中国の思想[Ⅱ] 『戦国策』
- 副題など
- 帯には「処世知の宝庫。」「変革期を生き抜いた男たち。」「奇想天外な発想、意表をつく論理、多彩なレトリック、そして男の意気地-動乱の戦国時代を背景に、「説客」たちが織り成す鮮烈な生の軌跡。」とありました。
- 著者など
- 劉向(りゅうきょう)氏編。守屋 洋(もりや ひろし)氏訳
- 出版社など
- 株式会社徳間書店 さん
- 版刷など
- 1996年11月第3版第1刷。読んだものは、2007年6月第3版第5刷。
- 株式会社徳間書店さんの中国古典シリーズ。『中国の思想』全12巻の2巻目。松枝茂夫氏・竹内好氏監修。
- ボリューム
- 285ページ。
感じたこと
目は口ほどに物を言う、でしょうか。
先日、所用で家の近くを歩いていたところ、キャットフードを食べている野良ネコとカラスを見ました。たいていの場合、ネコがカラスを追い払うのですが、仲良くしているのです。デジタルカメラで撮影しようとしたところ、カラスが飛び去ってしまいました。その近くで自転車に乗った外国人(西洋人と思われる)女性が、スマートフォンを覗き込んでいました。ネコとカラスのことを聴くと、撮影できたと流暢な日本語で返事がありました。その時、私は彼女の目を見て話をしていましたが、目線がだんだん下にズレていくのを感じました。これは行けないと思い、彼女の目を見るように目線を戻す努力をしていました。彼女は決して目線を外しませんでした。
そういえば、中学生の時、国語の先生が次のような話をされました。日本人は相手の目を見ながら話をしない。あいさつするときや、別れ際など目で合図を送るときは相手の目を一瞬見ますが、それ以外は見ないのが、日本人としては普通なのだそうです。目を合わせるときは、ケンカをするときか、恋人同士で見つめ合うときなどの、ごく限られた状況でしかないそうです。
なぜ、先生がこの話をされたのでしょうか。保護者から、うちの子は親の目を見て話をしないので信用できません、などの訴えがあったのかもしれません。話した相手が生徒と考えると、騒動や色恋沙汰を牽制する意味があったのかもしれません。
テレビに西洋人の家庭の様子が映っていたことがありました。その中で、母親が何か注意をしているときに、子どもが何か言いながらそっぽうを向いていました。次の瞬間、母親は子どもの顔を両手で挟み込み、自分の方に向けたのです。そして、「話をするときは、相手の目を見なさい」と強い口調で言ったのです。
日本人以外の場合、どういう感覚で目を見て話をするのか私にはわかりません。しかし、国際化が言われ続けてきた日本において、国際的に活躍できる人材を育てるのは必要不可欠です。その中で、日本人の親が子どもに、目を見て話をすることを求め続けているのでしょうか。それとも目を見て話をすることが、人間の本性からみて信頼の証と言えるのでしょうか。
さて、中国の戦国時代の遊説家はどのように弁舌を振るっていたのでしょうか。本の中では、語られた内容は書いてあっても、その態度の詳細はあまり触れられていません。しかし、舌先三寸(したさきさんずん)の記述が目立ちます。このことから、君主や幹部に持論を展開するとき、遊説の士は拝跪(はいき)し言上していたのかもしれません。この状態では、目を見ながら話をするのは困難です。
秦という強大な国家を作り上げた法術を作り出した韓非は、吃音(きつおん)であり遊説の士には向いていなかったようです。法術は書として残されたものを活用したものです。もし、秦が韓非を任用していたら、法術を時代に即したものへと進化させていたかもしれません。それにより、安定的に長期間、国家が繁栄したかもしれないのです。吃音(きつおん)という外見だけで、採否、真偽を決めるのは利益を逸することがあるのです。
口ほどに目はものを言いますが、それ以上に、利(き)く目を持ちたいものです。話す相手の目の動きだけで、真偽を判断すると痛い目に遭います。
この書物を選んだ理由
中国の思想の続きです。株式会社徳間書店さんのシリーズで中国の思想を読んでいます。このたびは2巻目の『戦国策』です。
私の読み方
形式などは『韓非子』と同じです。読んだところも、訳文しか読んでいません。
