『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』
- 著者など
- 上杉 隆氏著
- 出版社など
- PHP新書さん
- 版刷など
- 2012年2月第1版。読んだのは、同年3月第3刷。
- ボリューム
- 199ページ
感じたこと
ウワサを信じちゃいけないよ、でしょうか。
組織にいるとウワサを耳にすることがあります。一体誰がウワサを流しているのかわからないのが不思議です。ウワサは、人の失言や失敗、風体、風貌、行動など多岐にわたります。このウワサに共通するのは、揶揄(やゆ)したり、陥れたり、人の名誉を傷つけることです。世間のある人たちは「人の不幸は蜜の味」と言うそうです。ある宗教の話に、神が人間を作ったのは、物語を話すのが好きだからだ、というのがあります。それゆえに、自分さえよければ、おもしろおかしく話を作り、まことしやかに語るのかもしれません。無責任に語れるウワサほど、物語として面白いものはないのでしょう。きちんと本人に事情を聴いて、事実を確認して物語を作ったとしたら、報告書のようなものにしかならず、おもしろみはなくなります。
ウワサ話をしている人に話を聴くと、誰から流れてきたのかわからないとたいてい言います。ウワサの内容を本人に確かめたのか聴くと、ほとんどの場合、そんなことはできないと答えます。そして、あくまでもウワサだからと付け加えてくれます。本人がウワサの流れているのを知るのはかなり後で、近しい同僚、上司から教えられるのが多いようです。
さて、ウワサを流す人や聞いた人は、ウワサの人より自分の方が価値のあるように勘違いしていないでしょうか。たとえば、失敗の場合、何かに挑戦していたから起きたことです。ウワサの人は、失敗から何らかの知識やノウハウを得ています。ウワサを喜ぶ人は優越感を得たかもしれませんが、現実には、ウワサを喜ぶ人の能力やノウハウが向上しているわけではありません。むしろ、できるなら、挑戦した人から、どのようなことを経験したのか詳細に教えてもらう方がいいのですが・・・。
ウワサは、組織の活性度に影響します。失敗を恐れたり、外見を気にしすぎて、積極的な行動を構成員がとらなくなることです。自分の考えていることを控えて、当たり障(さわ)りのないことばかり言うようになります。創造的な仕事や、チームワークを必要とする組織にとっては致命的な状態かもしれません。
失敗を称賛するわけにはいきません。しかし、ある程度の詳細な報告を組織内で公開することで、ウワサという二次被害を防げるかもしれません。また、成功・失敗の結果至上主義はウワサの餌食になりそうです。どれだけ挑戦したのか、どのように挑戦したのかの内容を分析し評価し、構成員が共有することで、組織力はアップすると思います。
ウワサの流れる組織は、あらゆる面で脆弱(ぜいじゃく)です。
真実を求めるのであれば、自分の目、耳で確かめるのが一番のようです。
この書物を選んだ理由
前回の「読んだもの№19」に引き続いて「ウソ」に関するものです。どちらもジャーナリストの書いたもので、前回の「ウソ」と、このたびの「ウソ」がどのように違うのか興味を持ちました。
私の読み方
難しい字にはふりがな(ルビ)をつけてありました。業界の用語と思われる言葉は解説をしながらの記述がありました。調べるところが少なくなり、中断が少なくて読めました。特に、用語の解説をしながらの記述は、推察せず済むので、筆者の意図が伝わりやすいと感じました。
文字は小さいと感じました。行の長さがもう少し短いと、1行が視界に入るので読みやすいだろうな、と思いました。行間は読みやすい間隔でした。
読み方は、当サイトの「私の読み方」です。読みやすいはずなのですが、なかなか、先に進みませんでした。内容が、衝撃的だったからなのか、私が経験したことのない世界だったからなのか、理由はわかりませんでした。
読書所要時間など
所要時間 : 10日14時間51分
読み始め:平成26年6月26日(木)午前10時47分
読み終わり:平成26年7月7日(月)午前1時38分
読んだ範囲は、「はじめに」著者紹介まで。
出来事
7月1日(火) 集団的自衛権、憲法解釈の変更を閣議決定。
7月2日(水) 半夏生(はんげしょう)。
取り上げられた書物など
- 『堕落論』 坂口安吾氏著
- 『官邸崩壊』 上杉隆氏著
- 『自壊する帝国』佐藤優氏著
おまけ
健康だった父が、ガンの病であることがわかりました。医師の見立ては、末期ガンで治療できないとのことでした。セカンドオピニオンを求めましたが、同様の見解でした。現在の医療は、エビデンス医療と呼ばれ、実証に基づくものなのだそうです。この考え方によると、父は死の受け入れに分類されるのです。考え方として、エビデンス医療は、効果の認められるもの以外の治療はしないそうです。また、エビデンス医療以外の治療は保険適用外になるとも。結局、エビデンス医療における有効な治療法がないことがわかり、絶望感だけになりました。医師から、エビデンス医療だけでなく、父の病状に効きそうな、さまざまな治療の説明を聴きたいと思ってもかなわないのです。どういう理由かわかりませんが、西洋医学でない治療の説明を医師は積極的にはしません。ガンという病を治す努力をするのが医師であると私は思っていました。そこには、あらゆる治療方法が存在し、新たな治療法も期待できると思っていました。エビデンス医療は、患者を機械的に振り分け、大量の患者をさばく、経済的システムでしかないと感じました。完全にマニュアル化されているようです。大量の患者を効果的に治療することは重要ですが、枠から外れた患者に希望が持てるような医療制度も必要だと私は感じています。
