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読んでやる! 読んだもの
№81 『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』

 本書は随筆とのことです。しかしながら、その内容は、味わい深く哲学的です。翻訳の果たす役割が大きいことを知りました。

『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』

 原題は『All Really Need to Know I Learn in Kindergarden』

副題など
 帯には「“本当の知恵とは?”」「心が洗われる感動のエッセー集」「全米で大ブーム!珠玉のエッセー」とありました。
著者など
 ロバート・フルガム(Robert Fulghum)氏著
 池 央耿(いけ ひろあき)氏訳
出版社など
株式会社 河出書房新社 さん
版刷など
 1990年5月初版発行。読んだものは1994年10月55版。
ボリューム
 283ページ

感じたこと

 私が保育所に通っていた子ども時代のことです。保育所は田舎にありました。今頃の季節(5月頃)に、イチゴを摘みに近くの畑に歩いて行きました。
 イチゴ畑には、モンシロチョウやモンキチョウ、ミツバチが舞飛んでいました。そんな中、イチゴを摘み始めました。摘んだイチゴは先生が持つカゴに入れることになっていました。できるだけ赤く大きいイチゴを摘もうと頑張っていました。私は、摘んだイチゴを先生の持つカゴに入れていました。
 あるとき、自分の近くにあるカゴにイチゴを入れました。カゴを持った先生は、別の組の子なのにいいの、ありがとう、というような言い方をしました。私は、どうせ摘んだイチゴはみんなで分け合って食べるのだからいい、と思いました。
 イチゴ摘みが終わり、保育所の部屋に戻って、しばらくして、先生から話がありました。摘んだイチゴの多さを組別に発表したのです。残念ながら、順位を覚えていません。1位の組が何かをもらったかどうかについても、覚えていません。しかし、あの時、別の組のカゴにイチゴを入れたことを非常に後悔しました。何せ、今でも覚えているくらいですから。
 この時から、私は、心に固く誓いました。同じような行事があったとき、何があっても自分の組のカゴに入れると。しかし、そんな行事は今日までありません。
 当時の私は、幼稚園でいうと年中にあたります。この幼さで、こんなことを思うのですから、知恵がつくはずです。
 そして、私は密かに狙っています。運よく老人ホームに入れたら、同じようなゲームがあるはずです。今度こそは、間違いなく自分の組のカゴに入れてみせる。老化に負けなければですが。
 これが人生に必要な知恵かどうかはわかりませんが。

この書物を選んだ理由

 タイトルに引かれて、積ん読していた本です。本を読めるようになったら、読もうと思っていた本です。
 当時の私は、人間の感情や行いは、高次の心理学や脳科学に求めるまでもなく、案外単純なはずと思っていました。
 本書は、日本で発行されてから25年以上経っています。その間、科学の進歩と社会状況の変化も目まぐるしく変わってきました。そして、私も変わってきたはずです。
 読後、私の当初の思いが変化するかどうか楽しみです。

私の読み方

 本書「はじめに」に、少しずつゆっくりと読むようにとのアドバイスがありました。1項目を読んだら、少し間をあけて読むように決めました。たとえば、ティータイムを挟むとか。しかし、その必要はありませんでした。
 なぜなら、本書を読みづらいと思ったからです。
 1つは、言葉です。今まで弊サイトで読んできた本にはない感触がありました。ひらがなで表現する「ちぐはぐ」とか「てんやわんや」など、会話によく使われる言葉です。一方で、「書肆(しょし)」や「愛愍(あいみん)」などのあまり見たことのない言葉があります。さらに、薬のタムズ、バイエルンをバヴァリアなど、著者の環境への馴染みです。
 古典の徒然草を意識した翻訳をされたのでしょうか。随筆らしく普段の言葉で、哲学者らしく時に難しい言葉を、いにしえは異国文化として。このように考えると、よくできた翻訳だと思いました。
 わからないことは、一つ一つ調べないと、内容を把握できませんでした。注釈があれば、流れがあり、少しは深く読めた気がします。本書のアドバイスどおり、ゆっくりと少しずつしか読めませんでした。

 読んだ順番は、カバー、帯、本書の「目次」「はじめに」「訳者あとがき」本文です。「訳者あとがき」は、最初と最後の2回読みました。
 文字は小さめ、1行の長さは短めで、視界に入るので、読みやすいと感じました。視界に入るように行の長さにすると、読みやすくなるようです。逆に言えば、行全体を視界に見ることができれば、読みやすくなるということです。

読書所要時間など

所要時間
8日20時間28分
読み始め
2016(平成28)年4月8日(金)22時04分~
読み終わり
2016(平成28)年4月17日(日)~18時32分
読んだ範囲
 カバー、帯、本書。奥付は軽く目をとおし、広告は読んでいません。

