『あたらしい働き方』
- 著者など
- 本田 直之(ほんだ なおゆき)氏著
- 出版社など
- ダイヤモンド社さん
- 版刷など
- 読んだのは2013年6月第1刷
- ボリューム
- 310ページ
感じたこと
『最高の職場』の日本版といった感じでしょうか。しかし、本書『あたらしい働き方』も、企業を主体とした内容になっていました。株式会社など法制度に基づいた企業を作り、そこで人を雇用することです。結局は、企業間競争、生き残りを図るためにどうするか、ということに尽きます。優秀な人材をいかに確保し、留(とど)め、働かせるか、です。社員にとって都合のよい制度を『「やりがいのある仕事」という幻想』から見れば、現実を意識させないために幻想を社員に見させているとも言えます。
私が期待していた働き方とは、個々人が独立して生産活動に参加することです。例をあげれば、制作委員会をつくって映画を作る方式です。
企業でも個人でもいいのですが、したいと思う具体的な提案を示し、それに賛同する人たちで事業を成し遂げようとすることです。映画は多くの費用を必要とするものですが、それほど費用のかからないものでもよいと思うのです。要は、やりたい人が集まって、作りたいものに向かって力を合わせることです。
資本を集めるときは、お金を持っている投資家などから出資されたものです。将来的な成長に喜びを感じるかもしれませんが、投資家の最大の目的は資本の増加と配当です。しかし、そのような投資家からではなく、一般の人々の志によりわずかなお金やもの、人力などを持ち寄って、目的に向かって事業を展開するというものです。
働く人々も有志ですから、どこかの会社に専属で勤めるわけにはいきません。専属で勤める人には出資をお願いすることになるでしょう。また、志があるからといって、事業を展開するうえで必要な技術や能力があるとも限りません。これをいかに運用するのかが最大のポイントと言えます。
さらに問題なのは、誰が提案をするのか、ということです。事業目的のために、資本を集め、人を選ぶことは、能力だけでなく、非常な労力を必要とします。その事業に精通した人でなければ難しいかもしれないのです。たとえ事業が小さいとしてもです。企業は人材の中から選ぶことができます。外から人材を集める能力もあります。しかし、一個人では難しいかもしれません。呼びかける準備をするときから、何人かでチームを作り、役割を決めておく必要がありそうです。
企業の場合であれば、まったくあたらしい分野に進出するときなどに効果があるかもしれません。個人の提案なら、参加者で休耕田を再開し、収穫を分け合うなどが考えられます。お金儲けだけが目的ではありません。
情報通信機器が発達している現在では、人と人をつなぐソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用できるので、上記のことも十分に可能だと考えられます。
私が言いたいのは、事業ごとに人を集めて仕事をする時代がやがて来るのでは、と言うことです。現在の企業と会社員の雇用形態は維持されるでしょう。しかし、どの会社にも属していない個人が、いくつもの会社や個人の事業展開に参加する時代が来るような気がするのです。また、個人の呼びかけにより、新たな事業の創出も期待できます。
顧客のニーズに、より応えるためには、企業ではなく、興味や好奇心をそそる事業に的を絞る方が効果的です。また、呼びかけた事業が影響力のあるものかどうかは、集まる人、資本などである程度知ることができます。事業に失敗したとしても、痛手は少なくて済みます。なぜなら、参加者が皆そのことを了解しているからです。成功すれば、利益を期待できます。会社を窮地に追い込むなどのリスクも少ないということです。
このように、企業も個人もあたらしい働き方に向かって突き進んでいくのです。
と、私は勝手に妄想を膨らませてしまいました。
仕事に関する本を3冊読みましたが、私が一番気になったのは「優秀な人材」とは何か、ということです。同じように、「仕事のやりがい」とか「働きがい」の意味です。ただ単に、「企業に利益をもたらしてくれる」とか、「人の役に立つ」とか「働いていて楽しい」とかではなく、人として、「どのように優秀なのか」「なんで楽しいと感じるのか」を具体的な言葉または事例で示して欲しいと感じました。
この書物を選んだ理由
仕事に関する本を読んでいますが、あたらしい働き方とはどのようなものなのでしょうか。今までとはまったく違ったものなのでしょうか。あたらしい働き方を著者はどのようにして見つけ出したのでしょうか。これらのことを知りたいと思い読むことにしました。
私の読み方
見慣れない外来語に苦戦しました。調べてもわからないものもあり、結局、文脈から推察するしかありませんでした。私に教養がないばかりに、読むのに苦労しました。本書を読んで、一般の人のどれくらいが、言葉を調べることなく理解できるのでしょうか。少なくとも、私は、言葉がわからないところがあり、本書を理解するにはほど遠かった気がしました。国語辞典に載っていないものは、用語解説をしながらの記述を願うばかりです。
索引とわかりにくい言葉とその意味を巻末につけて欲しいと思いました。
文字の大きさ、行の長さ、行間は、適当で読みやすいと思いました。強調している箇所をゴシック体の太字で印字されていますが、これが、通常使っている明朝体の字を見づらくしている気がしました。
