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読んでやる! 読んだもの
№62 『フォトリーディング超速読術』

 本書はフォトリーディングという方法で、速読を試みています。本をカメラで写し取るかのように見ていく方法です。無意識、潜在意識、アファメーション(プラス思考の暗示)、受験テクニック的な手法にその特徴があります。無意識、潜在意識、アファメーションというと、胡散臭(うさんくさ)く、曖昧模糊(あいまいもこ)のように感じます。しかし、誰もが経験していることをこのような言葉で表現したに過ぎません。試験勉強など目的を持った読書には、最適な方法のようです。

『フォトリーディング超速読術』

副題など
「脳が勝手に記憶する!!」
著者など
 フォトリーディング公認インストラクターズさん著
(本書に石ケ森久恵氏のお名前がありますが、本書執筆の代表の方なのでしょうか?)
出版社など
フォレスト出版株式会社さん
版刷など
2010年9月初版。読んだものは、2010年10月2刷。
ボリューム
105ページ

感じたこと

 『一炊の夢』という故事を思い出しました。『邯鄲(かんたん)の夢』ともいうようです。
 インターネットで検索すると、粗筋(あらすじ)がわかります。さらに簡単に記しますと。
 立身出世を夢見て国の官僚試験を受けにやって来た若者がいた。食事をしようとしたが、飯を炊くところだった。そこにいた老人から枕を勧められ、若者は横になるとうたた寝をした。若者は立身出世を極めた夢を見た。夢から覚めると、まだ、飯は炊きあがっていなかった。若者は人生のはかなさを悟った。
 この物語の妙味は、飯が炊きあがらない短い時間で一生を見てしまうところです。立身出世の人生ですから、いろいろなことがあったはずです。その時々の出来事に対する感情もあるはずです。しかし、ほんの一瞬で自分の人生が終わってしまいます。
 栄華を極めた人生も一瞬で終わる。そんなに短い人生なら、地位や身分などの形にこだわる必要はなかった。自分が欲しいのは幸せだった。夢見るまで、それを実現させてくれるのが国家のエリートの立場と、若者は考えていたのです。
 この故事が伝えるものは、人生のはかなさです。故事の意味としてはそれでいいかもしれませんが、味わいに欠けます。故事から還元した場合、「人生は短い」だけで終わらせるには、もったいない物語です。栄華、挫折など人生は紆余曲折(うよきょくせつ)の連続です。それは、どんな人生でも同じことです。
 私には、「自分の思う道を進め! 迷うことはない。すべての苦楽はほんの一瞬である」とも解釈できるのです。教訓的にいえば、「形に惑わされて、真に自分の求めることを見誤ってならない」とも読めるのです。
 私がこの物語を知ったのは、『100の有名な話』?、武者小路実篤氏編纂(へんさん)? 日本実業出版社さん?でした。保育園児から小学生の時に、兄弟に何回も読んでもらいました。不思議な物語で、未だにいろいろなことを考えてしまいます。時間、見た夢が現実の未来であったら、夢を見させたのは枕か老人の策か、などです。
 不思議なもので、『100の有名な話』?の本を画像として記憶しています。もしかすると、記憶の変遷により、少々違っているかもしれませんが。カバーのシワはこんな感じで、挿絵はこんなものだったという感じです。書名も、画像で思い出しました。インターネットで調べると、正確ではなかったものの、目的にすぐにたどり着きました。

 小学校の時に先生から、読書のうまい人の中に、本をカメラで写すかのように読む人がいる話を聞いたことがあります。フォトリーディングと関係がありそうです。
 小学校時代の私は、試験前に勉強をしたことがありませんでした。しかし、試験中に思い出すのは、授業の映像や教科書の画像でした。当時は、本を読めなかったので、その方法しかなかったと言えます。この時、私が感じたのは、映像や画像を記憶できるということです。言葉を語呂合わせなどでそのまま覚えると、1つ詰まるとなかなか出てきません。合わせて、画像で覚えていると思い出しやすくなることを経験したことがあります。

 2つの話で、私が言いたかったのは、人間の脳は優秀だということです。とても俊敏で処理能力が高いのです。この映像や画像で記憶したり、読書したりする。私たちは何気に目を開いてものを見ています。しかし、意識すればこれらの見たものを思い出せるようになったり、活用することができるのです。

この書物を選んだ理由

 速読の読み方を知りたいので、その書籍を選んで読みました。
 速読はいろいろな方法があるようですが、フォトリーディングという速読術を取り上げました。過去に聞いたカメラで写し取るかのように読むのを想像しました。

私の読み方

 本書には目の使い方は載っていますが、弊サイトが取り上げる目と意識については、あまり語られていません。もっぱら、フォトリーディングのマニュアルに徹した書籍です。

 この本で私が気になったのは、「無意識や潜在意識」と「アファメーション(プラス思考の暗示)」、受験テクニック的な手法です。

 顕在意識と潜在意識はどこまで解明されているのでしょうか。
 私は、精神医学や心理学に携わる者ではありません。そんな立場ですが、言いたいことがあります。読書をするのは誰なのか、ということです。顕在意識や潜在意識に分けることのない1人の人間のはずです。そこでは、それらの意識が入り乱れているはずです。
 潜在意識は何で作られるのでしょうか。それは、私たちが経験してきたもの、すなわち、見たもの、触れたもの、聞いたものなど具体的なもののはずです。はっきりとした体験だからこそ、記憶に残り、自分の性格や感性などと相俟(あいま)って、潜在意識となるはずです。そこでの記録は、必要に応じて、または、偶然に顕在意識となります。しかし、言葉として潜在意識はわかっても、それがどのように作用するのか、不明な点が多いように思います。
 私たちが物事を学ぶうえで大切にしたいのは、わかるものを見て実行することです。手に取るようにわかることが理想なのです。顕在意識で読めるようになることです。潜在意識はそれ自身に委(ゆだ)ねます。