調べたこと
- 1 堕落(だらく)
- 2 一線(いっせん)
- 3 真相(しんそう)
- 4 罪深い(つみぶかい)
- 5 毀損(きそん)
- 6 甚大(じんだい)
- 7 耳を貸す(みみをかす)
- 8 況んや(いわんや)・・・をや
- 9 言及(げんきゅう)
- 10 上梓(じょうし)
- 11 自由報道協会
- 公益社団法人。ホームページを確認しました。
- 12 洗脳(せんのう)
- 13 起点(きてん)
- 14 廃墟(はいきょ)
- 15 欺瞞(ぎまん)
- 16 アンシャン・レジーム(Ancien Régime)
- フランス語。
- 17 上皮(じょうひ)
- 18 震撼(しんかん)
- 19 一喝(いっかつ)
- 20 吐露(とろ)
- 21 不用意(ふようい)
- 22 先遣(せんけん)
- 23 多寡(たか)
- 24 アンカーマン(anchor man)
- 25 質(たち)
- 26 符合(ふごう)
- 27 談合(だんごう)
- 28 協定(きょうてい)
- 29 醜態(しゅうたい)
- 30 カンニング(cunning)
- 31 檄を飛ばす(げきをとばす)
- 32 公人(こうじん)
- 33 匿名性(とくめいせい)
- 34 見せしめ(みせしめ)
- 35 うんざり
- 36 恥部(ちぶ)
- 37 歓心を買う(かんしんをかう)
- 38 通信社(つうしんしゃ)
- 39 目論む(もくろむ)
- 40 曲解(きょっかい)
- 41 額面通り(がくめんどおり)
- 42 暗闘(あんとう)
- 43 すべからく(すべからく)
- 44 表沙汰(おもてざた)
- 45 沙汰(さた)
- 46 皮肉(ひにく)
- 47 きわまりない(極まり無い)
- 48 汚名(おめい)
- 49 臆面(おくめん)
- 50 脳裏(のうり)
- 脳裡。
- 51 卑怯(ひきょう)
- 52 体たらく(ていたらく)
- 為体(ていたらく)。
- 53 機嫌(きげん)
- 54 野次(やじ)
- 弥次。
- 55 標榜(ひょうぼう)
- 56 病理(びょうり)
- 57 杜撰(ずさん)
- 58 穿つ(うがつ)
- 59 煙に巻く(けむにまく)
- 60 精確(せいかく)
- 61 脈絡(みゃくらく)
- 62 白日(はくじつ)
- 63 不穏当(ふおんとう)
- 64 執拗(しつよう)
- 65 抜粋(ばっすい)
- 抜萃。
- 66 半信半疑(はんしんはんぎ)
- 67 躍起(やっき)
- 68 不信(ふしん)
- 69 言葉狩り
- 揚げ足取りのようなことでしょうか。
- 70 仇(あだ)
- 敵(あだ)。
- 71 危惧(きぐ)
- 72 仕草(しぐさ)
- 仕種(しぐさ)。
- 73 容赦(ようしゃ)
- 74 深層(しんそう)
- 75 抗議(こうぎ)
- 76 番記者(ばんきしゃ)
- 77 ゴーストタウン(ghost town)
- 78 進言(しんげん)
- 79 アンフェア(unfair)
- 80 デマ(demagoguery)
- 81 枚挙に遑が無い(まいきょにいとまがない)
- 82 遑(いとま)
- 83 権化(ごんげ)
- 84 亡者(もうじゃ)
- 85 虚像(きょぞう)
- 対義語は、「実像(じつぞう)」
- 86 是是非非(ぜぜひひ)
- 87 いち早く(いちはやく)
- 逸早く。
- 88 会見(かいけん)
- 89 逸脱(いつだつ)
- 90 面子(メンツ)
- 91 権益(けんえき)
- 92 言質(げんち)
- 93 ツイッター(Twitter)
- 94 典型(てんけい)
- 95 駄駄をこねる(だだをこねる)
- 駄駄を捏ねる。
- 96 詳述(しょうじゅつ)
- 97 既得権(きとくけん)
- 98 常軌を逸する(じょうきをいっする)
- 99 策を弄する(さくをろうする)
- 100 自業自得(じごうじとく)
- 101 乖離(かいり)
- 102 エッセー(essay)
- 103 随筆(ずいひつ)
- 104 メモワール(mémoire)
- フランス語。
- 105 肩書(かたがき)
- 106 アリバイ(alibi)
- 107 随一(ずいいち)
- 108 論評(ろんぴょう)
- 109 機密(きみつ)
- 110 ソース(source)
- 調味料は「sauce」
- 111 クレジット(credit)
- 112 返す刀(かえすかたな)
- 返し刀(かえしがたな)。
- 113 記者クラブ(きしゃくらぶ)
- 日本記者クラブ。公益社団法人。Japan National Press Club。詳しいことは、ホームページに書いてありました。
