『頭は「本の読み方で」磨かれる』
- 副題など
- カバーには、「見えてくるものが変わる70冊」とありました。
- 帯には
「脳は「言葉」と向き合うときに、一番成長する!」
「脳科学者流 完全読書ガイド」
「頭のいい人は、何を、どう読んでいる?」
とありました。 - 著者など
- 茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)氏著
- 出版社など
- 三笠書房さん
- 版刷など
- 本書に版刷の表示はありませんでした。三笠書房さんのホームページで確認したところ、「2015年6月22日発売」とありました。
- ボリューム
- 238ページ
感じたこと
「参りました」の一言です。
2013(平成25)年にNHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』というドラマを放送していました。私にとって、その中の1シーンに忘れられないものがあります。
主人公・卯野め以子(うのめいこ)が、下宿人であり将来の夫となる西門悠太郞(にしかどゆうたろう)に勉強を教えてもらう場面です。め以子は女学校の成績が悪く、次の試験で赤点を取れば、落第というところまできていました。悠太郞に勉強を教えてもらうのですが、どうしてもわからないのです。そして、悠太郞から、何がわからないのか言ってください、と言われます。め以子は、何がわからないのかわからない、と返します。その時、勉強のできる人に、できない人の気持ちはわからないよね、というようなナレーションが入ります。
私の高校の授業で歴史の先生が次のように言っていました。大学入試の歴史で高得点を取るには、教科書を5、6回読めばいい、というものでした。この話を聞いた私の印象は、そんなに読めない、でした。自分が興味を持った本でも、かなりの時間がかかるのに、苦痛を感じている教科書をそれだけ読むなんて、です。歴史の教科書で一番苦痛に思うのは、言葉にフリガナがないことでした。読み方もわからないのに歴史用語を覚えるのは、私にはできませんでした。読み方も人によって変わるものがあるので、記憶しにくいのです。当時の定期試験は筆記ですから、読みまでは試されませんが、とにかく覚えるのに苦労しました。試験後、頭の中には何にも残っていないのです。
そんな高校生の時に聞いた話で、我が耳を疑うものがありました。
裁判官や弁護士になるには、司法試験に合格しなければなりません。司法試験の勉強には、基本書と呼ばれる本を読むそうです。義務教育のような教科書がないのか、法律の専門家が書いた法律ごとの本を基本書と呼ぶようです。受験者が使う基本書は、司法試験の委員が著した本を使う場合が多いようです。試験問題に、著者の専門や考えが反映されやすいからだそうです。要は試験に合格しやすくなるということです。そして、法律の基本書は、素人から見て、決して優しい内容ではありません。
合格者の基本書を読む平均は、6、7回だそうです。しかも、1冊の本だけではないそうです。六法と言われる、憲法、刑法、民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法と、その他の法律もあるのだとか。
六法だけとしても、1冊6回で、計36回読むことになります。私には信じられないことです。まず、本を理解できるかが不安です。何回も同じものを読むのかと思うと、モチベーションが下がります。そして、読むスピードです。ある弁護士は、新聞を全て読むのに1時間かからないそうです。おそらく、法律家が働く世界は、読む能力の高いことが前提となっているようです。
私には、本好きの知人がいました。いつも本を持っていて、暇があれば読んでいました。どうしたら本をそんなに読めるようになるのか聴いたことがありますが、返ってきたのは「わからない」でした。今から思うと、知人からすれば、なぜそんなことを聴くのか、どうして読めないのか、読みたい本がないだけではないのか、と逆に私に聴いてきそうなものです。当時の私なら、「読み方がわからないから、読めないんだ」と答えたでしょう。
読書をしない人の中には、興味のある本を読みたいのに、文章の読み方がわからないために、私のように読めない人がいるのです。ある程度の漢字や熟語の読み方や意味、簡単な文法を知っていてもです。
それにしても人は「頭がいい」という言葉に弱いですね。ところで、みんなが同じレベルの賢さになったとして、人はこの言葉を連発しているのでしょうか。
この書物を選んだ理由