 「アファメーション(プラス思考の暗示)」は、弊サイトで取り上げた『いきなり はじめる PHP ワクワク・ドキドキの入門教室』にありました。この書籍のアファメーションの使い方は、あることを達成してから自分に言葉をかけるところにあります。できたことを適正に評価し、できることが増えたことを喜び認識することです。
 本書のアファメーションは、する前に「できる」という誘導型の暗示です。弊サイトで自律訓練法を取り上げていますが、ここで使われるのは「◯◯になっていく」という言葉です。特に初めのうちはできないことの方が当たり前なので、「できる」というより、「なっていく」の法がよいように思います。
 さらに、自律訓練法を利用した自己催眠術では、「◯◯できる」という言葉が出てきます。しかし、言葉の使い方として、一度はできていたか、誰もができることに使っています。
 本書は、いいことしか書かれていません。フォトリーディングに挫折した人の話が1つもないのです。成功談しかありません。挫折した人が1人もいなかったのかもしれません。
 難関試験を合格した体験談がありました。これを見て、「自分はできるから、必ず合格できる」などのアファメーションを使わないように気をつけましょう。受験者の全員がフォトリーディングの熟練者だった場合がそうです。不合格の場合のダメージは相当なものになるでしょう。試験の合否は自分では決められないからです。自分で決められないものに「できる」の暗示は危険です。私がフォトリーディングの暗示を使うなら、「フォトリーディングで本を読むとどんどん豊かになっていく」でしょうか。

 受験テクニック的な手法を取り上げています。
 本を読む目的意識を強く持つことです。対面する問題の解答に向け、全力を尽くすことです。書籍を何らかの道具として扱っています。この考え方は、実生活には非常に有効な手段です。
 はじめはざっと見る。キーワードを取り出す。そして、読む。これは、予習復習をしているのと同じで、2、3回本を読んでいることになります。内容の理解もしやすく、記憶にも残ることでしょう。しかし、1冊だけ本を読んだ場合、どれほどの時間がかかるのか知りたいところです。ノートに書き出したりするようですから。

 フォトリーディングは、書籍の見開き両ページの端を意識して見て、必要な箇所を読んでいくものです。ここで注意したいことがあります。必要でなかった箇所が必要になった場合、ぼんやりと見える周辺視野で見ていると、ぼやけた文字しか現れないということです。情報が取り出せないことになります。見るときは、見開きページの文字などをはっきりと見ておく必要があります。

 体裁です。
 マニュアルのように作られており、非常に見やすく、実践しやすいように作られていました。上下2段の縦書き、図は1ページを使用しています。1行は28文字程度で視界に一文が入るので、読みやすかったです。よく工夫されていると思いました。また、よくまとめられており、105ページのボリュームは、読書の苦手な人にも優しいはずです。

読書所要時間など

所要時間
2日18時間6分
読み始め
2015(平成27)年10月7日(水)16時01分~
読み終わり
2015(平成27)年10月10日(土)~10時7分
読んだ範囲
 カバー、帯、本書の全て。ただし、著者プロフィールのある奥付、広告は、軽く目を通しただけです。

取り上げられた書物など

  • 『あなたもいままでの10倍速く本が読める』 ポール・R・シーリィ氏著

出来事

 10月5日(月) 大村智(おおむら・さとし)氏が、ノーベル医学生理学賞に決定。
 10月6日(水) 梶田隆章(かじた・たかあき)氏が、ノーベル物理学賞に決定。

ひととき

キクイモ

 キクイモ(菊芋)です。神戸市東灘区を流れる住吉川(すみよしがわ)に咲いていました。植物の名前は、近くの小学校の観察会をされていた兵庫・水辺ネットワークの方に教えていただきました。当日は、いろいろとお世話になり、ありがとうございました。
 後日調べたところ、キクイモの芋の部分(塊茎〔かいけい〕)は、食べられるそうです。インターネットで菊芋のレシピを簡単に検索できます。健康食品としても注目されているようです。
 平成27年10月7日(水)撮影。

 

調べたこと

1 即効(そっこう)
2 古今東西(ここんとうざい)
3 賓客(ひんかく、ひんきゃく)
4 ダイヤローグ(dialogue)
ダイヤログ。
5 メソッド(method)
6 エキサイティング(exciting)
7 瞑想(めいそう)
冥想(めいそう)
8 チャント(chant)
 詠唱(えいしょう)。言葉に節をつけてうたうことのようです。日本でいえば、お経を読むような感じなのでしょうか。
 本書の場合は短い言葉とありますので、仏教でいう称名(しょうみょう)のようなことでしょうか。「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」や唱道(しょうどう)と呼ばれる「何妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」のようなものでしょうか。
 インターネットでも調べました。
9 トリガー(trigger)
引き金(ひきがね)。インターネットでも調べました。
10 ディッピング(dipping)
 浸して染めるという意味があります。本書では、記憶を定着させるということでしょうか。
 インターネットでも調べました。
11 スキタリング
 フォトリーディングの用語です。スキミング(skimming)から来ているのでしょうか。
 インターネットで調べました。
12 独自(どくじ)
13 突破口(とっぱこう)
14 障壁(しょうへき)
15 研鑽(けんさん)
16 小心者(しょうしんもの)

以下余白

更新記録など

2015年10月14日(水) : アップロード
2016年1月23日(土) : レスポンシブ様式に改装