なかなか覚えられないのが、読み方です。丁寧にルビを打ってあるのですが、なかなか覚えられません。最初にルビがあるので、その後の言葉は自分でルビを打ちました。どうも私のルビの見方は、ルビを強く意識して見すぎるようです。そのため、漢字がお留守になるようです。ルビを見た後で、必ず漢字をじっくりと見た方がいいと感じました。それでも、1日経つと忘れていました。特に、固有名詞は厄介です。
読書所要時間など
- 所要時間
- 20日6時間25分
- 読み始め
- 2016(平成28)年2月22日(月)16時45分~
- 読み終わり
- 2016(平成28)年3月13日(日)~23時10分
- 読んだ範囲
- 原文、読みくだし文、広告は読んでいません。訳者紹介などの奥付は、軽く目を通しました。
取り上げられた書物など
- 『戦国策正解』 横田 惟孝(よこた ただたか)氏著
- 『戦国策補正』 安井 息軒(やすい そっけん)氏著
- 『葉隠』 山本 常朝(やまもと じょうちょう)氏著
お知らせ
2016年5月14日(土)訂正(アップデート日は別)
「版刷など」で、「全13巻」(誤)を「全12巻」(正)に訂正しました。
出来事
3月12日(土) 囲碁で人工知能が世界的棋士に勝利。
ひととき
鳥取県・湖山池(こやまいけ)の「オオバン(大鷭)」です。
平成28年3月12日(土)撮影。
調べたこと
- 1 戦国策(せんごくさく)
- 2 発想(はっそう)
- 3 意気地(いきじ)
- 4 動乱(どうらん)
- 5 説客(ぜいかく)
- 6 織り成す(おりなす)
- 7 鮮烈(せんれつ)
- 8 軌跡(きせき)
- 9 年中無休(ねんじゅうむきゅう、ねんちゅうむきゅう)
- 本書とは関係ありません。ドライブ中に看板を見て、どう読むのだろうかと気になり調べました。
- 10 底本(ていほん、そこほん)
- 11 権謀術数(けんぼうじゅっすう)
- 12 食客(しょっかく)
- 13 寄食(きしょく)
- 14 幸運児(こううんじ)
- 15 舌先三寸(したさきさんずん)
- 16 匕首(あいくち)
- 17 権門(けんもん)
- 18 せせこましい
- 19 しぶとい
- 20 弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)
- 21 祭祀(さいし)
- 22 号令(ごうれい)
- 23 天下に号令する(てんかにごうれいする)
- 国の支配者になったということでしょうか。インターネットなどで調べました。
- 24 押し戴く(おしいただく)
- 25 転回(てんかい)
- 参考:展開(てんかい)。
- 26 権臣(けんしん)
- 27 抜擢(ばってき)
- 28 辺鄙(へんぴ)
- 29 西方(せいほう、さいほう)
- 30 一敗地に塗れる(いっぱいちにまみれる)
- 参考:「一敗、地に塗れる」。
- 31 国是(こくぜ)
- 32 降敵
- 調べましたがわかりませんでした。
- 33 賦税(ふぜい)
- 34 賞賜(しょうし)
- 35 徭役(ようえき)
- 36 威業
- 調べましたがわかりませんでした。
- 37 虎符(こふ)
- インターネットで調べました。画像を確認しました。
- 38 布く(しく)
- 参考:公布(こうふ)。
- 39 弩(ど)
- インターネットで画像を確認しました。
- 40 押し合い圧し合い(おしあいへしあい)
- 41 縦横家(じゅうおうか)
- 42 金科玉条(きんかぎょくじょう)
- 43 機知(きち)
- 44 散佚(さんいつ)
- 散逸(さんいつ)。
- 45 固より(もとより)
- 46 情偽(じょうぎ)
- 47 悔悟(かいご)
- 48 懲創(ちょうそう)
- インターネットで調べました。
- 49 文辞(ぶんじ)
- 50 浅陋(せんろう)
- 51 会得(えとく)
- 「会」には、「要点」「理解する」という意味があります。
- 52 卒す(しゅっす)
- 53 一念発起(いちねんほっき)
- 54 二心(にしん、ふたごころ)
- 55 操(みさお)
- 56 好(よしみ)
- 誼(よしみ)。
- 57 面罵(めんば)
- 58 小身者(しょうしんもの)
