞き、人となりを判断して、何かに照らし合わせて、将来を占っていました。何らかの確証を得て、未来を判断していたようです。
 これより、少し後になりますが、深夜番組で、ある占い師さんが取り上げられていました。この占い師さんのところへは、苦しい状況を脱するために、相談に来る人たちがいました。商売がうまくいかなかったり、不幸が続く人たちです。占い師さんは、この恵まれない運命を変えることはできないといっていました。しかし、風水などを使って、悪い気をそらし、良い気が来るように、工夫をしていました。ただ、将来を占うだけでは、何のための占術であるのかわからない。人の苦しみを少しでも軽くしたい、というようなことを言っていました。インターネットでその名前で検索すると、すぐにヒットしました。今では、占いの世界では有名になられたようです。それだけ、人のために、占われたということでしょう。

 人は努力すれば叶(かな)うと考えがちですが、必ずしもそうでないことがわかります。生い立ち、環境、人となり、タイミングなど、あらゆることが関係してくるからです。これらのことを客観的に分析し、将来を予測するのが占いです。言い換えると、占術は、当たるか当たらないかではなく、必要な項目について、冷静に分析して、蓄積されたデータから将来を予測しています。シンクタンクが経済予測をするのに近いのです。
 悪あがきしても私たちは運命を変えることができません。運命を変えようと努力すれば、かえって行き詰まるかもしれません。そうであるなら、運命を受け入れ、自分に合うものを、できることをしてゆくしかありません。
 行き詰まらないための分析、対策が、易経と思うようになりました。
 当たる当たらないより、人の歩むべき道を選び、確実に進んでいくことのようです。

この書物を選んだ理由

 中国の思想の続きです。株式会社徳間書店さんのシリーズで中国の思想を読んでいます。このたびは7巻目の『易経』です。

私の読み方

 中国の思想の中で、孟子、老子などは学校で習いますが、易経という占いははじめて読みました。マンガには易者が出てきますし、ことわざなどもあり、生活に身近にある気がします。最近では、色々な占いがあり、易の影が薄いように感じています。
 易は、実技を伴うものであり、きまりに従って占うことになります。本書の解題に、易の基礎基本が書かれています。教科書を読むようで、理解と覚えることがあるので、なかなか読み進められませんでした。本書に実技がなかったのは、幸いでした。実技がなくても、エッセンスに触れられたのは、本書の特長かもしれません。
 本書を読み進めるうえで、28ページの八卦、37ページの「(付)」の占断の辞は、何度も何度も見返しました。このページには附箋(ふせん)を貼って、すぐに見られるようにしました。

 六十四卦(ろくじゅうしか)・卦爻辞(かこうじ)を目次で見ると、これを読むのかと感じになります。辞書を片っ端から読んでいくようなイメージです。しかし、読み始めると、占いの流れや、考え方がわかるような気がします。本書の解説が、知識を与え、読む意欲をかき立ててくれます。じっくりと読むことができました。

 本書の解題の中に読書に関するものがありました。15ページにあります。その中に「書物は読者との合作によってはじめて現実化する」(6行目一部抜粋)です。読書とは何かを考える上で参考になります。

 読み方は、見開きページを視界全体に捉え、1文字ずつを読んでいく方法です。このたびは、解題の基本事項を確認するため、必要な箇所に、附箋(ふせん)、しおりをいつも以上に使いました。
 一見しただけでは理解できないところがあり、読みが止まることが何度もありました。人生に疑問や迷いを感じる状況で、易を読むと理解できるのかもしれません。理解することも、覚えることも多かったという印象の易経でした。

 読んだ順番は、カバー、帯、本書です。本書の最初の部分「・・・あたって」は、今まで読んだ中国の思想と同じですが、飛ばさずに読みました。

読書所要時間など

所要時間
9日21時間17分
読み始め
2016(平成28)年5月18日(水)21時49分~
読み終わり
2016(平成28)年5月28日(土)~19時06分
読んだ範囲
  本文のみを読みました。原文、読みくだし文は、読んでいません。訳者紹介などの奥付は、軽く目を通しました。広告は見ていません。

