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文字の捕らえ方

 私たちは、どのように文字から意味をくみ取っているのでしょうか。記号そのものなのか、イメージに変換してなのか、です。

文字の捕らえ方

 ここでは、人がどのように文字をみて、言葉の意味を知り、文や文章を読んでいくのかを考えます。

 日本語の場合、1つの文字がいくつか組み合わさって、言葉になっています。1つの文字にはそれぞれ音があります。「さくら(桜)」なら「さ、く、ら」「sa、ka、ra」です。「さ」だけでは、「桜」とはわかりません。「さくら」と全部聞いて、「桜」とわかります。
 人が言葉を伝える時、桜というものをイメージして、文字の一塊である単語を発しています。その言葉を受け取る側も、「さくら」と聞いて、桜をイメージしています。
 一つ一つの音が、規則正しく並べられたものが、単語なのではありません。頭に思い浮かんだものを表すものが単語です。「さ、く、ら」ではなく、「さくら(桜)」で、桜がわかるのです。「桜」=「さくら」です。

図 1
図 2

 では、同じ音ではどうでしょうか。「橋」と「箸」、「雲」と「蜘蛛(くも)」などです。これらは、関東と関西では発音が違うと聞きます。同じ音の場合、抑揚や強弱をつけて、文字を区別しています。「はし」を全部聞いて、「橋」か「箸」なのかです。また、会話の内容から、いずれの意味なのか推察しています。聞くのではなく、読むということでは、漢字を見ればすぐにわかるのですが。
 何かを表す文字の一塊で、それが何かを知ろうとしています。その文字の一塊は、単語です。それが何を表しているのかをわかろうとする時、音の塊ではなく、単語として感じ取ろうとしています。

 単語だけでは、それがどうしたのかはわかりません。桜といっても、桜の花なのか、木も含めて桜なのか、様々なイメージができます。それを決めるのが文といえます。
 「桜が咲いた」「桜が散った」は、桜の花のことをいっています。桜の状態はわかりますが、これを書いた人がどういう気持ちなのかわかりません。
 「桜が咲いた。新しい生活が始まる」と文章になると、書いた人は、新入生、新入社員かなと想像できます。文章になって、詳しい状況がわかってきます。書いた人の気持ちがわかってきます。
 この場合、単語はその物を表し、文は状態を表し、文章は何かの主張をしています。文章を読んで、書いた人のいいたいことがわかります。

 ここまで、音による会話と、表記した文を混合して書いてきました。音にせよ、文にせよ、単語、文、文章の全体の塊でその内容を人は理解しようとしています。

 私には、気になることがあります。
 それは、音読です。音読する際に、単語を1文字ずつ音にして発音すると、読んでいる人は内容を理解できないことがあります。先ほどの例では「さくら(桜)」を「さ、く、ら」と見て、それに対応するように「さ、く、ら」と発音することです。この場合、文字を発音記号として見ています。
 内容を理解しながら音読するには、「さくら(桜)」の文字を見たら、「さくら」と発音した方がいいようです。話をする時、頭の中に桜のイメージがあって、「さくら」という1つの単語を声に出す感覚です。発音記号のように読むと、単語とは気づきにくくなります。一昔前の機械から出るアナウンスのようになります。文字に対応した音を順番に流しても、単語とは感じにくいのです。単語として扱って、わかりやすくなります。
 文の場合も同じです。最初から最後まで読むから、どういう状態なのかわかるのです。途中で区切ってしまうと、違う意味になってしまうことがあります。
 文章も同じで、それぞれの文の意味を最初から最後まで読むから、意味の関係がどうなっているのかわかるのです。途中で終わったり、中を抜いたりすると、書いた人の主張はわかりません。

 例えば、「五斂子(ごれんし)」というフルーツがあります。どんな果実か知っている人は、頭の中にその形を思い浮かべることができます。しかし、知らない人にとっては、「???」です。人に聞いたり、百科事典で調べるかもしれません。そして、言葉だけで説明されていたとしたら、その物を想像するしかありません。写真の1枚を見るだけで、形はわかります。百聞は一見にしかず、です。ちなみに、このフルーツは、切り方によっては星(☆)の形になります。別名、スターフルーツと呼ばれています。
 さらにいうなら、実物を手にとって、肌触り、色つや、重量感を確認し、食べてみるとよりよくわかります。
 ですから、文字だけ書いた本より、絵や図などがある本の方が理解しやすいといえます。しかし、絵や図をまじまじと見ながら、文字を読むことは難しいことです。その点、ビデオで学習した場合、絵や図を動きの中で見ることができ、より実感しやすくなります。また、絵や図を見ながらナレーションを聞くので、内容が途切れることはありません。
 形を容易にわかる方が、より確実に早く理解できるといえます。具体的な形を持った物より、考え方などの抽象的なことの方がわかりづらいのは、このためだと思います。
 ですから、いろんな物を見たり触ったり、体験することは、本を理解するのに必要なことといえます。形を持った物はその感触を、考え方などはその感覚をイメージできると、文字だけの本を読みやすくなると考えます。
 イメージできないものは、わかりづらいのです。

【まとめ】
 文字を単語として捕らえる。
 単語、文、文章など、全体を捕らえる。
 言葉などに触れた場合、イメージを頭に思い描いている。

 以下余白

更新記録など

2016年12月21日(水) : アップロード
2018年5月31日(木) : 『意識と無意識ⅠⅡⅢ』追加による構成変更。