『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』
- 副題など
- 帯には「30分の早起きで 今年こそは、朝型の生活習慣を手に入れよう! 理想が現実に」「充実した人生は、早起きからつくられる。」「誰でも必ず、朝型の生活習慣を手に入れられます!」とありました。
- 著者など
- 古川 武士(ふるかわ たけし)氏著
- 出版社など
- 大和書房 さん
- 版刷など
- 2015年8月第1刷。読んだものは、2016年7月第11刷。
- ボリューム
- 206ページ
感じたこと
好きこそ物の上手なれ、でしょうか。
ある組織にいたときのこと。私がいたセクションは、めったに発生しない、神経を使う仕事をしていました。法律や取り決め、手順を間違うと後々尾を引くものでした。また、顧客との間に感情的なしこりがあることも多く、ストレスは最高潮でした。
そんなところにいた私にも、趣味でどうしても時期的に外せないものがありました。ちょうどその時に、厳しい案件が手元にいくつもありました。当然、処理を進めなければならないので、職場を休むわけにはいきません。かといって、私の大事な趣味を諦(あきら)める気にもなりません。本当は1週間休みたかったのですが、常識で考えてもそれはできません。
当時の職場は時間単位で有給休暇を取ることができました。そこで、1週間の内、1日はフルタイムで、残りは午後から半日か3時間で休暇を取りました。仕事は資料と手続書類の作成ですが、いつもなら、フルタイムで働いても残業するようなボリュームでした。
私は、1月前から作戦を練っていました。すべてに共通することに、その案件だけの事情を加えて完成するという資料のフォームを準備していました。また、手続書類は定型なので、必要な情報を入力すれば、出来上がるように表計算ソフトを作っていました。
もう一つ私が試みようと思ったのは、感覚的に仕事の完成度が6割を超えたら、上司の決裁を受けることでした。このセクションでは、スタッフ間でも決裁の書類を閲覧することになっており、様々な指摘をすることになっていました。違う目で見てくれるのだから、私が100%にする必要はない、という発想でした。
1週間がはじまりました。私は、いつもどおりに出勤し、午前中に資料を整え決裁に出しました。すぐさま、帰宅し、予定どおり趣味に出発しました。帰宅は午後10時を少し回っていました。先に風呂に入り、夕食とアルコールをいつもより少なめに取り、少し休んでから、午前0時までには寝ました。よく寝ていないと、翌日の趣味を楽しめないからです。
それを数日繰り返し、フルタイムの日が来ました。机には戻された決裁の書類が積み上がっていました。書類は附箋(ふせん)だらけでした。新たなものを作った後、附箋を見ながら、戻ってきた決裁の書類を訂正したり新たな資料を付け加えたりしました。それらの作業に手間取ることなく、順次、再決裁の書類を出しました。そして、明日に備えて、定刻に職場を出て、帰宅しました。その日は、さらに早く床に就きました。
残りの日は、作るべき新たな決裁の書類が無かったので、雑用の片付けをしました。午前中で退勤し、帰宅後、趣味に出発し、1週間のフィナーレとなりました。趣味を満喫したことは言うまでもありません。
翌週のはじめに、上司に呼び出されました。「身体の調子でも悪いのか?」と、聞かれました。まさか、趣味で・・・と、答えるわけにもいきません。家庭の事情でと、お茶を濁しました。いつもなら、決裁の書類は附箋が数枚なのに、このたびは十数枚。しかも、午後は決まって休む。上司にしてみれば、事情を聞くのは当然です。当時の上司様、ごめんなさい。
さて、このことで私は貴重なことを知りました。それは、お茶の濁し方ではなく、仕事の進め方です。6から7割程度の完成度で決裁の書類を出す方が、結果的に効率がいいことです。
何かを推し進めようとすると、状況の変化などで、方針が変わることがあります。また、決裁を重ねることで、もっといい方法を思いつくこともあります。担当者の手元に長く置いておくより、書類の外形を作ったら、さっさとスタッフの目に触れさせた方が、いいアイディアが出る可能性が広がります。そして、情報の共有が濃くなるため、最終の決裁がスムーズになります。セクションとしての意思統一が無駄なく無理なくなされるのです。