前回『読んだら忘れない読書術』に続き、本の読み方についての本を取り上げました。書店で前回の本の隣に置いてありました。
私の読み方
突然ですが、文章を読めない人が、苦渋の努力をして本を読めるようになるのでしょうか。ただ漠然と本と対峙(たいじ)していたのでは、本を読めるようにはならない、というのが私の結論です。経験上、本を嫌いになる感情を強めるだけです。やはり、それなりの手段を持つべきだと思います。私は、弊サイトの方法を試すと、読むのが楽になりました。スピードも以前よりは速くなり、内容もわかるようになってきた気がします。
今から思えば、本を読まなかった時の私の読み方は、文章を文字の塊として見ていました。文字を文字として見ていました。文字の形→辞書の意味→文意の解釈、の順に見て読んでいたようです。文字が何であるかを認識してから、文意を理解して読む感覚は、余分な作業をして、文意の解釈までの抵抗を大きくしているように感じます。現況は、文字の形は当たり前のこととして、辞書&文中での意味→文意の解釈、の順に、読んでいる感じです。文意の解釈に重点を置いているため、文字の形を強く意識する感覚は少なくなったように感じます。
私の予想ですが、もう少し経験を積むと、文字の形→辞書&文中での意味、が当たり前になるかもしれません。そして、文意の解釈、文章や文書、本の主張が何かについて、重点を置いて読む感覚になるのではないかと思います。
このように感覚が推移すると仮定すると、次の段階は、文章や文書、本の主張の把握が当然のこととなると考えます。さらに、経験や知識などを持った全ての自分と本が会話するかのように読むようになる気がします。その中で、何らかの気づき、新たな発想や創造が生まれるのかもしれません。
このように感じる理由は、ラジオやテレビ番組を視聴している姿を考えるとそう思います。いちいち、言葉を気にかけていないからです。番組の主張と自分の経験や知識などを照らし合わせているからです。番組に自分が没入したり、自分の中に番組が入り込むような感覚です。『日本的霊性』に、仏が我か、我が仏かという記述がありました。本が自分に入るのか、自分が本に没入するのか、ということです。本と会話するように読む、というのは、このようなことかもしれません。
本書で「一万時間の法則」が紹介されていました。評価されるようになるまでに、訓練に要する時間です。1日8時間従事するとして、1,250日、約3年半かかります。ことわざでいう、石の上にも三年、は正しかったということでしょうか。
体裁です。文字の大きさ、行間、一文の長さは、バランスがとれているのか、文字を楽に見ることができました。文もわかりやすく、理解に苦しむところはなかったように感じます。
巻末に「本書で紹介した本のリスト」は、有用です。本書は、読書の本ですから、紹介した本を章ごとにリストアップしているようです。ここを見れば、読んだ内容が蘇ってくる気がします。
さて、老眼について。このたびも老眼は気になりませんでした。寝返りを打ちながら、メガネを外して、読みました。開いた本全体が視界に入り、文字がはっきりと見えるようであれば、抵抗なく本を読めるようです。もう少し、経過を見ていきたいと思います。
読書所要時間など
- 所要時間
- 5日12時間10分
- 読み始め
- 2015(平成27)年8月17日(月)22時30分~
- 読み終わり
- 2015(平成27)年8月23日(日)~午前11時40分
- 読んだ範囲
- 奥付は軽く目を通しました。巻末の書籍広告は見ていません。それ以外は、カバー、帯など全て読みました。
取り上げられた書物など
- 『存在と時間』 ハイデガー氏著
- 『天才! 成功する人々の法則』 マルコム・グラッドウェル氏著
※巻末の「本書で紹介した本のリスト」は、一見する価値があります。
出来事
8月19日(水) 国際宇宙ステーションに物資を届ける「こうのとり」が軌道に。
8月21日(金) 大阪府寝屋川市の2人の中学一年生殺害事件で、容疑者が捕まる。
調べたこと
- 1 「アンカー(錨)」としての
- 船を動かないようにする道具ですが、固定するという意味もあります。また、支え、頼れるもの、よりどころ、などの意味もあります。
- 錨は、船の停泊するときだけに使われるものではないそうです。エンジンなどのトラブルで推進力を失うと、船は波にゆられて不安定な状態になります。水深のあるところでは、錨を海中に宙づりにすることで、船は安定するそうです。錨の中には、パラシュートのようなシーアンカーというものがあるそうです。
- 2 癒やす(いやす)
- 3 一刻(いっこく)