読み方は、弊サイトの読み方です。本書は病院に入院中に読みました。横になって読みました。わからないことを調べる辞書、インターネットなどがないため、文脈から察するしかありませんでした。編集時に読み直しながら調べると、そういうことだったのかと、手に取るようにわかるところがありました。調べる手段がないときに、どう読むのか考えていかないと、と思いました。
寝ながら読むのは、疲れにくいと思いました。
読書所要時間など
所要時間 : 16日0時間47分
読み始め : 平成26年9月3日(水)21時09分
読み終わり : 平成26年9月19日(金)21時56分
読んだ範囲は、巻頭の「手帳にはさめる超縮小版『あたらしい働き方』」から著者紹介まで。
取り上げられた書物など
- 『発想する会社!』 トム・ケリー氏著
出来事
平成26年9月18日(木)3大都市圏の住宅地の基準地価が6年ぶりに上昇。国土交通省発表。
ひととき
ムクゲです。家の近くのマンションの庭に咲いていました。平成26年9月17日(水)撮影。
調べたこと
- 1 レバレッジ(leverage)
- 雇われた会社で自分の技術や能力を高めるようにすること、の意味でしょうか。調べた言葉の意味では、本書の理解は困難に思えます。
- 2 トレードオフ(trade-off または、trade off)
- 経済用語?何かを犠牲にするという意味でしょうか。文意がしっくりときませんでした。
- 3 考察(こうさつ)
- 4 横断(おうだん)
- 5 訝しい(いぶかしい)
- 6 プラットフォーム(platform)
- 駅のホーム、台、基盤、基準などの意味です。自分の技術や能力を高める場所、という意味なのでしょうか。
- 7 一国一城(いっこくいちじょう)
- 8 垂涎(すいぜん)
- 9 切り口(きりくち)
- 10 クライテリア(criteria)
- 基準。本書では「働き方の要素」としています。
- 11 本末転倒(ほんまつてんとう)
- 12 生き馬の目を抜く(いきうまのめをぬく)
- 13 HR
- human resources(人材)の略?人事の組織の呼び方のことでしょうか。人を管理する立場、人を活用する立場で呼び方が変わるようです。インターネットなどで調べました。
- 14 ビジョナリー(visionary)
- 15 旗印(はたじるし)
- 旗標。
- 16 VP
- vice president(バイスプレジデント)の略?
- 17 アントレプレナー(entrepreneur)
- 独創性と冒険性を持っている起業家。
- 18 発奮(はっぷん)
- 発憤。
- 19 百発百中(ひゃっぱつひゃくちゅう)
- 20 唯一無二(ゆいいつむに)
- 21 その辺(へん)
- その辺り(あたり)。
- 22 テレコミュート(telecommute)
- オンラインによる在宅勤務。インターネットで調べました。
- 23 コラボレーション(collaboration)
- 24 Absence
- 休暇、休み。
- 25 異端(いたん)
- 26 恣意(しい)
- 27 如実(しょじつ)
- 28 ピア(peer)
- 29 ストックオプション(stock option)
- 30 リワード(reward)
- 報酬。本書の場合、報われること、の意味でしょうか。
- 31 破天荒(はてんこう)
- 32 職住近接(しょくじゅうきんせつ)
- インターネットで調べました。
- 33 ブレスト
- ブレーンストーミング(brainstorming)の略。
- 34 サテライトオフィス(satellite office)
- 35 キュービクル(cubicle)
- 個室。
- 36 お洒落(おしゃれ)
- 37 什器(じゅうき)
- 38 ソリューション(solution)
- 問題解決のための手段やシステム、制度などのこと?
- 39 セクショナリズム(sectionalism)
- 40 三々五々(さんさんごご)
- 三三五五。
- 41 コンシェルジュ(concierge)
- フランス語。
- 42 WOW
- インターネットなどで調べましたが、わかりませんでした。
- 43 スクリーニング(screening)
- 篩(ふるい)にかけること。
- 44 自然体(しぜんたい)
- 45 コミッション(commission)
- マージン(margin)。
- 46 極論(きょくろん)
- 47 井の中の蛙(いのなかのかわず)
- 井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)。
- 48 カタリスト(catalyzer)
- カタライザー。
- 49 ブレイクダウン(breakdown)
- 50 昇華(しょうか)
- 51 シナジー(synergy)
- 52 一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)
- 53 ナイス(nice)
- 魅力的な、という意味でしょうか。
- 54 類は友を呼ぶ(るいはともをよぶ)
- 55 朝令暮改(ちょうれいぼかい)
- 56 ドラスティック(drastic)
- 57 開拓(かいたく)
- 58 エスタブリッシュ(establish)
- 59 コントリビューション(contribution)
- 60 端的(たんてき)
- 61 揺り戻し(ゆりもどし)
- 62 醍醐味(だいごみ)
- 63 コミット(commit)
- 64 マネタイズ(monetize)
- 65 訴求(そきゅう)
- 66 牛耳る(ぎゅうじる)
以下余白