- 114 スクラム(scrum)
- 115 軍靴(ぐんか)
- 「軍靴の足音」とは何でしょうか。辞書には載っていないようですが。インターネットなどで調べました。
- 116 パージ(purge)
- 117 大本営(だいほんえい)
- 118 礼賛(らいさん)
- 礼讃。
- 119 一脈(いちみゃく)
- 120 プレス(press)
- 121 体現(たいげん)
- 122 骨抜き(ほねぬき)
- 123 スピンコントロール(spin control)
- 本書に解説があります。インターネットで調べました。
- 124 与る(あずかる)
- 125 世論(せろん、よろん)
- 輿論(よろん)。
- 126 品位(ひんい)
- 127 台頭(たいとう)
- 擡頭。
- 128 趨勢(すうせい)
- 129 凌駕(りょうが)
- 陵駕。
- 130 血道をあげる(ちみちをあげる)
- 131 バックボーン(back bone)
- 132 フリーランス(free lance)
- フリーランサー。lanceは、槍(やり)。lancerは、槍騎兵(そうきへい)。
- 133 忠誠(ちゅうせい)
- 134 真逆(まぎゃく)
- 国語辞典にはありませんでした。正反対の意味のようです。読んだものの他のページで取り上げました。将来、国語辞典に載る日が来るかもしれません。
- 135 ねじれ(捻れ、捩れ)
- 136 インチキ(いんちき)
- 137 同質(どうしつ)
- 138 奔走(ほんそう)
- 139 なまじ(憖じ)
- なまじい。
- 140 崇める(あがめる)
- 141 枕詞(まくらことば)
- 枕言葉。
- 142 逆手(ぎゃくて、さかて)
- 143 パーキンソンの法則
- Parkinson’s law。提唱したのは、Cyril Northcote Parkinsonで、イギリス人。
- 144 オブザーバー(observer)
- 145 内実(ないじつ)
- 146 フォロー(follow)
- 147 身勝手(みがって)
- 148 猛・・・(もう・・・)
- 149 陳情(ちんじょう)
- 150 クロス・オーナーシップ
- インターネットで調べました。
- 151 電撃(でんげき)
- 152 逆戻り(ぎゃくもどり)
- 153 画策(かくさく)
- 154 終焉(しゅうえん)
- 155 生業(なりわい)
- せいぎょう。
- 156 中傷(ちゅうしょう)
- 157 膾炙(かいしゃ)
- 158 人口に膾炙す(じんこうにかいしゃす)
- 故事ことわざ。
- 159 遜色(そんしょく)
- 160 コングロマリット(conglomerate)
- 161 周回遅れ(しゅうかいおくれ)
- 162 看過(かんか)
- 163 席巻(せっけん)
- 席捲。
- 164 傲慢(ごうまん)
- 165 寡聞(かぶん)
- 166 卑劣(ひれつ)
- 鄙劣。
- 167 常套手段(じょうとうしゅだん)
- 168 よっぽど(余っ程)
- 169 進歩(しんぽ)
- 170 寵児(ちょうじ)
- 171 厚顔(こうがん)
- 172 暴挙(ぼうきょ)
- 173 ぬるま湯につかる(ぬるまゆにつかる)
- 微温湯につかる。
- 174 機運(きうん)
- 175 余談(よだん)
- 176 驚異(きょうい)
- 177 アイドル(idol)
- 178 出自(しゅつじ)
- 179 驕る(おごる)
- 「驕る」、「傲る」、「奢る」の違いは?
- 180 無謬(むびゅう)
- 181 キュレーター(curator)
- 182 キュレーション(curation)
- 183 ・・・たらん
- インターネットで調べました。
- 184 視野(しや)
- 185 オプ=エド(オポジット・エディトリアル)
- 本書に意味が書いてあります。インターネットでも調べてみました。
- 186 カルテル(Kartell)
- ドイツ語。
- 187 同じ穴の貉(おなじあなのむじな)
- 狢(むじな)。
- 188 独り善がり(ひとりよがり)
- 189 ゲスト(guest)
- 190 スピーカー(speaker)
- 191 オンライン(online)
- 192 FCCJ(The Foreign Correspondents’ Club of Japan)
- 日本外国特派員協会。ホームページを見ました。
- 193 ドメスティック(domestic)
- 194 率先垂範(そっせんすいはん)
- 195 フェア(fair)
- 196 オルターナティブ(alternative)
- 197 アワード(award)
- 198 門戸(もんこ)
- 199 瓦解(がかい)
- 200 僭越(せんえつ)
- 201 刷新(さっしん)
- 202 風穴を開ける(かざあなをあける)
- 203 先達(せんだつ、せんだち)
- 204 知悉(ちしつ)
- 205 如才ない(じょさいない)
- 206 満遍なく(まんべんなく)
- 207 性分(しょうぶん)
- 208 風靡(ふうび)
以下余白