『ナリワイをつくる』
- 副題など
- 「人生を盗まれない働き方」
- 著者など
- 伊藤 洋志(いとう ひろし)氏著
- 出版社など
- 東京書籍さん
- 版刷など
- 読んだものは、2012年7月第1刷
- ボリューム
- 241ページ
感じたこと
子どものときに田舎に住んでいたことを思い出しました。私が小さいとき、道路はアスファルトで舗装されていませんでした。雨が降ると大きな水たまりができて、滅多に通らない自動車がそれを避けて通っていました。
田舎ではほとんどの家で稲を作っていました。当時、耕うん機はありましたが、人が乗るのではなく、自転車のようなハンドルを手に持って、機械の後を歩いて行くというものでした。他の地方では使っていたかもしれませんが、私が住んでいた地域では、田植機やコンバインなどはありませんでした。田植えは、地域の人が協力し合って、みんなで田植えをしていました。糸を張って、苗が真っ直ぐに植わるようにするのです。苗の塊を必要なところに投げるのを未だに忘れることができません。稲刈りは、鎌でやっていました。刈り取った稲は、組んだ竹竿に干していたと思います。籾をとった後だと思いますが、藁は、「つぼき」と言って、稲を小屋の形にように積み上げていました。干し終わると、納屋にしまっていたように思います。
さて、この時代のことですが、田んぼをもっている人は稲を作っていました。田んぼをつくれば、主食である米を確保できます。余裕のある家は米を売って、お金に換えていました。お米は、田植、稲刈りの時期を除けば、勝手に育って行きます。作り手は時間が余ることになります。何もしないでいるのはもったいないので、工場などに働きに行っていました。地域で働く人たちは地元の人ばかりでした。役場、郵便局、商店などです。地域のことを地元の人たちが役割を分担しているような感じでした。正社員ではなく、繁忙期だけ働く人もいたようです。
もちろん、大工さんや、植木職人、製材所、瓦職人、養鶏場、鯉養殖などもありました。今から考えると、その職だけで生活できるとは思えません。やはり、米や野菜を作っていたのだと思います。自分が食べる米は自分で作る、というのが当たり前のこととしてあったと思います。そして、職業の垣根も緩く、複数の仕事をしていたように思います。
家を囲っている柵(さく)がつぶれたら、自分で直していました。自分で直せない場合は、植木屋さんなどに頼みます。材料や特別に道具を使う以外、人力で済む場合は、いくらでするという値段がなかったように思います。してもらった後で、頼んだ方が金額を決めて、お礼という形で渡していたようです。お坊さんに渡すお布施に近いのかもしれません。
今では、値段をきちんと決めていますし、頼むところも専門的になりました。高度な知識と技術を持ち、資格がなければできない仕事も多くなったようです。限界集落、少子高齢化を考えたとき、私の幼少期のことを思い出してしまいます。一人が何役もの仕事をしていたのです。最近の傾向として、資格を強調しすぎるように思います。経験もないのに、ペーパー試験だけで資格を得る。自分にできるのかどうかもわからないし、職業として適性があるかどうかもわからないのです。働き手が少なくなれば、一人がいくつもの資格を持たなければ、生活がなりたたないとも考えられます。一人が取得できる資格は限られるでしょうし、需要に応えられないかもしれません。
このように考えると、本書でいう「ナリワイ」の考え方は、自分がわからなければ、よく知っている人から教えてもらう、ことのようです。人のつながりを大切にしています。これは、子どもときに暮らしていた地域の感覚に近いものがあります。つながりがコミュニティをつくり、コミュニティがナリワイを育てている、ともいえるかもしれません。本書は、地域(エリア)のような土地の範囲ではなく、情報の範囲でのコミュニティになっているようです。同じ価値観、興味などでのつながりが、コミュニティをつくり、ナリワイを育てているようです。
最後に、私は著者を羨(うらや)ましいと思いました。それは、知識、発想、行動力、人のつながりなど多彩な能力の持ち主だからです。私には、到底、真似のできることではありません。副題の「人生を盗まれない働き方」は、「盗まれない働き方の人生」ではないのだろうかと思いました。このような働き方は、その人そのものの人生で、盗みようがありません。その人にしか出来ないので当然です。
今までに経験したことのない感触が、この本にはありました。理由はわかりませんが、著者と話をしてみたいと思わせる本でした。
この書物を選んだ理由
「ナリワイ」って何?「つくる」とは?と、書籍のタイトルに興味を持ちました。新しい産業、仕事の開発なのだろうか。起業のことなのか?開業独立への手引きなのか?いろいろなことを想像してしまいました。また、副題の「人生を盗まれない働き方」とは、サラリーマンをすると自分の人生ではなくなることを意味するのでしょうか。
私の読み方
難しい言葉をあまり使っていないように感じました。また、この言葉をこのように使っているとの解説をしながら記述してある部分がありました。専門用語と思われる言葉は解説しながらの記述だったので、わかりやすく読みやすく感じました。これであれば、注をつけたり、巻末に用語集や索引などをつくる必要はないかもしれません。目次で十分だと感じました。