取り上げられた書物など

  • 『周易正義』 王弼氏・韓伯氏注
  • 『説文解字(せつもんかいじ)』 許慎氏著
  • 『易林』 焦贛氏著
  • 『周易集注』 来知徳(らいちとく)氏著

 その他、多数の書籍の記載がありました。

出来事

 5月27日(金) 米大統領が被爆地・広島を訪問し、演説と対話。

ひととき

 建物の非常用階段の裏にツバメが巣を作っていました。いつの間にか、雛(ヒナ)が巣から顔を出していました。

ツバメの巣
 平成28年5月22日(日)撮影。

調べたこと

1 易経(えききょう)
 易周(えきしゅう)、易(えき)。
2 未来(みらい)
3 運命(うんめい)
 これに似た言葉は、「宿命(しゅくめい、しゅくみょう)」「天命(てんめい)」「定め(さだめ)」「命数(めいすう)」「命運(めいうん)」「天運(てんうん)」「命(めい、みょう)」「運(うん)」「運勢(うんせい)」と様々あります。もっとあるかもしれません。
 宿命は、仏教から来ているようです。「命」は暮らしのことで、この善し悪しが来世を決めるようです。前世の行いが、現世を定めるということです。
 『岩波 仏教辞典』の「宿命(しゅくみょう)」の項は参考になります。
4 占い(うらない)
 卜い(うらない)。
5 託宣(たくせん)
6 甦る(よみがえる)
 蘇る(よみがえる)。
7 衍文(えんぶん)
8 脱文(だつぶん)
9 経文(きょうもん)
10 占筮(せんぜい)
11 筮辞(ぜいじ)
 本書に説明があります。
12 体裁(ていさい)
13 易占(えきせん)
 インターネットで調べました。
14 占断(せんだん)
15 霊媒(れいばい)
16 巫(ふ)
 みこ。
17 祝(しゅく)
 神官。
18 巫祝(ふしゅく)
19 亀卜(きぼく)
20 蓍筮(しぜい)
21 卜辞(ぼくじ)
22 会意(かいい)
23 暴威(ぼうい)
24 仮託(かたく)
25 絹布(けんぷ)
26 万人(ばんにん、ばんじん)
27 万様
 調べましたがわかりませんでした。
28 牽強付会(けんきょうふかい)
 牽強附会(けんきょうふかい)。
29 哲理(てつり)
30 概述
 調べましたがわかりませんでした。
31 有為転変(ういてんぺん)
32 交感(こうかん)
33 背く(そむく)
 叛く(そむく)。
34 憂患(ゆうかん)
35 厳酷(げんこく)
36 詔書(しょうしょ)
37 好尚(こうしょう)
38 端初
 調べましたがわかりませんでした。
39 心得(こころえ)
40 精華(せいか)
41 衰乱(すいらん)
 漢和辞典に載っていました。
42 不抜(ふばつ)
43 生成(せいせい)
44 操(みさお)
45 王業(おうぎょう)
46 極盛(きょくせい)
 漢和辞典に載っていました。
47 化育(かいく)
48 慶福(けいふく)
49 一朝一夕(いっちょういっせき)
50 霜を履んで堅氷に至る(しもをふんでけんぴょういたる)
51 礼譲(れいじょう)
52 見紛う(みまがう)
 本書では「見まごう」とあります。
53 経綸(けいりん)
54 血涙(けつるい)
55 しっくり
56 隠忍自重(いんにんじちょう)
57 暴虎馮河(ぼうこひょうが)
58 恭順(きょうじゅん)
59 勢子(せこ)
60 否塞(ひそく)
 漢和辞典に載っていました。
61 具足(ぐそく)
62 順風満帆(じゅんぷうまんぱん)
63 盈満(えいまん)
64 法度(はっと)
65 雲集(うんしゅう)
66 年増(としま)
67 蠱惑(こわく)
68 篤実(とくじつ)
69 巡察(じゅんさつ)
70 綾(あや)
 文(あや)。
71 爛熟(らんじゅく)
72 正色(せいしょく)
73 漆(うるし)
74 一陽来復(いちようらいふく)
75 推戴(すいたい)
76 美質(びしつ)
77 艱難(かんなん)
78 楊(よう)
 枝が垂れ下がらない「やなぎ」のこと。垂れ下がる「やなぎ」は「柳」。
79 幾何(いくばく)
 幾許(いくばく)。参考:幾何学(きかがく)。
80 幾許も無く(いくばくもなく)
81 ぐらつく
82 言訳(いいわけ)
 言い分け(いいわけ)。
83 侍講(じこう)
84 憾み(うらみ)
85 明徳(めいとく)
86 政柄(せいへい)
 参考:権柄(けんぺい)。
87 舌禍(ぜっか)
88 啀み合い(いがみあい)
89 幽鬼(ゆうき)
90 蟠り(わだかまり)
91 盈虚(えいきょ)
92 嵩に掛かる(かさにかかる)
93 疾風迅雷(しっぷうじんらい)
94 剛毅(ごうき)
 豪毅(ごうき)。
95 沼沢(しょうたく)
96 婢(ひ)
 下女(げじょ)のこと。
97 弁解(べんかい)
98 身命(しんめい、しんみょう)
99 同衾(どうきん)
100 聳動(しょうどう)
101 中天(ちゅうてん)
102 緯書(いしょ)
 参考:経書(けいしょ)。
103 恭敬(きょうけい)
104 けち
 吝嗇(りんしょく)。
105 廷臣(ていしん)
106 融通無礙(ゆうずうむげ)
 「ず」に注意する。
107 稟性(ひんせい)
108 恭しい(うやうやしい)
109 斎戒(さいかい)
110 憧憧(しょうしょう)
 落ち着かないこと。漢和辞典に載っていました。
111 思弁(しべん)
112 蒺藜(しつり)
 本書では、304ページに「蒺藜に拠る」の解説があります。インターネットで画像を確認しました。
113 際会(さいかい)
114 後家(ごけ)

以下余白

更新記録など

2016年5月30日(月) : アップロード
2017年10月6日(金) : 「お知らせ」を削除しました。