- 参考:小心者(しょうしんもの)。
- 59 謁見(えっけん)
- 60 杼(ひ)
- 梭(ひ)。
- 61 心服(しんぷく)
- 62 並べて(なべて)
- 63 患(うれえ)
- 64 容赦(ようしゃ)
- 65 落度(おちど)
- 越度(おちど)。
- 66 鄭重(ていちょう)
- 丁重(ていちょう)。
- 67 口実(こうじつ)
- 68 殊勲(しゅくん)
- 69 無道(むどう)
- 70 豪傑(ごうけつ)
- 71 珍珠
- 真珠のことのようです。インターネットで調べました。
- 72 宝玉(ほうぎょく)
- 73 富貴(ふうき)
- 74 言上(ごんじょう)
- 75 慰問(いもん)
- 76 先物(さきもの)
- 77 密通(みっつう)
- 78 参内(さんだい)
- 79 布告(ふこく)
- 80 臣従(しんじゅう)
- 81 直言(ちょくげん)
- 82 不明(ふめい)
- 83 功名(こうみょう)
- 84 横槍(よこやり)
- 85 小走り(こばしり)
- 86 むざむざ
- 87 可惜(あたら)
- 88 妙味(みょうみ)
- 89 突拍子(とっぴょうし)
- 90 苦苦しい(にがにがしい)
- 91 邸(やしき)
- 屋敷(やしき)。
- 92 押し隠す(おしかくす)
- 93 藪睨み(やぶにらみ)
- 94 労しい(いたわしい)
- 95 相・・・(あい・・・)
- 96 畏まる(かしこまる)
- 97 泥人形(どろにんぎょう)
- 98 木偶(でく)
- 99 今し方(いましがた)
- 100 御陀仏(おだぶつ)
- 101 長じて(ちょうじて)
- 長ずる(ちょうずる)。
- 102 驕慢(きょうまん)
- 参考:傲慢(ごうまん)。
- 103 果して(はたして)
- 104 身の程(みのほど)
- 105 身の程知らず(みのほどしらず)
- 106 重用(じゅうよう、ちょうよう)
- 参考:重要(じゅうよう)。
- 107 険阻(けんそ)
- 嶮岨(けんそ)。
- 108 不肖(ふしょう)
- 109 図図しい(ずうずうしい)
- 110 誹る(そしる)
- 譏る(そしる)。謗る(そしる)。
- 111 回状(かいじょう)
- 112 堪能(かんのう、たんのう)
- 113 引見(いんけん)
- 114 慈しむ(いつくしむ)
- 115 渋い(しぶい)
- 116 親書(しんしょ)
- 117 貶す(けなす)
- 118 腓(こむら)
- 119 戎翟(じゅうてき)
- 本書のルビは「えびす」。
- 120 恐懼(きょうく)
- 121 作柄(さくがら)
- 122 獣(けもの、けだもの)
- 123 金銀(きんぎん)
- 124 財宝(ざいほう)
- 125 気脈(きみゃく)
- 126 気脈を通ずる(きみゃくをつうずる)
- 127 目の上の瘤(めのうえのこぶ)
- 128 身を窶す(みをやつす)
- 129 思いの丈(おもいのたけ)
- 130 手兵(しゅへい)
- 131 難渋(なんじゅう)
- 132 無為徒食(むいとしょく)
- 133 御為倒し(おためごかし)
- 134 無定見(むていけん)
- 135 図体(ずうたい)
- 136 尚書(しょうしょ)
- 137 枢(すう、かなめ)
- 138 復命(ふくめい)
- 139 激情(げきじょう)
- 140 瑞兆(ずいちょう)
- 141 あぐねる
- 142 屠場(とじょう)
- 143 金子(きんす)
- 144 喊声(かんせい)
- 145 大音声(だいおんじょう)
- 146 首級(しゅきゅう)
- 147 一心同体(いっしんどうたい)
- 148 唇歯輔車(しんしほしゃ)
- 149 逢引(あいびき)
- 150 周旋(しゅうせん)
- 151 知遇(ちぐう)
- 152 席捲(せっけん)
- 153 輻射(ふくしゃ)
- 154 捨て石(すていし)
- 155 忽せ(ゆるがせ)
- 156 降る(くだる)
- 157 憤然(ふんぜん)
- 158 侍医(じい)
- 159 判官(ほうがん、はんがん)
- 160 判官贔屓(ほうがんびいき、はんがんびいき)
- 161 横恋慕(よこれんぼ)
以下余白