『たかが英語!』
- 副題など
- 「ENGLISHNIZATION」
- 著者など
- 三木谷 浩史(みきたに ひろし)氏著
- 緑 慎也(みどり しんや)氏編集協力
- 出版社など
- 講談社さん
- 版刷など
- 読んだものは、2012年7月第1刷
- ボリューム
- 189ページ
感じたこと
うらやましいの一言です。
前回と同じで、社会人一年生の時を思い出しました。
新人研修のカリキュラムに、A専務のお話がありました。
前置きとして、私の入社した会社は、英語圏の外資系でした。新人研修ではじめて外資系の会社だと知りました。入社試験、研修、配属されてからも英語を聞いたことがありませんでした。本書にもありましたが、外資系といっても現地人を有効に使うための社員なのです。社内、仕事でも英語を耳にする機会はありませんでした。
ところが、英語圏の会社から3ヵ月後に外国人役員が来ることになりました。英語を話せないA専務が、外国人役員のお世話をすることになりました。A専務は、学校で英語を習っただけで、外国人と話した経験はありません。話すのは何とかなりそうだが、聞くのをどうするのかで思案したそうです。次は、A専務の話です。
A専務がとった方法は、NHKラジオの基礎英語を聞くことでした。50歳半ばを過ぎれば、学校で習ったことは忘れている。基礎から英語を勉強しようと思いました。基礎英語がいいのは、ストーリーになっていることです。それと、簡単でわずかな単語で、いろんな表現をしています。わかりやすく、覚えやすく、何とかなりそうだとの希望を持ちました。基礎英語をカセットテープに録音し、通勤、休憩時間など暇さえあれば、繰り返し聞きました。そして、ストーリーを丸ごと覚えました。最初は、何を言っているのか全然わかりませんでした。何回も聞くうちに、だんだんわかるようになってきました。あっという間に時間が過ぎ、外国人役員がやってきました。外国人役員の言うことがわかり、会話ができました。
以上が、A専務のお話でした。
未だにこの話を私は覚えています。よほど強烈なものを感じたのでしょう。中学生レベルの講座で英会話ができるなんて、信じられませんでした。今、このことを考えると合理的だと思うことがあります。
目標を達成するには、自分のやりやすい方法をとることです。単語が少なく、簡単な表現は覚えやすいでしょう。よかったのは、ストーリーごと覚えたことです。ストーリー仕立ては、単語や熟語を覚えやすく、シチュエーションで英語を覚えます。聞いたことを翻訳せずに、そのまま現況に対応させるのです。単語が簡単であれば、丸ごと覚えざるを得ません。記憶するのにストーリー仕立てで覚える方法があることから、有効だと考えられます。文化の違いはありますが、起きて、飯食って、働いて、風呂入って、寝る、ことは、国、人種を問わず人間に共通するものが、1つはあるはずです。ストーリーで覚えるのは、現実に則しています。A専務の作戦は成功しました。最もよかったのは、自分にできることをし、やる気と希望を失わなかったことです。語学は続けることが大切だと言われます。くじけないためには、自分に適した方法と感情のコントロールが必要です。
偉そうなことを書きましたが、私は英語を話せません。
「読んだもの№35」で、自宅を離れた場所で、カルチャーショックを受けたことを書きました。2年目のお盆に帰省したところ、父から「変な言葉をしゃべるな」と言われました。1年ほどで、勤務地の方言を話していました。地元に帰っても、元の言葉に完全には戻らないのです。なんと順応性のあることよ、と驚きました。このことから、私には語学を習得する能力があるはずと思うようになりました。
海外旅行で英語を試しました。英語が母語でない国の人のほうが、聞き取りやすく通じやすいと感じました。話すのは、片言の英語です。母語でない国の人は、気を使っているのかもしれません。お互いに、語学習得の苦労を分かち合うようにです。それ以上に、相手のことを知ろうとしているのかもしれません。
海外のウエブサイトをアプリケーションソフトで翻訳すると、おかしな日本語になることがあります。状況、著者の意図をくみ取らず、言葉だけで翻訳したからでしょう。直訳はわかりづらく、意訳はわかりやすい。直訳は正確な内容を知ることができ、意訳が著者の真意を表したとは必ずしも言えません。
言葉を通じるようにするには、状況、相手の意図などを理解すること。そして、面倒くさいようですが、言葉を調べて意味を知ることが必要です。翻訳せずに、そのままの言葉で、理解することです。目に見える具体的なことは理解しやすく、考えなどの抽象的なことは難しいということです。これは、日本語も同じです