写真の掲載は、どのようなものかを見ることができて、よかったと思います。著者の行動を見たことのない私には、記述の内容を理解するのに役に立ちました。
できれば、章末や巻末に、要点だけをまとめたものがあればいいと思いました。再読する際に、要点だけを見れば、内容を思い出しやすくなるからです。目次では対応しづらいと思います。
文字は小さめですが、行の長さや行間が適当で読みやすいと感じました。
読み方は、弊サイトの読み方です。目の力を抜いて、脳に映ったものを読んでいく方法です。
本嫌いの私が言うのも何ですが、内容は別として、読みやすい書籍だと思います。
本書は、病院を退院する日に読み始め、自宅療養中に読み終わりました。横になって読みました。体調の優れない者にとって、辞書をあまり使わないのは、助かります。
やっと入院がらみの6冊の本の編集が終わりました。
読書所要時間など
所要時間 : 20日22時間51分
読み始め : 平成26年9月11日(木)午前10時28分
読み終わり : 平成26年10月2日(木)午前9時19分
読んだ範囲は、カバー、帯、本書の表紙から著者紹介まで。
取り上げられた書物など
- 『HUNTER×HUNTER第6巻』 冨樫義博氏著
出来事
9月30日(火) 大手牛丼チェーンが10月1日(水)から深夜営業の中止を発表。
10月1日(水) 東海道新幹線が開業50周年。
ひととき
花虎の尾(はなとらのお。別名、角虎の尾〔かくとらのお〕)でしょうか?家の近くの花壇に咲いていました。
平成26年9月22日(月)撮影。
調べたこと
- 1 生業(なりわい、せいぎょう)
- 2 定義(ていぎ)
- 3 乖離(かいり)
- 4 ニート(NEET)
- not in education,employment or training。イギリス発祥。
- 5 本末転倒(ほんまつてんとう)
- 6 リノベーション(renovation)
- 7 知遇(ちぐう)
- 8 滋味(じみ)
- 9 七転八倒(しちてんばっとう)
- 10 閉塞(へいそく)
- 11 ツイッター(Twitter)
- 12 目論見(もくろみ)
- 13 ゲリラ(guerrilla)
- 14 レバレッジ(leverage)
- 15 キックバック(kick back)
- 16 口蹄疫(こうていえき)
- 17 フリーター
- フリー・アルバイター。
- 18 プラットフォーム(platform)
- 19 フロンティア(frontier)
- 20 ムーブメント(movement)
- 21 ハードル(hurdle)
- 22 プレッシャー(pressure)
- 23 フリーランス(free lance)
- 24 鑑みる(かんがみる)
- 25 千客万来(せんきゃくばんらい)
- 26 アクシデント(accident)
- 27 一期一会(いちごいちえ)
- 28 アタック(attack)
- 29 一緒くた(いっしょくた)
- 30 怯む(ひるむ)
- 31 住処(すみか)
- 32 グローバリゼーション(globalization)
- 33 華僑(かきょう)
- 34 一筋縄(ひとすじなわ)
- 35 ワーク・ライフ・バランス(Work Life Balance)
- WLB。
- 36 曇天(どんてん)
- 37 丸腰(まるごし)
- 38 激烈(げきれつ)
- 劇烈。
- 39 オリジナリティ(originality)
- 40 カリスマ(charisma)
- ギリシア語。
- 41 血眼(ちまなこ)
- 42 師匠(ししょう)
- 43 賄う(まかなう)
- 44 ダブルインカム(double income)
- この言葉の意味について、著者の考え方が本書に書かれています。インターネットで調べました。
- 45 教訓(きょうくん)
- 46 ブランディング(branding)
- 47 コンセプト(concept)
- 48 叱責(しっせき)
- 49 しんどい
- 50 真逆(まぎゃく)
- 辞書に記載はありませんが、多くの人がこの言葉を使っているようです。「正反対」の意味だと私は勝手に思っています。
- 51 悠長(ゆうちょう)
- 52 ワークショップ(workshop)
- 53 野次馬(やじうま)
- 弥次馬。
- 54 予定調和(よていちょうわ)
- 哲学の言葉のようです。それとは別に、私たちの予想外の展開、という意味もあるようです。インターネットでも調べました。
- 55 落第(らくだい)
- 56 一喝(いっかつ)
- 57 頻発(ひんぱつ)
- 58 裾分け(すそわけ)
- お裾分け。
- 59 多寡(たか)
- 60 疲弊(ひへい)
- 61 醸成(じょうせい)
- 62 細切れ(こまぎれ)
- 小間切れ。スーパーの豚や牛の肉には、「小間切れ」が使われていました。
- 63 敢行(かんこう)
- 64 自明の理(じめいのり)
- 65 枚挙に遑が無い(まいきょにいとまがない)