つぎに、いつも完成度の高い書類にすると、スタッフは、まず、見てくれません。貢献できる提案ができないからです。本当は、考え方の違いにより、提案はいくつもできるにもかかわらずです。高い完成度の書類を作るのは、こうしたいという個人の欲でしかないことを私は悟りました。仕事はみんなで力を出し合ってこそ、質が高くなるのです。
さて、趣味を満喫した私ですが、それで上達したかどうかは定かではありません。私はこの時から残業をしないと決めました。残業をしなくてもセクションとしての仕事の質が向上するなら、残業をする意味が無いからです。
それ以降、定刻に退勤するようになりました。寝る時刻が早くなったかというと、そうではありません。いつも、日が変わってから寝ていました。趣味は、偉大です。しかしながら、畑違いの上手なれ、でした。
この書物を選んだ理由
話題の本として、店頭に積まれていた本です。睡眠については、弊サイトで取り上げました。しかし、カバー、著者の肩書き「習慣化コンサルタント」の文字が気になりました。単なる睡眠の本ではないと感じたので、読むことにしました。
私の読み方
睡眠については、弊サイトで取り上げています。
形式です。
文字の大きさ、行の長さ、行間、余白など、読みやすいと感じました。
使われている語句もわかりやすかったように思います。ただ、横文字(外来語)が、個人的にわかりづらかったです。解説のあるものは、理解できるようでよかったです。「フォーカス」「コミット」は本書以外でもよく使われますが、私には、鬼門(きもん)です。文脈から察する内容と、言葉の本来の意味とが、噛み合わないことがあるからです。
本書は、大きく分けて、睡眠、習慣化、仕事術の3つについて述べています。その中心が「早起き」です。いずれの内容も、簡潔明瞭です。「早起き」を目指す方に、参考になる本だと思いました。
読書所要時間など
- 所要時間
- 1日14時間20分
- 読み始め
- 2016(平成28)年10月14日(金)17時42分~
- 読み終わり
- 2016(平成28)年10月16日(日)~午前8時02分
- 読んだ範囲
- 本書、カバー、帯。ただし、奥付は軽く目を通し、巻末の書籍広告は見ていません。
取り上げられた書物など
- 『「睡眠力」を上げる方法』 白川修一郎氏著
- 『睡眠改善学』 堀忠雄氏、白川修一郎氏監修
- 『経営者の条件』 ドラッカー氏著
これ以外にも、書籍などの紹介がありました。
調べたこと
- 1 主導権(しゅどうけん)
- 2 早起き(はやおき)
- 3 疲労困憊(ひろうこんぱい)
- 4 リバウンド(rebound)
- 5 帳尻(ちょうじり)
- 6 面従腹背(めんじゅうふくはい)
- 7 ドライバー
- 本書に解説があります。辞書の意味では、文意が通じませんでした。
- 8 骨太(ほねぶと)
- 9 挫折(ざせつ)
- 10 拙著(せっちょ)
- 11 御浚い(おさらい)
- 12 三日坊主(みっかぼうず)
- 13 ロケットスタート
- インターネットで調べました。
- 14 メソッド(method)
- 15 フォーカス(focus)
- 集中。
- 16 肝(きも)
- 17 ネットサーフィン(net surfing)
- 18 枯渇(こかつ)
- 涸渇(こかつ)。
- 19 サーキュレーター(circulator)
- 20 麻痺(まひ)
- 21 ポートフォリオ(portfolio)
- 持っているものをわかるようにしたもの、という意味でしょうか。インターネットで調べました。
- 22 ベビーステップ
- 少しずつ前進する、という意味でしょうか。本書では「小さな一歩」。インターネットで調べました。
- 23 ベネフィット(benefit)
- 恩恵、利益。
- 24 蔑ろ(ないがしろ)
- 25 フェーズ(phase)
- 26 コミットメント(commitment)
- 誓約。本書では、自分で決めたルールを守ろうと誓うこと、ということでしょうか。
- 27 タスク(task)
- 28 病み付き(やみつき)
- 29 スキル(skill)
- 30 コミット(commit)
- 日本語に置き換えると、どうなるのでしょうか。文脈から察するに、守ること、でしょうか。コミットの意味とは違います。わかりませんでした。
- 31 オーバーフロー(overflow)
- 32 繋げる(つなげる)
- 33 一石二鳥(いっせきにちょう)
- 34 億劫(おっくう)
以下余白