読書も同じだと思います。著者の主張に主眼を置くべきです。それを正確に知るためには言葉の意味も知らなければなりません。作者がどんなに気をつけていても、記述上の誤りはあるでしょう。いつも適当な表現ができるとは限りません。このことを考えると、著者の言いたいことを考慮したうえで、言葉の意味を調べるのがいいことになります。いくつもの意味を持つ言葉もあります。どの意味なのかは、著者の主張の内容をみないと、わかりません。通読したあとで、言葉の意味を調べるのがいいのかもしれません。
私は外国語を話せません。話せるようになるといいですね。
この書物を選んだ理由
全社員が英語を話せるようにする。方法、データ、善後策などに興味がありました。読書の技法に活用できるものがあるはずとの考えで、読むことにしました。
私の読み方
経営者、投資家、自社従業員向けの書籍でしょうか。英語を習得したい人の啓発本というより、ビジネス書といった感じでしょうか。著者が代表を務める会社は、強いトップダウンの組織なんでしょうね。本書は、良いことの記述が目立ち、悪いデータがないように感じました。評価方法や、今後の方向性に疑問を持ちました。ポジティブ過ぎて、疲れました。
1行40文字くらいでしょうか。文字は少し小さいようです。行間、上下左右の余白が適当なのか、楽に読めます。何となくですが、見開きページの全体をぼんやりと意識し、6、7行程度はっきり見えるような気がします。わからないところは何回か読み返しますが、苦痛を感じません。目で文字を追う感覚が少なくなってきています。
読書所要時間など
所要時間 : 5日14時間30分
読み始め : 平成26年12月21日(日)21時57分
読み終わり : 平成26年12月27日(土)12時27分
読んだ範囲 : カバー、帯。本書の表紙から著者紹介まで。「はじめに」「目次」「おわりに」も本文と同じように読みました。
取り上げられた書物など
- 『日経ビジネス』
出来事
12月26日(金)STAPはES細胞由来、と理研の調査委員会が発表。
12月26日(金)特定秘密保護法により特定秘密に指定した、と警察庁が発表。
※ 当初、法律に「案」をつけていました。「案」ではなく「法律」です。平成26年12月10日に施行されています。訂正し、お詫びします。
ひととき
モズです。空き地の小枝にとまっていました。
平成26年12月19日(金)撮影。
イソシギです。海岸の石畳にいました。波打ち際を行ったり来たりしていました。波にさらわれないように器用に動いていました。
平成26年12月19日(金)撮影。
草刈り前
草刈り後
田舎の草刈りです。狭い土地ですが、草を刈るのに2人で4時間かかりました。草刈りは、刈払機を使います。刈った草を集めると、冬でも汗が噴き出します。
平成26年12月23日(火)撮影。
調べたこと
- 1 無茶(むちゃ)
- 2 半信半疑(はんしんはんぎ)
- 3 プレゼンテーション(presentation)
- 4 尻に火がつく(しりにひがつく)
- 5 施策(しさく、せさく)
- 6 疎外(そがい)
- 7 早晩(そうばん)
- 8 プロセス(process)
- 9 愚直(ぐちょく)
- 10 TOEIC(Test Of English for International communication)
- トイック。トーイック。国際的な英語能力テスト。
- 11 TOEFL(Testing of English as a Foreign Language)
- トーフル。アメリカの外国人のための英語能力テスト。
- 12 隗より始めよ(かいよりはじめよ)
- 13 訛る(なまる)
- 14 至難(しなん)
- 15 業(わざ)
- 16 堪能(かんのう)
- 参考:堪能(たんのう)と区別。「かんのう」と「たんのう」は混用されているようです。
- 17 目の当たり(まのあたり)
- 18 光景(こうけい)
- 19 習得(しゅうとく)
- 20 グローバル(global)
- 21 オーナーシップ(ownership)
- 経営に関する用語でしょうか。身も心も会社のために尽くすことなのでしょうか。インターネットで調べました。
- 22 社畜(しゃちく)
- 参考:「賃金奴隷(wage slave)」。
- 23 異動(いどう)
- 24 レイヤー(layer)
- 25 キャッチアップ(catch up)
- 26 クロスボーダー(cross-border)
- 27 M&A(merger and acquisition)
- merger:合併、acquisition:獲得。
- 28 浅はか(あさはか)