取り上げられた書物など

  • 『クリスマス・キャロル』 ディケンズ氏著

出来事

 4月14日(木) 熊本県で震度7の地震。震度の大きい余震が続く。

ひととき

 前回と同じ日に撮影しました。
 河川敷で撮影しました。
スズメ
 平成28年4月9日(土)撮影。

調べたこと

1 知恵(ちえ)
 智慧(ちえ)。
2 珠玉(しゅぎょく)
3 偶感(ぐうかん)
4 心境(しんきょう)
5 クレド(credo)
 本書では「使徒信条」。ラテン語。
6 信条(しんじょう)
7 広汎(こうはん)
 広範(こうはん)。
8 気配(けわい、けはい)
 漢字は、当て字。
9 先走り(さきばしり)
10 跨がる(またがる)
11 家常(かじょう)
12 家常茶飯(かじょうさはん)
 参考:日常茶飯(にちじょうさはん)。
13 剽窃(ひょうせつ)
14 書肆(しょし)
 書店。「肆」は、「店」のこと。
15 落陽の紙価を高める(らくようのしかをたかめる)
16 炯眼(けいがん)
17 無常観(むじょうかん)
18 とまれかくまれ
 参考:「ともあれかくもあれ」。
19 相克(そうこく)
 相剋(そうこく)。
20 流布本(るふぼん)
21 喝破(かっぱ)
22 一丁字(いっていじ)
 参考:「一丁字を識(し)らず」。「目に一丁字なし」。
23 振りかぶる(ふりかぶる)
 インターネットでも調べました。
24 斜に構える(しゃにかまえる)
25 手に負う(てにおう)
 参考:手に負えない(てにおえない)。
26 おさおさ
27 細工(さいく)
28 細工は流流仕上げを御覧じろ(さいくはりゅうりゅうしあげをごろうじろ)
29 膾炙(かいしゃ)
30 生きとし生けるもの(いきとしいけるもの)
31 樵(きこり)
32 奇習(きしゅう)
 参考:奇襲(きしゅう)。既習(きしゅう)。
33 意気(いき)
34 阻喪(そそう)
 沮喪(そそう)。
35 コングロリマット(conglomerate)
 複合企業。
36 ラッダイツ(Luddites)
37 片割れ(かたわれ)
38 城砦(じょうさい)
 城塞(じょうさい)。
39 隈取り(くまどり)
40 日向ぼっこ(ひなたぼっこ)
41 分捕る(ぶんどる)
42 ・・・詣(・・・もうで)
43 忽せ(ゆるがせ)
44 コミッション・カンパニー
 調べましたがわかりませんでした。
45 故国(ここく)
46 境涯(きょうがい)
47 杯(さかずき、はい)
 盃(さかずき、はい)。
48 伴侶(はんりょ)
50 薬石(やくせき)
51 薬石効なし(やくせきこうなし)
52 何やかや(なんやかや)
 インターネットで調べました。
53 色褪せる(いろあせる)
54 タムズ(Tums)
 アメリカの胃薬。インターネットで画像を確認しました。
55 得体(えたい)
56 ねとねと
57 天真爛漫(てんしんらんまん)
58 縁(よすが)
 便(よすが)。
59 あけすけ
60 親馬鹿(おやばか)
61 丸出し(まるだし)
62 閨房(けいぼう)
 寝室のこと。
63 岨道(そばみち、そわみち)
64 潜る(くぐる)
65 煉瓦(れんが)
66 我が物顔(わがものがお)
67 震天(しんてん)
68 震天動地(しんてんどうち)
 参考:驚天動地(きょうてんどうち)。
69 鳴物入り(なりものいり)
70 波瀾(はらん)
 参考:波乱(はらん)。
71 サビイロカメノコハムシ
 インターネットで画像を確認しました。
72 フィーカル(fecal)
 糞の。
73 柔和(にゅうわ)
74 シニシズム(cynicism)
 冷笑主義。
75 ペシミズム(pessimism)
 対義語は「オプティミズム(optimism)」。
76 ・・・然(・・・ぜん)
77 含羞(がんしゅう)
78 綯い交ぜ(ないまぜ)
 「綯(とう)」は、縄や糸を撚(よ)って作ること。
79 グレイヴィ(gravy)
 グレービー。グレイビー。グレービーソースのこと。料理したときに出た肉汁をソースにしたもの。
80 爪楊枝(つまようじ)
 韓国ではデンプンで爪楊枝を作っているそうです。
81 情けが仇(なさけがあだ)
82 遣らず打っ手繰り(やらずぶったくり)
83 ・・・古す(・・・ふるす)
84 ぽんこつ
85 猟獣(りょうじゅう)
 インターネットで調べました。
86 陶酔境(とうすいきょう)
87 柿葺き(こけらぶき)
 インターネットで画像を確認しました。
88 呵呵(かか)
89 呵呵大笑(かかたいしょう)
90 夜っぴて(よっぴて)
91 ゆくりなく
 偶然に。