- 66 搾取(さくしゅ)
- 67 熱望(ねつぼう)
- 68 地味(じみ)
- 前出は「滋味(じみ)」。
- 69 一石二鳥(いっせきにちょう)
- 同意語は「一挙両得(いっきょりょうとく)」。
- 70 洞察(どうさつ)
- 71 茶を点てる(ちゃをたてる)
- 茶を立てる。
- 72 困窮(こんきゅう)
- 73 正気(しょうき)
- 参考:「正気(せいき)」は別意。
- 74 ライスワーク
- インターネットで調べました。
- 75 鈍磨(どんま)
- 76 罠(わな)
- 77 マネタイズ(monetize)
- 78 木戸銭(きどせん)
- 79 推奨(すいしょう)
- 80 度肝を抜く(どぎもをぬく)
- 度胆を抜く。
- 81 凄腕(すごうで)
- 82 勤しむ(いそしむ)
- 83 塩梅(あんばい、えんばい)
- 按配、按排。
- 84 研く(みがく)
- 磨く。参考:「研ぐ(とぐ)」「磨ぐ(とぐ)」。
- 85 宅飲み(たくのみ)
- 86 エキサイティング(exciting)
- 87 守銭奴(しゅせんど)
- 88 散見(さんけん)
- 89 四股(しこ)
- 90 疲労困憊(ひろうこんぱい)
- 91 爽やか(さわやか)
- 92 風情(ふぜい)
- 93 演繹(えんえき)
- 94 作業仮説(さぎょうかせつ)
- working hypothesis。
- 95 一興(いっきょう)
- 96 やたら
- 97 滅多(めった)
- 98 めったやたら(滅多矢鱈)
- 99 俯瞰(ふかん)
- 100 小食(しょうしょく)
- 少食。
- 101 惰性(だせい)
- 102 帰納的(きのうてき)
- 103 招聘(しょうへい)
- 104 些細(ささい)
- 105 足下(あしもと)
- 参考:「足下(そっか)」。
- 106 からかう
- 107 頓挫(とんざ)
- 108 相性(あいしょう)
- 合性。
- 109 冴える(さえる)
- 110 一次情報(いちじじょうほう)
- 111 忌憚(きたん)
- 112 ボルテージ(voltage)
- 113 力業(ちからわざ)
- 力技(ちからわざ)は辞書にはありませんでした。インターネットでも調べました。
- 114 弊害(へいがい)
- 115 丁寧(ていねい)
- 116 PayPal(ペイパル)
- インターネットでホームページを確認しました。
- 117 Etsy(イッツィ)
- インターネットでホームページを確認しました。
- 118 Airbnb(エアビーアンドビー)
- インターネットでホームページを確認しました。
- 119 大仰(おおぎょう)
- 120 余計(よけい)
- 121 特質(とくしつ)
- 122 循環(じゅんかん)
- 123 デザイン(design)
- 124 突発的(とっぱつてき)
- 125 一蓮托生(いちれんたくしょう)
- 126 醍醐味(だいごみ)
- 127 背に腹はかえられぬ(せにはらはかえられぬ)
- 128 主眼(しゅがん)
- 129 ダークサイド(dark side)
- 130 礼賛(らいさん)
- 礼讃。
- 131 仙人(せんにん)
- 132 浮世(うきよ)
- 憂き世。
- 133 浮世離れ(うきよばなれ)
- 非現実的。
- 134 リテラシー(literacy)
- 技術や能力、知識。
- 135 決済(けっさい)
- 参考:「決裁(けっさい)」との違いは?
- 136 渾身(こんしん)
- 137 呪符(じゅふ)
- 138 下馬(げば)
- 139 下馬先(げばさき)
- 140 土間(どま)
- 141 下馬土間(げばどま)
- インターネットで、どのようなものか確認しました。
- 142 獣害(じゅうがい)
- 143 ヘッジ(hedge)
- 144 残酷(ざんこく)
- 145 穏便(おんびん)
- 146 痛覚(つうかく)
- 147 麻痺(まひ)
- 痲痺。
- 148 ソルジャー(soldier)
- インターネットなどで調べました。
- 149 背水の陣(はいすいのじん)
- 150 曖昧(あいまい)
- 151 幻影(げんえい)
- 152 雑種(ざっしゅ)
- 153 カテゴリー(Kategorie)
- ドイツ語。
- 154 余談(よだん)
- 155 五感(ごかん)
- 156 卓見(たっけん)
- 157 論客(ろんかく、ろんきゃく)
- 158 免罪(めんざい)
- 159 清々しい(すがすがしい)
- 清清しい。
- 160 飼い殺し(かいごろし)
- 161 虚無(きょむ)
- 162 リハビリ(rehabilitation)
- リハビリテーション。
- 163 捌く(さばく)
- 164 増長(ぞうちょう)
- 165 RPG(role-playing game)
- ロール・プレーイング・ゲーム。
- 166 クレイジー(crazy)
- クレージー。
- 167 邁進(まいしん)
- 168 げんなり
- 169 叩き台(たたきだい)
- 170 切磋琢磨(せっさたくま)
- 171 世知辛い(せちがらい)
以下余白