- 29 e-commerce(electronic-commerce)
- 電子商取引。
- 30 トレンド(trend)
- 31 イントラネット(intranet)
- 32 モチベーション(motivation)
- 33 障害(しょうがい)
- 障碍。
- 34 ボーダーレス(borderless)
- 35 エンパワーメント(empowerment)
- 36 騒然(そうぜん)
- 37 高を括る(たかをくくる)
- 38 マーケティング(marketing)
- 39 政策(せいさく)
- 40 進捗(しんちょく)
- 41 衝撃(しょうげき)
- 42 急進的(きゅうしんてき)
- 43 プラットフォーム(platform)
- プラットホーム。
- 44 テクノロジー(technology)
- 45 用意周到(よういしゅうとう)
- 46 ウィークポイント(weak point)
- 47 不抜(ふばつ)
- 48 生温い(なまぬるい)
- 49 上から目線(うえからめせん)
- 50 ヴァーチャル(virtual)
- バーチャル。
- 51 腹に落ちる(はらにおちる)
- 52 地頭(じあたま)
- 「じとう」は別意。ありのままの姿の頭のようです。カツラなどを付けていない頭です。私の持っている辞書には、その意味しか書いてありませんでした。弊サイト「読んだもの」の中に、地頭(じあたま)のことを書いてあるものがありました。教えられた賢さではない、本来その人が持っている頭の良さ、だったと思います。
- 53 ロジカル(logical)
- 54 上辺(うわべ)
- 55 繕う(つくろう)
- 56 リテンション(retention)
- 保持、保有などの意味。参考:テンション(tension)。
- 57 ノウハウ(know-how)
- アメリカ語。参考:ハウツー(how-to)アメリカ語。
- 58 アドバンテージ(advantage)
- 59 箱庭(はこにわ)
- 60 マインド(mind)
- 61 インテグレーション(integration)
- 62 シナジー(synergy)
- 63 チャット(chat)
- 64 起爆剤(きばくざい)
- 起爆薬(きばくやく)。
- 65 遠因(えんいん)
- 66 コンサルタント(consultant)
- 67 整然(せいぜん)
- 68 ダイバーシティ(diversity)
- 参考:ダイバーシティ・マネジメント(diversity management)、ダイバーシティフレンドリー(diversity-friendly)。
- 69 面(めん)
- 70 侃々諤々(かんかんがくがく)
- 侃諤(かんがく)。参考:喧々諤々(けんけんがくがく)。
- 71 目くじらを立てる(めくじらをたてる)
- 72 懇切(こんせつ)
- 73 丁寧(ていねい)
- 74 コーポレート・アイデンティティ(corporate identity)
- 75 盤石(ばんじゃく)
- 磐石(ばんじゃく)。
- 76 凋落(ちょうらく)
- 77 スターダム(stardom)
- アメリカ語。「-dom」は「・・・たる地位、・・・の状態」などの意味。
- 78 栄枯盛衰(えいこせいすい)
- 79 群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)
- 80 コモディティ化(commodityか)
- どの商品を買っても同じ、という意味でしょうか。参考:「コモディティ(commodity)」は「日用品、商品」のこと。
- 81 後塵を拝す(こうじんをはいす)
- 82 再三(さいさん)
- 83 ジャパンパッシング(Japan passing)
- 日本軽視。アメリカとの関係で使われるようです。
- 84 ガラパゴス
- 日本国内でしか通用しない、という意味でしょうか。
- 参考:「ガラケー」は「ガラパゴス・ケータイ」の略で、日本国内でしか使えない機能を持っている。「ガラパゴス化」は、日本国内で進化した機能は、海外との互換性がなくなり孤立状態になること。の意味のようです。地域限定の技術といいながら、おそらく最先端のはずです。いかに、世界に広めて、標準化していくのかがポイントのようです。ビデオにおける、VHS、ベータの方式の主導権争いの話を思い出します。
- 85 抗う(あらがう)
- 86 終焉(しゅうえん)
- 87 デバイド(divide)
- 格差。
- 88 デジタルデバイド(digital divide)
- 89 クローズアップ(close-up)
以下余白