92 病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)
93 果たせるかな(はたせるかな)
 思った通り。
94 出張る(でばる)
 参考:出っ張る(でっぱる)。
95 悪びれる(わるびれる)
96 綿毛(わたげ)
97 浚う(さらう)
98 驚嘆(きょうたん)
 驚歎(きょうたん)。
99 抽斗(ひきだし)
 引き出し(ひきだし)。
100 ちぐはぐ
101 てんやわんや
102 心根(こころね)
103 梲が上がらない(うだつがあがらない)
104 通過儀礼(つうかぎれい)
 誕生、成人など。
105 俗塵(ぞくじん)
106 御役御免(おやくごめん)
107 ぐうたら
108 大らか(おおらか)
109 殺風景(さっぷうけい)
110 卑下(ひげ)
111 会衆(えしゅ、かいしゅう)
112 悲愴(ひそう)
 参考:悲壮(ひそう)。
113 憂思(ゆうし)
114 郷愁(きょうしゅう)
115 橇(そり)
116 馬橇(ばそり)
117 陋屋(ろうおく)
118 守銭奴(しゅせんど)
119 身も蓋もない(みもふたもない)
120 目を見張る(めをみはる)
 目を瞠る(めをみはる)。
121 天衣無縫(てんいむほう)
122 あざとい
123 古色蒼然(こしょくそうぜん)
124 バヴァリア
 バイエルン(Bavaria)の英語読み。
125 進取(しんしゅ)
126 根方(ねかた)
127 計器飛行(けいきひこう)
 対義語は「有視界飛行(ゆうしかいひこう)」。
128 しかつめらしい
129 物物しい(ものものしい)
130 ・・・風情(・・・ふぜい)
131 ローファー(loafer)
 インターネットで画像を確認しました。
132 毳(けば)
 毛羽(けば)。
133 剥落(はくらく)
134 ごった煮(ごったに)
135 高歌放吟(こうかほうぎん)
136 名にし負う(なにしおう)
 名に負う(なにおう)。
137 出立ち(いでたち)
138 扮装(ふんそう)
139 もそもそ
140 くだくだしい
141 繋索(けいさく)
142 威風(いふう)
143 威風堂堂(いふうどうどう)
144 蒼空(そうくう)
145 嚆矢(こうし)
 物事のはじまり。
146 横道(おうどう)
147 才気煥発(さいきかんぱつ)
148 性分(しょうぶん)
149 家鴨(あひる)
 鶩(あひる)。
150 年嵩(としかさ)
151 黄道(こうどう)
152 黄道十二宮(こうどうじゅうにきゅう)
153 墜死(ついし)
154 玄孫(やしゃご)
155 草分け(くさわけ)
156 崖っ縁(がけっぷち)
157 安らか(やすらか)
158 翻って(ひるがえって)
159 破顔(はがん)
160 破顔一笑(はがんいっしょう)
161 奇妙(きみょう)
162 奇妙奇天烈(きみょうきてれつ)
163 子実体(しじつたい)
 参考:菌糸体(きんしたい)。
164 後ろ盾(うしろだて)
 後ろ楯(うしろだて)。
165 人となり(ひととなり)
 為人(ひととなり)。
166 恬然(てんぜん)
167 無心(むしん)
168 困じ果てる(こうじはてる)
169 喜捨(きしゃ)
170 半生(はんせい)
 参考:「はんしょう」と読めば別意で、生死の境にあること。
171 後半生(こうはんせい)
172 朴直(ぼくちょく)
173 禿頭(とくとう、はげあたま)
174 爪弾き(つまびき)
175 満更(まんざら)
176 満更でもない(まんざらでもない)
177 然も(さも)
 「さもさもらしく」とは、「さもそれらしく」といった意味でしょうか。
178 道標(どうひょう、みちしるべ)
179 虎口(ここう)
180 導師(どうし)
181 野暮天(やぼてん)
182 止す(よす)
183 肝斑(かんぱん)
184 草臥れる(くたびれる)
185 火屋(ほや)
 参考:「ひや」と読めば「火葬場」のこと。
186 競い立つ(きおいたつ)
 気負い立つ(きおいたつ)。
187 肢(し)
 手足のこと。
188 幼子(おさなご)
 幼児(おさなご、ようじ)。
189 科白(せりふ)
 台詞(せりふ)。
190 寄越す(よこす)
 遣す(よこす)。
191 有象無象(うぞうむぞう)
 参考:「有相無相(うそうむそう)」。
192 錚錚(そうそう)
193 愛愍(あいみん、あいびん)
 目上が目下をかわいがり気の毒に思うこと。
 参考:哀愍(あいみん)と区別する。
194 陋巷(ろうこう)
195 睡気(ねむけ)
 眠気(ねむけ)。

以下余白

更新記録など

2016年4月12日(火) : アップロード