- 4 肥やし(こやし)
- 5 金の草鞋(かねのわらじ)
- 「きん」ではなく「かね」と読みます。ことわざ辞典には、「鉄の草鞋で尋ねる(かねのわらじでたずねる)」とありました。「年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ(としうえのにょうぼうはかねのわらじをはいてでもさがせ)」をよく聞きます。インターネットなどで調べました。
- 6 地頭(じあたま)
- 私の持っている辞書には、カツラを着けない頭という表記のみでした。もう一つ世間では、自分で気づき行動するという本来その人が持っている頭のよさ、を言うようです。インターネットなどで調べました。
- 7 駄目出し(だめだし)
- 8 カノン(Kanon)
- ドイツ語。本書に解説があります。
- 9 圧倒的(あっとうてき)
- 10 分厚い(ぶあつい)
- 部厚い(ぶあつい)。
- 11 披露(ひろう)
- 12 滋養(じよう)
- 13 校正(こうせい)
- 14 校閲(こうえつ)
- 15 備忘録(びぼうろく)
- 16 決定版(けっていばん)
- 17 テキスト(text)
- 18 スパーリング(sparring)
- 19 代弁(だいべん)
- 本人の代わりに語ること。他に、本人の代わりに弁償するという意味がありました。
- 20 もやもや
- 21 ワクチン(Vakzin)
- ドイツ語。本書に解説があります。
- 22 抑止力(よくしりょく)
- インターネットで調べました。
- 23 潔癖(けっぺき)
- 24 白日の下に晒す(はくじつのもとにさらす)
- インターネットで調べました。
- 25 架空(かくう)
- 26 メタファー(metaphor)
- 隠喩法(いんゆほう)。
- 27 前・・・(ぜん・・・)
- 28 理知的(りちてき)
- 29 論破(ろんぱ)
- 30 骨太(ほねぶと)
- 31 教養(きょうよう)
- 32 訝る(いぶかる)
- 33 盟友(めいゆう)
- 同志(どうし)。
- 34 ロックンロール(rock’n’roll)
- 35 傑出(けっしゅつ)
- 36 実装(じっそう)
- 37 直覚(ちょっかく)
- 38 審美(しんび)
- 39 強烈(きょうれつ)
- 40 物怖じ(ものおじ)
- 41 惹く(ひく)
- 引く(ひく)。
- 42 スタンディングオベーション(standing ovation)
- 43 バラエティ(variety)
- 44 呆然(ぼうぜん)
- 45 端的(たんてき)
- 46 白眉(はくび)
- 47 鬼気(きき)
- 48 燦然(さんぜん)
- 49 功徳(くどく)
- 50 悦に入る(えつにいる)
- 51 ディフェンディング・チャンピオン(defending champion)
- 52 漢籍(かんせき)
- 53 揉む(もむ)
- 54 生長(せいちょう)
- 成長(せいちょう)と区別する。
- 55 愚弄(ぐろう)
- 56 贔屓の引き倒し(ひいきのひきたおし)
- 57 夭折(ようせつ)
- 58 壮絶(そうぜつ)
- 59 冒涜(ぼうとく)
- 冒瀆(ぼうとく)。
- 60 鼻持ちならぬ(はなもちならぬ)
- 61 膾炙(かいしゃ)
- 62 ハブ(hub)
- 63 許諾(きょだく)
- 64 舌を巻く(したをまく)
- 65 セレンディピティ(serendipity)
- 66 素読(そどく)
- 67 元い(もとい)
- 元へ(もとへ)。
- 68 タスク(task)
- 69 扇情(せんじょう)
- 70 呪縛(じゅばく)
- 71 口伝(くでん)
- 72 御伽話(おとぎばなし)
- 73 時空(じくう)
- 74 退廃的(たいはいてき)
- 75 陳列(ちんれつ)
- 76 トレンド(trend)
- 77 文豪(ぶんごう)
- 78 書き下ろし(かきおろし)
- 79 表意文字(ひょういもじ)
- 対義語は「表音文字(ひょうおんもじ)」。
- 80 独立独歩(どくりつどっぽ)
- 81 明晰(めいせき)
- 82 私心(ししん)
- 83 恩寵(おんちょう)
- 84 追体験(ついたいけん)
- 85 蔑む(さげすむ)
- 86 才気(さいき)
- 87 盲目的(もうもくてき)
- 88 背ける(そむける)
- 89 水脈(すいみゃく)
- 90 刹那的(せつなてき)
- 91 戦慄(せんりつ)
- 92 当麻(たえま)
- 能(のう)。
- 93 戯曲(ぎきょく)
- 94 破綻(はたん)
以下余白